税制

最終更新日:2017年09月29日

法人税

法人税率は、原則として20%。年次申告だけでなく、毎月の月次申告も必要である。

概要

カンボジアの現行税制は、2003年「税法改正に関する法律」によって規定されている。現在、すべての課税事業者は、申告納税制度(実態課税制度)に登録することが義務付けられている(推定課税制度は2015年末に廃止された)。

事業所得税(法人税)は、Profit taxMinimum Taxの2つに分類されており、毎年の所得に対する20%、または売上高の1%のうち、いずれか金額が大きい方を事業所得税とすることとなっている。このため、毎月の売上高の1%を翌月20日までに申告納付しなければならない「前払事業所得税」を定めている。本税の12カ月分の総額は、年度末に申告する事業所得税(Annual Tax on Profit)算出税額から差し引かれるため、最終的には前払い分だけ年度末に納付する税額が少なくなるが、本税額が法人所得の20%を超える場合であっても、還付されることはない。また本税は、利益が出ていない赤字企業に対しても適用される。なお一定の要件を満たしている場合、本税の毎月の支払が免除される制度が、2017年から導入されている。

年に1回の法人税の年次申告に加え、毎月の月次申告がある。原則として月次申告の期限は翌月の20日、年次申告の期限は決算日後3カ月以内となる。

月次申告の対象となる主な税金は、次のとおり。

  • 前払事業所得税(Prepayment of Tax on Profit
  • 給与税(Tax on Salary)および付加給付税(Tax on Fringe Benefit
  • 付加価値税(Value Added Tax
  • 源泉徴収税(Withholding Tax

また年次申告の対象となる法人税は、次のとおり。

  • 事業所得税(Tax on Profit
  • ミニマム税(Minimum Tax

事業所得税とミニマム税の制度があるため、いずれか金額が大きい方が、年間の納税額となる。
なお、税務登録をしていない中小零細企業が多いことが問題となっており、税務登録を促進する必要から、2017~2018年に税務登録を行った中小企業については、事業所得税を2年間免税とする特例を実施中である。

事業所得税

  1. 課税の範囲

    法人所得に対して課税する事業所得税(Tax on Profit)は、すべての事業者が対象となり、原則としてすべて申告課税となる。

    関連規定:税法第4条(納税者の種類)

    外国法人でも、支店(branch office)であればカンボジア法人と同様に税務申告の義務がある。

  2. 居住者と収入の源泉

    居住納税者は、世界中のどこで発生した所得であれ、課税の対象とされる。一方、非居住納税者は、所得の源泉がカンボジアにある所得のみに課税が限定される。国外所得に対する納税を現地(日本等)で行っている場合、カンボジアでの申告においては、外国で納付した税金を控除することができる。なお、ここでの居住納税者とは、カンボジアで設立されたか運営されている会社や、カンボジアに事業拠点の住所を持っている納税者を意味する。
    個人の場合には、外国人であってもカンボジアに居住地がある場合、または当該課税年度中に終了する12カ月間のうち累積して182日以上カンボジアに滞在した場合は、居住納税者とみなされる。なお当該課税年度は、1月~12月を課税年度とした場合の12カ月ではない点に注意が必要である。また、国際的に認められている恒久的施設(Permanent Establishment)でも、カンボジアからの収入がある場合には課税対象となる。

    関連規定:税法第2条(課税の対象)および第3条(定義)

  3. 税率

    事業所得税の税率は「所得に対して20%」であるが、次の場合は例外的な取り扱いがなされている。

    1. カンボジア開発協議会(CDC)で適格投資プロジェクトの認可を受けた場合は0%
    2. 石油、ガス、特定の鉱物開発事業は30%
    3. 保険事業は5%(総保険料収入ベース)

    なお個人事業主等については、課税所得に応じた累進税率(0~20%)が、別途規定されている。
    また、税務登録をしていない中小零細企業が多いことが問題となっており、税務登録を促進する必要があることから、2017~2018年に税務登録を行った中小企業については、事業所得税を2年間免税とする特例が実施されている。

    関連規定:

    • 税法第20条(課税額の決定)、第21条(保険会社の所得に対する税)、第22条(その他の所得税)
    • 自主的に税務登録を行った中小企業に対する免税インセンティブに関する省令第17号
  4. 前払事業所得税

