乗用車新車登録、国内生産ともに電動車が前年比大幅増(チェコ)

2026年6月16日

チェコの2025年の乗用車新車登録台数は、経済成長の加速と消費者の購買意欲増大を背景に前年比7.4%増となった。中でもハイブリッド車部門〔ハイブリッド車(HEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)〕とバッテリー式電気自動車(BEV)はそれぞれ32.5%増、26.3%増と大幅に増加し、新車登録台数全体の拡大に大きく寄与した。

一方、2025年の乗用車の国内生産台数は144万5,776台で、過去最高を記録した前年から0.5%減と微減したものの、前年に次ぐ過去2番目の記録となった。うちBEVとPHEVを合わせた電動車の生産台数は前年比88.7%増と大幅に増加し、全生産台数に占める電動車の割合も、前年の10.4%から19.7%に拡大した。

2025年の新車登録台数は前年比7.4%増

2026年2月5日付チェコ自動車輸入者連盟(SDA)の発表資料(チェコ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.13MB)によると、2025年の乗用車の新車登録台数は24万8,719台で、前年比7.4%増となった。2020年以降で最も多い台数となり、コロナ禍前の2019年の水準(24万9,915台)に回復した(表1参照)。

表1:2015~2025年の乗用車新車登録台数の推移(単位:台、%)(△はマイナス値)
項目 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年
登録台数 230,857 259,693 271,595 261,437 249,915 202,971 206,876 192,087 221,422 231,600 248,719
前年比 20.0 12.5 4.6 △3.7 △4.4 △18.8 1.9 △7.1 15.3 4.6 7.4

出所:チェコ自動車輸入者連盟(SDA)

2025年の登録台数を月別に見ると、特に下半期(7~12月)は前年同月の実績を上回り、12月には前年同期比21.1%と、年間最高の伸び率となった(表2参照)。また、9月、10月の月間登録台数は、1993年のチェコ共和国独立以降で最大を記録した。

表2:2025年の月ごとの乗用車新車登録台数の推移(単位:台、%)(△はマイナス値)
項目 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2024年 20,361 18,328 18,916 19,546 19,736 22,334 17,452 17,084 18,242 21,070 20,641 17,890 231,600
2025年 19,347 17,773 22,566 21,226 19,519 22,208 20,817 17,611 21,370 23,298 21,317 21,667 248,719
前年同月比 △5.0 △3.0 19.3 8.6 △1.1 △0.6 19.3 3.1 17.1 10.6 3.3 21.1 7.4

出所:チェコ自動車輸入者連盟(SDA)

登録台数増加の要因について、SDAから分析を請け負う大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、経済成長の加速(2026年3月5日付ビジネス短信参照)と実質賃金の上昇、消費者の景況感上昇、および企業の購買意欲増大の継続を挙げている(2026年1月7日付プライスウォーターハウスクーパース資料参照〔チェコ語〕PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〔1.72MB〕)。

トヨタは3位を維持

2025年の新車登録台数をメーカー、ブランド別に見ると、トップは引き続き地場系のシュコダ〔フォルクスワーゲン(VW)グループ〕で全体の33.7%を占めた(表3参照)。前年比でも7.4%増と堅調な伸びを示した。2位から4位も前年同様、現代(8.3%)、トヨタ(7.5%)、VW(6.7%)が占めた。5位には前年比24.1%増と大幅な伸びを示したダチア(4.7%)が前年の6位から浮上し、前年5位の起亜(4.4%)と入れ替わった。

表3:メーカー、ブランド別チェコ国内新車登録台数(単位:台、%)(△はマイナス値、ーは値なし)
メーカー、ブランド 2024年 2025年
台数 台数 構成比 前年比
シュコダ 78,097 83,890 33.7 7.4
現代 20,309 20,678 8.3 1.8
トヨタ 18,994 18,626 7.5 △1.9
フォルクスワーゲン 15,555 16,589 6.7 6.7
ダチア 9,422 11,693 4.7 24.1
起亜 10,743 10,871 4.4 1.2
メルセデス・ベンツ 8,061 8,364 3.4 3.8
フォード 6,601 7,842 3.0 18.8
ルノー 5,495 7,396 2.4 34.6
BMW 5,459 5,779 2.3 5.9
プジョー 5,063 5,406 2.2 6.8
MG 4,101 4,678 1.9 14.1
ボルボ 5,025 4,501 1.8 △10.4
アウディ 3,951 4,355 1.8 10.2
クプラ 2,138 4,200 1.7 96.5
オペル 3,419 3,656 1.5 6.9
シトロエン 2,863 3,396 1.4 18.6
スズキ 3,512 3,376 1.4 △3.9
KGモビリティ(旧双竜) 3,379 2,964 0.9 △34.8
日産 1,291 1,968 0.8 52.4
テスラ 3,716 1,943 0.8 △47.7
レクサス 2,326 1,908 0.8 △18.0
ホンダ 1,398 1,584 0.6 13.3
マツダ 1,769 1,465 0.6 △17.2
ジェイクー 0 1,251 0.5
セアト 1,582 976 0.4 △38.3
ランドローバー 951 959 0.4 0.8
三菱 812 955 0.4 17.6
スバル 841 908 0.4 8.0
ポルシェ 633 784 0.3 23.9
合計(その他含む) 231,600 248,719 100 7.4

