日本からの輸出に関する制度

水産物の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する水産物のHSコード

0302:
魚(生鮮、冷蔵。第0304項のものを除く。)
0303:
⿂(冷凍。第0304項のものを除く。)
0304:
⿂のフィレその他の魚肉(生鮮、冷蔵)
0305:
⿂(乾燥、塩蔵、塩水漬け、くん製)、食用の魚粉等
0306:
甲殻類(活、生鮮、冷蔵、乾燥、塩蔵、塩水漬け、くん製等)、食用の甲殻類の粉等
0307:
軟体動物(活、生鮮、冷蔵、乾燥、塩蔵、塩水漬け、くん製)、食用の軟体動物の粉等
0308:
水産無脊椎動物(活、生鮮、冷蔵、乾燥、塩蔵、塩水漬け、くん製。0306および0307を除く。)、食用の水産無脊椎動物の粉等(0306および0307を除く。)
0309:
魚ならびに甲殻類、軟体動物およびその他の水棲無脊椎動物の粉、ミールならびにペレット(食用に適するものに限る。)
1604:
魚(調製しまたは保存に適する処理をしたもの)、キャビアおよびキャビア代用物
1605:
甲殻類、軟体動物およびその他の⽔棲無脊椎動物(調製しまたは保存に適する処理をしたもの)

具体的な製品の内容により異なる場合があるため、詳細は必ず確認してください。

関連リンク

根拠法等
合衆国法典

米国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年7月

これまで米国は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県単位での輸入停止措置を講じていましたが、2021年9月22日に撤廃され輸出が可能となりました。
米国の食品安全基準に違反していないことの証明、または米国側でのサンプル検査などを課しています。輸入警告(インポートアラート)は米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のウェブサイトで公開されていますが、その内容は頻繁にアップデートされているため、注意が必要です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年11月

水産物の輸出に際して、米国海洋大気庁(NOAA)が関わるものとそれ以外のものがあります。次の1.から4.の4つはNOAAに関わるもので、NOAA関係以外のものは次の5.から7.があります。

1. 水産物輸入監視制度(U.S Seafood Import Monitoring Program:SIMP)

特定の水産物(優先魚種)を米国に輸入する場合、輸入事業者(Importer)を通じて漁獲情報や陸揚げ情報などを米国当局へ提供・報告することが義務付けられています。 ※なお、米国を原産国とする特定の優先魚種を加工用原料として使用した水産加工品を米国へ輸出する場合にも、この水産物輸入監視制度の対象となります。

概要

米国海洋大気庁(NOAA:National Oceanic Atmospheric Administration)は、2016年12月9日に水産物輸入監視制度(SIMP)を設立する最終規則を公表しました。SIMPは、特定の魚介類製品の米国への輸入について、違法、無報告、無制限(IUU=Illegal, Un-reported, Un-regulated)の漁業を撲滅するために、必要な漁獲報告および記録保持要件を定め、偽装された水産物が米国に輸入されることを防止することにより、米国経済、世界的な食糧安全保障および海洋資源の持続性を目的とする制度です。

SIMPは、IUU漁業、または水産物偽装のターゲットとなりやすい特定の優先魚種の輸入について、漁業許可、漁獲報告および記録保持要件を定めています。これらの収集されたデータにより、合法的に漁業生産されたかを証明し、これらの優先魚種が米国へ輸入される時点で、漁獲から流通までトレースすることを可能にしようとするものです。

