為替管理制度

最終更新日:2020年09月16日

管轄官庁/中央銀行

ブラジル中央銀行(BACEN)

為替相場管理

変動相場制

ブラジルの為替相場制度は1999年1月以降、為替バンドや誘導目標水準を設けない変動相場制に移行している。
1980年代まではすべての為替取引をブラジル中央銀行(Banco Central do Brasil)の厳格な管理下に置いていたため、非常に煩雑な手続きを要したが、1989年以降この管理制度が緩和され、手続きも簡素化された。
2020年8月現在、3,000ドル以上の為替取引においては、中央銀行情報システムSISBACENを通じた中央銀行への通知が義務付けられている。

なお、貨幣の変動、貿易上の危険やリスクヘッジとして、ブラジル在住の個人、ブラジルに本社を有する法人は、ブラジルの商業銀行を通じて外貨の銀行口座を開設し、資金を転送できる〔2005年付8月31日付中央銀行決議(Resolução)第3312号〕。
従って、外貨口座を保有できるのは、旅行会社、外国公館、国際機関、ブラジル郵便電信公社、国際クレジットカード会社、エネルギー分野の開発事業を委託された会社、外国人非居住者および在外ブラジル人、保険・再保険会社、国内または海外に本社を置く輸送業者、為替取引許可を得ている会社などである〔2013年12月16日付中央銀行回章(Circular)第3691号〕。
また、ブラジルの輸出企業も、輸出代金を海外口座または金融機関で保持できる。

1万レアル以上の金額を海外口座へ送金する場合、ブラジル国内の取引銀行で小切手振り出し、電子送金、または引き出しを行うことを通じて、中央銀行への登録申請することが義務付けられている。
また、自己資金のみ送金可能であり、資本の送金は禁止されている〔2008年5月29日付中央銀行決議第3568号〕。
関連法規には、外資とその登録に関する2010年3月23日付中央銀行決議第3844号と、その細則を定めた2013年12月16日付同回章第3689号などがある。

この他、為替操作にかかる税金として金融取引税(IOF)がある。例えば、個人の海外送金の場合では、ブラジル国内居住者が自ら使用するために海外に送金する際は1.1%、第三者への送金の場合は0.38%、国際クレジットカードの海外での利用やインターネットなどで電子販売されている海外の物品をクレジットカードで購入すると、6.38%が課税される。
旅行代金(陸上費や航空運賃)を海外の旅行社に送金する場合も、その名目によってIOF6.38%と個人所得税25%が課税される場合もある。

貿易取引

貿易統合システム(SISCOMEX)や中央銀行情報システム(SISBACEN)などのシステムを通じて、貿易取引の為替管理も行われる。

輸入

  1. 輸入代金支払いに関する必要書類
    輸入代金の支払いが360日未満の為替取引の場合、中央銀行の事前の許可を必要とせず、貿易統合システムSISCOMEX上で輸入申告書(DI)の登録申請ができる。
    360日以上の場合、DIに加え、融資操作登録(ROF)することで中央銀行に通知しなければならない。
  2. 決済期間
    輸入為替取引は、契約締結から決済までの期間が最大360日認められる。
  3. 輸入代金の前払い

    利用する輸入形態により、船積み前もしくは通関予定日より前、最大360日までの前払いが認められる。送金金額に制限はないが、為替契約時点で船積み期日が明記されているプロフォルマ・インボイスを提出しなければならない。
    船積み前に輸入ライセンス(L.I.)を必要とする輸入対象商品は、前払い送金が許可されるまでは、輸入できない。
    製造に時間を要する、または受注生産方式の機械装置などを輸入する場合には、利用する輸入形態により、船積み前もしくは通関予定日より前、最大1,800日までの前払いが認められる。この場合、前払い期間は製品の製造期間に基づいていることが条件となり、契約当事者同士の中間払いなどの合意条件が尊重される。

  4. 輸入通関申請時点でSISCOMEXを通して輸入申告(DI:Declaração de Importação)する場合の為替レート
    輸入申告書(DI)の申告時に適用する輸入に課税される税金の算出に適用する外国為替相場(レート)は2019年4月10日から、輸入申告書登録日の1日前にブラジル中央銀行が公表する売り為替相場を適用することになった。それまでは過去3日間の平均相場を適用していた。
  5. 輸入のCIFあるいはCIP取引条件(インコタームズ2010)の場合
    ブラジルの輸入者が外国の輸出者とCIFあるいはCIP条件で取引を決定した場合、輸出者が自国の保険会社と契約し、保険証券(Apólice)に記載された料金をProforna Invoiceに明記し、国際運賃(輸入者が指定する港/空港まで)を加算してCIF金額として取引を開始する。決済条件に基づき、CIF金額を送金する場合に、保険料金の外国への支払いに対して制限条項があったが、現行の保険関連法規では保険料金の送金を阻止する措置は出ていない。
関連法規:ブラジル国際保険に関連する法規リスト(民間保険監督庁・保険補足法)

