日本からの輸出に関する制度

水産物の輸入規制、輸入手続き

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2019年9月

水産物の規格は明確に定められていませんが、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)が「水産物一覧(The Seafood List)」という検索可能なデータベースを提供し、複数の州にまたがる取引の際にラベルで使用できる水産物の名称を公開しています。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2019年9月

米国に輸入される水産物には、FDAが承認した動物用医薬品にかぎり使用することができます。ただしFDAは、特定の使用方法に限定して薬品を承認しているため、養殖などで薬品を使用する場合には、FDAが承認している動物医薬品を、指定の目的、対象、条件で使用しなければなりません。
さらに、FDAが水産物中の医薬品成分の残留許容量を設定している場合には、それに従う必要があります。動物用医薬品の残留許容量は、医薬品ごとに各可食部の残留許容量が規定されています。FDAが承認している水産物向け動物医薬品とその使用方法および残留許容量の詳細については、FDAの承認済み動物医薬品データベースを参照してください。なお、水産加工品では、原材料の供給者(サプライヤー)も、FDAの水産物適用規制を準拠していることが要件となります。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2019年9月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質は、ポリ塩化ビフェニル類(PCB類)のみで(21CFR Part109.30)、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有量はなるべく避けることが望ましいとされています。

(1)有毒・有害物質の欠陥対策レベル

FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。各物質の欠陥対策レベルの値は食品によって異なりますが、同ガイダンスでは、生鮮・冷凍・加工の魚介類と甲殻類などにおいては、水銀について可食部で1ppmと設定しています。また、全米貝類衛生プログラム(NSSP)が2015年に発行したガイドには、魚介類と甲殻類などの水産物に関する有毒・有害物質が一覧表にまとめられており(「水産物における有毒・有害物質の対策レベル、許容量とガイダンスレベル」)、これにはガイダンスで設定されている19種類以外の化学物質も含まれています。

なお、これらガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。

(2)トータルダイエットスタディに基づく参考指標

米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。2006年から2013年に行ったサンプリングでは次のような結果となっています。ここでは一例として、サケおよびまぐろ缶詰について取り上げます。

サケ(ステーキ/フィレ、焼き物) (単位:mg/kg)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 0 0.436 0.293
水銀 0.006 0.039 0.021
カドミウム 0 0.004 0.001
0.4 0.8 0.5
0 0 0
マンガン 0 0 0
亜鉛 3.7 5.8 4.5

前述(1)のとおり、水産物についてはFDAの有害物質のアクションレベルが設定されており、水銀については1ppmとされています。1ppm=1mg/kgであるため、次の水銀の含有量は最大値でもアクションレベルを下回っています。

まぐろ缶詰に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標 (単位:mg/kg)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 0.349 1.900 0.999
水銀 0.035 0.509 0.136
カドミウム 0.009 0.028 0.015
0.000 0.600 0.300
0.000 0.019 0.001
マンガン 0.000 0.37 0.020
亜鉛 3.300 7.300 4.900

(3)その他

米国では、連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示に係る改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を’含む’ではなく、’暴露する’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。なお、生殖毒性があるとされるビスフェノールA(BPA)に関しては、当該製品の容器に表記する、または小売店の棚の表示でも製品を明確にすることにより消費者などに警告することが義務付けられました。BPAに関しては、緊急法に基づく暫定措置として、全体警告を認め、個々の商品もしくは商品棚への警告の義務は免れていましたが、2017年12月30日で終了し、2017年12月31日以降は個々の商品もしくは商品棚への警告表示が必要となり、全体警告も認められません。Prop.65の有害物質リストは900種類以上に及び、年に2~3回はリストの内容が変更されるので、確認の際には必ず直近のリストを参照してください。

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関係省庁
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米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)から入手できる主な情報
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4. 食品添加物

調査時点:2019年9月

米国に輸入される水産物に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は、合衆国法典第21巻321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品への直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれに係る規則は、米国連邦規則集第21巻170条から189条(21CFR Part170~189)に列挙されています。

米国において新規の食品添加物を使用する場合には、GRAS通知、または食品添加物申請(Food Additive Petition(FAP))をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

なお、食品の製造、梱包、包装、輸送または保管に用いられる材料を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質とよび、食品添加物として定義しています。食品接触物質に関する情報は、後述の「5.食品包装規制」の項目を参照してください。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻379条(21U.S.C.379)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「米国連邦規則集第21巻パート70~82条(21CFR Part70~82)」を事前に確認してください。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2019年9月

食品の製造、梱包、包装、輸送または保管に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます(食品医薬品化粧品法第409条(h)(6)、合衆国法典21U.S.C.348(h)(6))。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物として定義しています。なお、包装などの資材を構成している成分が溶出し食品に移行するかどうかを確認する責任は、資材の製造業者にゆだねられています。