優先魚種一覧
※米国関税率表(United States Harmonized Tariff Schedule:HTS)における当該規制の対象品目のHTSコードについては、「米国水産物輸入監視制度(SIMP)の対象品目一覧表」を参照。
  • アワビ(Abalone)
  • 大西洋タラ(Atlantic Cod)
  • ワタリガニ(大西洋)(Blue Crab)
  • シイラ(マヒマヒ)(Dolphinfish)
  • ハタ類(Groupers)
  • タラバガニ(レッドキング)(King Crab)
  • 太平洋タラ(Pacific Cod)
  • レッドスナッパー(タイ類)(Red Snappers)
  • ナマコ類(Sea Cucumber)
  • サメ類(Sharks)
  • エビ類(Shrimp)
  • メカジキ(Swordfish)
  • マグロ類(ビンナガ、メバチ、カツオ、キハダ、クロマグロ)(Tunas)
執行
水産物輸入監視制度(SIMP)に記載されている優先魚種で、エビ類とアワビを除くものは2018年1月1日から義務化されています。次にエビ類とアワビは、2018年4月23日付け米国海洋大気庁(NOAA)の告知により、2018年12月31日から義務化(2019年4月1日までは移行期間)されました。輸入品についても同じ順守日です。
収集される情報
  1. 漁獲または生産者
    • 漁獲船舶の船名と旗国
    • 漁業権の証拠(許認可番号)
    • 特定可能な船舶識別名(もしあれば)
    • 養殖施設の名称
    • 漁具の種類

    漁獲海域(または漁場)および漁具の種類は、管轄する所管官庁が使用する報告規則およびコードに従っての記載を要します。報告要件が存在しない場合は、食糧農業機関(FAO)の海域(または漁場)と漁具コードの使用が推奨されています。

    • 魚の種類‐水産科学漁業情報システム(ASFIS)3アルファコード
    • 水揚げ日
    • 最初の水揚げ地
    • 水揚げ時の水産物の形態- 製品の数量および重量
    • 天然または養殖による漁獲水域
    • 当該の魚の水揚げ先または配送先(加工事業者)の名称
  2. 登録輸入者
    • 名前、所属、連絡先
    • NOAA漁業は国際漁業貿易許可証(IFTP)番号を発行
    • 輸入者は、これらの情報についての記録を保管する責任を持つ。
    • 水産物の洋上転載に関する履歴情報(漁船名、船荷証券、船荷目録)
    • 製品の加工処理、再加工処理、混載に関する記録

2. ドルフィンセーフ認証制度

ツナ缶の原料になるマグロやカツオが、イルカをはじめとする海産哺乳類にダメージを与えずに漁獲されたことを証明する必要があります。このプログラムの条件を満たす原料を使用したツナ缶は「ドルフィンセーフ・ラベル」を貼付することが許されます。ラベルの貼付自体は販売上必須ではありませんが、ドルフィンセーフ制度に対応・準拠していない場合にはマグロ・カツオ類を米国に輸出することはできません。ただし、生鮮は対象外です。

※マグロ・カツオ類を「ドルフィンセーフ」として米国に輸出するには、米国NOAAが定める様式「漁業起源証明書」(Fisheries Certificate of Origin:NOAA Form 370)と、それに対応した「船長による保証陳述書」(Captain’s Statement)を提出する必要があります。船長はNOAAが公開しているテキスト「船長用イルカ無害研修コース」を受講する(読む)必要があります。
保護の対象となるのは、マイルカ類(いわゆる典型的なイルカの仲間)のすべての種類になります。

認証対象になる魚種および製品のHSコードは関連リンクを参照してください。

3. ウミガメ保護のためのエビ輸入法(エビ・カメ法)

1989年11月21日に制定された公法101-162、セクション609(16 U.S.C. 1537)により、ウミガメに悪影響を与える可能性のある商業漁業技術で収穫されたエビは米国に輸入することができません。 米国国務省がこの法律の主要な実施機関であり、NOAAが技術顧問を務めています。

エビ輸入法では、絶滅危惧種であるウミガメの保護のため、天然エビの底引き網採取において、ウミガメの混獲の可能性がない物のみを輸入許可します。水産庁では北海道の一部海域で採取されたエビ(カメのいない冷水域であること)と養殖エビについてのみ証明書を発行し輸出が許可されています。

4. 海産哺乳類を混獲する漁業による水産物の輸入規制(海産哺乳類保護の混獲削減プログラム)

