米国務省、重要鉱物閣僚会合を初開催、バンス副大統領が重要鉱物特恵貿易圏の創設を提案

(米国、日本、EU、メキシコ)

ニューヨーク発

2026年02月05日

米国国務省のマルコ・ルビオ長官は2月4日、首都ワシントンで重要鉱物閣僚会合を初開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。日本を含む54カ国および欧州委員会が参加した。ルビオ氏は会合の冒頭で、サプライチェーンの多様化を通じた重要鉱物の安定供給の重要性を強調外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

国務省の発表によると、ルビオ氏は鉱物資源安全保障パートナーシップ(MSP、2024年7月1日記事参照)の後継として「FORGE」の創設を発表した。参加国は、重要鉱物サプライチェーンを強化する取り組みを推進する。議長は韓国が6月まで引き続き担う。発表ではまた、政府単独では重要鉱物サプライチェーンの課題を解決できないことを認識するとして、採掘・精製・加工、最終用途、リサイクル・再処理への投資を主導する「パックス・シリカ(Pax Silica)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の枠組みを通じ、民間セクターとの緊密な連携を約束すると記した。

会合には、J.D.バンス副大統領も参加し、同盟国や友好国による「重要鉱物特恵貿易圏」の創設を提案した。具体的には、生産の各段階において重要鉱物の最低価格を設定し、関税を用いて公正な市場価値を反映した市場をつくると説明した。貿易圏に参加する国に対しては米国産業基盤へのアクセスを保証すると同時に、貿易圏全域での生産拡大を図ると述べた。

会合の後、米国通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表は、重要鉱物に関するメキシコとの行動計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本とEUとの共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。メキシコとの行動計画では、60日以内に、重要鉱物輸入に対する最低国境調整価格の導入など通商政策での協調、多国間重要鉱物貿易協定における最低価格設定の実現可能性などを協議すると定めた。グリア代表は声明で、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の共同見直しを控える中、本行動計画は、志を同じくするパートナーとの2国間協力を強化し、サプライチェーンの強靭(きょうじん)性を高める重要な一歩だ」と述べた。

日本とEUとの共同声明では、重要鉱物サプライチェーン強化を目的とした覚書を、今後30日以内にEUと締結すると定めた。日本とは2025年10月に枠組みに署名しており(2025年10月29日記事参照)、これらを基盤として、米国、EU、日本で重要鉱物貿易に関する行動計画を策定し、有志国との多国間貿易イニシアチブを検討するとした。多国間貿易イニシアチブには、最低国境調整価格や価格差補助金などが含まれる。国務省の発表によれば、米国は2月4日に11カ国と新たな2国間重要鉱物枠組みまたは覚書に署名した(注)。

なお、ドナルド・トランプ大統領は2月2日に、米国輸出入銀行(EXIM)が最大100億ドルを直接融資し、重要鉱物の戦略的備蓄を行う「プロジェクトボールト」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。米国の重要鉱物サプライチェーンは中国に依存していることから、対中関係のチョークポイントとなっている。重要鉱物サプライチェーンの多様化・強靭化は、米国の喫緊の課題の1つとなっている。

(注)国務省の発表では、アルゼンチン、クック諸島、エクアドル、ギニア、モロッコ、パラグアイ、ペルー、フィリピン、アラブ首長国連邦(UAE)、ウズベキスタンが例示されている。そのほか、過去5カ月間で10の重要鉱物枠組みまたは覚書に署名し、さらに17カ国と同様の協定交渉を完了させた、と記載している。

(赤平大寿)

(米国、日本、EU、メキシコ)

ビジネス短信 fb4a53c375b7c3d6