食品接触物質は、FDA規則に合致している物質(次の(1)参照)でない場合は、FDAへの食品接触物質通知(次の(2)参照)が必要です。

(1)食品接触物質の規制の適合確認

次の規則に当てはまらない食品接触物質は、FDAへの食品接触物質通知をしなければなりません。

  • 間接添加物(連邦規則集21CFR Part174~179)
  • GRAS(連邦規則集21CFR Part182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior Sanctioned Material, 連邦規則集21CFR Part181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集21 CFR Part170.39)

(2)FDAへの食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification

食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の120日以上前にその物質の情報をFDAに通知しなければならなりません(連邦規則集21CFR Part170.100)。通知から120日の間にFDAから異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については関連リンクの「申請フォームFDA3480」を参照してください。

なお、カリフォルニア州におけるビスフェノールA(BPA)の警告表示については、食品安全関連の規制の「3.重金属および汚染物質」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
合衆国法典
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

6. ラベル表示

調査時点:2019年9月

小売用の食品を商業目的で米国に輸入するには、CBPおよびFDAが定める表示を行わなければなりません。条件によっては表示義務が免除されますが、一般的に表示しなければならない項目は次のとおりです。表示は英語で行わなければなりません。詳しくは、FDAの「食品表示ガイド」を確認してください。

主要表示パネル:PDP(Principal Display Panel
  1. 食品名称/識別事項
  2. 内容量・正味重量
情報パネル:IP(Information Panel
  1. 原材料名(未加工で生鮮の場合は必要ない。ただし、2種類以上の原材料〔添加物を含む〕が使用されている場合は、それぞれの名称を表示しなければならない。魚(例えば、ヒラメ、タラ)、甲殻類(例えば、カニ、ロブスター、エビ)はアレルギー物質としての表示をしなければならない。)
  2. 栄養成分表示(未加工の生鮮の水産物、および輸入後に加工、再包装される水産物には表示の義務はない。)
  3. 製造業者、包装業者、流通業者のいずれかの名称と住所
  4. 警告および取り扱い上の注意
  5. 原産国
なお、4.栄養成分表示について、2016年7月26日に改正法が施行されました。改正のポイントは次のとおりです。
  • 消費者に見てほしいサービングサイズやカロリーの文字をより大きく太字にして強調すること。
  • 栄養素表示に”added sugars”を新たに追加すること。
  • ビタミンA、ビタミンCの代わりにビタミンDとカリウムの表示を追加すること。
FDAは食品製造業界が対応に必要な期間を考慮し、2018年5月、改正法への対応期限を当初の期日からそれぞれ1年半延期し、原則2020年1月1日まで、年間売上高1,000万ドル以下の小規模製造業者は2021年1月1日までとすることを公表しました。

7. その他

調査時点:2019年9月

水産物HACCPなどの義務
米国に水産物を輸出する製造業者などは、食品の衛生および安全性を確保することを目的とし、米国連邦規則集第21巻パート117(21CFR Part117)で定められる現行適正製造規範(CGMP)に従った衛生管理などを行う必要があります。
さらに水産物を加工(魚介類または魚介類製品に関して、取り扱い、貯蔵、調理、頭部除去、内臓除去、殻剥き、凍結、異なる形態に変える、加工、保存処理、包装、ラベル貼り、波止場での荷揚げまたは保管すること)する食品の製造業者などは、米国連邦規則集第21巻パート123(21CFR Part123)により食品製造工程上の危害要因を分析し、重要な管理点を継続的にモニタリングすることで食品事故の発生を未然に防ぐことを主な目的としたHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)プランに従う必要があります。
これらの要件を満たしていることを保証する施設認定は義務ではありませんが、施設認定書発行に関しては、厚生労働省の「対米輸出水産食品に関する情報」のサイトを参照してください。
なお、水産物HACCPプログラムの対象となる食品に関しては、既にHACCPプログラムによる衛生管理や外国供給業者検証が義務化されているため、2011年1月に米国で成立した食品安全強化法(Food Safety Modernization Act:FSMA)第103条「危害分析およびリスクに基づく予防管理(Hazard Analysis and Risk Based Preventive Controls)」の食品安全計画の策定や第301条の輸入業者による「外国供給業者検証プログラム(Foreign Supplier Verification Program:FSVP)」の適用からは除外されています。ただし、2019年以降適用される第106条「意図的な食品不良の防止(食品防御)」への対応は必要となります。適用対象や要件などの詳細は、関連リンクの「食品安全強化法(FSMA)に関する情報」(ジェトロ)で確認してください。

その他

調査時点:2019年9月

米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)による食品施設の査察
米国では2011年1月4日、食品安全強化法(FSMA)が成立し、FDAの権限が多岐にわたって強化されました。FSMAの制定により日本企業への影響は、さまざまな点(食品関連の規制「7.その他」参照)で生じています。特に、同法の第201条に基づき、FDAによる外国の食品関連施設への査察権限が強化され、日本の水産物の関連施設に対してもFDAによる査察が実施されるようになりました。そのため、米国で消費される水産物の関連施設はFDAからの査察がいつ入っても対応ができるように、米国の規則に沿った対応をすることが必要になっています。
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