日本製品の購買行動と評価分析
米南東部市場攻略のヒント(2)

2026年2月25日

米国ジョージア州アトランタで2025年12月18~21日に開催されたアニメ関連イベント「アニメ・ウィークエンド・アトランタ(AWA)」でブース来訪者を対象にアンケートを実施した(回答数201件)。

(1)では、AWAの概要やアンケート回答者の属性などを紹介したが、(2)ではアンケート結果を基に、ブース来訪者の日本製品への期待や購買行動を分析し、南東部地域で事業を展開する際の示唆を得る。

7割以上が日本製品購入経験あり

購入場所や方法を問わず、「過去1年間に日本製品を購入したことがある」と回答したのは156人(77.6%)だった。「食品・飲料」「玩具・ホビー」「ファッション」が上位を占めた(図1参照)。回答者へのヒアリングでは、日本のスナック菓子やラムネなど清涼飲料水をよく購入するという回答があったほか、アニメ・キャラクターグッズについてはフィギュアやホビーなどを専門に取り扱う日本発のECサイト「あみあみ」で購入しているという声があった。

図1:購入した日本製品のカテゴリー別割合(過去1年、複数回答)
62%が「食品・飲料」を購入したと回答しており、「玩具・ホビー」が58%、「ファッション」が34%と続く。

出所:ブース来訪者アンケートからジェトロ作成

日本製品の購入チャネルとして、最も多かったのは米国の実店舗で、次にアマゾンが続いた(図2参照)。日本の実店舗のみと回答したのは11人だけ(購入経験者の7.1%)で、残りの145人は米国内で日本製品を購入したことがある。オンラインでの日本製品購入経験者は115人と日本製品購入経験者全体の73.7%を占めており、日本製品の販売チャネルとして、オンライン販売が重要なことがうかがえる。

図2:日本製品の購入場所別割合(過去1年、複数回答)
最も多かったのは米国の店舗(63%)で、次にアマゾン(49%)が続いた。

出所:ブース来訪者アンケートからジェトロ作成

米国で日本製品を購入した145人のうち、実店舗のみで購入したのは20.7%、アマゾンやその他ECサイト、SNSなどのオンライン販売のみで購入したのは25.5%、実店舗とオンラインの両方で購入したのは54.0%だった。また、オンラインでの購入にアマゾンしか利用していないと回答したのは26.9%だった。オンラインでの購入にはアマゾンがよく利用されており、アマゾンしか利用しない人も一定数存在し、アマゾンが主要なチャネルになっている。

プラットフォーム活用からの次の一手

米国での日本製品購入者の約8割がオンライン販売を活用している一方、実店舗での購入経験しかない人も約2割存在している。実店舗とオンラインの両方での購入経験者が半数を超えることから、実店舗での購入にも一定の需要があるだろう。実際、ブース来訪者からは「アトランタの店舗では食品以外の日本製品が手に入りにくく残念」という声が複数挙がった。実店舗で実際の商品を確認してから、その場もしくはオンラインで購入という流れも想定される。まずは、オンラインでの販売が好調なエリアにおいて、実店舗での販売に向けたパートナー探しを始めるという方法もあるだろう。

また、日本製品購入経験者のうち、アマゾンなどのプラットフォーム経由での購入経験しかない人は16%もいる。プラットフォーム上での販売に続く展開として、実店舗やポップアップストア形式などのオフラインでの展示・販売活動の実施や自社ECサイトでの購買促進など、現状からもう一歩踏み込んだアプローチも検討する価値がある。

さらに、日本の実店舗での購入経験者(38人)のうち、71.1%は米国でも日本製品を購入したと回答した。今回のアンケート結果からは前後関係までは明らかにできないものの、日本旅行中に日本の食品を食べたことをきっかけに、帰国後もアマゾンで同じ商品を購入するようになったと話す来訪者もいた。こうした傾向を踏まえると、インバウンド時に形成された接点を越境ECでの購買につなげる動線づくりが重要となる。訪日中の接点(試用・試食・体験)と、帰国後の入手可能性(ECや在米店舗)を連動させた、一貫した動線設計の強化を検討すべきだ。

「高品質」と「デザイン」への高い期待

日本製品に対してどのような期待を持っているかについて、「高品質・信頼性」が高く、次いで「ユニークで魅力的なデザイン」「豊かな伝統文化」が挙げられた(図3参照)。一方で、「ブランドの評判と信頼性」(45.3%)や「アニメ・マンガとの関連性」(44.3%)は比較的少なかった。アニメ関連イベント来場者へのアンケートだったものの、「アニメ・マンガとの関連性」を選択した人が少なかったことは意外な結果だ。

