税制

最終更新日:2016年03月31日

法人税

法人所得税(IRPJ)は実質利益に対し課税され、基本税率は15%。月額2万レアル(年間24万レアル)を超える利益にはさらに10%課税。法人利益に対する社会負担金(CSLL)等主要な負担制度については、後述の「税制:その他税制」を参照。


「その他税制」を参照。

二国間租税条約

日本とブラジルは租税条約(日伯租税条約)により、源泉所得税率は通常15%のところ12.5%を適用。


ブラジルと日本は、重複課税を避けるための日伯租税条約(法令61.899/67)を1967年12月14日に施行。1978年1月9日に法令81.194/78によって修正が行われている。ブラジルは連邦所得税(法人および個人)、日本は所得税および法人税が対象となる。本条約により利子支払いや技術移転などに関するロイヤルティーに対する日伯間の源泉所得税率は12.5%が適用される(商標権の使用料は25%)。
租税条約がない場合の税率は一般的に15%。出資者である日本法人への配当金の送金について本条約は12.5%の源泉所得税率を定めているが、1995年12月26日付法令9249号により利益配当に対する源泉所得税は非課税で送金が可能。さらに、日本とブラジルとの間では税額控除規定が適用されるため(いわゆる「みなし税額控除規定」)、配当についてはブラジル国内で25%課税されたとみなし、その分を日本側での課税額から控除を受けることが可能。ロイヤルティー(商標権の使用料は除く)についても25%、利子については20%の税額控除が認められている。
ただし、ブラジルに設立した会社が日本の親会社ではなく、日本以外の海外子会社と取引を行う場合には、日伯租税条約は適用とならない。

その他税制

ブラジルの税金は大きく「連邦税」、「州税」、「市税」に区分される。このほか複数の社会負担金が存在し、税金に準ずるものとして扱われている。税金の種類は非常に多く、関連法令は頻繁に発令・改定される。地域や業種による相違も多い。ブラジル特有の移転価格税制や零細・小企業向け簡易税務申告制度(Simples Nacional)もある。


<ブラジルの税務概要>

ブラジルの税金体系は非常に複雑である。徴収を行う団体が連邦、州、市に分かれることから、税金は、I. 連邦税、II. 州税、III. 市税に分類でき、各行政機関(連邦政府、州政府、市)が各種税金の課税限度、各々の税法の一般規定を定めている。また、税ではないものの、社会負担金も存在する。連邦国税庁が発表したデータによると、ブラジルのGDPに対する2014年の税収比率は33.5%に達し、世界で最も高い水準となっている。
 
I. 連邦税
1. 個人所得税(IRPF)
実質所得に課せられ、税率は月額基準所得に対し7.5%、15%、22.5%、27.5%。2015年の所得に対しては、月間所得が1,903.98レアルまでは非課税。27.5%の最高税率は月間所得が4,664.68レアルを超える場合に適用される。扶養控除や医療費控除、教育控除等は一定の金額を上限に認められている。

駐在員等の場合、労働ビザ取得後初めてブラジルに入国した日の翌月末を初回として、所得申告を開始しなくてはいけない。家賃や自動車の供与などのいわゆるフリンジベネフィットも個人の所得とみなされる。ブラジル国外で受け取る給与や賞与、賃貸収入等についても所得申告し、納税する必要がある。この場合、ブラジルと日本の両国で課税される場合には、外国税額控除の規定により、二重に課税されている分の税額を控除することができる。

不動産、動産、株式譲渡などによる個人の資産譲渡益(キャピタル・ゲイン)に対しても個人所得税が課税される。現行の税率は譲渡益の金額に関わりなく一律15%。2016年1月以降は譲渡益の金額に応じ15%から最高30%までの税率が適用される。ただし、ブラジル居住者となる前にブラジル国外に所有していた資産や預金等に対する譲渡益は課税対象外となっている。
  
2. 法人所得税(IRPJ)
実質利益に対する基本税率は15%で、月額2万レアル(年額24万レアル)を超える利益に対しては追加で10%が課税される。課税標準となる法人の所得は、利益の算定形式(実質利益、推定利益、裁定利益)により異なる。

1996年法令9245号は出資者に対し一定の範囲で出資金に対する利息の支払いを認めているが、出資者が受け取る利息に対しても法人所得税が課税される。税率は15%。2016年1月から税率は18%に引き上げられる。なお、出資者が日本法人の場合には日伯租税条約が適用となり12.5%の税率が適用となる。
 
