政策の牽引で成長を加速させる北京市のエンボディドAI産業(中国)
2026年6月4日
「新質生産力」(注1)発展による経済成長を目指す中国は、人工知能(AI)の幅広い活用を推進している。AIに身体性を持たせ、現実空間で物体を操作したり、人とのコミュニケーションを通じて物理的な作業を支援したりするエンボディドAI(以下、EAI)は、次世代のテクノロジーとして注目を浴びている。
2025年3月に開催された全国人民代表大会(全人代)で行われた政府活動報告(2025年3月6日付ビジネス短信参照)で、EAIはバイオ製造、量子テクノロジー、6Gなどと並ぶ「未来産業」(2024年2月7日付ビジネス短信参照)(注2)として、発展させていくことが盛り込まれた。これにより、EAIの発展は国家戦略として位置付けられたといえる。
また、2025年10月に開催された中国共産党第20期中央委員会第4回会議(四中全会)(2025年10月27日付ビジネス短信参照)で採択された「第15次5カ年規画に対する建議」および2026年3月の全人代で採択された「同規画綱要」では、量子テクノロジー、水素エネルギー、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)、EAIなどを新たな成長分野として育成すると明記され、EAIを本格的に発展させていく方針が示された。
本稿では、AI産業の発展に注力している北京市におけるEAIの発展に向けた取り組みや、関連企業の動向について紹介する。
EAIの発展に向けた政策が相次ぐ
北京市は中国におけるAIイノベーションの発信地として、EAIを次世代AI開発の中核的な方向性と位置付け、思考をつかさどる「大脳」、運動制御を担う「小脳」、物理的な「本体」が連携するという技術的アプローチを進めている。同市は科学技術分野での強みを背景に、中国全土をリードするEAIのイノベーション拠点を構築すべく、技術革新、応用シーンの拡大、産業エコシステムの整備などに取り組んでいる。
北京市発展改革委員会、北京市海淀区政府などは2024年6月、「中国におけるEAIイノベーションハブの構築に向けた3カ年行動プラン(2024~2026年)」を発表した。同プランでは、目標として2026年までにEAI分野の先端技術で飛躍的進歩を実現することが掲げられた。さらに、国際水準のマルチモーダル大規模モデル(テキスト、画像、音声など異なる種類の情報をまとめて処理するAIモデル)と多様な形態のロボットの開発、国際競争力を持つリーディングカンパニーの育成が挙げられた。
具体的には、(1)「大脳」「小脳」「脳と身体の協調」に関する技術革新、(2)人型・四足ロボットを中心としたロボット本体の研究開発・応用への支援およびセンサー、減速機などコア部品技術の飛躍的進歩、(3)訓練データベース、コンピューティング能力、インキュベーション施設の整備などによるイノベーションプラットフォームの整備、(4)研究・工業・医療・消費などの分野における実証を通じた応用シーンの拡大、(5)「専精特新企業」(注3)とユニコーン企業の誘致・育成や産業パークの設立による産業クラスターの形成、(6)人材・資金・標準などを含むエコシステムの構築といった6分野から成る支援策が打ち出されている。
また、2025年2月に発表された「北京市におけるEAIの技術革新と産業育成に向けた行動プラン(2025~2027年)」では、2027年までの目標として、EAIにおける「大脳・小脳」モデル、チップ、全身運動制御などの分野で、100件以上のコア技術の飛躍的進歩を実現し、産業チェーン全体を基本的に国産化するとした。
これに加え、世界モデル・シミュレーション(注4)、データ収集、パイロットテストのための新たなイノベーションプラットフォームの構築や、産業チェーンを構成するコア企業を50社以上育成することが挙げられた。さらに、研究・教育、工業・商業、カスタマイズサービスの3分野で100件以上の大規模な応用を実現し、1,000億元(約2兆2,000億円、1元=約22円)規模の産業クラスターの育成を目指すとした。
同プランは2025年以降の3年間における北京市のEAI発展に向けたロードマップと位置付けられ、技術革新、イノベーションプラットフォームの構築、応用シーンの拡大、産業エコシステムの最適化といった4分野17項目の措置が盛り込まれた(表1参照)。