図3:日本製品への期待(年齢層別、複数回答)
全体で最も多かったのは、「高品質・信頼性」(82.6%)で、次いで「ユニークで魅力的なデザイン」(73.1%)、「豊かな伝統文化」(67.2%)が挙げられた。年齢層別では、すべての年齢層で「高品質・信頼性」は多くの人に選ばれている。また、25~34歳の年齢層で若干割合が落ちるものの、「ユニークで魅力的なデザイン」も期待が大きい。一方で、「先進的な技術と革新性」を選択する人の割合について、18~24歳は46.3%、25~34歳は52.9%、35歳以上は62.2%と年齢層が高くなるにつれて高まっていく傾向だ。

出所:ブース来訪者アンケートからジェトロ作成

年齢層別では、全ての年齢層で「高品質・信頼性」は多くの人に選ばれている。また、25~34歳の年齢層で若干割合が落ちるものの、「ユニークで魅力的なデザイン」も期待が大きい。一方で、「先進的な技術と革新性」を選択する割合は、年齢層が高くなるにつれて高まる傾向だ。

各年齢層で1人当たりの選択項目数を見ると、年齢層が高くなるほど多くなっている。 実際、35歳を境に分けて、各項目を選択した人の割合を比較すると、7項目中5項目で35歳以上の年齢層の方が高くなる。特に「先進的な技術と革新性」は11.6ポイントもこの年齢層の方が高く、この年齢層を主な対象とする製品の開発や販売促進を行う際には留意が必要だろう。

デザインで品質を判断

今回、ブースで出品した製品の中で魅力的に感じたものを3つ選んでもらった。高評価だったのは、猫柄の小皿、包丁、プラスチック製ピザカッター、小型のバーベキューコンロ、浴衣、法被、抹茶だった。猫柄の小皿は56.7%の回答者が魅力的と回答した。出品された包丁3点のうち、2点がトップ10にランクインし、残り1点も11位と人気だった。包丁は、「見ただけで切れ味が鋭いことが分かる」「柄の部分が持ちやすそうなデザインだ」といったコメントがあり、デザインから連想される品質の高さが高評価につながったようだ。逆に選ばれにくかった商品には、サプリメントや旅行用品が挙げられる。

魅力的に感じた理由としては、「デザイン」(72.6%)、「品質」(68.7%)が圧倒的だった。逆に、「ブランドストーリー」(5.0%)、「体験」(4.0%)、「知的財産との関連性」(3.5%)を理由として挙げた回答者は少なかった。 先述のとおり、日本製品への期待として、「高品質・信頼性」「ユニークで魅力的なデザイン」「豊かな伝統文化」が挙げられており、出品物の中でもこれらの要素を満たすものの評価が高かった。一方で、今回の展示では、浴衣や法被は試着できたものの、出展規約の制限により、包丁などの試用や飲食物の試飲・試食の機会は提供しなかった。また、詳細情報を掲載するウェブサイトにアクセスできるよう、その場に各商品ページの2次元バーコードを用意していたが、来訪者自身でスマートフォンを取り出し、詳細情報を確認する人は少なかった印象だ。品質の高さや伝統的な文化といった要素を、説明文やストーリーを読むことではなく、商品やパッケージのデザインから判断している可能性がある。

米国内において、アトランタが位置する南東部地域は、ニューヨークなどの北東部やカリフォルニアなどの西海岸と比べ、日本製品の認知度が相対的に低い。一方で、今回のアンケート結果によると、日本製品に対しては、品質が高い、豊かな伝統文化があるといったイメージを持つ人が多い。こうした背景を踏まえると、単に高品質であることを説明するだけでなく、その価値が直感的に伝わるよう、商品やパッケージに上質さを印象づけるデザインを取り入れることが重要だ。特に、和のテイストをさりげなく採り入れたデザインは、同地域の消費者の関心を惹きつける効果が期待できる。

(3)では、SNS利用動向を整理し、南東部地域で事業を展開する際の示唆を得る。

執筆者紹介
ジェトロ・アトランタ事務所
檀野 浩規(だんの こうき)
2015年、ジェトロ入構。ジェトロ福岡、特許庁(出向)などを経て、2023年6月から現職。
執筆者紹介
ジェトロデジタルマーケティング部ECビジネス課
糸川 とき(いとかわ とき)
2025年、ジェトロ入構。デジタルマーケティング部ECビジネス課にて越境EC関連事業を担当。