外資に関する奨励

最終更新日:2017年09月29日

奨励業種

カンボジアの外国直接投資に関する法制度は、基本的に投資を奨励するように設計されている。

外国直接投資政策

カンボジアの外国直接投資(Foreign Direct Investment:FDI)に関する法制度は、投資を制限するのではなく、自由で積極的な投資を奨励することを目的として制定されている。投資法の規定では、外国直接投資は土地所有を除き、外国人は内国法人と差別なく扱われており(外国人が土地を保有できないことは憲法で規定されている)、多くの分野で自由に投資することが許されている。また現行の投資法では、「(投資プロジェクト)最終登録証明書(Final Registration Certificates:FRC)」を入手した投資家に対し、種々の優遇措置が与えられている。
またカンボジア政府は、投資促進サービスの向上を継続的に図っている。例えば経済特別区(経済特区)の促進を図るため、2005年にはカンボジア開発評議会(Council for the Development of Cambodia:CDC)内にカンボジア経済特別区委員会(Cambodian Special Economic Zone Board:CSEZB)が設立された。同委員会の管理の下では、経済特区管理委員会(Special Economic Zone Administration:SEZ Administration)が各経済特区に設立され、投資プロジェクトの登録から日々の輸出入許可に至るまで、ワン・ストップ・サービスが提供されている。

優遇措置適格プロジェクト

投資ライセンス(投資許可)は、投資家または投資企業に対して発行されるのではなく、投資プロジェクトを対象として発行される。投資ライセンスを受領したプロジェクトは「適格投資プロジェクト(Qualified Investment Project:QIP)」と呼ばれる。
「改正投資法施行に関する政令第111号」の付属文書1、Section 2「優遇措置非適格の投資行為」は、優遇措置の条件となる様々な分野における投資最小限度額や条件を定めており、いくつかの例を次に掲げる。

表1 遇措置付与に必要とされる投資条件
投資分野 投資条件
輸出産業にすべて(100%)の製品を供給する裾野産業 10万米ドル以上
動物の餌の製造 20万米ドル以上
皮革製品および関連製品の製造
金属製品製造
電気・電子器具と事務用品の製造
玩具・スポーツ用品の製造
自動二輪車およびその部品・アクセサリーの製造
陶磁器の製造
30万米ドル以上
食品・飲料の生産
繊維産業のための製品製造
衣類縫製、繊維、履物、帽子の製造
木を使用しない家具・備品の製造
紙および紙製品の製造
ゴム製品およびプラスチック製品の製造
上水道の供給
伝統薬の製造
輸出向け水産物の冷凍および加工
輸出向け穀類、作物の加工
50万米ドル以上
化学品、セメント、農業用肥料、石油化学製品の製造
現代薬の製造
100万米ドル以上
近代的なマーケットや貿易センターの建設 200万米ドル以上
1万ヘクタール以上
十分な駐車場用地
工業、農業、観光、インフラ、環境、工学、科学その他の産業向けに用いられる技能開発、技術向上のための訓練を実施する訓練・教育機関 400万米ドル以上
国際貿易展示センターと会議ホール 800万米ドル以上

優遇措置非適格プロジェクト

前記「優遇措置非適格の投資行為」に記載されている投資プロジェクトには、投資優遇措置は適用されない。優遇措置非適格プロジェクトには、次のようなプロジェクトが含まれる。

  1. すべての商業活動、輸入、輸出、卸、小売、免税店
  2. 水路・道路・空路による運輸サービス(ただし鉄道分野への投資を除く)
  3. レストラン、カラオケ、バー、ナイトクラブ、マッサージ店、フィットネスセンター
  4. 観光サービス
  5. カジノ、賭博ビジネス
  6. 銀行・金融機関・保険会社等による通貨・金融サービス
  7. ラジオ・テレビ・新聞・雑誌等を含む報道・放送ビジネス
  8. 専門的サービス
  9. 合法的な国内供給源である自然林の木を原料として使用する、木材製品の製造・加工
  10. 50ヘクタール以下のホテル、テーマパーク、スポーツ施設、動物園等を含む、複合娯楽施設
  11. 三ツ星級以下のホテル
  12. 不動産開発、倉庫業