3. 工業製品税(IPI)
輸入工業製品の通関、製造施設および製造施設とみなされる場所からの工業製品の搬出に対し課税される。輸入された工業製品の搬出も課税対象となる。税率は製品により異なりIPI税率表(TIPI)に基づく。税率はほとんどの場合0~20%。非関税の製品も多い一方、嗜好品など高い税率が適用される製品もある。輸出品はIPIが免除されている。IPIは付加価値に対して課せられる税のため、クレジットとデビットの差額を納付することになる。IPIの税率は景気刺激策や国内産業保護、国内市場への製品供給等の政策的な観点から頻繁に引き上げや引き下げが行われる。最近では自動車や白物家電、家具の購入時のIPIを引き下げた例などがあるが、自動車購入時の工業製品税の減税措置は2014年12月末で終了している。また、ブラジルでは自動車や情報通信機器などについて、ブラジル国内での生産・投資や一定の国産製品の使用率の達成を条件に工業製品税の恩典措置を講じている。
  
4. 輸入税(II)
輸入品のCIF価格に対して課税。品目により課税率が0~35%と異なり、平均税率は14%前後とされる。税率は商品分類番号(NCMコード)ごとに定められ、南米南部共同市場(メルコスール)では同一の税率が適用される。2015年10月時点で、メルコスールにはブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4カ国が加盟している。メルコスール加盟国間における取引では、約85%の品目の輸入税はゼロとなっている。メルコスール加盟各国は国内事情を考慮し共通関税適用除外品目を選定し、共通関税表よりも高いまたは低い税率を適用することが認められている。ブラジルでは、類似品の国内生産がない資本財・情報機器・通信機器の税率が引き下げられている。税率は通常の16%や14%が2%に引き下げられるケースが多い。また、環境対策の一環として2014年にはハイブリッドカーに対する税率を、2015年には電気自動車に対する税率を35%からエネルギー効率に応じ7%から0%にまで引き下げた。
  
5. 輸出税(IE)
ある製品が国内で供給不足が起きた時などに課税され、輸出を抑えることを目的にしている。対象となる品目と税率はその時の市場の状況により流動的に決められる。課税対象品目に対する税率は30%。情勢に応じ税率の引き下げおよび引き上げが可能。上限は150%。
  
6. 農地所有税(ITR)
都市部以外の地域にある土地の所有者に対して課税。税率は土地面積、有効利用率により異なり、最高で20%。
  
7. 金融取引税(IOF)
金融機関が行う融資(貸付)、保険契約、証券取引、企業間ローン取引、運用、為替取引などに対して課税される。税率は金融取引の種類により異なり、頻繁に変更される。課税対象となる主な金融取引の種類と税率は次のとおり。
(1) 債券投資にかかる為替取引時:2008年に導入。何度か税率の引き上げ・引き下げが繰り返され、2013年6月から再び非課税に戻されている。

(2) 企業融資(貸付):借入期間に対し1日当たり0.0041%(上限1.5%)プラス借入時に固定税率0.38%。ブラジル社会経済開発銀行(BNDES)からの融資は金融取引税の課税対象外であったが、2015年9月から他の融資と同様に課税対象となっている。

(3) 個人融資(貸付):借入期間に対し1日当たり0.0082%(上限3.0%)プラス借入時に固定税率0.38%(2015年1月20日に税率が引き上げられている)。

(4) 海外からの借入(いわゆる親子ローンを含む):2014年6月以降、借入期間が180日以下の場合は6%。181日以上の場合は非課税。

(5) 海外からの資本金送金(増資を含む):0.38%。

(6) 保険取引:生命保険および傷害保険は0.38%、医療保険は2.38%、その他の保険は7.38%。

(7) 定期預金や投資信託の運用:30日未満の短期の運用収益に対し課税される。課税率は運用期間により96%から3%に逓減。運用期間が30日を超える場合には非課税となる。なお、運用収益から金融取引税を控除した金額に対し所得税が課税される。所得税率は運用期間により異なり、180日までの運用の場合22.5%、360日までの運用の場合20%、720日までの運用の場合17.5%、721日を超える運用の場合15%。

(8) 輸出入取引:輸出取引は非課税。輸入取引は0.38%。

(9) 配当金および投下資本に対する利息支払いのための外国送金:非課税。

(10) ブラジル国内で発行されたクレジットカードの海外での使用:6.38%。
 

II. 州税
1. 商品流通サービス税(ICMS)
一種の付加価値税で、各州により徴収され、商品の輸入や流通取引に課せられ、通信、運輸サービスなどにも適用される。

一般的に同一州内での取引に対する税率は17%、18%、19%のいずれかが適用され、税率は州によって異なる。18%が適用されるのはサンパウロ州、ミナスジェライス州、パラナ州。19%が適用されるのはリオデジャネイロ州。その他の州の州内取引は17%。

