外資に関する奨励

最終更新日:2016年03月31日

奨励業種

外資に限定した奨励業種はない。連邦政府レベルや、州政府や市単位で投資奨励策を行っているケースもある。投資規模や業種によっては、個別に優遇措置が供与されることもある。


奨励業種に関して、特に外資、内資は区別されていない。雇用を多く創出し、かつイノベーションを促すITなどの最先端産業や自動車産業等、インフラ開発部門に対する投資優遇策などがある。連邦政府レベルでの優遇策以外にも、投資誘致を目的に州政府や市単位で減税・免税措置や土地の供与などが行われるケースもある。

開発商工省生産開発局内の投資促進機関である国家投資情報ネットワーク(RENAI)のウェブサイトで、連邦政府による奨励策のリストを公開している(資料はポルトガル語のみ。2012年4月更新)。
http://investimentos.mdic.gov.br/public/arquivo/arq1338231455.pdf (416KB)

主な奨励策は下記のとおり。
・RECOF(2004年4月20日付財務局規則417号)
情報通信関連、航空機産業、自動車産業、半導体産業関連分野に対する輸出製品生産に関する特別措置。RECOFの要件を満たした場合、部品・原材料等の輸入に際し支払われるべき輸入税(II)、工業製品税(IPI)、社会負担金(PIS/Cofins)の支払いが留保される。国産品を購入する場合にはIPI、PIS/Cofinsの支払いが留保される。輸入、購入された部品・原材料が製品に組み込まれ、通関手続きを行ってから1年以内に輸出されると、留保されていた税金が免除される。

・REPES(2005年11月21日付法令11196号、ITサービス輸出奨励特別プログラム)
ITサービスとソフトウェア輸出産業に対する奨励策。売上高の60%以上を輸出する企業が対象。工業製品税(IPI)や社会負担金(Pis/Cofins)の免税措置などの恩典が与えられる。
上記法令11196号は「Lei do Bem(グッド法)」とも呼ばれ、法人所得税(IRPJ)や法人所得に対する社会負担金(CSLL)の20.4%から最大34.0%までの減額や、R&D向けの設備購入に対する工業製品税(IPI)の50%削減など、情報産業分野の発展を目的とした税制恩典の供与なども行っている。
なお、2015年9月、政府は暫定令を発令し「グッド法」を2015年末で停止することを検討し、その後の審議を経てブラジル政府は2015年12月30日に発表した政令13241号により、スマートフォン、タブレット端末、パソコンなど一部の電気電子機器にかかる社会統合計画分担金(PIS)・公務員厚生年金(PASEP)および社会保険融資負担金(Cofins)の減免措置を取りやめる。徴収再開で、対象となる製品には最大9.25%の同負担金が新たに課せられることとなった。

・PADIS(2007年5月31日付法令11484号、半導体産業技術発展支援プログラム)およびPATVD(同法令、デジタルテレビ装置産業技術発展支援プログラム)
2007年1月に発表された成長促進プログラム(PAC)で採用されたもので、それぞれ半導体技術および地上デジタル放送関連産業の奨励策。法人所得税(IRPJ)や工業製品税(IPI)、社会負担金(PIS/Cofins)等の税制恩典が与えられる。なお、中南米では2006年のブラジルを筆頭に、ペルー、パラグアイ、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、エクアドル、コスタリカ、ボリビア、ニカラグア、ウルグアイ、グアテマラ、ホンジュラスが日本方式(ISDB-T)をベースとした地上デジタル放送システムを採用している(2015年8月現在)。

・REIDI(2007年6月15日付法令11488号、インフラ開発奨励特別プログラム)
交通、港湾、空港、エネルギー、公衆衛生、水利事業プロジェクトに対するインフラ投資奨励策。社会負担金(PIS/Cofins)に対する税制恩典が与えられる。

・REPENEC(2007年6月11日付法令12249号、インフラ整備プログラム)
ブラジル北部、東北部、中西部地域の石油・天然ガス開発事業、衛生、灌漑、交通、港湾のインフラ整備プログラム。工業製品税(IPI)、輸入税(II)、社会負担金(PIS/Cofins)に対する税制恩典が5年間に渡り与えられる。

・RETAERO(2010年6月11日付法令12249号、航空機産業に対する奨励策)
航空機部品を製造する企業や関連サービスを提供する企業が対象。工業製品税(IPI)および社会負担金(PIS/Cofins)に対する税制恩典が与えられる。

