トランプ大統領の存在は影響するか
注目の米州知事選(2)
2026年4月22日
2024年大統領選挙の激戦州7州のうち6州では、2026年に州知事選挙が行われる。そのうち5州(アリゾナ、ジョージア〔(1)参照〕、ミシガン、ネバダ、ウィスコンシン)とアイオワ州の州知事選挙は、クック・ポリティカル・レポート(CPR)の勝敗予想格付けで接戦と予想されている。
本稿の勝敗予想格付けは、CPRの4月16日付の発表に基づく。格付けは、(当選)確実、かなり優勢、やや優勢、接戦の順となる。
アリゾナ州:存在感を示す民主党現職
民主党の現職ケイティ・ホッブズ知事に対して、共和党ではアンディ・ビッグス連邦下院議員、弁護士のカリン・テイラー・ロブソン氏、デビッド・シュワイカート連邦下院議員が主な候補者だ。2月にはロブソン氏が州知事選からの撤退を発表した。同氏はトランプ氏の支持を受けていたが、撤退の理由は党内分裂を避けるためとしている。
2月の世論調査(注1)では、現職ホッブズ氏が共和党候補者をリードしている(2026年3月9日付ビジネス短信参照)。同氏は、過去4年間の州の財政赤字削減や中流家庭への減税といった実績を強調し、住宅価格の低迷を選挙戦の重点課題としてきた。また、州兵を南部国境に派遣する取り組みもアピールしている。
CPRの選挙予想では接戦とされているが、別の選挙予想サイトであるレース・トゥ・ザ・ホワイトハウス(Race to the WH)は、民主党にとって「やや優勢」と予想している。
アイオワ州:州議会選挙の好結果で勢いづく民主党
アイオワ州では、2008年と2012年の大統領選挙では民主党のバラク・オバマ元大統領が勝利した一方、2016年以降3回の大統領選挙はいずれも共和党ドナルド・トランプ氏が制している。共和党の現職キム・レイノルズ氏は再選を目指さず、立候補しない。
同州で最後に民主党知事が選出されたのは2006年だが、第2次トランプ政権期の州議会特別選挙で好結果が続いたことで(注2)、民主党は勢いづいている。
民主党からは、ロブ・サンド州監査官が立候補している。共和党では、トランプ氏を強く支持するランディ・フィーンストラ連邦下院議員が有力だ。しかし、保守派の中には、フィーンストラ氏が保守派の優先事項に忠実でないという見方もあり、MAGAはトランプ氏に対し、フィーンストラ氏を含むいずれの候補者も支持しないよう要請しているという。
CPRは4月、勝敗予想を共和党にとって「やや優勢」から「接戦」へと変更した。
ネバダ州:共和党現職に迫る民主党候補
ネバダ州では、共和党の現職ジョー・ロンバード氏が2期目を目指して立候補している。トランプ氏はロンバード氏を支持しており、自身のSNSへの投稿で「知事として、ロンバード氏は経済成長、減税と規制の削減、チップへの課税(所得税および社会保険税〔FICA税〕の課税対象)撤廃、米国産製品の推進、そして米国のエネルギー優位性の確立に向けて精力的に戦っている」と後押ししている。
民主党の有力候補はアーロン・フォード州司法長官だ。フォード氏は2月、トランプ氏の一般教書演説に対するコメントを発表し、ネバダ州の経済状況の悪化はロンバード氏とトランプ氏の経済政策に起因すると指摘した。
3月の州知事選を想定した世論調査(注3)では、ロンバード氏の支持率が39%、フォード氏が38%と僅差だ。
ウィスコンシン州:混戦が予想される民主党予備選
ウィスコンシン(WI)州では、現職のトニー・エバース知事(民主党)が再選を目指さず立候補しない。民主党からは8人、共和党からは2人の候補者が立候補している。
民主党の主な候補者は、サラ・ロドリゲス副知事、マンデラ・バーンズ前副知事、フランチェスカ・ホン州下院議員、デビッド・クローリー氏(ミルウォーキー郡行政官)だ。候補者が多く、まだ有力候補が定まっていない。民主党の予備選を想定したマーケット大学の3月の世論調査(注4)では、未定の回答が65%と多数を占め、候補者を決めかねている様子がうかがえる。
一方、共和党ではトム・ティファニー連邦下院議員が有力で、トランプ氏は同氏を支持している。
TIPPインサイツの3月の世論調査(注5)によれば、州知事選を想定した問いで、ロドリゲス氏とバーンズ氏の支持率がティファニー氏をやや上回った。
そのほか、接戦と予想されるミシガン州では、民主党の現職グレッチェン・ウィットマー知事は任期満了により立候補しない。民主党ではジョスリン・ベンソン州務長官が主要候補とみなされている。共和党の有力候補はジョン・ジェームス連邦下院議員だ。加えて、デトロイト市長のマイク・ダガン氏が無所属で立候補しており、さらに複雑な展開となっている。
そのほかの州をみると、カンザス州では、任期満了により立候補しない民主党の現職ローラ・ケリー知事の空席について、共和党が優勢とされる同州では、共和党にとって保守派の知事を選出する機会とみられている。 バージニア大学の政治研究センターであるサバトのクリスタル・ボールは3月、アリゾナ、ジョージアなど6州の知事選の選挙予想をより民主党優位に変更した(2026年3月23日付ビジネス短信参照)。民主党にやや優位な展開になりつつあるとはいえ、共和党が踏みとどまる可能性もあり、各州で民主・共和両党のせめぎ合いが続く。
- 注1:
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ノーブル・プレディクティブ・インサイツが2026年2月23~26日に実施した世論調査。対象はアリゾナ州の登録有権者1,023人。
- 注2:
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2025年8月、12月、2026年1月の州上院の特別選挙で、いずれも民主党候補が勝利した。
- 注3:
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ノーブル・プレディクティブ・インサイツが2026年3月10~13日に実施した。対象はネバダ州の登録有権者845人。
- 注4:
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実施時期は2026年3月11~18日。対象はWI州の登録有権者850人。
- 注5:
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実施時期は2026年3月13~19日。対象はWI州の登録有権者1,495人。ロドリゲス氏対ティファニー氏:44%対41%。バーンズ氏対ティファニー氏:43%対41%。
注目の米州知事選
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- 執筆者紹介
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ジェトロ調査部米州課
松岡 智恵子(まつおか ちえこ) - 展示事業部、海外調査部欧州課などを経て、生活文化関連産業部でファッション関連事業、ものづくり産業課で機械輸出支援事業を担当。2018年4月から現職。





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