2025年は販売・生産ともに増加、ブランドが多様化(ウズベキスタン)

2026年6月29日

2025年のウズベキスタンの自動車販売市場は、自動車ローンの再普及と堅調な個人消費、EV人気によって前年比5.2%増加した。生産台数も前年比7.8%増加し、市場需要に応えている。ブランド別では、国産の米シボレーブランド車が市場シェアの大半を占める構図は続くが、販売・生産シェアは微減している。代わって伸びているのが国産の韓国・中国ブランド車だ。さらに、2025年から2026年にかけて新たなブランドの自動車生産が始まりつつある。長年、シボレーブランド車の牙城であった同国市場では、国産車同士の競争が始まりつつある。

市場は拡大、国産車中心もブランドは多様化の兆し

ウズベキスタンの経済研究改革センターによると、2025年の乗用車新車の販売台数(新規登録および再登録台数)は前年比5.2%増の36万8,000台となった。自動車市場の主役は国産車で、31万5,000台と全体の85.5%を占めた。国産車のシェアは微減したが(2024年は89.2%、2023年は87.6%)、例年同様、市場シェアの大半を国産車が占める構図に変わりない。

ウズベキスタン自動車産業公社(ウズアフトサノアト)が取りまとめたブランド別の統計によると、商用車やトラックを含む2025年の自動車新車販売台数は42万7,097台(表1参照)。2024年の40万2,391台から6.1%増加した。シボレー車がシェア83.2%を占め、市場で圧倒的な地位にある。ただ、起亜やBYD、チェリーといったそのほかのブランドも着実に台数・シェアを伸ばし、ブランドが多様化しつつある。

表1:ウズベキスタン自動車のブランド別販売台数(注1)(単位:台、%)(△はマイナス値、―は値なし)注1:ウズアフトサノアトによると、販売台数には輸入車を含む。ただし、実態として把握が困難な領域が存在するため、市場全体が完全に反映されていない可能性がある。 注2:四捨五入の関係で合計は100にならない。
ブランド 2024年 2025年
台数 台数 シェア(注2) 前年比伸び率
シボレー 353,730 355,379 83.2 0.5
起亜 19,468 25,782 6.0 32.4
BYD 17,132 23,888 5.6 39.4
チェリー 7,545 11,313 2.6 49.9
ハバル 3,316 9,022 2.1 172.1
現代 199 1,018 0.2 411.6
いすゞ 317 437 0.1 37.9
その他 390 258 0.1 △33.8
ジェッタ 294
合計 402,391 427,097 100.0 6.1

注1:ウズアフトサノアトによると、販売台数には輸入車を含む。ただし、実態として把握が困難な領域が存在するため、市場全体が完全に反映されていない可能性がある。
注2:四捨五入の関係で合計は100にならない。

出所:ウズアフトサノアト発表を基にジェトロ作成

2025年の特徴は2点あると考えられる。一点目は、旺盛な個人消費を背景とした自動車ローンの再拡大だ。ウズベキスタン中央銀行の発表によると、2025年の自動車ローン融資総額は、前年比26.2%増の21兆5,600億スム(2,800億円、1スム=0.013円)に達した(図参照)。2023年に本格的に始まった自動車ローン(2024年2月21日付ビジネス短信参照)は、同年に貸し出しが急増した。一方、野放図な拡大によるリスク上昇を抑えるため、2024年には銀行の融資ポートフォリオにおける自動車ローンの上限規制や所得による借入額制限などが導入され、融資額は大幅に減少した。その後、市場が引き締めに適応し、2025年には自動車ローンが再拡大したといえる。

図:ウズベキスタンにおける自動車ローン融資額
2020年は5.59兆スム、2021年は8.50兆スム、2022年は19.60兆スム、2023年は36.56兆スム、2024年は17.08兆スム、2025年は21.56兆スム

出所:ウズベキスタン中央銀行発表を基にジェトロ作成

国際通貨基金(IMF)は2025年6月に発表した国別レポートにおいて、ウズベキスタンは高インフレや貿易政策の世界的な不透明性といったリスクを抱えながらも、民間消費が堅調に推移していることを指摘している。家計部門の安定的な成長と自動車ローンの再普及が、2025年の需要を下支えしたとみられる。