各種優遇措置

投資適格プロジェクトについては、法人税免税、免税輸入、輸出税免税等の優遇措置がある。

投資適格プロジェクト(QIP)に付与される投資優遇措置

投資適格プロジェクト(QIP)は、次の投資優遇措置の対象となる(「改正投資法」第5章)(英語)。

  1. QIPは、法人税の免税ないしは特別償却の適用を選択できる。
  2. 法人税免税制度(選択制)に関し、タックス・ホリデーの期間は、「始動期間(Trigger Period)」+3年間+「優先期間(Priority Period)」(合計最長9年間)で構成される。「始動期間(Trigger Period)」とは、「最終登録証明書」発行の日から最初に利益を計上する年、または最初に売上げを計上してから3年間の、どちらか短い期間。また「優先期間(Priority Period)」とは、最長3年間で、プロジェクト内容(業種と投下資本額)に基づき、予算法によって定められる。
  3. QIPが法人税免税を認められるには、年度ごとの「義務履行証明書(Certificate of Obligation Satisfaction)」を取得しなければならない。
  4. 法人税の免税期間後においては、QIPは税法に定める税率に従って法人税を支払わなければならない。
  5. 特別償却(選択制)は、製造・加工工程において使用される新品または中古の有形固定資産価格の40%に相当する特別償却制度である。
  6. 生産設備および建設材料等の免税輸入制度(表2参照)。
  7. 指定された特別奨励区(Special Promotion Zone:SPZ)または輸出加工区(Export Processing Zone:EPZ)に立地するQIPとは、改正投資法に規定される、他のQIPに対するのと同様の優遇措置および特典である。
  8. QIPは、現行法に規定される場合を除き、輸出税を100%免税される。
  9. CDC(カンボジア開発評議会)または州・特別市投資小委員会(Sub-Committee on Investment of the Provinces-Municipalities:PMIS)の認可を受けた場合には、QIPの権利・特典を、QIPを取得または吸収した者に移転ないしは譲渡することができる。
表2 QIPの免税輸入
QIPの種類 免税輸入可能な物資
国内志向型QIP(Domestically oriented QIPs) 生産設備、建設資材および輸出品生産のための生産投入材
輸出志向型QIP(Export oriented QIPs)
(製造保税倉庫制度を選択するか、既に選択しているものを除く)
生産設備、建設資材、原材料、中間財、副資材
裾野産業QIPs(Supporting Industry QIPs) 生産設備、建設資材、原材料、中間財、生産投入用副資材。ただし裾野産業QIPが製品を100%輸出企業に提供しなかった場合や直接輸出しなかった場合においては、その部分について輸入関税およびその他の税金を支払うことを要する。

特定分野に対する投資優遇措置

改正投資法第5章のQIPに対する投資優遇措置の規程にかかわらず、特定の産業を対象にした、あるいは追加的な投資優遇措置が、省令や他の規程の形で導入されている。

  • 種子、繁殖種、残渣、トラクター等の農業用機器など、農業用原材料や機器を対象として、輸入関税の減免やVTAの政府負担制度(VATの免税)が導入されている(Prakas No.390 (MEF) on Adjustment to Customs Duty and Imposition of VAT borne by the State)。
  • 農業や農産加工分野におけるQIPでは、法人税免税制度(タックス・ホリデー)において3年間の優先期間(Priority Period)が認められる(Royal Kram NS/RKM/0609/009 on Promulgation of the Law on the Adjustment to the Law on Financial Management for the Year 2009 of June 20, 2009)。
  • 縫製業における輸入生産資機材は、最終製品が輸出される場合においては、VATが免除される(The Letter No.110 SCN.CS of the Council of Ministers of January 27, 1999)。
  • 縫製製品・繊維製品・履物の輸出を支援する裾野産業においては、輸入生産資機材に対するVATは免除される。また縫製製品の輸出のために提供される裾野産業やコントラクターの製品・サービスおいても、VATは免除対象となっている(Prakas No.298 (MEF) on the Implementation of VAT for Supporting Industry or Contractor who Supplies Products for the Exports of Garment, Textile and Footwear)。

その他

改正投資法では、外国直接投資について投資保障を規定している。日系企業に関しては、改正投資法による投資保障に加え、日本とカンボジアの間で2008年8月に「投資の自由化、促進及び保護に関する協定(Agreement Between Japan and the Kingdom of Cambodia for the Liberalization, Promotion and Protection of Investment)」が発効している。

「改正投資法」では、次のとおり投資保障を規定している(同法第8条~第11条)。

  1. 外国投資家は、土地所有権を除き、投資家が外国人であることのみを理由にした差別的な扱いは受けない。
  2. カンボジア政府は、カンボジアにおける民間投資家の資産に悪影響を及ぼす国有化政策は実施しない。
  3. カンボジア政府は、QIPの製品価格やサービス料金に対し統制を行うことはない。
  4. カンボジア政府は、投資家が銀行を通じて外貨を購入し、次の目的のためにその外貨を海外へ送金することを許可する。
    1. 輸入品の代金、もしくは国際的な借入に対する元金・利息の支払い
    2. ロイヤルティー、および管理費用の支払い
    3. 利益の送金
    4. 投資資本の本国送金

日本・外務省:「投資の自由化、促進及び保護に関する協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

JICA:改正投資法 Law on the Amendment to the Law on InvestmentPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(4.55MB)

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