1966年11月21日付行政法令(DL)第73号にて、ブラジル全国民間保険システムが創設されている。ブラジル国内の民間保険および再保険の規制制度の大枠を定めたもので、旧財務省(MF)の外局として民間保険監督庁(SUSEP)が設置された。

前述の行政法令第73号の第6条には、国外における付保にはSUSEPの許可を必要とし、国内でカバーされず、国内の利益にならない保険に限られるとの規定があったが、1997年付補足法第126号(保険補足法)によりこの条文は撤廃された。その代わり、国外での付保の条件が規定された。

前述の補足法第126号の規則として、SUSEP決議第197号にて外国の通貨で付保される保険や外国における保険契約について規定。ブラジル国内に引き受ける保険が存在しないリスクの補償等について、当該リスクを対象とした保険を運営するブラジル国内保険会社への照会を通じて提供する保険での補償が認められていない場合に限り、国外にて契約を認めるとしている。ブラジル国内保険会社への確認方法は、別途細則として回章第603号(次項)にて規定される。

前述のSUSEP決議第197号の細則は、2020年5月12日付SUSEP回章第603号に定められている。外国で保険契約を希望する輸入会社に対して、SUSEPがいつでも「ブラジル国内保険会社より取得した同一内容による最低5社の見積書」「その5社による引受拒否の理由書」および「外国の保険会社に対する問い合せ書類の写し」の提出を求めることができるとしている。提出されない場合は現行法に沿った罰則が適用される。

輸出

  1. 為替取引規則

    輸出決済条件では、国際市場で行われている決済条件が認められている。ブラジルの輸出企業は、現金払い条件から、輸出貨物の船積み日から起算した360日までの前払い条件まで自由に選択できる。

    360日を超える延払い輸出は「融資」とみなされる。政府は輸出振興のため、輸出金融プログラム(Programa de Financiamento as Exportadores:PROEX)を創設している。この特別融資条件による公的信用資金で融資された輸出として、ブラジル銀行およびブラジル社会開発銀行(BNDES)からの融資を受ける場合、従来はSISCOMEX Exportaçãoにおける輸出登録(Registro de Exportação:RE)と同時に信用操作登録(Registro de Operação de Credito:RC)をしなければならなかったが、単一輸出申告(DU-E)の導入に伴い、この手続きはLPCOモジュール(ライセンス・許可・証明書・その他の輸出書類)に置き換えられた。
    ただし、外国に本部を置く融資機関が直接輸入業者に融資する場合は、この手続きは免除される。

    また、輸入業者自身の自己資金で融資する場合、あるいは政府の融資資金を一切使用せず、ブラジルの外為銀行の資金で融資される場合は、その融資条件(融資期間、利息率、保証など)が国際市場で通常取引されている条件に見合うものでなければならない。

  2. 輸出代金の前受け
    商品の船積み日から数えて360日よりも前に輸出代金を受け取る際は、中央銀行に対して申請登録が必要である。
  3. 輸出代金の海外保留額の上限
    輸出代金はその全額を海外に保留することができる。
  4. 輸出の手数料
    経済省貿易局(SECEX)は、各輸出企業が提出する輸出条件(価格、決済条件、マージン比率、取引成立までの状況など)を吟味して、適性輸出マージンの比率を決定、許可している。
    通常はFOBの最大5%となっているが、取引条件の妥当性・説明などによっては、20%のマージンが認められることもある。

為替取引に関する期限

現金またはトラベラーズ・チェックによる外国通貨の売買、または相場商品としての金の売買の際は直物決済でなくてはならない。その他の為替取引は先物決済も認められ、その期限が次のとおり定められている。

  • 輸出代金:受取の為替契約決済の期間を1,500日までと定めている。船積み日以降に為替契約を決済する場合、上限期間は船積み日から起算して1,500日まで。
  • 銀行間取引・為替裁定取引および国家財務局が借受側となる融資に関わる取引の場合:1,500日以内
  • 中央銀行への登録の有無に関わらず、輸入および融資にかかる為替取引の場合:360日以内

貿易統合システム(SISCOMEX)

輸出入に関する申請、登録、進展状況、認可などの管轄業務をオンラインで行う統合情報管理システム。
1993年に中央銀行情報部によって輸出登録業務のソフトが開発された後、1997年には輸入に関する管理業務ソフトが導入された。現在はデータ処理公社(SERPRO)によって運営され、各々のソフトがほぼ毎年新バージョンに更新されている。

為替金融総合情報システム(SISBACEN)

中央銀行が為替金融取引の管理をするための総合情報システムで、外国投資、一般為替契約、信用供与、国内金融システムのすべてのプロセスが、中央銀行のスーパー・コンピュータに連結されているシステムを指す。一般市中の外為銀行、外国為替取扱業者、保険会社などが使用する電子登録システムである。