1972年に施行された海産哺乳類保護法(MMPA: Marine Mammal Protection Act)は、国際的な商業漁業に伴う海産哺乳類(クジラ、イルカ、アザラシなどの海に棲息する哺乳類)の混獲を減らすことを目的としており、2017年1月1日に施行された米国海産哺乳類保護法に基づく輸入規制により、米国に魚や水産物を輸出する外国の漁業に対して海産哺乳類の混獲を一定水準以下にするように求めており、米国と同等の混獲削減措置(米国は監視員の乗船、混獲上限の設定、漁具の改良などを実施している)を導入していない漁業によって漁獲された水産物の輸入を禁止しています。外国の漁業国が米国のプログラムに匹敵する有効な規制プログラムを構築する時間を与えるため、輸出国には2023年12月31日までの猶予期間(当初2021年末を1年間延期、さらに1年延期)を設定しています。

この猶予期間の間に、(1)外国漁業の特定、(2)海産哺乳類の規制プログラムの構築、および(3)米国の基準との同等性の認定(当該漁業において海産哺乳類の混獲に対する対応が米国と同等であると認められること)、を実施すること、としており、水産物および水産加工品を米国に輸出する国に対する規制の構築とその進捗を米国へ報告することを義務付けています。

NOAAは、輸出国における海産哺乳類の混獲レベルに基づき外国漁業リスト(LFF: List of Foreign Fisheries)を作成しており、米国に水産物や水産加工品を輸出する漁業国について、当該国の漁業が「輸出漁業」または「免除漁業」に該当するかを確認することができます。「輸出漁業」とは、海産哺乳類の混獲がほとんどあり得ないとは言い切れない、もしくは海産哺乳類への影響に関する情報が不十分な漁業のことを指し、「免除漁業」とは、海産哺乳類の混獲がほぼあり得ない漁業を指します。

NOAAが猶予期間を延長したことから、各国は2023年12月31日までに、米国に魚や水産物を輸出するための商業漁業に関する同等性認定を受けることになっています。米国が申請国の漁業において米国と同等の混獲削減措置が導入されていないと判断した場合には、当該漁業で漁獲された水産物および水産加工品の対米輸出が不可となります。また、混獲の恐れがあると判断した場合や、混獲の恐れはないものの米国が特定するHSコードに対象の水産物および水産加工品が含まれる場合には、禁輸漁業の漁獲物が含まれていないことを証明する認容証明書の提出が必要となります。

このほか、NOAAが関係する以外では、次のものがあります。

5. 施設登録・事前通知

許可やライセンス、商品の登録などは特に必要ありませんが、FDAへの食品関連施設登録と事前通知が必要です。
バイオテロ法により、米国内でヒトや動物の消費に供するための食品を製造/加工梱包・保管する米国内外の施設の所有者、経営者またはエージェントは、FDAに食品関連施設を登録することが義務付けられています。さらに食品安全強化法により、登録は偶数年の10月1日から12月31日の間に更新することが義務付けられています。

6. 全米貝類衛生プログラム(National Shellfish Sanitation Program:NSSP)

次の(1)~(4)に該当する(※)二枚貝(カキ、アサリ、またはムール貝など)を米国に輸出する場合には、貝類の衛生管理を促進および改善することを目的とした全米貝類衛生プログラム(National Shellfish Sanitation Program:NSSP)を順守するとともに、同プログラムの登録リスト(Interstate Certified Shellfish Shippers List:ICSSL)に掲載される必要があります。2022年7月時点で、日本はICSSLに含まれていないため、加工されていない二枚貝の輸出はできません。ただし、ホタテ貝柱については、「二枚貝」の定義から外れているため、日本からの輸出が可能です。

※次のいずれの状態でもNSSPの対象となる。
(1)剥いたもの、または殻付きのもの
(2)生のもの(水揚げ後処理も含む)
(3)冷凍されたもの、または冷凍されていないもの
(4)ホール、またはその一部