特定製品に対しては憲法の定める範囲で各州が上記と異なる税率を定めることが認められている。サンパウロ州では25%(酒類、たばこ、香水、250cc超のバイク、レジャーボート、武器ゲーム類、スポーツ用品、娯楽用品など)、12%(肉類、小麦粉、自動車、燃料オイル類、運送サービス、工業機器、情報処理機器など)、7%(米、パン、大豆、卵、ソーセージなど)の特定税率を定めている。

異なる州間の取引では、移送元の州と移送先の州により税率は12%または7%。サンパウロ州、リオデジャネイロ州など南東部・南部諸州から北部・北東部・西部地域内の州およびエスピリットサント州への州間取引の税率は7%。その他の州間取引の税率は12%。州内取引の税率を統一しようとの改正案が以前から検討されており、現状においては、2017年から数年掛けて、税率を4%に統一する案が上院で議論されている。

外国への輸出取引ではICMSは非課税となっている。

なお、2012年4月26日付決議13/2012号により、2013年1月1日以降の州間をまたがる輸入品の取引に対する税率が原則として、一律4%に統一されている(輸入品の州間の取引時の課税方式を変更したもので、輸入時のICMSの課税方式は従来と変更なし。輸入部品と国産部品から作られた製品に関しては、輸入部品の比率が40%を超える場合には、全体が輸入製品として扱われる。また、国内で生産される類似製品がない一部の輸入製品の州間取引については通常の12%または7%が適用される。国産製品の州間取引の課税方式は従来と同じ)。

2. 自動車保有税(IPVA)
自動車保有者に対して課せられる。車種、排気量、州により課税額が異なる。サンパウロ州の場合、アルコール、電気、天然ガスを燃料とする自動車およびフレックスカーの税率は3%、バスおよびバイクは2%、トラックは1.5%、ガソリンを燃料とする自動車などその他の自動車は4%。サンパウロ市では低公害車の普及を促すため、電気自動車およびハイブリッド車の所有者に対し、州税である自動車保有税の50%に相当する金額を市の予算から還付する制度を2015年にスタートさせている。
  
3. 相続・譲渡税(ITCMD)
資産や権利の譲渡、相続の際に課せられる。税率は州により異なり、上限は8%。サンパウロ州の税率は4%。現金や不動産などには一定額まで非課税枠が設定されている。サンパウロ州の2015年の非課税枠は、相続のうち預貯金では21,250レアル、譲渡のうち現金によるものは53,125レアル。なお、全国財務政策審議会(Confaz)は2015年8月に、課税率上限を現行の8%から20%に引き上げる案を上院に提出している。


III. 市税
1. 都市不動産所有税(IPTU)
都市部の不動産の時価に対し算定。 税率は不動産の所在地と用途により異なる。サンパウロ市の場合、居住用建物に対する税率は1%、非居住用建物は1.5%。不動産価額により割引または割増される。
  
2. 生存者間不動産譲渡税(ITBI)
生存者間の不動産ならびに不動産に対する権利の譲渡に対して累進的に課税される。税率は不動産の所在地により異なる。サンパウロ市の税率は2%。ただし、住宅金融システム(SFH)の融資を受けている不動産の場合、制限額までの税率は0.5%。
  
3. サービス税(ISS)
役務提供を行う法人や個人独立業者の受取対価に対して課せられ、サービス提供者の所在する市により課税される。課税対象となるサービスの種類および税率は市により異なり、最大で5%、最低で2%。サービスの輸出の場合には非課税となっている。例えば、サンパウロ市のサービス税は平均で5%だが、近隣のバルエリ市、コチア市、ポア市などのサービス税は平均で2%。


IV. 社会負担金
社会負担金は国民の健康や年金および弱者救済を目的として徴収されるもので、雇用主、労働者、公共団体の行う宝くじの収入等から負担。負担額は法人の売上高や利益に対して算定され、徴収は連邦国税庁によって行われるため、税金に準じたものとして捉えられている。
  
1. 社会保険融資負担金(COFINS)
社会保障や医療、福祉の財源に充てられる。すべてのサービスや商品の総売上高に対して、法人税の納付形式が累積型では3%、累積排除型(付加価値税方式)では7.6%の負担が課せられる。サービスおよび財の輸入取引も課税対象となる。輸出額は課税標準額から外すことができる。なお、輸入品に対するCOFINSの税率は2015年5月に7.6%から9.65%に引き上げられた。また、2015年7月から累積排除型の企業の金融収益に対し4%の課税が行われている。
  
