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  5. インタビュー:「フェデルビオ/アッソビオ」ロベルト・ピントン氏

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フェデルビオ*のマネージング・ディレクターでありアッソビオ**の国内秘書などを務め、オーガニック業界の国際的スペシャリストであるロベルト・ピントン氏にお話を伺いました。
フェデルビオとアッソビオの本部があるボローニャは欧州2番目の規模のオーガニック見本市SANA(サーナ)が開催(2018年度で30回目)されるなど、オーガニックについて語る際に重要な都市です。

ー 近年のオーガニックブームをどう見ていますか?

とても良いことと思っています。1991年にイタリア全土で約320万戸いた農家が、その20年後には約半分に減りましたが、一方で当時オーガニックを扱う農家が約4,000戸だったのに対し、現在では約7万戸に増えています。
大手スーパーマーケットチェーンがオーガニック商品を取り扱い始めたことは、ブームに大きく貢献していると思います。
また、大手メーカーもオーガニックラインにビジネスチャンスを見いだし、参入してきています。例えばパスタで有名なBarilla(バリラ)社は、2001年にはオーガニックラインに全く興味がないと回答していましたが、2017年にオーガニック商品を販売し始めました。このように、市場全体におけるオーガニックのシェアはますます伸びて行くでしょう。
オーガニック業界は不況とは関係なく売上、雇用に関していずれも増加傾向にあります。

ー 今後もブームは続くと思われますか?

急成長してきたこれまでと比べると上昇率は緩やかになると思いますが、今後もまだまだ続いていくと思います。
これまで化学肥料など色々な形で汚染されてきた土壌をオーガニック生産に切り替えることは、土地や水の浄化にも繋がるので、とてもポジティブに捉えています。
オーガニック商品が増えるということは、私たちの身体に良いということだけでなく、環境も良くなり、またそのような点からも私たちの健康・生活にプラスであると言えます。

ー オーガニック商品の購買層は?

イタリアの家庭の80%以上は、何らかのオーガニック商品を年間で最低1つは購入していると言われています。まだまだ買い物は女性がすることが多いこともあり、オーガニック商品の購入者の多くも女性で、その年齢層は25~40代となります。ですので、購入者イコール消費者であるケース以外にも、家庭全体での需要に対応して購入していることが考えられます。妊娠・子育てなどをきっかけに、食にとても気を使うようになる傾向にあるようです。

ー 学校や病院などでのオーガニック事情はどうですか?

イタリアの学校では、給食などいくつかのカテゴリーにおいてオーガニックのものを使用することを義務付けられていますし、病院に関しても自主的にオーガニックを取り入れるところが増えてきており、近い将来義務付けられる可能性もあると思います。

ー オーガニックの認証は美味しさの認証と言えますか?

野菜や果物などにおいては、そうでないものと比べて味も香りも強く美味しいと言えると思います。だからと言って、オーガニックの材料を使って製造されたもの全てが美味しいかと言うと疑問です。

ー オーガニック製品の価格についてどう思われますか?

もちろんオーガニックでない製品に比べて高いかもしれませんが、それでもまだまだ適切な価格設定がされていません。
トマトピューレ用のトマトを例にとってみると、オーガニックトマトでない場合、有名メーカーから農家に支払われる額は1kgあたり8セント(約10.4円***)で、また、オーガニックトマトで1kgあたり14セント(約18.2円***)となっています。一方、オーガニック業界最大手のEcorが流通を管理する2社は1kgあたり33セント(約42.9円***)支払っています。
オーガニック製品を語る際に、栄養面については当然として、環境への影響やアニマルウェルフェアももちろんのこと、それに関わる労働者の環境を含め、適正な対価についても考える必要があるのです。イタリアに限らず、ヨーロッパ全体で労働環境の悪化から農業従事者が激減しています。その原因は、このトマトピューレの例をみていただけたら明らかでしょう。

ーオーガニック商品で大幅に伸びているものはありますか?

めざましいと感じるのは植物性ミルクでしょうか。少子化やマクロビオティックの流行などの影響か牛乳・肉の消費が減ってきたことから、最近は大手乳製品メーカーも放牧に使用していた土地を畑に変え、豆乳など植物性ミルクを製造しています。
またここ10年ほど、常に売れ筋上位にいる生鮮食品は生姜とターメリックです。最近、イタリアのパルマでもターメリックを栽培するようになったほどです。
ワインについては大手スーパーでのオーガニックワインの取り扱いに関し、2018年は対前年比約140%増と言われています。スパークリングワインで有名なフランチャコルタ地区のワイナリーの約3分の2はオーガニックワインを生産するようになってきましたし、小さな生産者だけでなくAntinori (アンティノリ)やFerrari(フェッラーリ)などの大手ワイナリーも、オーガニックラインの生産をするようになってきています。

ー 最後にオーガニック産業における貿易についてお聞かせください。

これまでも、バナナなどのトロピカルフルーツは輸入しています。日本からは、多くの発酵食品がすでに入ってきています。
今後は、高級食材・伝統食材や高品質のサプリメントなど、まだ参入している生産者が少ない分野が狙い目かもしれません。またヨーロッパでは、片栗粉などの生産者は少ないですね。
2019年2月に発効したEPAの効果で、日本とEUのオーガニック商品の相互貿易が発展することを願っています。

Roberto Pinton (ロベルト・ピントン)氏
オーガニック関連コンサルタント。
FederBio(フェデルビオ)のマネージング・ディレクター、AssoBIO(アッソビオ)の国内秘書も務める他、オーガニック部門の欧州連合であるIFOAM-EU委員会のメンバー、オーガニック企業の国際化の推進に取り組むヨーロピアン・オーガニック・パートナーズの管理などに従事。
過去には農業省の農業ビジネス委員会など様々なワークンググループやオーガニック認証機関にも属すなど、農業、オーガニック業界における総合的な国際的スペシャリスト。

* FederBIO(フェデルビオ)は1992年に発足した、イタリア オーガニック・バイオダイナミック農業連盟。
** AssoBIO(アッソビオ)は2006年に発足した、オーガニック素材の加工・流通に関わる企業の協会。
*** 1ユーロ130円として算出した金額