生成AIの発展に伴う米国の重要鉱物戦略の動向

2026年7月2日

生成人工知能(AI)の急速な普及や半導体需要の急増に伴い、データセンターの建設や運用に必要となる電力、冷却、蓄電インフラへの需要が大きく拡大している。これにより、電力用途としての銅、蓄電池向けのリチウム、半導体や関連機器に用いられるレアアース、半導体材料となるガリウムなど、重要鉱物への需要も同時に押し上げられている。

本稿では、第二次トランプ政権の鉱物資源政策の動向を整理し、米国における鉱物サプライチェーン強化が、地域的な産業集積およびエコシステムにどのような影響をもたらすのかを分析する。

第2次トランプ政権における米国の鉱物政策

ドナルド・トランプ大統領は2025年3月20日、「米国内での鉱物生産能力を増強する大統領令」に署名した。鉱山開発から分離・精錬、磁石や素材の製造までの一貫したサプライチェーンを米国内で確立し、外国依存度を引き下げることを目的にしている(2025年3月24日付ビジネス短信参照)。これに基づき、許認可制度の改革、関係省庁間の調整機能の強化、政府資金による産業支援へと段階的に施策が展開された。その後、2025年4~10月、商務省は1962年通商拡大法232条(注1)に基づく調査を重要鉱物に対して実施した(2025年4月16日付ビジネス短信参照)。その結果、米国が重要鉱物の供給を過度に外国に依存しており、国家安全保障上の懸念となっていることが確認された。これを受け、2026年1月、トランプ大統領は重要鉱物の輸入量調整に向け、各国・地域などとの交渉を指示する大統領布告を発表した(2026年1月16日付ビジネス短信参照)。2月には、54カ国・地域が参加して重要鉱物閣僚会合が開催され(2026年2月5日付ビジネス短信参照)、重要鉱物の採掘から産業への活用、通商ルールに至るまでの国際的枠組みが提案・議論された。

一方、エネルギー省(DOE)は、重要鉱物サプライチェーンの強化に向け、2025年8月に、採掘、回収、精錬、材料、リサイクルに至るサプライチェーン全体を対象とした約10億ドル規模の資金提供機会通知(NOFO)を発表した。これは公募型の資金支援であり、民間企業・団体などが提案する実証・商業化段階のプロジェクトに対し、一定の自己負担を求めつつ支援する仕組みだ。国内サプライチェーンの再構築と同時に、民間投資の誘導を図る。DOEはその後、分野ごとに個別のNOFOを順次発出している(表1参照)。

表1:第2次トランプ政権による鉱物関係政策の動き注1:重要鉱物およびレアアースのサプライチェーンを、安全で強靭(きょうじん)かつ分散化された構造へと転換するために米国と同盟国が連携する多国間枠組み。 注2:重要鉱物やエネルギー資源から、先端製造、半導体、AIインフラ、物流に至るまで、安全で繁栄し、イノベーションを原動力とするシリコンサプライチェーンを構築することを目的とした米国主導のイニシアチブ。
時期 政策 内容
2025年1月 大統領令「米国のエネルギーを解き放つ」 重要鉱物、レアアースなどの国内サプライチェーン強化の方針を明確化
2025年3月 大統領令「米国内での鉱物生産能力を増強する」
  • 重要鉱物に、銅・ウラン・金・カリウムなども加え、広義の鉱物に対象を拡大
  • 重要鉱物・エネルギー政策について、国家エネルギー優位評議会(NEDC)を中心に、支援配分・案件選定・規制調整を行う機能設計・権限付与
  • 許認可の迅速化
  • 国防生産法(DPA)適用拡大
2025年4月 許認可迅速化対象10のプロジェクト指定 国内生産の拡大に向け、10の重要鉱物採掘「透明性プロジェクト」を選定、許認可プロセスを公開、効率化と予見可能性の向上
2025年4月 232条調査開始 輸入依存度の高い鉱物に関税・輸入制限を検討
2025年8月 エネルギー省(DOE):総額約10億ドル規模の資金提供機会通知(NOFO)(公募型資金支援、競争的助成)を発表 重要鉱物・関連材料(CMM)の5分野のサプライチェーン強化に関してNOFOを実施
2025年10月 他国との鉱物協力枠組み強化 豪州、日本と重要鉱物の安定供給加速にかかる二国間協力強化に合意
2025年11月 DOE:3億5,500万ドルのNOFO発出 鉱副産物からの鉱物回収(2億7,500万ドル)と次世代採掘技術(8,000万ドル)を支援
2026年1月 大統領布告:232条措置の具体化 商務省による232条調査報告を受け、加工済み重要鉱物およびその関連製品の輸入依存が国家安全保障上の脅威と認定。ただし即時課税は見送り、同盟国・同志国との交渉開始を指示
2026年2月 重要鉱物閣僚会合の開催 同盟国・同志国において、重要鉱物のサプライチェーンと市場ルールを構築する枠組み「FORGE(注1)」の開始と、重要鉱物から半導体・AIまでをつなぐ「パックスシリカ(注2)」との連携を提案・協議
2026年3月 DOE:5億ドルのNOFOを発出 最大5億ドルで、電池材料加工、リサイクル、製造能力拡張を支援
2026年4月 DOE:CMMアクセラレーター(技術開発支援)を開始 6,900万ドル規模で精錬・回収・半導体材料技術を支援(ガリウム、炭化ケイ素SiCなど)
2026年5月 日米印豪(クアッド)での重要鉱物関係の枠組みを発表 日米豪印重要鉱物イニシアチブ枠組みで200億ドル規模の投資プロジェクトを支援

