関税制度

最終更新日:2020年09月16日

管轄官庁

2019年に商工サービス省・財務省・予算企画省を統合した経済省の貿易協議会(CAMEX)の運営執行委員会が関税率を決定する。

経済省の創設とその組織構成

2019年1月に新設された経済省は、財務検察総局と次の8つの特別局で構成されている。

  1. 財務検察総局(Procuradoria-Geral da Fazenda Nacional
  2. 財務特別局(Secretaria Especial de Fazenda
  3. ブラジル国税特別局(Secretaria Especial da Receita Federal do Brasil - RFB)
  4. 社会保障労働特別局(Secretaria Especial de Previdencia e Trabalho
  5. 通商貿易・国際関係特別局(Secretaria Especial de Comercio Exterior e Asuntos Internacionais - SECINT
    1. 貿易協議会事務局(Secretaria-Executiva da Camara de Comercio Exterior - CAMEX)
    2. 国際経済関係局(Secretaria de Assuntos Econômicos Interncionais - SAIN)
    3. 貿易局(Secretaria de Comercio Exterior – SECEX)
      1. 貿易情報・統計副局(Subsecretaria de Inteligência e Estatísticas de Comércio Exterior - SITEC)
      2. 外国貿易業務副局(Subsecretaria de Operações de Comércio Exterior - SUEXT)
      3. 貿易促進・国際化副局(Subsecretaria de Facilitação de Comércio Exterior e Internacionalização – SUFAC)
      4. 国際交渉副局(Subsecretaria de Negociações Internacionais - SEINT)
      5. 商業公益防衛副局(Subsecretaria de Defesa Comercial e Interesse Público
      6. 外国貿易金融課(Departamento de Financiamento ao Comércio Exterior
  6. 民営化・国有資産売却・市場特別局(Secretaria Especial de Desestatização, Desinvestimento e Mercados
  7. 生産性・雇用・競争力特別局(Secretaria Especial de Produtividade, Emprego e Cmpetitividade
  8. 行政手続簡素化・運営・デジタル政府特別局(Secretaria Especial de Desburocratizacao, Gestao e Governo Degital
  9. 投資パートナープログラム特別局(Secretaria Especial do Programa de Parcerias de Investimento

関税率問い合わせ先

貿易統合システムSISCOMEXからリンクされているシミュレータや経済省のウェブサイトで確認する。また民間業者も、最新の関税率を確認できるオンラインサービスを提供している。

輸出入業者登録(RADAR)に登録されている企業か否かを問わず、SISCOMEXポータルサイトからリンクされているブラジル国税特別局の課税・輸入規制管理シミュレータにメルコスール共通関税番号(NCM)の品目コードを入力することで、輸入にかかる連邦税率を確認することができる。法的根拠は経済省のウェブサイトやSISCOMEXポータルサイトから参照することが可能。その他、税関関係専門の出版社であるAduaneira社が、「メルコスール共通関税率表(TEC)」を出版するほか、「TEC-WIN」という日本関税協会が発行する「Zeirom」と同様のCD-ROMも販売している。リオデジャネイロのINFOCONSULT社では、ウェブ上での製品区分・関税率・関連法令の検索サービスを、輸入に関しては「Sistema TECWEB」、輸出に関しては「SISPEX-INFOCONSULT」などが提供している。
なお、国際関税協会のHSコードなどの規定変更に応じて、ブラジルの関税率表も更新される。

関税体系

基本税率、暫定税率、地域協定譲許税率(ALADI、メルコスール)、協定譲許税率(GATT)、発展途上国間特恵税率

最新のNCM関税率表解釈の第6回目の改正内容は、2016年11月16日付ブラジル国税特別局(RFB)細則第1738号に規定されている。2017年1月1日から発効しており、その後2017年9月18日付同細則第1738号により一部改正されている。
また、インコタームズ2010(貿易取引条件とその解釈に関する国際規則)を2011年7月17日から正式に採用〔2011年貿易審議会決議第49号〕。