7. 密封容器入りの低酸性缶詰と酸性化食品

次のカテゴリーに入る水産加工品については、輸入前の手続きが必要になるため、該当するかどうかを確認してください。

密封容器(レトルトパウチ、缶詰、瓶詰など)入りの低酸性缶詰(常温流通)と酸性化食品(常温流通)

水分活性が0.85より高く、pHが4.6より高い、密封・常温で流通する食品は、低酸性缶詰食品として、連邦規則集21巻パート108(21CFR Part108)および同パート113(21CFR Part113)が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式FDA-2541、またはFDA産業システム(FDA Industry Systems)により施設登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報を様式FDA-2541dもしくは2541f,2541gなどの適切なフォームによってFDAに提出しなければなりません。
∘ 水分活性が0.85より高く、酸または酸性食品を加えることによりpHを4.6以下の低酸性状態にした加工食品を密封・常温で流通する商品は、酸性化食品として、連邦規則集21巻パート108(21CFR Part108)および同パート114(21CFR Part114)が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式FDA-2541、またはFDA産業システム(FDA Industry Systems)により施設登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報をFDAに提出しなければなりません。

なお、一貫して冷蔵または冷凍で保存・流通させる場合は、前述の届出や承認は不要です。

8. 適法漁獲等証明書

アワビ・ナマコおよびその加工品は、2022年12月1日施行の水産流通適正化法により、適法に採捕されたこと等を示す国が発行する適法漁獲等証明書の添付が必要です。ウナギの稚魚は、2025年12月1日施行から同証明書が必要です。
詳細については、関連リンクの「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
米国海洋大気庁(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農務省・動植物検疫局(APHIS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農務省・食品安全検査局(FSIS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国国土安全保障省・米国税関国境取締局(CBP)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省・動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
マグナソン・スティーブンス漁業保存・管理法
食品需給研究センター:米国水産物輸入監視制度(和訳)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.0MB)
バイオテロ法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国連邦規則集
その他参考情報
対米輸出水産食品の取扱いについて外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国海洋大気庁(NOAA)から入手できる主な情報
経済産業省
農林水産省から入手できる主な情報
水産庁から入手できる主な情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
州際取引に供する貝類の提供業者リスト(ICSSL) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロから入手できる主な情報

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年7月

なし

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年7月

水産物の規格は明確に定められていませんが、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)が「水産物一覧(The Seafood List)」という検索可能なデータベースを提供し、複数の州にまたがる取引の際にラベルで使用できる水産物の名称を公開しています。

関連リンク

その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年7月

米国に輸入される水産物には、FDAが承認した動物用医薬品に限り使用することができます。ただしFDAは、特定の使用方法に限定して薬品を承認しているため、養殖などで薬品を使用する場合には、FDAが承認している動物医薬品を、指定の目的、対象、条件で使用しなければなりません。
さらに、FDAが水産物中の医薬品成分の残留許容量を設定している場合には、それに従う必要があります。動物用医薬品の残留許容量は、医薬品ごとに各可食部の残留許容量が規定されています。FDAが承認している水産物向け動物医薬品とその使用方法および残留許容量の詳細については、FDAの承認済み動物医薬品データベースを参照してください。なお、水産加工品では、原材料の供給者(サプライヤー)も、FDAの水産物適用規制を準拠していることが要件となります。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年7月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質は、ポリ塩化ビフェニル類(PCB類)のみで(21CFR Part109.30)、紙製の食品包装材のPCBの残留物に対する暫定的な許容量は10ppmとなっています。一方で、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有は避けることが望ましいとされています。