注1:重要鉱物およびレアアースのサプライチェーンを、安全で強靭(きょうじん)かつ分散化された構造へと転換するために米国と同盟国が連携する多国間枠組み。
注2:重要鉱物やエネルギー資源から、先端製造、半導体、AIインフラ、物流に至るまで、安全で繁栄し、イノベーションを原動力とするシリコンサプライチェーンを構築することを目的とした米国主導のイニシアチブ。

出所:米国政府発表からジェトロ作成

このアプローチの転換は、重要鉱物に関する米国政府の支援手法の変化にも表れている。第1次トランプ政権からバイデン政権初期にかけては、ライナス(Lynas、本社:オーストラリア)などレアアース分離工場への補助金や政府による買い取り契約(オフテイク契約)(注2)など、民間投資を後押しする間接的支援が中心だった。一方、第2次トランプ政権では、融資、補助金付与、投資、NOFO、オフテイク契約、さらには国防生産法(DPA)に基づく価格保証などの手段を組み合わせ、政府が価格リスクや投資リスクの低減などに直接関与するかたちで支援の幅を拡大している(表2参照)。重要鉱物のサプライチェーンの強靭化に向けて、民間投資の誘導や市場形成などに積極的に関与する政府の姿勢がうかがえる。

表2:第2次トランプ政権によるレアアース関連の主な政府支援
支援対象 事業分野 時期・金額 支援手段・法 内容
MPマテリアルズ(MP Materials) 分離・精製・磁石製造 2025年7月、4億ドル相当 価格保証(DPA) レアアース分離・精製・磁石製造能力強化を支援。国防生産法(DPA)に基づく価格保証(アップルも5億ドルを投資)
リチウム・アメリカズ(Lithium Americas) 鉱山(リチウム) 2025年10月、22億6,000万ドル 融資(DOE) DOEが、22億6,000万ドルのワラント付融資(同社およびJVの5%ずつのワラント(新株予約券)を取得)
トリロジー・メタルズ(Trilogy Metals、カナダ) 鉱山(銅・コバルトなど) 2025年10月、3,560万ドル 出資(DPA) アラスカ州アンバー地区の銅・コバルト。その他重要鉱物の探索・開発に向けて、3,560万ドルの出資(株式10%取得)。バイデン政権が中止した道路敷設を再承認
バルカン・エレメンツ(Vulcan Elements)、リエレメンツ・テクノロジー(ReElement Technologies) 精錬・材料 2025年11月、7億5,000万ドル 融資(DPA)、出資(CHIPSプラス)、民間投資 DPAに基づく7億ドルの融資、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく5,000万ドル相当の出資(株式取得)、および民間資金5億5,000万ドルを組み合わせた総額13億ドル相当の官民連携支援
USAレアアース(USA Rare Earth) 採掘~磁石製造 2026年1月、13億ドル 補助金、融資(CHIPSプラス) レアアース含有鉱物の採掘から、酸化物・金属への加工、ネオジム鉄ホウ素(NdFeB)永久磁石の製造に対して、総額約16億ドル、内訳は2億8,000万ドル補助金と13億ドルのワラント(同社の株式の約10%相当)付融資
(参考)複数企業・案件 サプライチェーン全体 2025年8月以降、約10億ドル NOFO(DOEによる公募) 技術開発・実証(競争的助成)プロジェクトを対象に、総額約10億ドルで段階的に公募(2025年11月、2026年3月)