品目分類

HS分類をベースとしたメルコスール共通関税番号(NCM)。最初の6ケタは、日本の関税番号と同一解釈。

関税の種類

従価税

課税基準

輸入の課税対象額は原則CIF価格であるが、租税の種類により異なる。輸出は、FOB価格が課税対象額となる。

対日輸入適用税率

基本税率の適用対象。

特恵等特別措置

ラテンアメリカ統合連合(ALADI)における貿易協定等に加え、発展途上国間特恵税率を適用。

関連法

輸入通関規定とその手順
貿易審議会決議125号と財務省収税局指令1666号、1667号の新関税率表および解説と通則:商工サービス省貿易局省令第23号、財務省連邦収税局(MF/RFB)指令ほか。

輸出入手続き関連

  • 関税規則:2009年2月5日付大統領令第6759号。2019年6月までに12回の改正・変更あり。
  • 統一輸出入規定:経済省(旧:商工サービス省)貿易局(SECEX)2011年7月14日付省令第23号。2019年8月までに260回近い変更、改正、廃止を繰り返している。
  • 輸入通関規定とその手順:2006年10月2日付ブラジル国税特別局(RFB)細則第680号に規定。ブラジルの輸入通関に関する基本法令/細則で、2020年8月までに20回の変更、改正、修正、廃止が繰り返されている。
  • 輸出入業者登録制度:2015年12月15日付RFB細則第1603号に、輸出入業者登録制度に相当する通関業者活動追跡登録(RADAR・ハダール)の資格取得申請に関する規定あり。
  • RADAR審査要綱細則:2015年12月17日付税関運営総合調整部(Coana)省令第123号。
  • 情報通信関連機器財、資本財の輸入税低減規定(Ex-Tarifárioシステム):2019年7月24日付経済省省令第309号に規定。
  • 輸出通関規定とその手順:1994年4月27日付RFB細則第28号、2006年1月18日付同第611号。いずれも2020年8月までに14回の改正・変更がある。

関税以外の諸税

工業製品税(IPI)、商品流通サービス税(ICMS)、社会統合基金(PIS)、社会保険融資負担金(COFINS)、商船隊更新追加税(AFRMM)

詳細は「税制」参照。

Ex-Tarifárioシステム(例外関税)

国産品が存在しない資本財、情報通信関連機器に対する関税率の低減措置として、“Ex-Tarifário”(例外関税制度)が設けられている。関税改革法である1957年8月14日付法令第3244号第4条の規定に基づき、2019年6月24日付経済省(ME)省令第309号に規則が定められている。2017年8月16日付の旧商工サービス省貿易協議会(MDIC/CAMEX)決議第64号をもって、今まで許可されたEx-Tarifárioを含め2017年8月18日以降に認可されるEx-Tarifárioはすべて0%(免税)から2%が適用されることとなった。

  1. Ex-Tarifárioの関税率(ブラジルにおける輸入税(II))の免税の適用品目
    国産類似品がない資本財、情報通信関連機器、およびそれらの部品と構成品で、現行のメルコスール対外共通関税(TEC)のNCM品目コードに資本財(BK)、情報通信機器(BIT)として表示されている品目が対象で、一定期間、関税率ゼロ%を適用するシステム。TECを採用するメルコスール加盟各国に承認されている。また、自動車部品(Autopeças)を国内非生産自動車部品制度に基づき輸入する場合、減税措置については2019年12月30日付同決議第23号、免除措置については2018年12月17日付同決議第102号の規定に従って申請しなければならない。
  2. Ex-Tarifárioシステムの関税ゼロ%の適用を希望する申請企業
    申請企業は原則製造業者であるが、現行法規では限定されていないため中間業者である輸出入商社、または業界団体を通じての申請も不可能ではないが、窓口行政では、製造業者の申請を優先している。
  3. 申請要領
    新規申請や、現在認可されている既存のアイテムの更新、変更、あるいは廃止に関する申請は、経済省の情報電子システム(SEI)に申請者のデータを登録後、入力フォームに従い対象機器のデータを記入し、技術カタログ(伯語翻訳済みのもの)をシステム上で添付して行う。