2. 社会統合計画分担金(PIS)・公務員厚生年金(PASEP)
PISは民間企業の労働者の、PASEPは公務員や軍人の失業保険や金銭的援助の財源に充てられる。民間企業の場合、法人税の納付形式が累積型では総売上高に対して0.65%、累積排除型(付加価値税方式)では1.65%の負担が課せられる。輸入取引も課税対象となるが、輸出額は課税標準額から外すことができる。なお、輸入品に対する社会統合計画分担金(PIS)の税率は2015年5月に1.65%から2.1%に引き上げられている。また、2015年7月から累積排除型の企業の金融収益に対し0.65%の課税が行われている。
  
3. 法人利益に対する社会負担金(CSLL)
国内に住所を有するすべての法人と法人格の扱いを受ける者に負担義務がある。財源は社会保険に充てられる。負担金標準額は、法人税の税引き前利益を元に計算され、法人所得税と同時に支払う。一般法人の負担率は9%。金融機関・保険会社等の負担率は、2015年9月に従来の15%から20%に引き上げられたが、2019年に15%に戻される。

4. 特別財源負担金(CIDE)
国産技術開発促進負担金(通称としてCIDE-TecnologiaやCIDE-Royalties、CIDE-Remessa ao exteriorの名前で呼ばれる)と、燃料負担金(CIDE-Combustível)の2種類がある。
前者は海外へのロイヤルティーの支払いなど、海外居住者からの技術移転、技術援助、管理部門支援、ブランドの使用許可・供与、パテントの開発許可・供与の契約等に対する支払いに対し課せられる。課税標準額は送金額に法人所得源泉税額などを含んだ金額で、負担率は10%。なお、これらの費用を海外に送金する際には、源泉税も徴収される(源泉税の税率は15%。日本への送金の場合には日伯租税条約が適用となり税率は12.5%)。

後者はエタノールを含む石油・ガス関連製品の輸入・国内販売に対して課せられ、負担額は製品種類ごとに1m2あるいは1トン当たりで決められている。物価上昇を抑制する観点から2012年6月から燃料負担金の負担率はゼロになっていたが、2015年2月からガソリン1リットル当たり0.22レアル、ディーゼル燃料1リットル当たり0.15レアルの徴税が再開している。

5. 暫定金融取引負担金(CPMF)
1997年1月から2001年3月まで続いた負担金で、現金および小切手の振り出し、当座預金口座からの引き出しに対し課税されていたことから「小切手税」とも呼ばれていた。個人および法人が課税対象。2015年9月、政府は議会に対し暫定金融取引負担金復活の提案書を提出。政府提案では2019年末までの暫定期間に対する租税として位置付けており、年金財源の不足金の補てんに充てられる予定。税率は0.2%でスタート。税率を0.38%に引き上げ、0.18%に相当する税収は州と市の税源に振り分ける案が検討されている。
  
6. その他負担金(主なもの)
(1) 社会保険院(INSS)への負担金
INSSは基本的な社会保障サービス(具体的には、公的な健康保険、年金など)に係る徴収システムで、社会保障の他、教育・職業訓練機関等に係る負担金が統合されたもの。被雇用者(従業員)、個人事業者(企業の経営者本人含む)および雇用主(法人)が徴収対象となる。

被雇用者(従業員)については、給与支払い時に天引きされる。2015年度の負担率はひと月の受取給与が1,399.12レアルまでは8%、2,331.88レアルまでは9%、4,663.75レアルまでは11%。4,663.75レアルを超える場合には上限額の513.01レアルを負担。なお、ブラジルではINSSを180カ月以上納付した場合、男性では55歳、女性では60歳に達すると年金受給が可能となる。
※年金納付の最低期間を男性では35年、女性では30年とし、年金納付期間と年金受給時年齢の合計が男性では95年、女性では85年に達した時点で年金支給を開始するとする暫定令676号が2015年9月には下院で、同年10月には上院で可決された。暫定令は2019年以降2年ごとに、納付期間と年齢受給時年齢の合計年数を順次引き上げ、2027年までに合計年数が男性では100年、女性では90年にするとしている。

 