出所:連邦政府、企業発表からジェトロ作成

州別分業を基盤とした国内サプライチェーンの強靭化

米国における歴史的な地域分業や地域特性を前提とした、トランプ政権による政策的な方向付けにより、重要金属・材料のサプライチェーンの各主体が強化に向けた動きを強めている(表3、図参照)。

米国の鉱物資源は歴史的には西部に多く分布することが知られてきたが、南東部にも重要鉱物の分布が広く確認されており、採掘を中心とした西部と加工・製造が発達した南部・東部が結びつくかたちで発展している。重要鉱物を軸としたサプライチェーン強化に向けた動きは、米国内の政治的立場の違いを超えて共有されている。トランプ政権に対する批判の急先鋒(きゅうせんぽう)として知られるカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)からも異議を唱える動きはみられない。同知事自身も、イニシアチブをとってカリフォルニア州南部のリチウムバレー構想を発表するなど、環境へ配慮しながら、重要鉱物の供給増加に向けた取り組み姿勢を示している。

重要鉱物の主要な需要地・技術拠点としてのカリフォルニア州に対し、同じく西部のネバダ州やアリゾナ州、また南東部のテキサス州などは、資源開発や加工を担う地域と位置付けられる。中でも、ネバダ州は米国におけるリチウム資源開発の中心地だ。特に州南西部のクレイトン・バレーは、米国内で長年にわたり商業生産が行われてきたリチウム鉱床として知られる。近年では、同州において大規模鉱山開発プロジェクトも進展しており、採掘から電池製造への展開も図られている。アリゾナ州は銅資源の主要産地であるとともに、銅を多く消費する半導体の大型投資が進んでおり、資源とそれを消費する先端産業の接点となっている。テキサス州ではレアアース磁石の製造やエネルギーインフラを背景に、精製・加工分野の拠点形成が進んでいる。東部のマサチューセッツ州は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の材料・電気化学分野の研究集積などを背景に、分離・精製・回収技術の開発拠点として機能している。

表3:米国における州ごとの重要鉱物関係の機能と位置付け
主な機能 主な資源・産業 役割 戦略的位置付け
上流(採掘) ネバダ州 リチウム、電池材料 採掘、一部加工 米国リチウムの中核、電池まで統合
ワイオミング州 ウラン、レアメタル 採掘 米国最大級のウラン鉱石埋蔵量、生産量
アラスカ州 黒鉛、銅、レアアース、金 採掘(将来) 未開発資源のポテンシャル大
ノースカロライナ州 リチウム 採掘、一部加工 東海岸のリチウム供給拠点
中流(精製・加工) テキサス州 レアアース、素材加工、エネルギー 精製・加工 米国最大級の素材加工ハブ
接続(資源×製造) アリゾナ州 銅、半導体 銅の採掘、需要接続 銅採掘と半導体産業の接点
技術(R&D) コロラド州 鉱業技術、分離技術 技術開発 米国有数の鉱物・鉱業研究拠点
下流(研究開発・製造) カリフォルニア州 AI開発、テック、データセンター 需要創出 イノベーション拠点、AI開発・クラウド需要の中心、一部レアアースの採掘も実施
ミシガン州 自動車、電気自動車(EV) 製造(製品) 自動車産業が集積し、電池・資源需要大
オレゴン州 半導体(Intelなど) 製造 半導体量産拠点
ニューヨーク州 半導体、材料 製造、R&D CHIPSプラス法の支援対象案件が多い

出所:米国地質調査所(USGS)、連邦政府発表、各種資料、企業発表を基にジェトロ作成

図:米国における州ごとの重要鉱物関係の機能と位置付け

図:PDF版を見るPDFファイル(318KB)

