農林水産物・食品マーケティング基礎情報

最終更新年月:2026年8月

人口・経済発展状況等

カンボジアの人口、GDP、為替レート、在留邦人数、進出日系企業数等の 基本情報については、概況・基本統計 を参照してください。

訪日外客数 32,358人 :2025年暫定値、日本政府観光局(JNTO)
日本食レストラン数 370店 :農林水産省「海外日本食レストラン国・地域別概数」(2025年11月28日)

日本からの農林水産物輸出状況

輸出額順位 20位
輸出総額 119億円
農産物 農産物116億円(97.5%)
林産物 林産物1億円(0.7%)
水産物 水産物2億円(1.8%)
輸出額の多い品目 牛肉、 粉乳、 たばこ、 アルコール飲料、 豚の皮

(出所)農林水産省「2025年農林水産物・食品の輸出実績」

市場特性等

味覚・嗜好上の特徴
  • 甘味や辛味が好まれるものの、タイ料理ほど辛くない。唐辛子やニンニク、ライムを加え好みに応じて味を調整することも多い。Z世代やα世代を中心に火鍋や韓国料理を好み、SNSに映える内装デザインのお店を選ぶ傾向がある。そのため、台湾発の「KOI The」などのタピオカミルクティーや抹茶などのドリンクショップが増加している。
  • 食肉需要は拡大傾向にある。2025年の食肉需要は約33万8,000トンで、このうち約98%に相当する約33万1,000トンを国内生産で賄っている。肉類別の消費量は、豚肉が最も多く、次いで牛肉(水牛肉を含む)、鶏肉の順となっている。ビュッフェ形式の飲食店などで牛肉を選ぶ消費者が増えており、牛肉消費の拡大につながっている。
  • 工場労働者やドライバーなどのブルーカラー層ではエナジードリンク(Bucchus, Boostrongなど)が広く消費されている。Z世代では、ポップでカラフルなパッケージや、刺激の強いフレーバーを特徴とする製品(Sting, Krud, Exprezなど)の人気が高い。若年層の人口増加や可処分所得の拡大を背景に、エナジードリンクの市場規模は2023年の4,933万ドルから2032年には8,231万ドルへ拡大し、年平均成長率(CAGR)は5.85%と予測されている。
  • 健康志向の高まりを背景に、各ビールメーカーはアルコール度数が比較的低いライトビール(4%前後)を展開している。主なブランドとしてHeineken, Tiger, Vattanac, Cambodia Beer, Angkor Beerなどが挙げられる。ビール市場は拡大が続いており、市場規模は2024年から2032年までに年平均9.03%で成長すると予測されている。節度ある飲酒への関心の高まりを背景に、HainekenやVattancがノンアルコールのビールを市場に投入している。
制度的制約
  • ほぼすべての商品・サービスに10%の付加価値税(VAT)が課される。
  • 商業省輸出入検査局(CAMCONTROL)は2019年2月1日に廃止され、食品や消費財の品質管理、品質・安全性・商標などに関する規則運用などの実務は関税消費税総局(GDCE)が所掌。
  • カンボジア規格機関(Institute of Standards of Cambodia:ISC)は、食品の統一基準の策定や品質保証の促進を担う。
  • 輸入者条件は、省令「Prakas on trading activities of commercial companies」に基づき、商業省に登記された企業は自由に貿易取引を行うことができる。
  • 一部の例外を除き輸入規制は撤廃されており、加工食品については輸入禁止品目は設けられていない。 輸入ライセンス制度についても1994年に撤廃された。
  • 輸入許可の管轄は、生の果物・野菜・植物・農作物、魚・甲殻類などの水産物については関税消費税総局および農林水産省、生きている家畜は農林水産省であり、各機関の輸入許可が必要。
  • 食肉(牛肉、豚肉、鶏肉)については日本との二国間条件は定められていないが、カンボジア農林水産省の輸入許可を得て、必要な検疫条件を満たせば輸入可能。
  • 貿易手続きの電子化ワンストップシステム(CNSW)は2024年5月から正式運用開始した。CNSWでは、輸出入に必要なライセンス、許可証および各種証明書の申請を単一の電子窓口で行うことを可能とするシステムであり、関税消費税総局をはじめとする関係省庁との電子連携により、貿易手続の効率化が図られている。
  • 2025年4月から主要ルートにおいてコンテナに「電子シール(Electronic Seal)」を取り付けた貨物輸送追跡システムが試験的に開始された。これにより、保税輸送中の改ざん防止、透明性の向上、貨物管理の効率化が期待されている。
