4中全会、次期5カ年規画に対する建議採決、「科学技術強国」の建設提言
(中国)
北京発
2025年10月27日
中国共産党の第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)が10月20~23日に開催され、最終日の23日にコミュニケ
が発表された。会議では、次の5年間(2026~2030年)の計画となる「国民経済と社会発展の第15次5カ年規画」の制定に関する共産党中央委員会による建議を審議・採決し、習近平総書記(国家主席)が「建議(討論稿)」を解説する講話を行った。
コミュニケでは、第15次5カ年規画で、経済・社会の発展の目標における基礎として次の7項目を挙げた。
- 質の高い発展において顕著な成果を得る
- 科学技術の自立・自強を著しく向上させる
- 改革の全面的深化において新たな突破口を開く
- 社会文明を著しく向上させる
- 人民生活の質を継続的に向上させる
- 美しい中国の建設で新たな進展を遂げる
- 国家安全保障のさらなる強化
さらに、コミュニケでは各分野に関し、次のような提言を行った。
- 現代産業システムの構築と実体経済の基盤強化(注1)。
- 高水準の科学技術の自立・自強を加速し、「新質生産力」の発展を牽引(注2)
- 強大な国内市場の構築と新たな発展パターンの構築を加速(注3)
- 高水準の社会主義市場経済体制の構築を加速し、高水準の発展の動力を強化
- ハイレベルな対外開放を拡大し、国際協力とウィンウィンな関係の新たな局面の開拓(注4)。
- 農業・農村の近代化を加速し、農村の全面的振興の着実な推進
- 地域経済の体制の最適化と地域間協調による発展の推進(注5)
- 全民族の文化創造によるイノベーション活力の喚起、社会主義文化の繁栄と発展の促進
- 民生の保障と改善を強化し、全人民の「共同富裕」の着実な推進(注6)
- 経済・社会の発展における全面的グリーン化の加速と「美しい中国」の建設
- 国家安全システムと能力の近代化の推進、さらに高水準の「安全な中国」の建設
- 国防と軍隊の近代化の質の高い推進
中国共産党中央委員会は24日に記者会見を実施した。商務部の王文涛部長は会見で、対外開放は改革を推進する上で重要なツールであり、自主的で積極的な開放の継続、貿易の革新的発展の推進、双方向の投資協力空間の拡大を次期5カ年規画で推進すると説明した。また、科学技術部の陰和俊部長は同会見で、2035年までに科学技術強国を建設するという戦略目標を掲げ、科学技術分野のリーディング企業の育成・拡大を図り、ハイテク企業や科学技術型中小企業の発展を支援するとした。
(注1)実体経済の経済発展を優先し、インテリジェント化、グリーン化、融合化を堅持し、製造強国、品質強国、航空宇宙強国、交通強国、ネットワーク強国への発展を加速させるとしている。また、製造業の合理的バランスの維持や、先進製造業を中核とする現代産業システムの構築、伝統産業の最適化・高度化、新興産業と未来産業の育成・強化、サービス産業の高品質かつ効率的な発展の促進、現代インフラシステムの構築を掲げている。なお、新質生産力とは、技術の革命的なブレークスルー、生産要素のイノベーティブな配置、産業構造の深い転換・レベルアップにより生み出される先進的な生産力とされる。
(注2)教育強国、科学技術強国、人材強国の建設を推進することで、イノベーション力の強化、独創的創造力の強化、コア技術への挑戦、科学技術イノベーションと産業イノベーションの融合の推進、科学人材教育の発展の促進、デジタル中国の建設の推進を掲げている。
(注3)内需拡大という基礎戦略を堅持し、民生の向上と消費の促進、財への投資と人材への投資を密接に結びつけるとしている。消費を力強く拡大し、効果的な投資を拡大し、全国統一市場の建設での障害を断固として排除するとした。
(注4)制度的開放を着実に拡大し、多国間貿易体制の順守、国際循環の拡大、開放を通じた改革発展の促進、世界各国と機会の共有を掲げている。また、自主的な対外開放を積極的に拡大し、貿易の革新的発展を促進し、双方向の投資協力の余地を拡大し、質の高い「一帯一路」構想を構築するとした。
(注5)地域協調発展戦略、地域重大戦略、主体機能区戦略、新型都市化戦略の相乗効果を発揮し、主要生産力の配置を最適化させるとした。また、海洋の開発・利用・保護の強化も示した。
(注6)雇用の安定と促進の強化、重点分野の雇用安定、賃金未払い問題の解決、基本的公共サービスの充実などを挙げた。
(亀山達也)
(中国)
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