米国地図上に、表3に基づき州名、主な資源と産業、役割、戦略的位置づけを記載したもの。

出所:USGS、連邦政府発表、各州政府資料、企業発表を基にジェトロ作成

このように、米国内では各州が異なる強みを有し、資源開発から加工・製造、研究開発・製造に至るまで各段階が分散し、相互に連携する構造が形成されている。こうした既存の分業を基盤として、サプライチェーン強化が進められている。

産業横断的に投資が拡大し、スタートアップも活発化

アマゾン、アップル、テスラなどのビッグテック企業も、銅やレアアース、リチウムといった重要鉱物への関与を強める動きをしている(表4参照)。従来は資源企業に限られていた領域に、テクノロジーなど異業種企業が関与する事例が広がっている。関与の在り方は、直接投資に限らず、VC投資、長期購入契約(オフテイク)など、多様だ。

表4:主な米国・ビッグテックによる重要鉱物・材料サプライチェーンへの関与
投資企業 主な投資・提携対象 内容・目的
アマゾン・ウェブ・サービス(AWS) リオ・ティント(Rio Tinto) 米・アリゾナ州の銅鉱山からの低炭素銅(Nuton銅)の長期購入契約。データセンター向け資材の安定確保が目的。クラウド技術・データ分析による採掘プロセスの最適化を提供する戦略的提携。
エヌビディア(NVIDIA) レッドウッド・マテリアルズ(Redwood Materials) リチウム資源リサイクル企業にVC出資。資源循環型のサプライチェーン構築とデータセンター向けの電力・資材確保が目的。
アップル(Apple) MPマテリアルズ(MP Materials) 長期オフテイク契約によりネオジム磁石製造工場(テキサス州)の新設を誘導し、リサイクル体制を共同で構築。重要部材の安定供給強化が目的。
テスラ(Tesla) ピードモント・リチウム(Piedmont Lithium)、アルベマール(Albemarle) 10年間の長期オフテイク契約。安定調達、価格リスクおよび供給リスク低減が目的。

出所:各社発表および報道からジェトロ作成

こうした重要鉱物への投資の動きは、エネルギー企業や自動車メーカーなどにも広がっている。米国のウラン大手エナジー・フューエルズ(Energy Fuels)は、従来のウラン事業に加え、近年はレアアースの分離・精錬に事業領域を拡大している。また、石油メジャーのシェブロン(Chevron)は、2025年6月にリチウム塩田プロジェクトを取得し、石油・ガス企業としての技術基盤を生かしながら、電池材料分野への参入を図っている。自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)は、国産リチウム供給の強化を目的に、鉱山事業者とのジョイントベンチャー設立や長期オフテイク契約を進めている。これらは、資源確保を通じてサプライチェーンへの関与を強めようとする企業戦略の一環とみられる。

また、官主導の資金支援や許認可迅速化を背景に、鉱物分野ではスタートアップの動きも活発化している(表5参照)。大学発スタートアップも含め、分離技術やリサイクル、資源探索分野を中心に、DOEや戦争省(国防総省、DOD)の支援のもと、大学・研究機関との連携が進展している。また、民間ベンチャーキャピタル(VC)の投資も確認される。米国調査会社ピッチブックのデータによれば、鉄鋼および鉱業分野のスタートアップへのVC投資件数は、2024年以降、増加基調にある。もっとも、市場全体への大規模な資金流入というよりは、特定領域への選別的な投資拡大として現れている。例えば、2025年1月に5億ドル規模の投資を得たコボルトメタルズなどを除き、上流のスタートアップへの個別投資は、探索的な資金供給が中心となっている。背景には、鉱物分野では採掘や精錬などの設備投資依存型が多く利益が伸びにくい一方で、探索技術やリサイクル、分離分野では比較的付加価値を生みやすいことから、後者に投資が集まりやすい構造があるとみられる。

