1. サイトトップ
  2. 国・地域別に見る
  3. アジア
  4. カンボジア
  5. 外国企業の会社設立手続き・必要書類

外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2020年09月21日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

外国企業がカンボジア現地法人を設立する場合、商業省への商業登記に加え、経済財政省租税総局への税務登録、労働職業訓練省への事業所開設申告、国家社会保障基金(NSSF)への登録が必要となる。2020年6月から、これらの手続きのうち前三者についてはワンストップのオンライン申請により完了することが可能となった。

外国企業がカンボジアに投資する場合、[1]経済特区内の適格投資案件(Qualified Investment Project:QIP)、[2]それ以外の場所で実施されるQIP、[3]適格投資案件とならない通常の投資案件、という3区分によって所轄審査機関が異なる。経済特区内QIPはカンボジア経済特区委員または経済特区管理事務所、それ以外のQIPはカンボジア投資委員会、通常の投資案件の場合は商業省となる。ここでは通常の投資案件について概説する。なお、QIPについても2020年6月からオンライン申請の対象となっている。

ワンストップによる設立手続

  1. 進出形態
    カンボジアに進出する外国企業の主な形態には、駐在員事務所、支店、現地法人、パートナーシップ、事業協力契約、個人事業主などの方法があるが、ここでは現地法人の設立に関して概説する。
  2. 従前の手続
    従前、カンボジアにおける会社設立は、商業省、租税総局、労働職業訓練省の順に、それぞれに対する手続を行うものとされており、手続完了まで、数カ月を要することが通常であった。こうした状況は、法人設立や外資による直接投資のインセンティブを削ぐものであるとして課題となっていた。カンボジア政府は、手続の簡易化・必要期間の短縮を目的とし、ワンストップのオンラインでの設立手続が可能となるプラットフォームを作成、2020年6月10日付閣僚評議会令(Sub-Decree No. 84 on the New Online Business Registration Procedures)により施行された。
  3. 新オンライン・システムの概要
    会社設立申請のオンライン・システム(Registration Services)は、クメール語・英語が準備されている。申請者は、オンライン・システムを通じて、必要情報の入力および必要書類のデータファイルによる提出を行い、登録費用をオンラインで支払う(ABA銀行決済、クレジットカードまたはデビットカード決済)。提出書類に不備などがなければ、申請後、8営業日以内に会社設立手続が完了するとされる(前記閣僚評議会令第8条)。手続が完了すると、各証書(デジタルファイル)が交付される。
    2020年9月時点の実務において、現実には15営業日程度を有しているとの情報があるが、本システム導入前と比較すると大幅に短縮されている。
  4. オンライン・システムでの手続・必要書類
    商業省・租税総局・労働職業訓練省に対する手続きが法令上必要となるが、本オンライン・システムはワンストップサービスであり、申請者は一括して一度手続きを行うことで足りる(各手続完了後にそれぞれ別途必要となる手続きは存在する)。
    必要書類は、形態によって若干異なるが、現地法人の場合は次のものとなる。原則として書面原本は不要でデータファイル(PDFファイル)の提出で足りることとなり、また書類数も従前より少なくなった。
    1. 商業省の会社登録
      商業省の会社登録に際しては、まず使用を希望する商号を予約し、会社登録申請を行う。会社登録は申請後、3営業日以内に完了するとされ、完了すると法人設立証書(Certificate of Incorporation)が発行される。
      申請に際しての必要書類は次のとおり。
      • 登録住所地の土地登記または賃貸借契約書
      • 取締役の証明写真(jpgまたはjpegファイル、3カ月以内に撮影、背景は白)
      • 取締役のIDカード
      • 親会社の定款
      • 親会社の登録証書
      • 該当する場合、参考書類(既存の会社商号と似た名称を使用する場合、使用許可書。その他、ライセンスや関連書類)
      • 代理人が申請する場合、申請権限授与書
    2. 税総局の税務登録
      租税総局に対し、税務登録・VAT登録・パテント税の登録を行う。前二者は基本的に設立時のみである。パテント税とは、会社の事業に対しての課税であり、当局の定める事業目的カテゴリーに応じ、複数の場合は複数項目について、事業年度ごとに支払う必要がある。商業省での会社登録完了後、4営業日以内に完了するとされ、完了するとパテント税証書、VAT登録証書、税務登録IDカード、税務申告の通知書面が発行される。
      申請に際しての必要書類は次のとおり。
      • 事業所の固定資産税の支払い証書または固定資産の情報
      • 銀行口座情報(税務登録の完了後15日以内に提出することが必要。これがない場合、租税総局の証書が撤回される)

      なお、従前、定款上の取締役会議長などが税務登録のために当局に出頭する必要があり、外国居住の場合はカンボジアへ渡航する必要があったが、当該義務はなくなった(もっとも、銀行口座開設に際して、銀行のルールに基づき、代表者の訪問が必要となることがありうる)。