出所:チェコ自動車輸入者連盟(SDA)

ハイブリッド車部門とBEVが大幅増

PwCは前述の分析で、2025年の乗用車新車登録台数の拡大には、ハイブリッド車を含む電動車の需要増大も影響したと指摘している。ハイブリッド車部門(HEVとPHEV)の登録台数は6万8,171台で、前年比32.5%増となった(表4参照)。新車登録台数全体に占める割合は前年の22.2%から27.4%に上昇した。メーカー、ブランド別のトップは依然としてトヨタで、前年比19.9%増の1万4,200台だった。車種別では、トヨタ「カローラ」が前年トップのシュコダ「オクタビア」を抑えて首位に浮上、以下、「オクタビア」、トヨタ「RAV4」「ヤリス(ヤリス・クロス含む)」と続いている。

表4:メーカー、ブランド別ハイブリッド車部門(HEVとPHEV)登録台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー、ブランド 2024年 2025年
台数 台数 構成比 前年比
トヨタ 11,845 14,200 20.8 19.9
シュコダ 5,881 8,718 12.8 48.2
メルセデス・ベンツ 4,629 4,985 7.3 7.7
ダチア 1,452 4,965 7.3 241.9
BMW 3,887 4,383 6.4 12.8
ボルボ 4,001 4,066 6.0 1.6
スズキ 3,509 3,366 4.9 △4.1
フォード 3,278 3,300 4.8 0.7
ルノー 1,666 2,893 4.2 73.6
レクサス 2,218 1,881 2.8 △15.2
プジョー 518 1,826 2.7 252.5
日産 1,041 1,802 2.6 73.1
ホンダ 1,362 1,555 2.3 14.2
現代 793 1,346 2.0 69.7
マツダ 1,521 1,337 2.0 △12.1
フォルクスワーゲン 227 1,218 1.8 436.6
MG 216 1,177 1.7 444.9
オペル 59 981 1.4 1562.7
レンジローバー 474 517 0.8 9.1
スバル 304 473 0.7 55.6
三菱 389 437 0.6 12.3
ランドローバー 421 384 0.6 △8.8
起亜 421 349 0.5 △17.1
合計(その他含む) 51,432 68,171 100.0 32.5

出所:チェコ自動車輸入者連盟(SDA)

2025年のBEVの新車登録台数は1万3,806台で、前年比26.3%増となった(表5参照)。新車登録台数全体に占める割合は前年の4.7%から5.6%に上昇した。メーカー、ブランド別ではシュコダが前年比約3.2倍の5,259台と大きく伸ばし首位となった。一方、前年首位のテスラは前年比47.7%減と大幅に減少して2位に後退した。以下、VW、現代、フォードと続いている。車種別では、シュコダ「エルロック」が首位、シュコダ「エニヤック」が2位となった。

運輸部門における研究開発を担う運輸省外郭団体・運輸研究センター(CDV)のインドジフ・フリッチ前所長は、BEV登録台数の増加傾向の要因に関して、「2024年は国立開発銀行(NRB)の法人向けゼロエミッション車購入支援プログラム(2024年3月28日付ビジネス短信参照)が重要な役割を果たしたのに対して、2025年は新型モデルや改良版モデルの発売、特にシュコダの新型『エルロック』や改良版の『エニヤック』、テスラの『モデルYジュニパー』などの市場投入が大きく影響した」と指摘している。

国内の充電インフラ整備も着実に進んでいる。CDV発表のデータによると、2025年末時点の公共充電施設数は3,713(充電器数6,544)で、2024年末の2,986(同5,309)から増加した。

一方、燃料電池車(FCV)の新車登録台数は21台(いずれもトヨタ「ミライ」)で、前年は新規登録がなかったが、広範な普及には至っていない。FCV用の公共水素ステーションも、CDVのデータによると、国内で稼働しているものは依然3カ所にとどまっており、整備が進んでいない状態だ。

2025年の生産台数は前年比微減も、過去2位を記録

2026年1月27日付チェコ自動車工業会(AutoSAP)の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2025年の国内乗用車生産台数は144万5,776台で、過去最高を記録した前年から0.5%減と微減したものの、コロナ禍前の2018年(143万7,396台)を上回り、過去2番目の記録となった(図1参照)。

図1:乗用車生産台数の推移(2010~2025年)
2010年107万2,263台、2011年119万4,981台、2012年117万4,267台、2013年112万8,473台、2014年124万6,506台、2015年129万8,236台、2016年134万4,182台、2017年141万3,881台、2018年143万7,396台、2019年142万7,563台、2020年115万2,901台、2021年110万5,223台、2022年121万7,787台、2023年139万7,816台。2024年145万2,881台、2025年144万5,776台。