表5:主な重要鉱物関係のスタートアップ(ーは記載なし)注:州の凡例は以下のとおり。NV(ネバダ州)、CA(カリフォルニア州)、TX(テキサス州)、MA(マサチューセッツ州)、NC(ノースカロライナ州)。
企業 内容 サプライチェーン上の機能 大学などとの関係
MPマテリアルズ(MP Materials) NV レアアースの採掘・精製・磁石製造を手掛ける 上流~下流(統合)
コボルド・メタルズ(KoBold Metals) CA AIと地質データから資源探索を行う 上流(探索) 大学・テック企業出身人材(スタンフォード大学など)
ライラック・ソリューションズ(Lilac Solutions) CA イオン交換技術により、従来に比べて効率的にリチウムを抽出 中流(抽出) ノースウェスタン大学発スタートアップ(人材)
エレメント3(Element3) TX 石油・ガス廃水からリチウムを抽出 中流(抽出、精製) オークリッジ国立研究所からの技術移転・連携
エヌ・サイクル(Nth Cycle) MA 電気化学によりニッケルやコバルト、レアアースなどを回収 中流(精製) MIT発スタートアップ
フェニックス・テイリング(Phoenix Tailings) MA 採掘廃棄物からレアアースを回収し、廃棄物ゼロ・低炭素プロセスで国内供給を構築 中流(抽出、精製、金属化) MIT発スタートアップ(MIT系人材)
ブリムストーン(Brimstone) CA ケイ酸塩岩を原料に、低炭素セメント製造+副産物としてMg・Ca系鉱物も回収 中流(精製、素材) 大学&研究所由来(カリフォルニア工科大学、ローレンス・バークレー国立研究所)
レッドウッド・マテリアルズ(Redwood Materials) NV 廃電池から金属を回収し、電池材料を製造。蓄電池事業も実施 中流+下流(リサイクル、正極材) 大学と連携(ネバダ州立大リノ校)
アメリカン・バッテリー・テクノロジー(American Battery Technology Company) NV 使用済みバッテリーから重要素材を分離・回収し、高品質の基準まで生成したリサイクル技術 循環(リサイクル、精製) 大学と共同研究(ネバダ州立大リノ校)
バルカン・エレメンツ(Vulcan Elements) NC レアアース酸化物を原料にNdFeB磁石を製造 下流(材料・部品) 大学人材(セントラルフロリダ大学)

注:州の凡例は以下のとおり。NV(ネバダ州)、CA(カリフォルニア州)、TX(テキサス州)、MA(マサチューセッツ州)、NC(ノースカロライナ州)。

出所:各社のプレスリリース、ウェブサイトなどを基にジェトロ作成

日本も公的・民間投資・提携が続く

日本も、米国での重要鉱物の確保に向けて具体的に動き始めている。経済産業省所管のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2025年10月、米国のレアアース関連企業であるリアロイズ(REAlloys)と、日米レアアース・サプライチェーン強化に向けて戦略的合意(MOU)を締結した。同社の鉱山で採掘したレアアースを、日本の分離・加工技術を用いて磁石製造を行うことが主な内容だ。民間企業による投資や提携も進められている。三菱商事は2025年8月、米国アリゾナ州の銅山の権益を取得し、2029年頃に年産最大10万トン規模の供給を行う。三菱マテリアルは2026年3月、米国のリエレメント・テクノロジーズ(ReElement Technologies)に出資し、レアアース・レアメタルのリサイクルや分離分野で協業する。三井物産は2026年、エボリューション・エナジー(EVelution Energy)と契約し、コバルトの精錬においてオフテイク契約を締結した。

こうした動きから、日本企業による対米重要鉱物戦略も、銅・リチウムなどの鉱山権益取得にとどまらず、分離・精製やリサイクルなど中流領域での提携や協業など、多様な形態へと広がっていることがうかがえる。米国の重要鉱物政策が、他国企業の行動にも影響を及ぼし始めていることを示している。


注1:
国家安全保障上の観点から、特定品目の輸入が国内産業基盤に影響を及ぼすと判断された場合、大統領が関税引き上げや輸入制限措置を講じることを可能とする規定。国内生産の維持や供給確保を目的として適用される。 本文に戻る
注2:
将来生産される製品について、特定の買い手が一定量の購入を約束する長期契約。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ・サンフランシスコ事務所 ディレクター
芦崎 暢(あしざき とおる)
民間企業にて海外事業立ち上げなどを担当後、2018年ジェトロ入構。ECビジネス課、デジタルマーケティング部、ジェトロ名古屋を経て、2023年8月から現職。