    申請内容は少なくとも次の内容に則している必要がある。

    1. HSコードの第ⅩⅥ節注釈3, 4で規定される機械・製造装置の組合せであったとしても、単一のNCM品目コードに対応した資本財であること。
    2. 一定の様式に従ったEx-Tarifárioの記述方法案が示されていること。
    3. カタログ原本および輸入される資本財の見積書が添付され、ポルトガル語で書かれていない場合には翻訳されていること。技術文献が伴われる場合は同様に翻訳されていること。
    4. 資本財の特徴に関する詳細、スペック、国内製品の存在が確認されている場合は技術的な差異。
    5. 次項a~dの審査基準に適合する場合、必要な証拠書類を添付しその旨の説明がされていること。
    6. 申請に関する通知・連絡の送付先となる有効な電子メールアドレス。
  4. Ex-Tarifárioの関税ゼロ%申請の審査、分析と認可
    受理された申請書類の各データが所定の要綱に載っているかどうかの事前のチェックを経て、申請された当該機械設備が国産されているかどうか証明・判定のため、経済省のウェブサイトにパブリック・コメントの募集として申請機器の記述、技術仕様などがカタログと一緒に公示される。記載日から20日以内に国内メーカーからの異議申し立てがない場合には「国産類似品なし」と判定され、次の段階で免税申請の趣旨が次のa~dの観点に沿っているかどうかの審査が行われる。
    1. 政府政策指針
    2. 新技術の吸収か
    3. インフラ改善のための投資
    4. 技術・安全性の規則法規の面でブラジル国内で生産される資本財と同等の扱いであるかどうか

    生産性・雇用・競争力特別局商工サービス・イノベーション局(SEPEC/SDIC)によって分析された内容を基に、貿易協議会通商戦略副局(SECEX/SEC)の諮問を受けつつ通商貿易・国際関係特別局(SECINT)が関税ゼロ%の適用是非を決定し、連邦官報に記載する。有効期間は通常2年間である。

    なお、Ex-Tarifárioによらない、一般製品に対する輸入税の減免税申請については、メルコスール全加盟国の同意が必要となるため、ブラジルが一方的に決定することはできない。一般企業からの免税申請は、通常その企業が所属する業界団体を通して経済省に提出できるが、申請された対象物品に関する連邦政府各省、州政府、市政府、政府直轄公社などの意見調整後、メルコスールの会議に掛けられるまで最低1~2年を要する。

  5. 国内の機械設備メーカーによる国産可能性に関する異議申し立て
    経済省のウェブサイトのパブリック・コメントの募集として公示された対象機器に対して、国内メーカー、あるいは業界団体が、類似国産機器の存在の可能性があると判断した場合は、SEIを通して異議申し立てを行うことができる。充分な根拠となる技術的データ、申請機器との技術的特徴・相違点などの説明資料を添付しなければならない。

その他

Ex-Tarifárioをはじめとした関税等の減税措置、恩典(ドローバック制度、ほか)

  1. 自動車メーカーに対する恩典
    自動車産業の高度化を目的に、2012年に制定された自動車政策Inovar-Autoプログラムは2017年12月30日に終了し、新たにRota2030プログラムとして定められた。燃費効率ラベルや運転支援技術の義務化や採用目標、ブラジル国内での研究開発投資等の条件と並び、国内非生産自動車部品輸入制度として国内で生産されていない自動車部品に対する輸入税の免除措置が設けられている。
  2. 航空機および航空機部品輸入に対する恩典
    2010年8月5日付CAMEX決議第55号に基づき、次の機器、部品等については、輸入税が0%。
    1. 航空機
    2. 地上航空訓練用機器・同部品
    3. a.に該当する航空機の生産・修理・メンテナンス・調整などに使用する部品・機器等(関税番号で指定)は輸入税が0%。

    航空機関係の主要な部品・構成品・材料などの輸入は、民間航空管理調整委員会(COTAC)が管理している。

ドローバック制度の輸入恩典

輸出産品に使用される輸入部品・資材・副資材(国内調達品にも適用)などは、保留、免税・償還方式によるドローバック制度を適用すれば、輸入税、工業製品税(IPI)、商品流通サービス税(ICMS)、社会負担金(PIS/COFINS)、商船隊更新追加税(ARFMM)など、ほとんどの税金、社会負担金が保留、または免税となる。
ドローバック制度の細則は、2020年7月24日付経済省貿易局(SECEX)省令(Portaria)第44号を参照。