| 分野 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 技術革新 | マルチモーダル融合認識技術の飛躍的進歩 | 大学・研究機関と企業の連携により、多様なセンサーやモダリティーを統合する感知技術を高度化し、視覚・言語・動作を統合した高効率かつ信頼性の高い認識・理解手法を確立し、EAIロボットの知覚・理解能力の向上を図る。 |
| 「脳」となる大規模モデルの開発 | マルチモーダル基盤モデルを基にEAI「大脳」モデルを開発し、認識・推論・計画・制御などの中核能力を統合・高度化することで、複雑な作業や動的環境に柔軟に対応できるロボットの適応力と汎用(はんよう)性を向上させる。 | |
| 「小脳」モデルの高度化 | 企業の技術革新主体としての役割を強化し、ロボットのスキル基盤を拡充し、複雑な作業における操作能力の向上やリアルタイムな判断能力、環境適応能力の持続的向上を実現する。 | |
| ロボットの運動制御の高度化 |
|
|
| 主要部品の技術革新と供給力の強化 |
|
|
| 国産の高性能チップの研究開発 |
|
|
| イノベーションプラットフォームの構築 | 世界モデル・シミュレーション基盤の構築 |
|
| 高品質データ収集プラットフォームの共同構築 |
|
|
| EAIロボットの実証プラットフォームの建設 |
|
|
| 実環境を活用したオープンなテスト・検証プラットフォームの整備 |
|
|
| 応用シーンの拡大 | 研究開発・教育分野における応用の拡大 |
|
| 工業・商業分野における大規模な社会実装の加速 |
|
|
| 個別ニーズに対応したサービスの先行的展開 |
|
|
| 産業エコシステムの最適化 | フルスタック人材の育成体制の構築 |
|
| ハイレベルな国際協力の推進 |
|
|
| 企業の段階的な育成の強化 |
|
|
| 産業集積地の構築 |
|
出所:「北京市におけるEAIの技術革新と産業育成に向けた行動プラン(2025~2027年)」
さらに、北京経済技術開発区管理委員会は2025年8月、「EAIロボットのイノベーション発展に向けた若干の措置」を発表した(表2参照)。同措置では、技術開発、製品化、量産化、応用拡大など、産業エコシステムの全段階をカバーする10項目の支援策が盛り込まれた。
具体的には、「大脳」「小脳」「本体」におけるコア技術の研究開発に対し最大で投資総額の20%を補助することや、データのオープンソース化の推進に向け、年間1億元の「データクーポン」を発行し、企業のデータ購入に対して年間取引額の10%を補助する(1社当たりの年間補助上限額は100万元)とした。
また、ロボットの応用拡大を支援するため、顕著なモデルケースとなるロボット応用シーンについて、応用シーンの提供者とロボットを納入した企業に対し、それぞれロボット購入費用の30%と20%を補助する(1件当たり最大500万元)とした。
このほか、ロボット専門ファンドの設立や、保険料やリース料の補助といった多様な金融支援も行われる。
| 政策 | 発表主体 | 発表時期 | 詳細 |
|---|---|---|---|
| 中国におけるEAIイノベーションハブの構築に向けた3カ年行動プラン(2024~2026年) | 北京市発展改革委員会、北京市海淀区政府など | 2024年6月 |
2026年までに次の(1)~(3)を実現 (1)EAI分野の先端技術における飛躍的進歩 (2)国際水準のマルチモーダル大規模モデルと多様な形態のロボットの開発 (3)国際競争力を持つリーディングカンパニーの育成 |
| 北京市におけるEAIの技術革新と産業育成に向けた行動プラン(2025~2027年) | 北京市科学技術委員会、中関村科技園区管理委員会など | 2025年2月 |
2027年までに次の(1)~(5)を実現 (1)EAIにおける「大脳・小脳」モデル、チップ、全身運動制御などの分野で、100件以上のコア技術の飛躍的進歩 (2)産業チェーン全体の基本的な国産化を実現 (3)世界モデル・シミュレーション、データ収集、パイロットテストのための新たなイノベーションプラットフォームの複数構築 (4)産業チェーンを構成するコア企業50社以上の育成 (5)研究・教育、工業・商業、カスタマイズサービスの3分野で100件以上の大規模な応用を実現し、1,000億元規模の産業クラスターを育成 |
| EAIロボットのイノベーション発展に向けた若干の措置 | 北京経済技術開発区管理委員会 | 2025年8月 |