    事業所得税の前払いとは、VATを除いたすべての税金について、毎月の売上高の1%相当を翌月20日までに申告納付する制度である。前払事業所得税は、年度末に申告する事業所得税(Annual Tax on Profit)算出税額から差し引かれるため、最終的には前払い分だけ年度末に納付する税額が少なくなる。これは、年に一度の申告納付とすることで徴収未納となることを防止するために設けられた制度でもあり、後述するミニマム税とも関連する。
    なお、事業所得税の免除を受けている QIP認可事業者の場合、事業所得税の税率での優遇と併せ、この前払事業所得税も免除される。ただし「ゼロ申告」(nil monthly return)については、毎月行うことが必要である。
    なお2017年より、正確な会計記録を保持する規則に従っている等の条件を満たす特定の納税者については、ミニマム税の申告・納税を免除する制度が導入されている。

    関連規定:

    • 税法第24条(ミニマム税)
    • ミニマム税の明確化に関する省令第638号(2017年7月25日)
  5. 免税(Tax holidays)

    カンボジア開発評議会(CDC)に登録されて承認された適格投資プロジェクト(QIP)は、免税の恩恵を受ける。
    免除の対象となるのは事業所得税で、免除期間は、QIPが利益を出した日か事業を開始した日(初めて売上を計上したとき)から3年のうち、いずれか短い期間から開始して3~6年間である。本免税は、事業所得税、関税、輸入時VATの一部または全額の免除であり、それ以外の税については免除されない。従って、給与所得税、源泉所得税、付加価値税(VAT)等は非課税とならない。

    関連規定:

    • 投資法(Law on Investment)第14条(投資インセンティブ)
    • 投資法施行令(Sub-Decree)第14条(一般原則)、第15条(事業所得税)、第16条(関税免除)、第17条(報告の義務)、第18条(履行証明)

    免税の恩恵は事業所得税と関税の一部または全額免除を意味し、その他の税目に関しては毎月の申告納付が必要である。

  6. 課税所得の計算(Calculation of taxable profits

    カンボジア法人の事業所得税は、「会計上の利益±申告調整」として計算される「課税所得」に対して課税される。「会計上の利益」は、国内外で獲得した収入を含む総収入から、事業をするために支給または発生した税法上許容されるコストを差し引き、輸入・ロイヤルティー・賃借料などの経常利益を追加して計算される。また、事業遂行中または清算に伴う複数種の資産を売却することによって発生する資本利益も、課税所得に含まれる。

    関連規定:税法第7条(課税可能な所得)および第8条(課税可能な所得の決定)

    利益には経常損益だけではなく、土地などの固定資産を売却することによって得られる資産譲渡損益(capital gain)も加算され、事業所得税の対象となる。

  7. 損金算入・不算入の基準

    カンボジアの税法では、単純な会計上の利益をそのまま所得として扱うのではなく、一定基準に従い、控除可能な費用の基準を明示している。控除対象外でなく、一般的な基準を満たす全ての費用は控除できる。ただし次のような点は、損金算入の際に注意が必要となる。

    1. 支給が適切と認められる範囲内で会社の役員に支給した費用は、損金算入される。
    2. 工場や建物に関連して発生した利息および諸税は、建設や資産の取得をする間に発生した経費の範囲内で資産の建設価額または取得価額に含めることが認められており、他の減価償却資産と同様に減価償却することが認められている。
    3. a.b.に属さない支払利息は、受取利息と営業利益(支払利息控除前)の合算額の50%の範囲内でのみ、損金への算入が認められている。また損金算入されなかった超過支払利息額は、次年度に繰り越すことが認められている。
    4. 有形固定資産への支出額は、資産の種類ごとに定められた償却率と償却方法に応じ、減価償却費として損金算入することが認められている。

      有形固定資産への支出に関する減価償却費は、資産の種類によって次のとおり算出される。

      1. 建物・構築物:5%(定額法)
      2. コンピュータ、電子情報機器、ソフトウェア等:50%(定率法)
      3. 乗用車、トラック、オフィス家具・その他備品:25%(定率法)
      4. その他の固定資産:20%(定率法)