1. 有毒・有害物質の欠陥対策レベル

FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。各物質の欠陥対策レベルの値は食品によって異なりますが、同ガイダンスでは、生鮮・冷凍・加工の魚介類と甲殻類などにおいては、水銀について可食部で1ppmと設定しています。また、全米貝類衛生プログラム(NSSP)が発行したガイドには、魚介類と甲殻類などの水産物に関する有毒・有害物質が一覧表にまとめられており(「水産物における有毒・有害物質の対策レベル、許容量とガイダンスレベル」)、これにはガイダンスで設定されている19種類以外の化学物質も含まれています。

なお、これらガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。

2. トータルダイエットスタディに基づく参考指標

米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。公表されている直近のデータは2018年から2020年に実施されたサンプリングによるもので次のような結果となっています。ここでは一例として、サケおよびマグロ缶詰について取り上げます。

サケ(ステーキ/フィレ、焼き物) (単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 130 1400 376
水銀 4.9 46 21
カドミウム 検出なし 11 1.6
310 1000 528
検出なし 検出なし N/A
マンガン 検出なし 300 54
亜鉛 3500 6600 4267

前述の1.有毒・有害物質の欠陥対策レベルのとおり、水産物についてはFDAの有害物質のアクションレベルが設定されており、水銀については1ppmとされています。1ppm=1000ppbであるため、次の水銀の含有量は最大値でもアクションレベルを下回っています。

マグロ缶詰に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標 (単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 1000 1400 1200
水銀 220 250 230
カドミウム 21 34 25
380 450 417
検知なし 検知なし N/A
マンガン 110 210 147
亜鉛 6200 6600 6333

3. その他

米国では連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示に係る改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を'含む(contains)'ではなく、'有害物質にさらされる(can expose you to)'という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をする、目立つように黄色い三角の中に感嘆符を記載することが義務付けられました。2017年12月31日以降は個々の商品もしくは商品棚への警告表示が必要となり、全体警告も認められません。Prop.65の有害物質リストは1,000種類以上におよび、年に2~3回はリストの内容が更新されます。確認の際には必ず直近のリストを参照してください。

4. 食品添加物

調査時点:2022年7月

米国に輸入される水産物に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は、合衆国法典第21巻321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品への直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれに係る規則は、米国連邦規則集第21巻170条から189条(21CFR Part170~189)に列挙されています。

米国において新規の食品添加物を使用する場合には、GRAS通知、または食品添加物申請(Food Additive Petition(FAP))をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

なお、食品の製造、梱包、包装、輸送または保管に用いられる材料を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質と呼び、食品添加物として定義しています。食品接触物質に関する情報は、後述の「5.食品包装規制」の項目を参照してください。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻379条(21U.S.C.379)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「米国連邦規則集第21巻パート70~82条(21CFR Part70~82)」を事前に確認してください。

5.食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年7月

食品の製造、梱包、包装、輸送または保管に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます(食品医薬品化粧品法第409条(h)(6)、合衆国法典21U.S.C.348(h)(6))。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物として定義しています。なお、包装などの資材を構成している成分が溶出し食品に移行するかどうかを確認する責任は、資材の製造業者が負うことになります。

食品接触物質は、FDA規則に合致している物質(次の1.を参照)でない場合は、FDAへの食品接触物質通知(次の2.を参照)が必要です。

1. 食品接触物質の規制の適合確認

次の規則にあてはまらない食品接触物質は、FDAへの食品接触物質通知をしなければなりません。

  • 間接添加物(連邦規則集21CFR Part174~179)
  • GRAS(連邦規則集21CFR Part182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior Sanctioned Material, 連邦規則集21CFR Part181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集21 CFR Part170.39)
※PFAS

PFASとは、パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質と呼ばれる化学物質のクラス・ファミリーで、非粘着性およびグリース、耐油性、耐水性の特性により調理器具、食品包装、および食品加工において使用されています。FDAは食品接触物質として長鎖PFASを2011年に禁止しましたが、短鎖PFASは許可してきました。しかし、FDAは、6:2フルオロテロマーアルコール(6:2 FTOH)を含む短鎖PFASの安全性に関しても懸念し、規制の変更措置を取り始めています。