|
出所:各発表内容を基にジェトロ作成
前述のとおり、北京市においてはEAIの発展に向けた方針および支援策が次々と打ち出されており、同市を中心としたEAIエコシステム拠点の形成が進みつつある。
政策が産業エコシステムの構築を牽引
これらの手厚い政策支援により、企業は北京市内において、研究開発から製造、ロボットトレーニング、テスト、実用化に至るまで、各段階のパートナーと協業できる環境が整いつつある。
清華大学や北京大学、中国科学院など中国トップクラスの大学・研究機関が集積する海淀区は、EAI産業の拠点となっている。
海淀区政府によると、同区には2025年2月時点でEAI関連企業が297社、そのうちロボット関連企業が167社、人型ロボット完成機メーカーが22社集積している。また、EAI・ロボット関連の専攻を設置する大学は21校にのぼる。
世界ロボット大会(注5)や世界初の人型ロボットハーフマラソン(注6)の開催地である北京経済技術開発区(北京亦庄)は、ロボット産業の集積地として、ロボット本体やスマート製造の関連企業が300社余り集積している(注7)(表3参照)。また、同区では全域を現実世界のデータ収集フィールドとして開放し、スーパーや病院など約1,000カ所の実社会の現場から収集した膨大なデータをオープンソースとして業界に提供している。これにより、各社のEAIモデル訓練やロボットのインテリジェント化を支援している。
| 分野 | 社名 | 設立年月 | 概要 |
|---|---|---|---|
| プラットフォーム | 北京人型ロボットイノベーションセンター | 2023年11月 |
|
| 大脳・小脳 | 霊初智能 | 2024年9月 | 汎用EAI、VLA大規模モデル、巧緻な操作アルゴリズムを中核技術として研究開発に注力し、業界初となるエンドツーエンドの強化学習型モデル「Psi R0」「R0.5」「R1」を開発・確立した。 |
| 北京星源智機器人科技 | 2025年8月 | 物理世界におけるマルチモーダル知覚やEAI世界モデル、知覚・意思決定・計画を一体化したモデルを網羅するフルスタック型のEAI技術体系を構築し、多様なロボット本体に対応可能な汎用大脳モデルの開発に取り組んでいる。 | |
| 本体(フルスタック型) | 北京小米機器人技術 | 2023年4月 | 小米(シャオミ)グループにおいてバイオミメティック(生物模倣)ロボット技術の研究開発および事業化を担う。四足歩行ロボット「CyberDog」、等身大の人型ロボット「CyberOne」、新型四足ロボット「CyberDog 2」を発表している。 |
| 北京銀河通用機器人 | 2023年5月 | マルチモーダルな大規模モデルをベースにしたロボットの開発に注力している。2024年6月には初代人型ロボット「Galbot G1」、2026年1月には産業用途向けの知能型高荷重ロボット(重量物をハンドリング・搬送するロボット)「Galbot S1」を発表し、商業、工業、医療などの分野に幅広く応用されている。 | |
| 北京源絡科技 | 2023年7月 | EAIロボットの研究開発と製造を行うロボティクス企業。同社開発のMonteシリーズは、複数の末端機器に対応するモジュラー型の汎用ロボットで、さまざまな用途向けの柔軟性を重視した「Monte01」、高自由度構成で精密タスクに対応する「Monte02」などを展開している。 | |
| 北京星動紀元科技 | 2023年8月 | EAIの脳と本体の統合型フルスタックの自社開発を推進している。自社開発のVLAモデル「ERA-42」はロボットの全身および巧緻な五本指ロボットハンドの制御を実現している。中核製品のフルサイズ二足歩行ロボット「星動L7」および巧緻なロボットハンド「星動XHAND1」は物流、製造などの分野で応用されている。 | |
| 星海図(北京)人工智能科技 | 2023年9月 | EAIの基盤モデルおよびロボット開発に注力している。AIアルゴリズムとロボット本体の協調的な開発を中核とし、コアモジュールからロボット本体、データ、エンドツーエンド基盤モデル、シーン別ソリューションに至るまで、フルスタックで一貫して自社開発している。 | |