      一方、無形固定資産への支出に関する減価償却費は、次のとおり算出される。

      1. 資産との関連付けができる無形固定資産:資産の耐用年数に基づく。
      2. それ以外の無形固定資産:10%(定額法)

      探査と開発に関する支出に関しては、関連の天然資源の探査に関連する支出(いわゆる開発費用)であれば、減価償却が認められる。

    5. 寄付金は、支払利息損金不算入調整後の利益に寄付金を加えた金額の5%を超えない範囲内で、控除が認められている。
    6. 娯楽、レクリエーションや接待性の支出は、控除対象にできない。
    7. 税の対象とならない個人的な支出(たとえば自家消費や個人的な資産の購入など)は、損金に算入できない。
    8. 他人のために支出した税金や納税者の法人所得税は、費用として認められない。

    関連規定:税法第11条(許可された控除)、第12条(支払利息)、第13条(有形固定資産の減価償却)、第14条(無形資産の減価償却)、第15条(天然資源の償却)、第16条(寄付)、第19条(損金不算入)

    建設資金の利息については、建設資金利息算入制度により、減価償却を通じて費用として認められる(特に工場建物や事業用建物など)。娯楽性接待費については費用として認められない場合が多く、実体としていわゆる交際費に該当しないという合理的な説明ができない限り、他の勘定科目で処理をすることが好ましい。また娯楽性接待費が費用として認められるためには、業務上発生することが合理的かつ必然の費用であることを説明できる根拠を、内部決裁書類として用意しておくことが必要(根拠がない場合は、福利厚生費として処理される可能性がある)。また会社の勘定科目体系(chart of account)を、前記説明内容に合わせて整備しておく必要もある。

  8. 特別償却(Special Depreciation

    適格投資プロジェクト(QIP)の場合には、資産を取得した最初の年または取得資産を初めて使用する年に40%を特別償却する制度を選択できる。しかしこの特別償却は、製造などの事業目的に使用する資産のみが対象となり、また事業所得税免税の恩恵を受けないと決めた場合のみ適用される。本規定は、4年以内に保有する予定の資産に対しても適用される。

    関連規定:投資法第14条(投資インセンティブ)

  9. 欠損(Losses

    納税者の欠損金は、5年間繰り越しができるが、将来の予想赤字を当該年度に適用すること(carry-back)はできない。また関係会社の赤字と関連するような、いわゆる連結納税などの税務調整に関する規定はない。
    納税者は、欠損金の繰越を認めさせるために、事業活動の内容の変更や株主の変更を行ってはならない。税務当局による現行の慣行によれば、カンボジアで認められている勘定科目に対応した形で記帳されていない場合には、税務当局からの一方的な税務調査を受けることになる。その調査の結果、修正が必要となった場合、納税者は税務調査実施年度以降、欠損を繰り越すことができなくなるので注意を要する。

    関連規定:税法第17条(欠損金の繰越控除)

  10. 移転価格(Transfer Pricing

    税務当局は、税金の回避または脱税を目的としているように見える企業所有者・共同株主間の所得と費用の配分については、適正となるように再分配する幅広い権限を持っている。一般に共同所有とは、相互に20%の株式保有水準を維持していることを意味し、51%以上の株式を所有する企業における取引で発生する損失については、共同株主間で発生する費用として税控除はできない。

    関連規定:税法第18条(所得の配分と納税者との間の控除)および第19条(損金不算入)

  11. 申告納付(Administration

    事業所得税の年次申告は、毎年事業年度終了後、3カ月以内に完了しなければならない。事業年度は通常1~12月だが、特別な場合(外国親会社の決算に合わせる等)には、申請によって別の事業年度(4~3月等)に設定することも可能。前払事業所得税1%は、毎月の月次申告により、翌月20日までに納付しなければならない。

    関連規定:税法第29条(一般課税あるいは簡易課税事業者の一般的な義務)、第32条(所得税納税者の義務)、第38条(納付税額の決定または課税年度の税額控除)

    申告が遅延した場合の罰金は200万リエル(約500米ドル)であり、未納税金の10%の加算税を追加納付するとともに、延滞税として月ごとの利子2%が別途徴収される。申告納付額がない場合でも、申告は行わなければならない。一定期間申告がない場合には、税務当局の職権により、法人登録を抹消されることもあり得るため、必ず申告をする必要がある。

