農林水産物・食品マーケティング基礎情報

最終更新年月:2026年7月

人口・経済発展状況等

ブラジルの人口、GDP、為替レート、在留邦人数、進出日系企業数等の基本情報については、概況・基本統計 を参照してください。

訪日外客数 11万594人 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計」 2025年暫定値、訪日外客数(総数)
日本食レストラン数 4,520店 農林水産省「海外における日本食レストランの国・地域別概数」(2025年11月28日)

日本からの農林水産物輸出状況

輸出額順位 34位
輸出総額 21億円
農産物 19.3億円(91.6%)
林産物 0.5億円(2.6%)
水産物 1.2億円(5.8%)
輸出額の多い品目 播種用の種等、 アルコール飲料、 菓子(米菓を除く)、 ソース混合調味料、 デキストリン等

(出所)農林水産省「2023年二国間貿易実績」

市場特性等

味覚・嗜好上の特徴
  • 一般的には調理に砂糖を用いないが、甘辛の照り焼き風ソースは好まれており、手巻きずしなどにも用いられる。はっきりとした味(濃い、甘い、塩辛い)を好む。
  • 高価格、健康志向から牛肉の消費量は減り、鶏肉、豚肉の消費量は増えている。
  • 高所得者層は新しいものに関心を示すが、所得格差が大きく、中所得者層以下は保守的。マーケティングの手法として、最初に高所得者層をターゲットとし、それを通じて中所得者層以下に広げていくことがよく行われる。
  • 健康志向の高まりから、パッケージに機能性表示のあるものが好まれる。
  • 主食はコメと豆で、「フェイジョン」や「フェイジョアーダ」と呼ばれる豆の煮込みがご飯とともに食され、ブラジルの家庭の味、あるいは国民食となっている。
制度的制約
  • 動物由来製品(肉、魚介類、乳製品、はちみつなど)に関しては、農牧食料供給省(MAPA)が規定する輸入防疫関連手続き(施設登録、製品・ラベル登録など)が必要。
  • すべての包装済み食品に対して、国家衛生監督庁(ANVISA)規定RDCNo259(2002年9月20日)に従ったポルトガル語のラベルを貼付ける必要がある。農牧食料供給省(MAPA)が所管する食品のうち、動物由来製品は、ラベルの事前登録が必要。
  • MAPAが所管する動物由来製品以外の食品および国家衛生監督庁(ANVISA)が所管する加工食品については、ラベルの事前登録は不要。
  • パッケージには、グルテンおよびラクトース含有の有無、アレルギー物質情報などのポルトガル語表示が必要。内容量の表示はパッケージの表面にあること、賞味期限表示は「dd/mm/yy」の順であることなど、細かな規定がある。
  • 国家衛生監督庁(ANVISA)は、2022年10月9日、食品ラベルの栄養成分表示について新しい規制を定めたブラジル国家衛生監督庁指令75号を施行。栄養成分表についての表記の仕方と、製品が特定の成分を多量に含む場合の表示方法が追加された。これにより、食品ラベルに記載する栄養成分の表示方法を改善し、消費者の食品選択を容易にする目的がある。特に大きな変更点として、基準量以上の飽和脂肪酸や添加糖類、ナトリウムが含まれている場合、パッケージの前面にシンボルで表示することが義務づけられた。シンボルの大きさはパッケージそのもののサイズに応じて決められており、輸入食品も同様の扱いが求められる。
  • これまで、日本産精米のブラジルへの輸出にあたっては、輸出前のリン化アルミニウムによるくん蒸が条件だった日本の精米工場における精米工程を経た精米は、くん蒸をしなくてもブラジルへの害虫の侵入リスクが十分抑えられることが認められたことから、2026年6月より検疫条件からくん蒸が撤廃された。一方、輸出される精米については日本での輸出検査を受け、ブラジルの指定する検疫対象病害虫の不在が確認されることが求めれる。
商流・物流・商習慣
  • 歴史的な背景から日系人市場が大きく、地場の日本食品産業が発達している。米国や欧州と異なり、流通している日本食品はブラジル産が中心である。このため輸入品はブラジル産の同品目の製品と競合する。また、日本産のほか韓国・中国産の日本食品も多く流通している。
  • サンパウロ市内における日本産の日本食品の価格は、日本での小売価格の3倍以上となる。また、韓国・中国産の日本食品は、同品目の日本産と比べて、3分の2から半額程度の価格で流通している。
  • 海上輸送に長い時間がかかること、輸入通関の担当部署のストライキなどによって、通関には非常に長い時間を要するリスクがあり、在庫切れの問題が生じることもある。
  • 賞味期限は、一般的に店頭棚卸し時点で3カ月以上あることが小売店から求められるため、日本から出荷する時点で12ヵ月以上あることが望ましいとされている。
  • 輸入日本食品の大部分はサントス港に到着し、サンパウロの輸入卸業者を経由して卸販売される。地方州では別途配送料がかかるうえに地方の代理店を経由することが多く、サンパウロに比べて最終価格は高額になる。
  • アプリなどを用いた買い物代行、宅配サービスが充実している。
Eコマースの概要