企業の経営者等の納付率は役員報酬月額に対し11%で、負担額上限は513.01レアル。個人事業主の納付率は月間収入の20%で、負担額上限は932.75レアル。

雇用主(法人)については、従業員への支払い給与額の20%(金融・保険会社では22.5%)。さらに業務の危険度に応じ1%、2%、3%のいずれかの労働災害リスクに対する追加負担が課せられている。また、建設業、輸送業、自動車部品業界、プラスチック業界、繊維業界、医薬品業界、医療・歯科医療業界等の特定56業種では、課税標準を売上高とし1%あるいは2%の負担金の支払いが定められている(2015年12月から上限が売上高に対し4.5%に引き上げられている)。

雇用主(法人)は他にも国家教育負担金(Salário-Educação)、商工サービス業会負担金(SESI/SESC)、職業訓練所負担金(SENAI/SENAC)などの支払い義務を負い、雇用主(法人)の負担額は合計で支払給与額に対し約29%となる(業種などにより異なる)。
 
(2) 勤続年数保証基金(FGTS)
各従業員の給与支払額に対して雇用主に課せられ、負担率は8%。例外として法令11.180号に定める見習い契約労働者に対する負担率は2%。この納付金は、従業員名義のFGTS専用口座に預金される。2001年以降は、社会負担金として0.5%の支払いも課せられている。

従業員を正当な理由なしに解雇した場合、FGTS残高の40%を雇用主は従業員に対し支払う義務を負う。2001年以降はさらにFGTS残高の10%を社会負担金として納めることになっている。

従業員は正当な理由なくして解雇された時や会社が倒産した時、年金の受給を開始した時、3年間以上に亘りFGTSの支払いを受けていない時、住居を購入するとき、70歳に達した時、死亡した時などに専用口座に積み立てられた残高の引き出しが認められる。



<移転価格税制>
1997年から導入。様々なブラジル特有の規則が存在。実際の運用に当たっては解釈が不明確な点が多い。

ブラジルでは移転価格税制は1997年度に導入された。経済協力開発機構(OECD)ガイドラインを規範としておらず、日本や米国などのOECD加盟国の移転価格算定方法とは異なった、様々なブラジル特有の規則が存在している。OECDガイドラインとの主な違いとして、[1] 税務当局に対する事前確認制度が導入されていない、[2] 取引製品や取引単位ごとに移転価格分析をしなくてはいけない、[3] 価格の算定において固定的な利益率が定められている、[4] 移転価格税制が適用される国外関連者等の定義範囲が広い、等が挙げられる。

独立企業間価格の算定方法としては、次の3つがあり、納税者は最も有利な算定方法の選択が可能。
1. 独立価格比準法(PIC法)
2. 再販売価格基準法(PRL法)
3. 原価基準法(CPL法)
移転価格算定方法の名称はOECDモデルで使用されているものに近似しているが、多くの点で相違点があり、全世界的な移転価格税制対応の際にはブラジルに対してだけは個別の対応が必要となる場合がある。


<零細・小企業向け簡易税務申告制度(Simples Nacional)>
零細企業・小企業を対象とした簡易税務申告制度が2006年にスタート。複数の税金を一度に支払うことが可能で税負担も軽減。年間売上高が360万レアルまでの企業が対象となるが、業種による制限がある。

零細・小企業に対する優遇措置として、税制を簡素化したシステム“シンプレス・ナシオナル(零細・小企業向け簡易税務申告制度)”が2006年にスタート。制度がスタートしてからこれまでに約900万の中小・零細企業が“シンプレス”に移行したとみられている。
“シンプレス”が適用となると、法人所得税(IRPJ)・工業製品税(IPI)・PIS/COFINSやCSLLといった連邦税・社会負担金や、市税であるサービス税(ISS)など8種類の税金を1つの書類で支払うことができ、通常よりも税負担額が軽減される。Sabrae(ブラジル中小企業支援機構)では、“シンプレス”に移行した場合、最大で40%程度まで税の負担額が軽減されるとみている。“シンプレス”適用企業の年間売上限度額は制度がスタートした2006年以降徐々に増額され、2015年は年間売上高が360万レアルまでの企業を対象としている。
“シンプレス”の適用対象となる業種の範囲も徐々に拡大されている。“シンプレス”の適用企業は業種によりカテゴリーIからVIに分類され、売上高ごとに規定された税率が適用される。税率は年初からの累計売上高が増えるに従い段階的に引き上げられる。

※2015年9月、“シンプレス”適用企業の年間売上高の上限を引き上げる案が下院を通過した。同案では2017年から零細企業の年間売上高上限を従来の36万レアルから90万レアルに、中小企業は同360万レアルから720万レアルに、2018年から製造メーカーの年間売上高上限を従来の720万レアルから1,440万レアルに引き上げるとしている。

   

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