また、FDAの連邦レベルにおける動きだけでなく、ワシントン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州いくつかの州が既に食品包装のPFASの使用を禁止し始めていますので注意が必要です。

※フタル酸エステル類

FDAは、可塑剤、接着剤、消泡剤、表面潤滑剤、樹脂、および殺ダニ剤として使用される23種類のフタル酸エステルと他の2つの物質の食品接触物質としての使用許可を取り消しました。この措置により、これらのフタル酸エステルは、21CFRparts175~178の規制によって認可された物質のリストから削除され、食品接触用途ではフタル酸エステルの使用は残り9つに制限されます。

連邦レベルのFDAのみならずミネソタ州、ミシガン州、ニュージャージー州、ニューヨーク州は現在、立法会議でフタル酸エステル類を制限する法案を検討していますので注意が必要です。

2. FDAへの食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification)

食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の120日以上前にその物質の情報をFDAに通知しなければなりません(連邦規則集21CFR Part170.100)。通知から120日の間にFDAから異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については関連リンクの「申請フォームFDA3480」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
合衆国法典
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6. ラベル表示

調査時点:2022年7月

小売用の食品を商業目的で米国に輸入するには、CBPおよびFDAが定める表示を行わなければなりません。条件によっては表示義務が免除されますが、一般的に表示しなければならない項目は次のとおりです。表示は英語で行わなければなりません。詳しくは、FDAの「食品表示ガイド」を確認してください。

主要表示パネル:PDP(Principal Display Panel)
  1. 食品名称/識別事項
  2. 内容量・正味重量
情報パネル:IP(Information Panel)
  1. 原材料名〔未加工で生鮮の場合は必要ありません。ただし、2種類以上の原材料(添加物を含む)が使用されている場合は、それぞれの名称を表示しなければなりません。アレルギー物質を使用している場合には、その原材料名を明確に表示しなければなりません。表示が義務付けられているアレルギー物質は乳、卵、魚(例:ヒラメ、タラ)、甲殻類(例:カニ、ロブスター、エビ)、樹木ナッツ(例:アーモンド、クルミ、ピーカン)、ピーナッツ、小麦および大豆の8種類の食品群です。魚、甲殻類樹木ナッツは例のように種を表記します。〕
    ※2023年1月からゴマのアレルゲン表示が義務化されます。
  2. 栄養成分表示(未加工の生鮮の水産物、および輸入後に加工、再包装される水産物には表示の義務はありません。)
  3. 製造業者、包装業者、流通業者のいずれかの名称と住所
  4. 警告および取り扱い上の注意
  5. 原産国

なお、4.栄養成分表示について、2016年7月26日に改正法が施行されました。改正のポイントは次のとおりです。

  • 消費者に見てほしいサービングサイズやエネルギー量(カロリー)の文字をより大きく太字にして強調すること。
  • 栄養素表示に"added sugars"を新たに追加すること。
  • ビタミンA、ビタミンCの代わりにビタミンDとカリウムの表示を追加すること。

全米バイオ工学食品情報開示基準(National Bioengineered Food Disclosure Standard : NBFDS)により、いわゆる遺伝子組み換え食品の情報開示が義務付けられています。米国農務省(USDA)の農産物マーケティング局(AMS)は、バイオ工学(BE:bioengineered)の技法を用いて生産されうる穀物・食品、つまりNBFDSの対象となるBE食品リストを作成しています。このリストは、BE食品の研究開発の進展により今後さらに追加・更新される可能性がありますが、2022年7月時点でサーモン(AquAdvantage)がリストに含まれています。バイオ工学技術を用いて作られた品種を原材料に使用している場合には開示義務があります。