  • 新型コロナウイルスの感染拡大以降、ネット販売は加速化した。専門サイト、小売店サイト、輸入者が運営するサイトなどがある。日本酒・焼酎の専門サイトもあり、輸入者や専門店によって運営されている。Mercado Livre、Amazon、その他の大型Eコマースのポータルサイトでも日本食品が扱われている。
  • 日本食レストランのデリバリーも新型コロナウイルスの感染拡大を契機に増加したが、大部分はIfoodやRappi(コロンビア資本)などの配達システムを利用している。配達システムの利用手数料が高く、一部では独自の配達システムの構築を行っており、日系人が起こしたアジア系レストランや食品販売を専門とする配達システムのアプリも登場している。
  • 店舗を持たないデリバリー専門の日本食(スイーツも含む)業者(ダークキッチンまたはゴーストキッチン)も現れている。
  • 小売店では、新型コロナウイルスの感染拡大が終息し、店内販売が回復した後もデリバリーの売上増加は続き、総売上が伸びた店もある。
外食・小売等の状況
  • サンパウロを中心に日本食レストランは大衆化と高級化に二極化している。手巻きずし専門店や安価な和食の量り売りレストランができるなか、高級店も生まれている。
  • ラーメン、牛丼、うどん、天ぷらなどの専門店や、居酒屋形式の店も増えている。
  • 顧客は日系人および一般ブラジル人が中心で、駐在員、移住者一世はマーケットの中で少数派となっている。
  • 日本食を提供する店は全国的に展開されており地方都市でも見られるが、サンパウロやリオデジャネイロが含まれる南東部でその数が突出している。特にサンパウロ州には、ブラジル国内で日本食を提供している店の約40%が集中している。
  • 配送料や輸入者・小売店のマージンが高く最終価格を押し上げるため、全体的に輸入者は卸価格が安価な商品を選ぶ傾向にある。
  • 中国系、韓国系資本のカフェ、スイーツ系の店舗も増えており、日本資本(日本食文化)との見分けがつきにくい。
  • 日本産食品の販売は主に日本食品店で行われており、一般的に日本産、ブラジル産、中国・韓国産の日本食品が混在して販売されている。ブラジル産、中国・韓国産の日本食品は、中国系・韓国系の店でも販売されている。日系人経営のスーパーには日本食品の棚があり、輸入品を含めてある程度の種類の製品が販売されている。
  • 一部の一般スーパーでも日本食品は販売されているが、ブラジル産の低級品が中心となり、日本産、中国・韓国産である輸入品は、海苔、わさびなどを除くとあまり見られず、価格も高く設定されている。一般のブラジル人にとっては言語がわからないため、日本産あるいは日本以外で生産された日本食品かの判別ができず、オリエンタル食品として購入している。
日本食普及状況等
  • ブラジルの日本食品メーカーも、ウェブサイトにブラジル人に合った食べ方のレシピを載せるなど、消費者への普及・啓蒙に努力している。
  • ブラジル・ミシュランガイド2026では、日本食を提供するミシュラン店は1つ星レストラン19店舗中11店舗(うちアジア料理2店舗含む)であり、高所得者層を中心に日本食への関心はより高くなっている(その他、3つ星3店舗、2つ星2店舗に日本食は含まれていない)。2026年の特徴として、サンパウロだけでなく、リオデジャネイロの日本食レストランも台頭し、日本食の知名度が地方でも高まりつつある。
  • 従来の日本食レストランでは比較的伝統的な日本食が提供されており、米国、欧州、ペルーなどで提供されているフュージョン料理は少なかった。最近は高級店を中心にフュージョン料理が増えてきている模様。
  • 一部の高級レストランを除き、日本で修業した調理人は少なく、伝統的な日本料理の調理法への理解が不足している。
  • すしネタに使われる水産物は、ブラジル産のほか、ペルー、チリ、アルゼンチンや北米、欧州などから輸入されており、日本産は、ブリ、マグロ、鰹節のみである。日本食レストラン以外でも、イタリア、スペイン、フランス料理などのレストランでは、貝類、イクラなどの魚卵類を含む、良質で多種多様な水産物の需要がある。
  • 酒類では、日本産とブラジル産との小売価格差が目立つが、米国産日本酒が中価格帯として流通している。また、日系人が多く暮らしていることから、現地で100年以上に渡って日本酒が醸造されており、ブラジル産で品質の良い日本酒が流通している。
  • 「Temaki(テマキ)」と呼ばれるブラジル風手巻きずしは人気があり、「Temaqueria(テマケリア)」はブラジル発祥の手巻きずし専門店である。
  • サンパウロでは、ラーメン店が急増し、市場に定着している。常に行列のできる人気店も多い。
  • 茶は、従来から「抹茶アイス」が日本食レストランのデザートとして定着しており、抹茶の認知度は高い。また緑茶は健康的な飲料としてのイメージが強く、従来の日本人・日系人向けから一般のブラジル人消費者に広まりつつある。日本茶を専門に提供するカフェも現れている。慣例的に日本茶は日本食レストランでは無料で提供されていたが、最近では有料にする店も多く、それが自然に受け入れられている。
  • カレー、カツサンドといった「洋食」、シュークリームやショートケーキ、コーヒーゼリーなどの「洋菓子」も日本の食文化として広がってきている。
お問い合わせ先
ジェトロ農林水産食品部 市場開拓課
Tel:03-3582-5186
E-mail:afa-research@jetro.go.jp