出所:チェコ自動車工業会(AutoSAP)

電動車の生産台数が大幅に増加

BEVとPHEVを合わせた電動車の2025年の生産台数(注)は前年比88.7%増と大幅に増加し、28万5,176台に達した(図2参照)。これに伴い、全生産台数に占める電動車の割合も、前年の10.4%から19.7%に急増した。

図2:電動車(BEV、PHEV)生産台数の推移(2021~2025年)
2021年はBEV 7万2,169台、PHEV 4万9,093台、2022年はBEV 8万7,086台、PHEV 4万7,858台、2023年はBEV 13万571台、PHEV 5万316台、2024年はBEV 11万3,232台、PHEV 3万7,930台、2025年はBEV 22万4,383台、PHEV 6万793台。

出所:チェコ自動車工業会(AutoSAP)

2025年の実績をメーカー別に見ると、国内最大手のシュコダ・オートの生産台数は94万7,140台で、前年比5.6%増となった(表6参照)。うち電動車は23.2%に当たる21万9,509台(BEV:18万9,386台、PHEV:3万123台)で、前年比で約2.3倍と大幅な伸びを示した(表7参照)。特にBEVは、2025年1月にコンパクトSUVタイプの「エルロック」の本格生産が開始されたことを受けて、前年比136.9%と急増した。一方、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・チェコ(TMMCZ)の生産台数は22万2,461台で、前年比1.2%減の微減となった。同社は2025年9月にBEVの生産を開始すると発表し(2025年9月17日付ビジネス短信参照)、さらに同年11月には、コンパクトカー「ヤリス」に続いて(2021年11月12日付ビジネス短信参照)、小型車「アイゴX」のハイブリッドモデルの生産を開始した。AutoSAPによると、2025年11月以降、同社の生産はハイブリッドモデルのみとなっている。また現代チェコ(現代自動車グループ)の生産台数は27万6,175台にとどまり、前年比16.5%減少した。特に下半期における需要の低下が影響したと指摘している。同社の電動車生産台数はBEVが3万4,997台、PHEVが3万670台で、電動車が占める割合は23.8%と、シュコダ・オートをわずかに上回った。

表6:乗用車の国内生産、販売、輸出台数 (単位:台、%)(△はマイナス値)

2024年
メーカー 生産 前年比 国内販売 前年比 輸出 前年比
シュコダ・オート 896,933 3.7 84,476 △3.8 812,457 4.5
TMMCZ 225,058 17.0 2,623 △20.0 222,435 17.6
現代チェコ 330,890 △2.8 14,824 1.9 316,066 △3.0
合計 1,452,881 3.9 101,923 △3.5 1,350,958 4.5
2025年
メーカー 生産 前年比 国内販売 前年比 輸出 前年比
シュコダ・オート 947,140 5.6 91,791 8.7 855,349 5.3
TMMCZ 222,461 △1.2 1,913 △27.1 220,548 △0.8
現代チェコ 276,175 △16.5 14,286 △3.6 261,889 △17.1
合計 1,445,776 △0.5 107,990 6.0 1,337,786 △1.0

出所:チェコ自動車工業会(AutoSAP)

表7:2025年の乗用車におけるBEV、PHEVの国内生産台数 (単位:台、%)注:「全生産台数に占める割合」は各社の生産台数、「合計」はTMMCZの生産台数を含む国内全乗用車生産台数に対する割合。
メーカー 2025年
BEV 前年比 全生産台数に占める割合(注) PHEV 前年比 全生産台数に占める割合(注) 前年比 全生産台数に占める割合(注)
シュコダ・オート 189,386 136.9 20.0 30,123 81.4 3.2 219,509 127.4 23.2
現代チェコ 34,997 5.1 12.7 30,670 43.8 11.1 65,667 20.2 23.8
合計 224,383 98.2 15.5 60,793 60.3 4.2 285,176 88.7 19.7

注:「全生産台数に占める割合」は各社の生産台数、「合計」はTMMCZの生産台数を含む国内全乗用車生産台数に対する割合。

出所:チェコ自動車工業会(AutoSAP)

2025年は、乗用車の生産が好調だったのに加え、バスの生産台数が前年比26%増の5,651台となり、目覚ましい結果を達成した。こうした実績を踏まえて、AutoSAPのマルチン・ヤーン会長は「コスト上昇、不安定な需要、不確実な世界情勢の中にあっても、チェコが欧州の重要な自動車生産拠点の1つであることを証明した。特に2025年は電動化が加速し、EVの生産台数が前年比90%近く増加した。生産された乗用車の5台に1台がBEVまたはPHEVとなっている」と述べた。また、2026年の見通しに関しては、「チェコで安定した予見しやすい状況が維持されれば、生産はもちろん、イノベーションや長期的な競争力といった面においても引き続き成長が期待される」としている。


注:
チェコ自動車工業会のEV統計にはHEVは含まれない。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ・プラハ事務所
中川 圭子(なかがわ けいこ)
1995年よりジェトロ・プラハ事務所で調査、総務を担当。