    3. 労働職業訓練省関係の手続き
      事業所開設申告(Declaration of the Opening of the Enterprise)に関する申請を行うこととなる。租税総局での税務登録完了後、1営業日以内に完了するとされ、事業所開設申告が発行される。申請に際して、労働職業訓練省用に別途求められる必要書類はない。
  5. 手続き費用
    手続き費用も減額された。
    1. 商業省(2020年3月23日共同省令333号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(856KB)
      • 商号予約費用:約6.25米ドル
      • 商業登録費用:約252.5米ドル
    2. 租税総局(前記閣僚評議会令第9条)
      • 税務登録費用:100米ドル(小規模納税者5米ドル)
      • パテント税登録費用(1項目・1事業年度当たり)
        1. 小規模納税者:約50米ドル
        2. 中規模納税者:約150米ドル
        3. 大規模納税者:約375米ドル
    3. 労働職業訓練省(2020年3月27日共同省令335号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.91MB)
      • 事業所開設申告:30米ドル
  6. 関連手続き
    従前、商業省での会社登録は、商業省の商業登記用オンライン・システム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて行われていた。このウェブサイトは継続されているが、新オンライン・システム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとは連動していないため注意が必要。現状、申請者は、前述の会社設立手続きの完了後、会社定款、親会社の会社登録情報などの原本を提出するものとされている。
    労働職業訓練省に対する必要手続きとしては、前述の事業所開設申告のほか、従たるものとして、会社台帳登録(Registration of Enterprise Ledger)に関する申請および従業員給与台帳登録(Registration of Payroll)に関する申請が存在する。これらは新システムに統合されておらず、別途必要となる。
  7. その他
    このように、会社設立時の手続は大きく改善され、所用期間が非常に短縮された。
    しかし、登録した会社情報の変更(取締役の変更など)は、従来通りの手続が必要となり、現時点では所用期間などに変更がない。この点の改善が待たれる。

国家社会保障基金(NSSF)への登録

国家社会保険基金(National Social Security Fund:NSSF)が運営するカンボジアの社会保険制度は、労災保険と健康保険が両軸となっている(年金は未開始)。雇用者は、労働者の雇用状況をNSSFに登録することが義務付けられており、登録後30日以内に保険料を納付するとともに、各労働者に登録番号を伝える必要がある(2008年2月11日付社会保障制度における企業及び従業員の登録に関する省令第021号第6条)。企業登録および従業員登録が終了した後、NSSFは企業に対して次の書類を付与する。

  1. 企業のID番号
  2. 企業登録証明書
  3. 従業員のID番号
  4. 各従業員のNSSFメンバーカード

労働災害保険における社会保険料率は、従業員の平均月給の0.8%に設定されており、上限は月額約9,600リエル(約2.4米ドル)である。健康保険制度については、使用者が負担するものとされており、2017年11月10日付「労働省職業訓練省発行の労働災害保険及び健康保険の保険料等に関する省令第449号」に定められている健康保険の保険料率は、従業員平均月給の2.6%で、上限額は月額3万2,000リエル(約7.8米ドル)である。
なおこれまでは、国家社会保障基金への登録は8人以上を雇用する企業についてのみ登録が義務付けられていたが、2017年11月10日付「使用者と被雇用者の国家社会保障基金への登録に関する省令第448号」により、8人未満しか雇用していない場合を含め、すべての使用者に設立後30日以内の国家社会保障基金への登録が義務付けられるようになった。

外国企業の会社清算手続き・必要書類

会社は、株主総会における特別決議、解散趣旨書の作成と商業省への提出、債権者への通知、解散に関する公告、資産および債務の清算、商業省への解散届出書の提出、商業省の解散証明書の発行を経て、解散することができる。

会社の解散については、「カンボジア会社法」の第251条から第258条で定められている。

ジェトロ:ビジネス関連法・法務「カンボジア会社法」(2015年3月)

資産または債務を有する会社については、株主総会における特別決議、解散趣旨書の作成と商業省への提出、債権者への通知、解散に関する公告、資産および債務の清算、商業省への解散届出書の提出、商業省の解散証明書の発行を経て、解散することができる(会社法第252条~257条)。
株式を発行していない会社は取締役全員の決議によって何時でも解散することができ、資産および負債を有しない会社も、株主の特別決議によって解散することができる(会社法第251条)。
取締役または年次株主総会における投票権を有する株主は、会社の自発的清算または解散を提案することができる(会社法第252条)。
解散および清算に関する条項は、裁判所に破産を申し立てた会社には適用されない(会社法第258条)。

なお、会社の解散手続きの中では税務関係手続が最も重要である。租税総局・関税総局に会社を解散する旨通知し、税務調査を受けた上で、税金清算証明書・関税清算証明書を取得する必要がある。この手続きでは1年以上など相当の期間を要するケースもある。
また、会社が適格投資案件の指定を受けている場合にはカンボジア開発評議会(CDC)関係の手続きが、工場を閉鎖する場合には工業・手工芸省への申請が必要となる。さらに、商業省による解散証明書の発行後、労働職業訓練省、国家社会保険基金(NSSF)への通知を行う。なお、個別のライセンスを取得している場合には、各管轄官庁への申請・届出が必要な場合がある。

その他

業種・業態によっては、個別のライセンスを各監督省庁から取得する必要がある。

参考:個別のライセンス取得が必要な業種(一部)
業種 監督省庁 備考
飲食店 観光省 審査あり
ゲストハウス 観光省 審査あり
ホテル 観光省 審査あり
旅行代理店 観光省 保証金の支払いが必要
不動産サービス業 経済財政省 無犯罪証明書の提出要
保険ブローカー業 経済財政省 無犯罪証明書の提出要
通関業 関税・消費税総局 通関に関する専門家が必要
運送業 公共事業運輸省 トラックなどの登録も必要
診療所、病院 保健省 代表者はカンボジア国籍である必要あり
法律事務所 弁護士協会 代表者はカンボジア国籍である必要あり
海外人材派遣業 労働職業訓練省 代表者はカンボジア国籍である必要あり
教育機関 教育・青少年・スポーツ省 審査あり