トランプ米大統領、232条に基づき重要鉱物の協定交渉を指示、将来的な関税賦課の可能性残る
(米国)
ニューヨーク発
2026年01月16日
米国のドナルド・トランプ大統領は1月14日、商務長官と米国通商代表部(USTR)代表らに対して、重要鉱物の輸入量調整に向け、各国・地域との交渉を指示する大統領布告を発表
した。1962年通商拡大法232条に基づく措置となる。ホワイトハウスは、布告の概要のファクトシート
も公表した。トランプ政権2期目で開始された232条調査のうち、追加関税の賦課が定められなかったのは初めて。いったん、関税の適用は回避されたが、各国・地域との交渉結果や状況によっては、将来的に追加関税などの輸入制限措置が講じられる可能性は残されている。
商務省はトランプ氏の指示を受けて、2025年4月に重要鉱物に関する232条調査を開始し(2025年4月16日記事参照)、商務長官は10月24日に報告書を大統領に提出した。報告書では、重要鉱物・派生品が米国の防衛・商業サプライチェーン全体に深く組み込まれており、先端兵器からエネルギーインフラ、日常消費財に至るまで、広範な分野で重要な役割を果たしていると指摘した。同時に、米国が重要鉱物の供給を外国に過度に依存しており、国内生産能力が弱体化しているほか、重要鉱物の市場価格の変動の大きさに直面していることなどを指摘し、現在の輸入量および輸入状況が米国の国家安全保障を損なう恐れがあると判断した。報告書を踏まえてトランプ氏は、商務長官およびUSTR代表らに次の措置を指示した。
- 輸入量調整に向けた貿易相手国との協定の交渉を推進する。交渉を通じて、重要鉱物の取引の最低価格設定や貿易制限措置の導入を検討する。
- 交渉の結果と状況を布告発表から180日以内に大統領に報告する。大統領は報告の内容に応じて、関税など輸入調整措置を講じる可能性がある。
トランプ政権はこれまでに、オーストラリア(2025年10月23日記事参照)、マレーシア、タイ(2025年10月28日記事参照)、日本(2025年10月29日記事参照)、サウジアラビア(2025年11月25日記事参照)とそれぞれ重要鉱物やレアアースの供給確保で協力する覚書や枠組みを発表している。背景にあるのは、中国による重要鉱物やレアアースの輸出管理強化による供給途絶への懸念で、今回の布告の発表は、有志国との協定や枠組みをさらに拡大することを意図しているとみられる。
(葛西泰介)
(米国)
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