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ASEANスタートアップに聞く(3)中小企業の物流課題を解決し世界市場に(インドネシア)

2018年12月13日

シリーズの第3回は、インドネシアの国際物流プラットフォーム「アンダリン」を運営する、エクシムク・テクノロギ・インドネシアのリフキ・プラトモ・バフリ共同創設者兼社長(CEO)へのインタビュー(2018年9月12日)。インドネシアは物流手続きが煩雑をきわめ、特に中小企業はその対応に苦慮する。これを解決するプラットフォームを開発したスタートアップが同社である。中小企業にとっては、これまでより世界マーケットが近くなった。


エクシムク・テクノロギ・インドネシアのリフキ・プラトモ・バフリ
共同創設者兼社長(CEO)(同社提供)

日本を含めた国際物流会社と提携

質問:
起業の契機、どこにインドネシアの課題を見つけたか。
答え:
インドネシアは経済大国ながらも、国際貿易を行う上では物流上に課題がある。世界銀行の投資環境ランキングの中の「国際貿易の行いやすさ」は2017年で108位に甘んじている。特に中小企業は、なおさら国際物流の活用に多大な痛み(コスト)を払っていることが確実視されたため、アンダリンを2016年に設立した。われわれのビジネスは、特に中小企業向けに安価で迅速な国際物流網を提供する。
質問:
具体的な製品・サービスについて。
答え:
われわれの国際物流プラットフォームは代行サービスを提供するので、利用する中小企業は輸出入手続きがワンストップで完結する。1,000以上の輸送ルートが利用可能だ。出荷における価格もリアルタイムで表示し、利用者は価格情報を即座に入手できる。煩雑なeメールを通じた手続きからも解放される。リアルタイムで最初から最後まで荷の動きを追跡できるので、予見可能性が立つ。われわれのサービスによって、中小企業は国際物流会社の効率的な物流網を使用できるので、時間や経費の大幅な節減につながっている。提携している国際物流会社は15社で、日本企業では郵船ロジスティクスが当社と提携している。利用企業数は150社で、ほぼ中小企業だ。収益は企業が国際物流会社とのマッチングを実現した際の手数料から得ている。
利用する中小企業の属性をみると、55%が輸出企業で、45%が輸入企業だ。また、産業別では飲食料品が22%で最大で、以下、部品(10%)、繊維(10%)と続く。需要はアジア(64%)、欧州(16%)、米国(12%)の順に多い。企業は小口の特定目的の輸送、中規模の定期的な出荷など状況に応じてサービスを活用できる。また、われわれは、輸出入許可に関わる通関時の問題を解決に導くフリーコンサルテーションのサービスも用意している。

平易な操作で国際貿易の実現が可能に-サービス利用画面-の様子(同社提供)

チームの幹部は物流専門家で構成

質問:
アーリーアダプター(初期採用層)はどのようにみつけたか。
答え:
まず、われわれのサービスの提携相手の大手物流会社には、とにかく自社のビジネスモデルを説明することで真摯(しんし)に協力を訴えた。また、これからは物流×IT(ロジテック)の時代が始まる、という点を強調した。事実、アマゾンやアリババなどが電子商取引(EC)サービスで小売りにイノベーションを起こしている点からも、大手物流会社はこの点を理解してくれ、提携が実現した。利用者については、とにかく電話などでの営業をかけ続けたことと、数回テレビを含めたメディアへの露出を行うことで掘り起こしを進めた。
質問:
チームについて。
答え:
従業員は16人。幹部級は6人で、世界有数の石油関連企業であるシェル、マレーシアの大手銀行メイバンク(マラヤバンキング)、スイスに本拠を置くロジスティックソリューション提供のキューネ・アンド・ナーゲルなど大手企業での勤務や、物流に関連した業務経験を有するメンバーで構成される。彼ら6人の経験は貨物業に累積で50年以上、サプライチェーン管理では15年以上に及ぶ経験を有している。

日本の中小企業にもサービス提供へ

質問:
今後のプランについて。
答え:
さらなる貿易インフラの構築、利用者の拡大を図るために、大手銀行や国営企業との協力・提携関係を深めている。また、中国の電子商取引大手アリババ・グループの在インドネシアパートナー向けに物流コンサルも実施している。2018年内に利用企業数を1,000社に拡大させることを目標としている。そのために、今後、日本企業を含めて世界から出資を募り、2020年には国際貿易データを集めた輸出入出荷エコシステムをわれわれのシステムを核につくりあげて、中小企業に資する国際物流環境を整備したい。インドネシアの次のユニコーンを目指すつもりだ。
質問:
日本企業との提携については。
答え:
日本はインドネシアの主要な貿易相手国だ。輸出仕向け地としては2番目、輸入先としては3番目が日本で、日本企業との関係は大切だ。日本企業は効率的な物流網を持つ企業も多く、協力関係は今後一層深めていきたい。また、利用者としても日本企業に期待している。われわれのサービスの利用者は現在、インドネシア国内のみに限られているが、近いうちに日本の中小企業も利用できるようにしたいと考えている。

※本連載のスタートアップは、ジェトロが一般社団法人海外産業人材育成協会(AOTS)から「日ASEAN新産業創出事業」を受託し、デジタル、ヘルスケア、IoT(モノのインターネット)、サービスなどの新産業分野において、日本企業とASEAN企業の連携により、新産業創出に資する実証事業や連携促進を行う観点から招聘(しょうへい)しています。

執筆者紹介
ジェトロ海外調査部アジア大洋州課課長代理
新田 浩之(にった ひろゆき)
2001年、ジェトロ入構。海外調査部北米課(2008年~2011年)、同国際経済研究課(2011年~2013年)を経て、ジェトロ・クアラルンプール事務所(2013~2017年)勤務。その後、知的財産・イノベーション部イノベーション促進課(2017~2018年)を経て2018年7月より現職。

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