  • 2022年6月に食品安全法が施行され、商品にクメール語の品質表示ラベルを貼付することなどが定められた。実務的には必ずしも厳格に施行されていないが、違反した場合の罰金や販売ライセンス取消などが定められており、今後の動きに注意が必要。
商流・物流・商習慣
  • 品目ごとに、ブローカーが購買決定権を有することが多い。輸入食品の多くはディストリビューターを経由して小売店・外食事業者に卸されているが、スーパーマーケットが自社で輸入会社を有するケースもある。
  • 市場規模が比較的小さいため、多くの食料品や飲料、化粧品メーカーは生産拠点をカンボジア国内に持たず、べトナムやマレーシア、インドネシア、フィリピンなどから商品を輸入している。また、カンボジア国内に現地法人を設立せず、べトナムやシンガポールなどから事業を管理をしている企業が多い。その場合、カンボジア国内のディストリビューターを通じて販売している。
  • 2025年7月にタイとの紛争が本格化したことにより、タイブランドやタイ製産品のボイコットが広がった。カンボジア企業が新たなブランドや商品を立ち上げたり、外資企業によるカンボジア国内での生産機運も高まっている。
  • タイとの紛争を受け、カンボジア政府はタイからの違法な商品の流入防止に向けて監視・取締りを強化している。
  • 大手食品ディストリビューターは約10社存在する。日本食材の取扱業者は、非日系企業を含めて約10社あり、多くの場合、シンガポールや香港の大手食品卸売業者を経由して日本食材を調達・輸入している。2025年5月に発生したタイとの国境紛争の影響により、2026年7月現在も国境閉鎖が継続しているため、陸路での輸送は困難な状況が続いており、タイからの輸送手段は海路および空路に限られている。カンボジア国内におけるタイブランドおよびタイ製品のボイコットの影響により、タイからの輸入物量は減少傾向にある。
  • 2016年9月から全日本航空(ANA)のプノンペン・成田間直行便が就航し、生鮮食品類の即日輸入も可能となったが、新型コロナウイルスの影響により運休となり、2026年6月時点でも運航再開に至っていない。物流会社へのヒアリングによれば、現在は台湾や香港、べトナムなどの経由便を利用して生鮮品を輸入している。
  • 中国旧正月(1月~2月)、クメール正月(4月)、プチュンバン(10月)、水祭り(11月)の前後は商談日程の調整が難しくなり、ビジネス活動が停滞することもある。クメール正月やプチュンバンの時期には多くのカンボジア人が帰省をする際、さまざまな商品を土産物として購入する習慣があり、同期間前が最大の商戦期となる。
Eコマースの概要
  • 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、食料品店や飲食店のデリバリーサービス(Grab、foodpanda、E-gets、Wow Now、Wingmall)が拡大した。スマートフォンアプリなどを利用した注文・決済サービスも普及した。多言語対応やGPS機能の導入なども進んでいる。AEON Onlineカンボジア全土(全25州)への配送サービスを展開している。
  • 近年はAlibaba(Taobao)の影響力が拡大している。カンボジア市場では価格競争力の高い中国製品への需要が高く、中国から商品を直接購入できる環境が整ったことに加え、配送代行サービスの普及により比較的安い送料で購入できるようになった。その結果、従来の小売店や購入代行業者を介した購買から、Taobaoを通じた直接購入に移行する動きがみられる。
  • 新型コロナウイルス感染拡大時には商業施設の閉鎖が相次ぎ、化粧品や服、靴などのファッション製品のオンライン通販が拡大した。特にFacebook上でライブ配信を行いながら販売するライブコマースが普及した。人気のショップニストは、1回1時間ほどの配信でコメント1,000件、シェア2,000件以上、再生回数が1万回を超える事例も見られる。カンボジアにおける主要な広報媒体がSNS(特にFacebook)であることから、オンライン販売との親和性が高く、多くの店舗が実店舗での販売に加えオンラインでの販売にも対応している。飲食店ではコロナ禍を機に普及拡大したフードデリバリーのアプリへ登録をするケースが一般的となっている。
外食・小売等の状況
  • 日本食材はプノンペンにあるイオンモール内のスーパーマーケット(イオンの1号店は2014年6月、2号店は2018年5月プノンペン市内北部、3号店は2023年4月プノンペン南部に開店。)、マックスバリュー(イオンの小型スーパーマーケット:プノンペン市内に18店舗 )、ラッキーグループ(大手スーパーマーケットチェーン)、チップモン、バイヨンなどで購入可能である。
  • セブンイレブン1号店は2021年8月に営業開始。カンボジアの店舗は、タイ大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下のCPオールのカンボジア子会社が運営する。2025年末までに最大114店舗まで拡大したが、タイとの紛争の影響により、2026年7月1日現在、15店舗まで縮小。
