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1. 世界的オーガニック市場規模

2016年度のデータより国別の小売売上高、一人当たりの消費について見てみると、欧州、北米の高さが目立ち、特に国別ではアメリカが圧倒的に高いといえます。次いで欧州のドイツ、フランスと続き世界的なオーガニックブームを牽引していると言えます(イタリアは6位)。逆に、アフリカ、アジア、中南米は小売も一人当たりの消費も非常に少ないことがわかります。
2018年の「地域別オーガニック作付面積」のデータでは一年間で世界のオーガニック栽培面積が約15%伸びており、またこの10年で83.5%の伸びと、オーガニック市場が大きく増加しているのがわかります。地域別では、1年で大きく伸びているのはアジア地域とオセアニア地域で、10年ではオセアニア地域、アフリカ地域、ついでアジア地域となっています。一方、国別の作付面積の伸びが高い国については圧倒的な面積でオーストラリア、そして中国、ウルグアイと続きます。欧州の国ではイタリアが一番でフランス、ドイツと続きます。なお日本は87ha減となっています。
オーガニックの農家については、2016年のデータから世界的にここ10年で120.3%増と大幅な増加傾向にあり、アジア地域がここ10年で370.6%増と飛躍的な増加を見せており、ついでオセアニア地域が続きます。1年の伸びも同様でアジア地域、オセアニア地域が伸びています。
オーガニックの生産国と消費国が必ずしも一致しているとは限りません。

2. オーガニック食品の市場シェア・推移

スーパーマーケットにおける全取扱食品とそのうちのオーガニック食品の対前年の伸びについてのデータから、2004年以降オーガニック食品取扱について、毎年プラス成長が続いています。特に2014年以降は全食品の伸び率が緩やか、もしくはマイナス成長であるにもかかわらず、オーガニック食品は毎年10%以上の成長が続き(2015年は20%)、大きなシェアの増加が見られます。
食品全般におけるオーガニック食品の比重についても同様で、オーガニック食品の売上は右肩上がりのままで、2000年では全体に対して0.7%の売上でしたが2013年には2.0%になり、2016年は3.0%と、16年で4倍以上にシェアを増やしています。

3. 消費傾向に関するデータ

全体のオーガニック商品の消費傾向を見てみると、果物と野菜で43%近くに達しています。穀物由来の商品や油・植物油脂を加えると約60%近くになり、植物性の食品の比率が高いことがうかがえます。
購買動機については健康・安全面を第一に考えるようで、その次に品質が挙げられています。また、安全・安心・高品質であることに加え、それを維持していくための環境への配慮という意見も見逃せません。オーガニック商品の品数も増えており、品揃え豊富な店舗も少なくないようです。
一方でオーガニックユーザーにとって重要な商品ファクターとして、「イタリア産であるかどうか」がトップの76%となっています。「パッケージが環境に優しいものを使っているかどうか」が2位で、単純に口に入れるものだけでなく環境保全についても関心が高いことがうかがえます。3位の「原材料が植物性のものかどうか」という点について、ユーザーの約半数が気にしていることも興味深いです。

4. イタリアオーガニック食品の消費先・流通売上

このデータは2018年9月に開催された見本市SANA(サーナ)のために集計されたもので、調査対象期間は、2017年8月から2018年7月までの1年分となっています。

オーガニック食品のイタリア国内消費は35億5,200万ユーロで、そのうちの約88.3%が家庭内で消費されています。輸出の20億6,000万ユーロも合わせると1年間で56億1,200万ユーロの売上となります。国内流通別売上を見ると、大型マーケット約45%、専門店約24%と家庭内消費の高さを裏付ける数値となっており、大型マーケットに流通するようになったことがオーガニック食品の普及において欠かせないチャンネルになっていると言えます。
国内消費について、前年比8%の伸びをみせています。
一方輸出の売上は、10年前の2008年と比較すると534%の飛躍的な伸びを示しています。

5. 輸入オーガニック製品の全体におけるシェアや主な輸入品目

下図のイタリアに輸入されたオーガニック製品のデータについては、EU圏外から直接イタリアへ輸入されたものが示されており、他のEU加盟国が輸入しイタリアへ入ってきたものは対象外になっています(例えば、日本からドイツに輸入され、イタリアに移出された製品は対象外)。
2016年はイタリアのインポーターの数が363社となり、対前年比で17%増加となりました。
輸入品目に目を向けてみると、前年比で305.8%増と飛躍的な伸びを記録したのは飼料・工芸作物です。続いて野菜・豆類の32.13%増、コーヒー・カカオ・砂糖・茶などの30.8%増と続きます。穀物が26.3%減と大きく下がった背景は、トルコからの硬質小麦の輸入の下落が影響しています。
輸入元地域のシェアは、アジア33%、EU圏外のヨーロッパ32%、南米17%、アフリカ15%となっています。

6. イタリアにおけるオーガニック製品に関わる農家・製造・流通従事者と作付面積

オーガニック製品に関する事業従事者の数については、2010年以降右肩上がりで増加し続けており、特に2015年から2016年への伸びは飛躍的で28.9%増となっており、翌年もさらに成長しています。
作付面積についても同様に増加傾向にあります。
他の欧州の国と比較してみると作付面積はスペインが一番大きく、ついでイタリア、フランスと続いています。2017年の面積の伸び率についてはドイツの21%増、フランスの16%増が目立っていますが、イタリア、スペインも伸びており、オーガニック製品の作付面積が増加傾向にあることがわかります。
2016年の欧州の全作付面積に対するオーガニック栽培作付面積の割合は6.7%ですが、イタリアでは14.5%と非常に高く、8.7%のスペイン、7.5%のドイツと続いています。