| キーコンポーネント | 中科寒武紀科技(カンブリコン) | 2016年3月 | AI半導体メーカー。クラウドからエッジ、デバイスまで、あらゆる環境に対応する一連のAIチップ製品を提供し、AIチップとその性能を最大限に引き出す基盤ソフトウエアを一体開発することで、最適なパフォーマンスを実現している。また、AIモデルの学習と推論の双方に対応する製品ラインアップを構築し、AIの幅広い活用シーンを支える統合的な技術体系を備えている。主力製品はAIチップ「思元」シリーズやソフトウエア開発プラットフォーム「NeuWare」などである。 |
| 北京因時機器人科技 | 2016年5月 | 微細・高精度なモーションコントロール技術を専門とし、関連部品の研究開発・製造を行っている。代表的な製品には独自のサーボ制御技術を応用したマイクロサーボ電動シリンダーと人型五本指巧緻ロボットハンドがあり、微細化・高精度・力制御技術などの面で優位性を持ち、ロボットをはじめとする各種機械装置のアクチュエーターとして幅広く採用されている。 | |
| 摩爾線程智能科技(北京) | 2020年6月 |
|
|
| 北京霊足時代科技 | 2023年11月 | ロボット用一体型関節モジュールの研究開発・製造を行っている。モーター、減速機、駆動制御の全てを自社で設計・開発できる垂直統合能力により、高性能、高耐久性かつ小型の一体型モーターモジュールを実現している。同製品は、人型ロボットや四足歩行ロボットのほか、電動車両や芝刈りロボットなどの多様な自動化製品の動力性能を革新するキーコンポーネントとして、豊富な納入実績がある。 |
出所:各社発表などを基にジェトロ作成
このうち、北京人型ロボットイノベーションセンターは、北京市におけるEAIの産業エコシステムを構築・牽引する中核プラットフォームとして、重要な役割を担っている。
同センターは2023年11月に、優必選科技(UBTECH)、北京京城機電、北京小米機器人技術(シャオミロボット)など業界を代表する企業が共同で設立した。2024年10月には、工業情報化部(工信部)と北京市が共同で設立した「国家・地方共同建設EAIロボットイノベーションセンター」へと格上げされ、主要技術および製品のオープンソース化、業界標準体系の策定、産学連携、応用実証などを通じて、EAIロボットのエコシステム形成を推進している。
また、同センターは、2024年4月に汎用人型ロボットのプラットフォーム「天工」、2025年3月に世界初の「一脳多能」(1つの脳にさまざまな機能を搭載)、「一脳多機」(1つの脳に複数の機器を装備)を実現した汎用EAIプラットフォーム「慧思開物」をそれぞれ公開した。
さらに、2025年12月には、EAIの中国国家標準テストを通過した中国初のVLA(視覚・言語・動作)大規模モデル「XR-1」、ロボット操作データセット「RoboMIND2.0」、高精度デジタルアセットデータセット「ArtVIP」をオープンソース化した。
このほか、同センターでは、中国科学院や中国情報通信研究院などの研究者による専門家委員会を設立し、技術開発の方向性を策定するとともに、脚式ロボットの性能評価方法、データ収集規範、人型ロボットの知能レベル分類など、多数の国家・業界標準の策定を主導している。
また、北京星動紀元科技は2023年8月に設立された清華大学発のスタートアップ企業で、EAIの脳と本体の統合型フルスタックの自社開発を推進している。同社はフルサイズの二足歩行人型ロボット「星動L7」や、高機能ロボットハンド「XHAND1」、車輪型サービスロボット「星動Q5」などを展開している。
同社が開発したエンドツーエンド型VLAモデル「ERA-42」は、ロボットの全身動作および五本指を備えたロボットハンドを統合的に制御することを実現している。
同社によると、同水準の技術を実現しているのは中国では同社のみであり、世界全体でも計4社にとどまるとされる。具体的には、米国企業であるフィギュアのモデル「Helix」、テスラの「Grok」、エヌビディアの「GR00T」などが挙げられる。
また、社会実装面では、「ERA-42」は既に物流、製造、商業サービスの各分野で実用化されている。物流分野では、「ERA-42」を搭載したロボットが医薬品や小包の仕分けおよびバーコード読み取り作業を担い、浙江省や深セン市の倉庫、中国税関の越境物流の現場で応用されている。
そのほか、2026年1月には、同社は中国宅配大手の順豊控股(SFホールディング)の傘下企業である順豊科技と正式に提携契約を締結し、宅配便、倉庫保管などの物流シーンに焦点を当て、EAIロボット技術ソリューションの研究開発と応用普及を共同で推進すると発表した。