7. その他

調査時点:2022年7月

水産物HACCPなどの義務
米国に水産物を輸出する製造業者などは、食品の衛生および安全性を確保することを目的とし、米国連邦規則集第21巻パート117(21CFR Part117)で定められる現行適正製造規範(CGMP)に従った衛生管理などを行う必要があります。
さらに水産物を加工(魚介類または魚介類製品に関して、取り扱い、貯蔵、調理、頭部除去、内臓除去、殻剥き、凍結、異なる形態に変える、加工、保存処理、包装、ラベル貼り、波止場での荷揚げまたは保管すること)する食品の製造業者などは、米国連邦規則集第21巻パート123(21CFR Part123)により食品製造工程上の危害要因を分析し、重要な管理点を継続的にモニタリングすることで食品事故の発生を未然に防ぐことを主な目的としたHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)プランに従う必要があります。
これらの要件を満たしていることを保証する施設認定は義務ではありませんが、施設認定書発行に関しては、農林水産省の「北米 証明書や施設認定の申請」」のサイトを参照してください。
なお、水産物HACCPプログラムの対象となる食品に関しては、既にHACCPプログラムによる衛生管理や外国供給業者検証が義務化されているため、2011年1月に米国で成立した食品安全強化法(Food Safety Modernization Act:FSMA)第103条「危害分析およびリスクに基づく予防管理(Hazard Analysis and Risk Based Preventive Controls)」の食品安全計画の策定や第301条の輸入業者による「外国供給業者検証プログラム(Foreign Supplier Verification Program:FSVP)」の適用からは除外されています。ただし、2019年以降適用される第106条「意図的な食品不良の防止(食品防御)」への対応は必要となります。適用対象や要件などの詳細は、関連リンクの「食品安全強化法(FSMA)に関する情報」(ジェトロ)で確認してください。

米国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年7月

水産物は米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)の管轄であるため、日本からの水産物の輸入には、米国農務省・動植物検疫局(APHIS)からの輸入許可の取得は課されていません。水産加工品の場合の輸入にもAPHISからの輸入許可取得は課されていないものの、FDAによる水産物としての規制に加え、FDAによる加工食品としての規制も適用されるため注意が必要です。また、品目ごとに要件が異なる場合があるため、 FDAのウェブサイトなどで詳細の確認が必要です。

その他のライセンス、商品の登録などは特に必要ありませんが、FDAへの食品関連施設登録と事前通知などが必要です。詳細は、「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。

関連リンク

その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年7月

日本から水産物を輸入するにあたって、通関に必要な書類は次のとおりです。これらの書類は、通常、ファイラー(Filer)、つまり通関業者もしくは輸入業者がそろえて、オンラインで提出します。

通関書類
  1. エントリーマニフェスト(CBP Form 7533)あるいは貨物引き取り申告(CBP Form 3461)、またはポートディレクターが要求する商品の引き取りに必要なその他の書類
  2. 通関権の証明
  3. 商業インボイスなど
  4. パッキング・リスト
  5. その他輸入が認められるか否かを判断するために必要な関連資料・情報(エントリーサマリー (CBP Form 7501)、船荷証券(Bill of Lading)、原産地証明(必ずしも必要ではないが求められることもあり)、水産庁が発行する証明書(エビ)、エビの輸出入申告書
  6. インポート・セキュリティ・ファイリング(Import Security Filing: ISF)。(海上輸送で米国に輸入される貨物は、最後の外国港を出発する24時間前にISFの申請が必要となります。)

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年7月

米国に輸入される水産物についてはFDAの所管となり、連邦規則集第21巻パート123(21CFR Part 123)およびバイオテロ法())などの法律が適用されます。そのため輸入通関地において、FDAによる食品検査が行われる場合もあります。当該検査を効率的、より確実にすることを目的として、貨物が米国に到着する前の一定期間までに、FDAに対し貨物の情報を輸出ごとに事前通知する義務が課されています。