ドローバック特別制度の課税方式には基本的に3方式があり、「保留形式(諸税保留ドローバック)」と「免税方式(諸税免税ドローバック)」が経済省貿易局(SECEX)の管理と権限によって適用され、「税金還付方式」はブラジル国税特別局(RFB)の管轄・権限となっている。

輸出振興の税務恩典制度「レインテグラ(REINTEGRA)」

2011年12月14日付法令12546号で創設された輸出企業に対する特別税務恩典制度で「レインテグラ(REINTEGRA)」と呼ばれる。当初の税務恩典は輸出額に対して3%の払い戻しであったが、その後2018年までの7年間に幾つかの改正・変更を経て、2015年には1%に減率され、同年12月から2016年末までは0.1%となり、2017年1月から再び2%に引き上げられた。しかし、2018年5月30日付大統領令第9393号により同年6月1日より0.1%に戻って現在に至っている。

  1. レインテグラ制度の対象で輸出製品と基本条件
    1. ブラジル国内で製造された物品であること
    2. 2015年2月27日付大統領令第8415号附属書の工業製品税(IPI)表のNCMコードに該当する製品
    3. 輸出製品の原価内訳のうち、輸入資材の割合が政令8415号で設定された割合を上回らないこと(対象輸出物品のうち、9割以上の物品の輸入比許容率は40%となっている。ただし、航空機、宇宙飛行体(88類)、高額、測定、検査、医療機器類(90類および30.36類の一部の医療関連機器を含む)、時計(91類)の場合は65%まで)となっている。
  2. 税務恩典の享受(クレジット)金額の計算
    レインテグラ制度に該当する製品を輸出する法人は次の割合(%)を適用して恩典金額を計算する。
    1. 2015年12月1日より2016年5月31日まで:0.1%
    2. 2017年1月1日より2018年5月31日まで:2.0%
    3. 2018年6月1日より現在まで:0.1%
  3. レインテグラ制度を適用して計算されたクレジットは次の割合(%)が適用される。
    1. PIS(社会統合計画基金)の名目で返金される割合:17.84%
    2. COFINS(社会保障金融負担金)の名目で返金される割合:82.16%
  4. レインテグラ制度を適用して計算されたクレジットの使用は、ブラジル国税特別局が管理する社会負担税の支払いの際、輸出者自身が支払い義務のある満期となった、あるいは満期に近づいた社会負担金と相殺することができる。
  5. レインテグラの払い戻し申請
    レインテグラ制度を適用して算出されたクレジットの申請は、電子操作のPER/DCOMP(Pedido Eletrônico de Restituicão, Ressarcimento ou Reembolso Declaração de Compensaão)と呼ばれるプログラムを使用して申請する。手続きは極めて官僚的で、クレジットが許可される期間は申請日から5年間。申請企業の連邦政府関連諸税の滞納がある場合は許可の対象とならない。
関連法規:レインテグラおよび工業製品税率表
  • 政令(Decreto)第7633号(2011年12月1日付)=細則
  • 政令(Decreto)第8415号(2015年2月27日付)=細則
  • 政令(Decreto)第8543号(2015年10月21日付)=政令第8415号の変更
  • 政令(Decreto)第9393号(2018年6月1日付)=政令第8415号の変更
  • 法令(Lei)第9440号(1997年3月14日付)=地方開発のための税務恩典創設
  • 法令(Lei)第9826号(1999年8月23日付)=法令第9440号に関する工業製品税率表の変更
  • 法令(Lei)第12546号(2011年12月14日付)=特別税務恩典制度の創設、他。
  • 法令(Lei)第13043号(2014年11月13日付)=税務金融関連法規の中で、同制度の再創設(Ⅵ節、21条)
  • 政令(Decreto)第9148号(2017年8月28日付)=政令第8415号の変更
  • 財務省指令(IN)第1717号(2017年7月17日付)=返金、相殺、補償、償還に関する規定
  • 財務省省令(Portaria MF)第428号(2014年9月30日付)=クレジット割合に関する規定の修正
  • 暫定法(MP)第541号(2011年8月20日付)=特別税務恩典制度の創設の暫定法(法令第12546号として立法化された)
  • 暫定法(MP)第651号(2014年6月9日付)=特別税務恩典制度の創設の暫定法(法令第13043号により立法化された)