各分野での応用が進行中
北京市では、水インフラ管理の高度化を目的としたスマート水管理計画の一環として、EAIロボットの導入が進められている。
石景山汚水処理場で運用されている自律走行型の車輪式巡回点検ロボットはその一例であり、カメラによる周囲環境の認識に基づき、障害物を自律的に回避しながら施設内を巡回する機能を備えている。
また、ガス検知用の「電子鼻」センサーを搭載することで、特殊ガスを遠隔で検知することが可能となる。収集されたデータはAIプラットフォームを用いてリアルタイムで分析され、異常が検知された際には警報が発信される。
こうしたEAI技術の活用は医療分野にも広がっている。北京市衛生健康委員会の発表によると、首都医科大学附属北京潞河医院の心臓センターチームは、2024年8月に介入ロボットシステムを用いて冠動脈の複雑病変に対する介入手術を実施し、冠動脈造影、血管内画像診断、重度石灰化病変への治療に至るまでの一連の工程をロボットの支援で完了させた。これは、冠動脈介入手術全体をロボット技術で実施した中国国内初の事例とされている。同病院は2026年1月時点までに、同様の手術を500件以上実施した。
加えて、北京市海淀区における海王星辰薬局の丹稜街店において、2026年3月、EAIロボット開発を手掛ける北京銀河通用機器人(銀河通用)が開発した人型ロボット「GALBOT」が医薬品販売ロボットとして実稼働を開始した。同社によると、これは、中国における医薬品小売分野で初めてEAIロボットを導入した事例である。このロボットは、70平方メートルの薬局店舗内で24時間体制で稼働し、受注からピッキング、梱包(こんぽう)、在庫補充、棚卸しまで、販売プロセスの全自動化を実現している。1注文当たりのピッキング処理時間は約1~2分で、1日当たりの最大処理件数は370件に達している。
薬局での作業風景(銀河通用提供)
北京市発展改革委員会によると、2025年の北京市におけるAI中核産業の規模は4,500億元に達する見込みである。前述の事例にみられるように、EAIの応用がより広い分野へと展開されることで、北京市のAI産業の成長が一層押し上げられると見込まれる。
- 注1:
-
イノベーション主導で、従来型の成長モデル・アプローチから脱却し、ハイテク、高効率、高品質を特徴とする先進的な生産力を指す。
- 注2:
-
最先端の技術によって牽引され、現在、萌芽(ほうが)段階または産業化の初期段階にあり、戦略性が高く、リードする力が強く、破壊的な影響力を持ち、不確実性が大きく、将来性のある新興産業を指す。
- 注3:
-
専門性を有し、精密な技術力を持ち、独自性のある、革新的な中小企業を指す。
- 注4:
-
世界モデルとは、ヤン・ルカン氏らが提唱する次世代AIの概念。従来のAI(LLM)に欠けていた「物理的な常識」を学習させることで、AIが物理世界の仕組みを内部でシミュレーションし、「次に何が起こるか」を予測する機能を指す。人型ロボットが複雑な現実環境で自律的に動くためのカギとして注目されている。
- 注5:
-
世界ロボット大会は、2015年に北京市で初開催されて以降、ロボット技術や産業動向、応用分野に関する最新成果の発信や交流の場として発展してきた。2025年大会は「ロボットをより賢く、EAIをより高度に」をテーマに、フォーラム、展示会、競技大会が同時に開催され、国内外から200社以上のロボット関連企業が参加し、100件超の新製品が初公開された。
- 注6:
-
2025年4月、北京市亦庄で人間のランナーと人型ロボットが一緒に走る初のハーフマラソン大会が開催された。大会には全国から約20チームの人型ロボットが参加し、優勝は北京人型ロボットイノベーションセンターの「天工Ultra」で、約2時間40分で完走した。2026年の同大会は4月に開催され、全国から100以上のチームによる人型ロボットが参加した。優勝は栄耀終端(HONOR〔オナー〕、通信機器大手の華為技術〔ファーウェイ〕から独立したスマートフォンメーカー)のチームの「閃電」で、約50分で完走した(2026年4月27日付ビジネス短信参照)。
- 注7:
-
集積している関連企業数については、北京市科学技術委員会・中関村科技園区管理委員会の2026年2月時点の発表による。
- 執筆者紹介
-
ジェトロ・北京事務所
張 敏(ちょう びん) - 1999年、ジェトロ・北京事務所入構。2004年10月より調査業務に従事。





閉じる