ミニマム税(Minimum Tax

  1. 概要

    納税義務者は、事業所得税とは別に、ミニマム税を納付する義務がある。ミニマム税とは、付加価値税(VAT)を除くすべての税金向けに、総売上高の1%相当額を納付する税制である。事業所得税とは別に、納税者の利益または損失に関係なく、最低限の税負担を義務付ける制度と言える。
    ミニマム税の納付額が年末の税務調整後決定税額を超える場合には、超過損失は、次の課税年度に繰り越した上で、次年度以後の税額から控除することができる(繰越期間は5年間)。
    なお投資適格プロジェクト(QIP)の場合は、事業所得税の免除を受けるだけでなく、前払事業所得税に相当するミニマム税も免除される。
    また2017年より、正確な会計記録を保持する規則に従っている等の条件を満たす特定の納税者については、ミニマム税の申告・納税を免除する制度が導入されている。

  2. 申告納付

    ミニマム税は事業所得税と同様、課税年度終了の日から3カ月以内に納付しなければならない。同税の計算にあたっては、毎月申告納付を行ってきた前払事業所得税などは、事業所得税納付額から差し引かれる。

    関連規定:税法第24条(ミニマム税)、第28条(前払事業所得税)、第38条(納付税額の決定または課税年度の税額控除)、第39条(ミニマム税の決定と課税年度の確定税額または控除の決定)
    ミニマム税の明確化に関する省令第638号(2017年7月25日)

二国間租税条約

カンボジアは、二国間の二重課税防止協定(租税条約)締結を始めたところであり、5カ国と調印を完了している。日本との二重課税防止協定は、未締結である。
またカンボジアは、OECDの税務情報交換フォーラムにも2017年9月に加盟し、国際的な税の透明性向上、国際的な租税回避行為の防止等への取り組みも開始した。

カンボジアは、シンガポール、中国、ブルネイ、タイの4カ国との間で、二重課税防止協定を締結済みであるが、日本とは2017年6月の官民合同会議において、二重課税協定についての検討を開始することで合意したところである。

2017年9月5日、カンボジアは、経済開発協力機構(OECD)が主導する「税の透明性及び税務目的の情報交換に関するグローバル・フォーラム」に加盟した。このフォーラムは、国際的な税の透明性向上、国際的な租税回避行為の防止等に取り組むための国際的な組織である。このフォーラムに参加したことにより、要請に基づく情報交換(EOIR)と自動的な情報交換(AEOI)、およびそのための共通報告基準(CRS)等に関する国際基準について、カンボジアもその導入を進めていくこととなり、国際的な課税逃れを防止するための規制を今後順次厳格化していくこととなる。

その他税制

月次申告では、源泉徴収税、給与税、付加価値税についても申告する必要がある。

源泉所得税(Withholding Tax

カンボジアも源泉所得税を設けているが、日本の税制とは大きな差異もあるため注意が必要である。

  1. 配当の追加所得税(Additional Tax on Profit on Dividend Distribution

    投資適格プロジェクト(QIP)の場合、一定期間の事業所得税は免除されているが、その間に利益が出た場合は次のような基準に従い、配当に関する追加所得税を納付しなければならない。

    関連規定:税法第23条(利益配当の前払税)

    配当の追加所得税
    適用された事業所得税率 追加所得税の計算
    0% 配当額の20%
    20% 配当額の0%
    30% 配当額の0%
  2. その他の源泉所得税

    居住者からサービスの提供を受けた場合、そのサービスの内容と支払先に応じ、サービス提供者は源泉所得税を徴収する義務がある。源泉所得税は、原則として実際の金額が支払われた時点で発生する。未払金として処理する場合等は、会計帳簿に記帳された日付に支払いがなされたものとする。源泉所得税は、毎月の月次申告により、翌月20日までに支払者が納付する。申告納税者(VAT事業者)に対する支払は、ロイヤルティー、利息、賃借料に関する支払のみが源泉徴収の対象となる。