・Plano Brasil Maior(ブラジル拡大計画)
2011年8月に発表された政策で、持続可能な経済成長の維持、国内産業の競争力の強化、雇用機会の拡大を目的とし、為替政策、税制措置、国内産業の刺激策、保護貿易、融資拡大などの経済政策が講じられている。
これらの政策の一環として2012年10月には自動車および自動車部品の技術革新や燃費改善に対する投資を促す奨励プログラム「Inovar-Auto」を発表(2012年4月3日付暫定令563号)。2011年12月に自動車の工業製品税の税率を30%引き上げる措置が採られたが、国内メーカーはこの「Inovar-Auto」にて規定される研究開発・技術分野への投資、指定生産工程、燃費規格の遵守規定をクリアできれば、工業製品税率30%分のクレジットを取得することが可能となり、税率引き上げの影響を免れることができる。同プログラムは2013年から2017年まで適用され、段階的にメーカーに対する条件が厳しくなるように設定されている。また、燃費が15.46%以上改善した自動車に対しては工業製品税を1%、18.84%以上改善した自動車に対しては2%の減税恩典を2017年以降に与えることを定めている。

また、「ブラジル拡大計画」の中で「Reintegra」と呼ばれる輸出業者助成策も発表(2011年11月1日施行令7633号)。工業品の輸出業者に対し、製品に占める輸入部品の比率を基準以下にするなどの条件を満たす場合、輸出売上高の最高3%までの金額を還付するもの。「Reintegra」は2018年末までが対象。ただし、財政支出削減を目的に2015年3月以降の還付率は従来の3%から1%に下げられており、2015年11月から2016年12月までの還付率は更に0.1%に引き下げることが決められている。

   

各種優遇措置

辺境地域開発のための恩典制度がある。内資・外資の区別はない。特定業種向けの恩典もある。


1. 情報通信法による減免措置
1991年の法律第8248号にて制定。2004年の法律第11077号で改正された情報通信法(Lei de Informática)では、ブラジルで製造された情報機器にかかる工業製品税(IPI)の免除、あるいは軽減を定めている。同法は2019年末で終了する予定であったが、2014年8月の法律第13023号により2029年末まで延長されることが決まった。軽減率は2024年末まで80%、2026年末まで75%、2029年末までは70%。ただし、SUDAM(中西部およびアマゾニア開発監督庁)とSUDENE(北東部開発監督庁)が管轄するブラジル北部・北東部地域に対しては優遇措置が取られ、軽減率は2024年までは95%、2026年までは90%、2029年までは85%となっている。2030年以降は通常の税率が適用される。

この恩恵を受けるためには、企業は毎年、ブラジル国内で行われる情報技術分野の研究開発活動に投資(R&D投資)する必要がある。年間売上高が1,500万レアルを超える企業の場合、2014年12月31日までの投資条件として、投資額がブラジル国内における情報機器の販売・サービスに由来する総売上高(輸出分は除く)の4%を満たし、かつ1.84%以上は次に規定される条件のもと、協定等により科学技術省の指定を受けた教育機関あるいは研究機関に対し投資しなければならないとされている(2.16%までは自社への投資でよい)。

(1) 中西部およびアマゾニア開発監督庁(SUDAM)・北東部開発監督庁(SUDENE)管轄地方の機関に売上高の0.64%以上を投資
(2) その他の地域の機関に対し売上高の0.8%以上を投資
(3) 全国科学技術開発基金(FNDCT)へ売上高の0.4%以上を投資


2. マナウス・フリーゾーンの税制恩典
開発商工省の管轄下に置かれているマナウス・フリーゾーン監督庁(SUFRAMA)により、以下の恩典が与えられる。恩典の付与には外資、内資の区別はされていない。恩典を受けるためには製品製造に関して最低限履行すべき基礎製造工程基準(PPB)を取得する必要がある。PPBのない製品のプロジェクトを申請するには、事前に新たなPPBの申請・取得が必要となる。マナウス・フリーゾーンの税制恩典は1967年にスタートし、2023年で終了することになっていたが、連邦議会はさらに50年延長し、2073年まで継続させる憲法修正案を2014年8月に公布している。なお、マナウス・フリーゾーンには二輪および家電関連メーカーを中心に約30の日本企業が進出している。

(1) 輸入税(II)の免除
SUFRAMAが認可するプロジェクトの場合、製造に使われる消費財や製造設備、再輸出のために保管される製品などは、連邦税である輸入税は免除される。SUFRAMAのプロジェクト認可を受けているメーカーが、完成品製造のために輸入部品を購入した場合、マナウス・フリーゾーン内で消費されるものであれば輸入税は免除となる。ただし、フリーゾーンから製品を出荷する場合は、輸入原材料、部品等の輸入税は88%免除となる。例外として、自動車、トラクターおよびその部品、情報機器については、国産化率に基づく計算式(CRA、注)が適用されCRAの算出数値に5%が加算される。国産化率が上がると免除の割合が増加する。

(注)CRA =(国産材料費+製造工程の人件費)/(国産材料費+輸入材料費+製造工程の人件費)