貿易外取引

融資操作登録(ROF)の申請

技術移転、技術支援に係るサービス、フランチャイズ、商標、特許、ブラジル産業財産庁(INPI)に登録された契約様式、INPIの登録を必要としない前述の契約に関連した補完サービスまたはその支払いに関する取引は、SISBACENにて融資操作登録(ROF)の電子申告登録(RDE)が必要。
その電子申告登録の際に登録番号が交付され、銀行を通じた取引の際にその番号が参照される。この登録は申告制で、特に許可や承認を得るためのものではない。

資本取引

送金に上限額などの制限は規定上定められていないが、送金の根拠となる証明が必要。

利益、配当、元金、利子の支払いについても、貿易外取引と同様に融資操作登録(ROF)の申請が必要。その電子申告登録の際に登録番号が交付され、銀行を通じた取引の際にその番号が参照される。この申請は申告制で、特に許可や承認を得るためのものではない。
送金に関する金額上限などの制限は特に設けられていないが、送金の根拠となる証明の提示が求められ、その書類が揃わなければ送金できない。例えば、外国企業がブラジルに法人を設立する際、中央銀行における登録手続きに不備があった場合、国外への送金ができなくなる可能性がある。

  1. ブラジルへの外国投資
    外国からブラジルに投資をする場合、外資・海外送金法に当たる1962年9月3日付法令第4131号および外国への送金に関する基本法令に当たる1964年8月29日付法令第4390号の規則に基づき行われる。1965年2月17日付政令第55762号によってその細則が決められた。
  2. 外国資本の登録
    投資される外国資本は、すべてSISBACENの「電子申告登録‐外国直接投資(Registro Declaratorio Eletronico - Investimento Externo Direto:RDE-IED)」モジュールにて中央銀行に登録する義務がある。
    外資の登録は、中央銀行による事前の審査は行われず、単なる登録のみで完了する〔2010年3月23日付決議第3844号〕。
  3. 現金による投資
    現金による投資もブラジル政府による事前の審査は行われず、単に外為取扱銀行を通して送金ができる。この資金で既存のブラジル企業に資本参加する場合も、「RDE-IED」システムに登録しなければならない。
    しかし、外為銀行に入金された外国通貨をレアルに換金する手続き、すなわち為替契約は、投資会社とその投資を受けるブラジル国内の会社によって行われる。
  4. 外国信用(クレジット)の変換による投資
    外国クレジット資金を投資に転換する場合は、「RDE-IED」システムに登録する必要がある。「RDE-IED」システムに登録されていない資金によって行われる投資も、同システム上で申告する形で登録される必要がある。
  5. 為替取引を伴わない輸入による財の投資

    為替取引を伴わない輸入による投資には無形資産によるものと、有形資産によるものとがある。いずれの場合も、「RDE-IED」システムを通して、中央銀行に登録しなければならない。
    為替取引を伴わずに有形資産を輸入する場合の投資は、通常「現物投資」として中央銀行の事前の許可は必要としないが、輸入通関が完了してから30日以内に、「輸入申告書(DI)」を基にSISBACENにて「電子申告登録‐金融取引登録(RDE-ROF)」の手続きをしなければならない。
    一方、無形資産の輸入登録は、ブラジル連邦国税庁(RFB)の規則によりDIが必要とされない場合は、RDE-ROFでの手続きに含まれる請求書や引渡条件書とその承諾書に基づく。
    有形資産・無形資産による投資のいずれの場合も、SISBACENで確認する為替レートを基に国内通貨に換算された相当金額が、投資を受け入れるブラジルの会社の資本に組み込まれなければならない。

関連法

国家通貨評議会2008年5月29日付決議第3568号:為替取引関連の細則、ブラジル中央銀行2013年12月16日付回章第3691号:為替取引および国際資本規則(決議第3568号の細則)、1962年付法令第4131号及びその細則となる政令第55762号:外国資本関連ほか。

  • 外国資本の基本法令:1962年9月3日付法令第4131号
  • 外国資本細則:政令第55762号
  • 金融取引税(IOF):2007年12月14日付政令第6306号
  • 海外送金の所得税源泉徴収:ブラジル国税特別局細則第1645号
  • 為替市場規則:国家通貨評議会2008年5月29日付決議第3568号
  • 為替取引および国際資本規則:2013年12月16日付中央銀行回章第3691号
  • 外国資本細則:2013年12月16日付同回章第3689号
  • 為替市場における取引期限の改正:2020年4月16日付同回章第4002号
  • 海外金融機関および海外株式市場におけるヘッジ取引:2005年8月31日付同回章第3312号
  • 国家民間保険システムの創設:1966年11月21日付政令第73号
  • 海外における保険契約規則:2007年1月15日付補足法第126号
  • 海外における保険契約細則:民間保険監督庁(SUSEP)2008年12月16日付決議第197号及びその補則2020年5月12日付同決議第603号

その他

特になし。