日本製品越境EC支援と消費者動向
米南東部市場攻略のヒント(1)

2026年2月25日

米国ジョージア州アトランタで2025年12月18~21日に開催されたアニメ関連イベント「アニメ・ウィークエンド・アトランタ(AWA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、ジェトロはポップアップストア(注1)を初出展し、米国のAmazon(アマゾン)と連携して実施する「JAPAN STORE外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注2)に出品する17社・35商品のサンプルを紹介した。また、ジェトロはイベント期間中、ブース来訪者を対象にアンケートを実施した(回答数201件)。

本稿では、ブース来訪者の日本製品への期待や購買行動、SNS利用動向を整理し、南東部地域で事業を展開する際の示唆を考察する。(1)ではAWAやポップアップストアの概要を紹介するほか、アンケート回答者の属性などを整理する。

南東部最大規模のアニメ関連イベント

1995年から始まったAWAは、南東部最大規模のアニメ・ポップカルチャー関連イベントで、今回は約2万9,000人が来場した。物販エリアでは約150社がブースを設置してアニメ関連製品などを販売し、また約350人のイラストレーターや作家が同人作品などを展示・販売していた。さらに、VTuber(注3)出展エリアには15社が出展し、VTuberが画面越しに来場者と交流していた。


入り口で開場を待つ来場者(ジェトロ撮影)

日本からは、アトランタ地域に実店舗を構える紀伊國屋書店をはじめ、2026年からジョージア州で米国第2工場が稼働予定のヤクルト、アニメとのコラボで知られるオーディオ機器メーカーのAVIOTなどが出展していた。

さらに、ゲストによるライブ演奏やパネルディスカッション、アニメイラストのラッピングが施されたカスタムカー「Itasha(痛車)」の展示、日本のアーケードゲームやレトロゲームの体験コーナーなど、さまざまな催しが行われた。日本アニメの英語吹き替え声優など20人以上がゲストとして参加したほか、日本からは数々のアニメテーマソングを手掛けるロックバンドFLOWや声優の伊瀬茉莉也氏、内田彩氏らが来場し、イベントを盛り上げた。


キャラクターのラッピングが施された「痛車」の展示(ジェトロ撮影)

ジェトロは越境ECに取り組む日本企業の海外販路拡大を支援する一環として、米国アマゾンで販売されている日本製品を展示し、現地消費者との接点を創出した。展示品は、食器、調理器具、日用品、アニメ関連書籍、ホビー用品、ヘアケア用品、和装・アパレル品、食品など多岐にわたる。サンプルの横に配置したアトリビューションタグ(注4)の2次元バーコードを読み込むと、アマゾンの当該商品ページにアクセスできる仕組みを導入した。


JAPAN STOREブース(ジェトロ撮影)

来訪者で賑わうJAPAN STOREブース
(ジェトロ撮影)

法被を試着するブース来訪者(ジェトロ撮影)

ブース来訪者200人にアンケート実施

ジェトロはイベント期間中、ブース来訪者を対象にアンケートを実施し、ECやSNSなどオンラインプラットフォームの利用状況やECでの購買傾向、日本製品に期待することなどを調査した。

回答者の年齢構成は、25~34歳が50.7%と最も多く、次いで24歳以下が26.9%、35~44歳が18.9%だった。45歳以上は少数で、ブース来訪者の中心は20~30代の若年層だった(図1参照)。会場内を見渡しても、20代や30代と思われる来場者が多くを占めており、おおむねイベント来場者とブース来訪者の年齢構成は同じ印象だ(注5)

図1:アンケート回答者の年齢層別割合
25~34歳が約51%と最も多く、次いで24歳以下が約27%、35~44歳が約19%だった。

出所:ブース来訪者アンケートからジェトロ作成

オンラインでの購入経験については、全回答者があると回答した。アニメ関連イベントの来場者ということもあり、商品カテゴリー別では「アニメ・キャラクターグッズ」のオンラインでの購入経験者が全体の78%と最も多く、「食品・飲料」(55%)、「ゲーム機器・トレーディングカード」(50%)と続く。一方で、「美容・スキンケア」の購入経験者は少なく、全体の24.9%だった(図2参照)。

図2:商品カテゴリー別のオンライン購入経験者の割合(複数選択式)
「アニメ・キャラクターグッズ」のオンラインでの購入経験者が全体の78%と最も多く、「食品・飲料」(55%)、「ゲーム・トレーディングカード」(50%)と続く。

出所:ブース来訪者アンケートからジェトロ作成

(2)では、アンケート結果を基に、ブース来訪者の日本製品への期待や購買行動、SNS利用動向を整理し、南東部地域での事業展開のヒントを探る。


注1:
空き店舗などを利用して、短期的に出店する店舗形態。 本文に戻る
注2:
日本の事業者の米国や英国へのアマゾン出品販売をサポートするプログラム。 本文に戻る
注3:
キャラクターやアバターを使用した動画投稿者。 本文に戻る
注4:
該当商品の商品ページへのアクセス元をトラッキング可能とする特定のURLを指す。SNSなどのマーケティングチャンネルから、消費者をアマゾン内に流入させることで、アマゾン外でのプロモーション効果を測定可能。 本文に戻る
注5:
アンケート回答者が200人ほどと多くはなく、年齢層で分けると、回答数はさらに少なくなり、回答内容に偏りが生じている可能性がある点は留意が必要だ。また、回答者がアニメ関連イベント来場者という点で、元々日本に好意的な印象を持っているなど、バイアスが存在する可能性もある。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ・アトランタ事務所
檀野 浩規(だんの こうき)
2015年、ジェトロ入構。ジェトロ福岡、特許庁(出向)などを経て、2023年6月から現職。
執筆者紹介
ジェトロデジタルマーケティング部ECビジネス課
糸川 とき(いとかわ とき)
2025年、ジェトロ入構。デジタルマーケティング部ECビジネス課にて越境EC関連事業を担当。