(2) 工業製品税(IPI)の免除
SUFRAMAのプロジェクト認可を受けている場合、フリーゾーン地域内での消費、製造のために輸入される製品、または国内で購入される製品や製造設備、再輸出のために保管される製品は連邦税である工業製品税が免除される。また、認可を受けたプロジェクトに従い製造された製品を出荷する場合にも、工業製品税は免除される。

(3) 商品流通サービス税(ICMS)の減免措置
フリーゾーンにおける生産のための部品や生産設備等の輸入や州内での購入時は、州税である商品流通サービス税は課税されない。完成品を出荷する際には、通常のICMS税率が55~100%減免される。製品により減免率が異なるが、一般完成品の減免率は原則55%。州税であるためアマゾナス州企画・経済開発庁(SEPLAN)内の同州開発審議会(CODAM)の認可が必要。

(4) 社会統合計画・社会保険融資負担金(PIS/Cofins)の減免措置
部品や生産設備の輸入時は免税(一時保留)となり、再度出荷する時点で負担することになるが、当該輸入部品等が製造過程を経て完成品として出荷される場合には、輸入時の措置が継続され免税となる。生産設備の場合、据え付け後18カ月が経過した時点で一時保留が免税となる。完成品の出荷(販売)時の税率は、搬出先がSUFRAMAのプロジェクトの認可を受けているマナウス・フリーゾーン内の企業およびフリーゾーン外でもPIS/Cofinsの非累積課税方式が適用される企業などの場合は3.65%、搬出先がマナウス・フリーゾーン外で、PIS/Cofinsの累積課税方式が適用される企業などの場合は7.3%となる。なお、PISの通常の税率は一般製品の場合、1.65%。Cofinsの通常の税率は7.60%。


3. アマゾン地域・ブラジル北東部における税制恩典
アクレ、アマパ、アマゾナス、マト・グロッソ、パラ、ロンドニア、ロライマ、トカンチンスの各州、およびマラニョン州の一部では国家統合省管轄下のアマゾニア開発監督庁(SUDAM)、マラニョン、セアラ、ピアウイ、リオ・グランジ・ド・ノルテ、パライーバ、ペルナンブコ、アラゴアス、セルジッペ、バイーアの各州、およびエスピリト・サントの一部、ミナス・ジェライス州北部地域では北東部開発監督庁(SUDENE)により認可の与えられたプロジェクトを実施する法人に対して、以下の恩典が与えられる。

(1) 法人所得税(IRPJ)の減免措置
2013年7月4日付全国統合省省令283号により、2000年1月1日~2018年12月31日の期間に承認・登録された新規実施・拡張・設備更新等を行なうプロジェクトを持つ法人に対しては、生産開始の翌年より10年間、事業所得に対する所得税の75%が減免される。

(2) 商品流通サービス税(ICMS)の減免措置
州税であるため、減免率は州や商品の種類によって異なる。主に各州の企画局の認可を必要とする。

(3) 商船更新追加税(AFRMM)の免除
造船業奨励のための、輸送費に対する追加負担金(海上運賃の25%)の免除恩典を受けるには、SUDAMによる評価を受ける必要がある。2013年7月4日付全国統合省省令283号によれば免除期間は2015年12月31日まで。航空輸送を利用する場合には、AFRMMは発生しない。


4. 中西部地域における投資支援
国家統合省傘下の中西部地域開発監督庁(SUDECO)は地域の社会・経済の発展を目的とした各種支援を行っている。
http://investimentos.mdic.gov.br/conteudo/index/item/214外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 


5. 輸出奨励地区(ZPE)
外国企業を誘致し先進技術の取得・普及、地域の雇用創出、社会・経済発展を目的に、1988年7月29日付法令2452号により創設。輸出のフリートレードゾーンとしての機能を持っている。製造業だけでなく、農業や鉱山分野の企業も恩典の対象となる。ZPEでは売上の80%を輸出する企業に対し、各種税制恩典の他に、ライセンスの取得義務の規制緩和などのメリットを与えている。ZPEは国内18州に22か所創設されている。

  

その他

輸入製品に対する関税の軽減措置("Ex-Tarifário”)。
国産類似品が存在しない製品に対して関税の軽減措置が認められる。


外資に限定された措置ではないが、国産の同等品が存在しない資本財や情報通信機器等、インフラ関連部門の輸入製品に対する関税率の引き下げ申請が可能。“Ex-Tarifário”(共通関税リスト適用除外製品)と呼ばれ、通常は14%の関税が2%に引き下げられる。軽減措置適用期間は最長で2年間。軽減措置の継続が必要な場合には延長申請が必要。
“Ex-Tarifário”の対象品目は開発商工省(MDIC)のウェブサイトに開示されている。
http://www.desenvolvimento.gov.br/portalmdic/arquivos/dwnl_1417113435.pdf (1.80MB)

“Ex-Tarifário”の内容や申請方法については「関税制度 その他」を参照。

  

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