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年7月

米国で水産物を販売するのに必要となる、連邦政府が定める免許や登録はありませんが、一般的に食品の販売には、州、地方自治体が定める免許の取得や事業の登録が必要です。

5. その他

調査時点:2022年7月

なし

米国の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2022年7月

米国に輸入される水産物は、関税の対象となります。日本から米国へ輸入される水産物に課せられる関税は次の表のとおりであり、水産物に対する関税は0~15%または1.1セント/kg、水産加工品に対する関税は0~35%または1.1セント/kgです。関税表は、米国国際貿易委員会(USITC)が管理しています。なお、水産物は、日米貿易協定の関税低減・撤廃の品目に含まれません。

水産物の関税率
HSコード 税率
0302:魚(生鮮、冷蔵。第0304項のものを除く。) 0~15%
1.1セント/kg
0303:魚(生鮮、冷蔵。第0304項のものを除く。) 0~15%
1.1セント/kg
0304:⿂のフィレその他の魚肉(生鮮、冷蔵) 0~6%
0305:⿂(乾燥、塩蔵、塩水漬け、くん製)、食用の魚粉等 0~7.5%
0306:甲殻類(活、生鮮、冷蔵、乾燥、塩蔵、塩水漬け、くん製等)、食用の甲殻類の粉等 0~7.5%
0307:軟体動物(活、生鮮、冷蔵、乾燥、塩蔵、塩水漬け、くん製)、食用の軟体動物の粉等 0~5%
0308:水産無脊椎動物(活、生鮮、冷蔵、乾燥、塩蔵、塩水漬け、くん製。0306および0307を除く。)、食用の水産無脊椎動物の粉等(0306および0307を除く。) 0%
0309:魚並びに甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物の粉、ミール並びにペレット(食用に適するものに限る。) 0~6%
水産加工品(例)
製品カテゴリー 製品 関税
水産缶びん詰 かつお・まぐろ類(缶詰) 1.1 cents/kg ~ 35%
さば(缶詰) 3%
いわし(缶詰) 0 ~ 20%
ぶり(缶詰) 4 ~ 5%
かき(缶詰) 0 ~ 4.7%
水産調製品(気密以外) かたくちいわし(調製) 0 ~ 3.1%
キャビア代用物 0%
ホタテ貝 0%
あわび(調製) 0%
なまこ(調製) 0%

2. その他の税

調査時点:2022年7月

州、地方自治体へ納付する売上税
米国内では地方自治体により売上税が課されます。州ならびに郡や市の地方自治体により売上税の合計税率が異なるため、USITC、米国国土安全保障省・税関・国境警備局(CBP)、州、地方自治体のウェブサイトで確認する必要があります。

関連リンク

関係省庁
米国国際貿易委員会(USITC)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国国土安全保障省・米国税関国境取締局(CBP)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
米国国土安全保障省・税関・国境警備局(CBP)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

3. その他

調査時点:2022年7月

商業貨物税関使用料、港湾維持料
輸入者は水産物の輸入にあたって、関税だけでなく商業貨物税関使用料(Merchandise Processing Fee:MPF)を納付する必要があります。正式通関(Formal Entry)の場合、MPFは輸入申告価格(FOB価格)の0.3464%で、最低27.75ドル、最高538.40ドルです。さらに、船便による輸入の場合には、輸入者は貨物価格の0.125%の港湾維持料(Harbor Maintenance Fee:HMF)を納付しなければなりません。これらは米国国土安全保障省・税関・国境警備局(CBP)が徴収しています。

関連リンク

その他

調査時点:2022年7月

米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)による食品施設の査察
米国では2011年1月4日、食品安全強化法(FSMA)が成立し、FDAの権限が多岐にわたって強化されました。FSMAの制定により日本企業への影響は、さまざまな点(食品関連の規制「7.その他」参照)で生じています。特に、同法の第201条に基づき、FDAによる外国の食品関連施設への査察権限が強化され、日本の水産物の関連施設に対してもFDAによる査察が実施されるようになりました。そのため、米国で消費される水産物の関連施設はFDAからの査察がいつ入っても対応ができるように、米国の規則に沿った対応をすることが必要です。