    関連規定:税法第25条(源泉所得税の基本原則) 、第26条(外国人に支払った金額に対する源泉徴収)、第27条(源泉税として納税義務が終結された場合)、第31条(源泉徴収代理人の義務)、第34条(国外源泉所得)、第35条(源泉の決定)、第36条(外国納付税額控除)、第37条(所得税の金額の決定)

    その他の源泉所得税
    分類 居住者 非居住者
    専門サービス、コンサルタント、その他類似のサービス 15% 14%
    ロイヤルティー 15% 14%
    企業からの利息 15% 14%
    賃貸料(不動産、動産に関係なく) 10% 14%
    銀行からの利息(定期預金) 6% 14%
    銀行からの利息(普通預金) 4% 14%

付加価値税(VAT)

  1. 概要

    日本の消費税制度と同様、カンボジアには付加価値税の間接税制度がある。カンボジアの付加価値税制度の下では、売上高に対する付加価値税(output tax)は、顧客に請求する金額に付加価値税を加算して顧客から受け取るものであり、仕入高に対する付加価値税(input tax)は、仕入業者・納入業者から購入をするときに事業者が支払う付加価値税を意味する。事業者は、売上高付加価値税(output tax)から仕入業者への買入付加価値税(input tax)を差し引いた残額を、税務当局に納付する。事業者の仕入付加価値税が売上付加価値税を超過する場合には、3カ月を超える期間繰り越した上で、税務当局から付加価値税の還付を申請することができるが、現実的には還付は難しい状況である。

    関連規定:税法第55条(付加価値税の負担)、第56条(定義)、第66条(税の決定)、第71条(超過控除の処理)、第73条(3カ月以上超過控除が続く還付)

  2. 適用範囲

    土地の売買については、付加価値税は課せられない。また、外交機関、領事機関、国際機関、その他政府の技術協力の代理人によって、公共の目的に沿って輸入される財貨は、非課税扱いとなる。さらに、次の項目については付加価値税が賦課されない。

    1. 公共郵便サービス
    2. 病院、医院、医療業、歯科などの営業、および治療に関連した医薬品等の販売
    3. 国営の旅客専用公共運輸事業
    4. 保険事業
    5. 金融業サービス(primary financial services)(一部サービスについては課税)
    6. 関税が免除される個人使用目的の輸入
    7. 経済財務省(Ministry of Economy and Finance)が認めた非営利目的の公共事業
    8. その他(教育、電気、水道、未加工農産品、廃棄物収集等)

    関連規定:税法第57条(非課税供給物品)、第58条(外交機関や国際機関の非課税供給)

  3. 税率

    付加価値税の税率は、標準の場合で10%となっており、原則すべての取引に対して適用される。
    カンボジアから輸出される商品には付加価値税ゼロが適用される。また輸出者には乗客・物品・サービスに係る国際輸送も含まれ、一定の基準に該当する輸出者(縫製・繊維・靴産業の事業者など)、財やサービスを提供する支援産業や下請け業者にも付加価値税は適用される。

    関連規定:税法第64条(税率)

給与所得税(Tax on Salary

  1. 概要

    カンボジアの給与所得税は、国際的に採用されている居住地の概念と所得源泉の原則に従っている。カンボジアの居住者は、国内外から獲得するすべての所得に対してカンボジアの税法が適用されるのに対し、非居住者は、カンボジア源泉の所得に対してのみカンボジアの給与所得税が適用される。

  2. 居住者・非居住者の扱い

    カンボジアの居住納税者(Residential taxpayer)には、次のような自然人が含まれる。

    1. カンボジアに住所がある場合
    2. カンボジアに主要居住地を持っている場合
    3. 当該課税年度中に終了する12カ月間のうち、カンボジアにおける累積滞在日数が182日以上に達する場合

    a.~c.に該当しない場合は、非居住者(Non-Residential Taxpayer)として取り扱われる。

    関連規定:税法第42条(定義)