  • タイ大手小売事業者「Big C」は2019年12月タイ国境付近のポイぺトに1号店を開店。Big Cの小型店舗にあたる「ミニBig C」は2021年9月首都プノンペンに進出した。2022年5月にはカンボジアのミニマート「Kiwi mart」を子会社化し、プノンペンおよびカンポットに現在約20店舗ある。韓国の「E-Mart24」は2024年6月に1号店を開店し、2026年7月1日現在25店舗と店舗を拡大しており、2028年までに100店舗を目指している。
  • カンボジア国内大手のガソリンスタンドであるPTTもタイとの紛争の影響を受けて、フランチャイズオーナーの多くがPTTを離れて、ローカルブランドの「Peace Petroleum Cambodia(PPC)」へのブランド転換が進められている。
  • 在住外国人や富裕層が対象であった輸入食品・外食産業も、中間所得層以上の購買力向上に伴い顧客層や取扱商品の多様化が進んでいる。
  • 屋台やレストランで提供されるカンボジア料理はテイクアウト・イートインともに、全購買層に支持されている。価格は一食当たり1.5ドル程度からである。
  • TSUTAYA BOOKSTOREが2025年4月にイオンモール1号店にオープンし、2034年までにカンボジア国内で6店舗展開を目指している。
  • カフェビジネスは堅調。ローカルチェーンではBrown Coffeeのほか、Temple Coffee, Tube Coffee, Coffee Cornerが有名で店舗数を増やしている。外資チェーンではスターバックス、Amazon Coffee、KOI The、TOUS les JOURSなどの人気店に加え、タピオカドリンクの店舗もある。ただし、タイとの紛争の影響により、Amazon Coffeeは最盛期は254店舗(2025年3月)まで広がったが、現在(2026年7月)は1割程度に減少しているとされる。
  • 主な外食チェーンとして、KFC、クリスピークリームドーナツ、ロッテリア、バーガーキング、スターバックス、テキサスチキン、カールスジュニア、TOUS les JOURS、Paris Baguette、Little Sheep、Crystal Jadeなど。日系では丸亀製麺、牛角、ペッパーランチ、味千ラーメン、モーモーパラダイス、元気寿司、豚骨火山、町田商店、焼肉ライク、大戸屋なども進出している。その他、近隣国で展開する日系の居酒屋やレストランの進出もみられる。べトナムから浦江亭やPizza 4Psなどが進出している。
日本食普及状況等
  • 日本食への関心の高まりを背景に、日本食・日系レストランは2020年の140店舗程度から2025年時点で約370店舗まで増加傾向にあり、そのうち約85%がプノンペンに集中している。 カンボジア人や外国人が経営する手頃な価格帯の日本食店やすし店も増加しており、従来の高級なイメージから幅広い顧客層に拡大している。地場および外国、日本資本の「おまかせ」の高級店の新規出店が増えている一方、店舗間で業績の差もみられる。
  • カンボジア人に支持されている店舗は、現地飲食店と同程度の価格帯レストラン(客単価$10~$15)か、和牛を使った焼肉店やすし店などの富裕層向けレストランと二極化がみられる。2020年以降、さらに「すし」を前面に押し出すレストランは増加傾向にあり、回転すしよりもカウンター席で食べる店舗が多くみられたが、カンボジア国内の景気低迷の影響を受け、高級店が減少傾向にある。
  • ラーメンやうどんだけではなく、そばを提供する店舗も増加している 。ラーメンは日系企業のフランチャイズ経営である店舗もみられる(町田商店、豚骨火山)。
  • 菓子や麺類、調味料など消費者に分かりやすく、既に認知度のある日本食材の需要は高い。近隣諸国から仕入れ可能な商品も多く、流通量も豊富である。
  • 産地や商品へのこだわり、有機認証などによる差別化は、フェアでの試食などを通じた対面でのプロモーションが必須だが、新商品を試すことへの抵抗感は低く、比較的高単価でも購入につながるケースもみられる。健康に関する商品や子供向け商品への関心も高い。
  • 日系レストラン増加に伴い、進出済み日本食レストランの経営者は現地の食材の活用が進んでいる。複数店舗や他業態で効率的に食材を活用するなど、原価低減に向けた取り組みや、若者の嗜好、需要動向の把握、適切な媒体を活用した情報発信などが必要となっている。
  • 日本産の水産物や和牛には一定の需要があり、定期的に空輸されている。
お問い合わせ先
ジェトロ農林水産食品部 市場開拓課
Tel:03-3582-5186
E-mail:afa-research@jetro.go.jp