  3. 課税対象勤労所得

    給与所得税には、現金給与と現物給与という2つの課税対象がある。

    1. 現金給与
      1. 給料・賃金
      2. ボーナス・賞与・一時金
      3. 時間外勤務手当・その他諸手当
      4. 補償金
      5. 雇用者が提供した貸付金および前払金など
    2. 現物給与
      1. 乗用自動車等の個人的な目的で使用する場合の車両費など
      2. 住居または宿泊支援費(水道光熱費と家政婦費用を含む)
      3. 低利の貸付金および割引販売
      4. 教育費の支援(ただし、従業員関連費用は除く)
      5. 特定の従業員等に対する保険料の負担
      6. 過度または不必要な現金支給、定額を越える社会保険料・年金掛け金
      7. 接待性や娯楽性のある支給(この費用は法人の税法上の費用にも認められない)
    3. 給与所得税の免税
      給与所得税が免除となる支給内容は、次のとおり。
      1. 増額退職手当
      2. 雇用関連費用の補償
      3. ユニフォームの支給
      4. 出張費の支給
      5. 承認を受けた外交や国際的な救護団体に従事する従業員の給与
      6. カンボジアで経費として認められない非居住者の給与
      7. 両院の議員の給与

    関連規定:税法第41条(課税対象)、第43条(外交官と他の外国公務員の給与)、第44条(給与所得税の免除)、第46条(月間課税対象給与所得)

  4. 所得控除

    扶養家族控除および雇用者が提供した貸付金や前金の返還に伴う控除がある。

    1. 扶養家族1人当たり15万リエル(約37.5ドル)の所得控除がある。
    2. 専業主婦/主夫となっている配偶者がいる場合は、15万リエルの所得控除がある。

    関連規定:税法第46条(月間課税対象給与所得)

  5. 税率

    給与所得税の税率には、累進課税が適用されている。給与所得税には、現金給与に対するもの(居住者用)、現物給与(Tax on Fringe Benefit)に対するもの、非居住者に対するものの3種類がある。現金給与に係る課税最低限度額などについては、最低賃金の上昇に合わせ、ほぼ毎年改定されている。
    現物給与税率は20%、非居住者給与税率も20%である。なお、非居住者給与に対する課税は20%で完結し、その所得控除証明書を本国(日本等)に持ち帰り、確定申告などを行って精算することになる。

    関連規定:税法第47条(従業員の給与所得税の決定)、第48条(福利厚生、給与支払の税の決定)、および2009年7月15日付現物給与の損金経理に関する経済財政省令599

    現金給与の税率表(2017年1月1日より)
    給与金額(リエル) 給与金額(ドル概算)
    ※1ドル=4,000リエルとして計算
    税率
    0~1,000,000 0~250 0%
    1,000,001~1,500,000 250~375 5%
    1,500,001~8,500,000 375~2,125 10%
    8,500,001~12,500,000 2,125~3,125 15%
    12,500,001以上 3,125以上 20%

その他の税

主要なその他の税目は、次のとおり。

  1. 宿泊税(Accommodation Tax):宿泊費の2%
  2. 不動産賃貸税(Tax on Property Rental
    土地、建物、特定の機器や倉庫設備を賃貸して収入を得る場合は、関連総賃貸収入の10%。
  3. 事業登録税(Patent Tax
    事業所税およびPATENT更新費用として、毎年約300米ドル。
  4. 遊休土地税(Tax on Unused Land
    都心部や特定の地域にある土地に建築物がない、または使用していない建築物がある場合等に、課税対象となる。税率は、毎年6月30日に未開発土地評価委員会が決定した土地評価額の2%。
  5. 資産譲渡税(Registration Tax
    事業の新設・解散・合併を行う、あるいは土地や車などの資産を移転する場合、課税の対象となる。移転価格の4%。
  6. 自動車税(Tax on Means of Transportation
    自動車、オートバイ、トラック、バス、船舶などの輸送手段の登録に関連して課せられる。
  7. 固定資産税(Property Tax
    農地等を除く、評価額1億リエル以上の不動産が対象。不動産評価委員会評価額の0.1%。
  8. 特別税(Specific Tax on Certain Merchandises and Services
    ビール、たばこ、ガソリン、自動車等の、特定の財・サービスに課税される税。税率は、品目によって異なる。
  9. 関税
    輸出入に関して課税される税。税率は品目によって異なる。ASEAN域内ではASEAN物品貿易協定(ATIGA)により、また日本との間では日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)により、税率の引き下げが進んでいる。

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