二点目の特徴は電気自動車(EV)のさらなる普及だ。経済研究改革センターによると、2025年のEV販売台数は4万700台に達し、前年比35.2%増加した。2024年が前年比43%の増加であったことから、増加率はやや安定したといえるが、2年連続で4割前後の増加が続いている。その背景には、2023年頃からウズベキスタン政府主導で進んでいるEV普及政策(2024年12月17日付地域・分析レポート参照)の存在が大きい。さらに、一定の所得を持つ消費者が内燃機関車と比べた際の電費の良さ(2026年2月20日付地域・分析レポート参照)などをメリットとして認識するなど、一部消費者にEVが受け入れつつある点も、普及拡大の要因とみられる。また、2025年6月、2026年サッカーW杯への初出場を決めたウズベキスタン代表を記念して最終予選の閉会セレモニーが開催された。そこでシャフカト・ミルジヨエフ大統領が選手らに記念品として贈呈したのは、BYDブランド車であった(「Gazeta.uz」2025年6月14日)(注1)。BYDが国内で生産されていることを踏まえ、政府が国を代表するブランドとしてBYDを位置付ける象徴的な出来事といえる。

地域全体で見ても、ウズベキスタンのEV市場の重要性は高まっている。国際エネルギー機関(IEA)の分析によると、ユーラシア地域(注2)のEV市場のうち、ウズベキスタンが約半分を占めるに至り、地域最大の市場に躍り出た。ロシアやカザフスタンといったGDP規模で上回る国々の市場と比較しても、その存在感が高まっている点は注目される。

生産も伸長、新ブランドの生産計画も

国産車が販売市場の8割以上を占めるウズベキスタンにおける生産面の状況を見る。ウズベキスタン国家統計委員会によると、2025年の乗用車生産台数は前年比7.8%増の45万7,883台となった(表2参照)。特筆すべきは、シボレー車の生産シェア低下だ。2025年の生産シェアは73.9%だが、2024年は36万7,215台で全体の86.4%、2023年は36万8,111台で全体の97.4%を占めていたことを考えると、シボレー車の生産シェアに年々低下している。台数ベースでも、2025年は前年から3万台以上の減産となった。

表2:ウズベキスタンにおけるブランド別乗用車生産台数(単位:台、%)(△はマイナス値、―は値なし)注1:一部の商用車を含む。 注2:四捨五入の関係で合計は100にならない。
ブランド(注1) メーカー・工場名 2024年 2025年
台数 台数 シェア
(注2)
前年比
伸び率
シボレー ウズオート(ホレズム工場を含む) 367,215 338,317 73.9 △7.9
コバルト ウズオート(ホレズム工場を含む) 164,887 161,152 35.2 △2.3
ダマス ウズオート(ホレズム工場を含む) 101,912 93,681 20.5 △8.1
トラッカー ウズオート(ホレズム工場を含む) 45,918 50,362 11.0 9.7
オニキス ウズオート(ホレズム工場を含む) 41,661 33,122 7.2 △20.5
ジェントラ ウズオート(ホレズム工場を含む) 12,837
起亜 ADMジザフ 19,328 26,317 5.7 36.2
チェリー ADMジザフ 6,301 9,354 2.0 48.5
BYD BYDウズベキスタン 4,004 20,200 4.4 404.5
ハバル ADMジザフ 2,473 9,344 2.0 277.8
ラーダ ADMジザフ 6
タンク ADMジザフ 50 0.0
特殊目的車両 25,481 54,301 11.9 113.1
合計 424,808 457,883 100.0 7.8

注1:一部の商用車を含む。
注2:四捨五入の関係で合計は100にならない。

出所:ウズベキスタン大統領府付属統計委員会発表からジェトロ作成

シボレー車に代わって生産を伸ばしているのが韓国・中国ブランドだ。起亜、チェリー、BYD、ハバルといったブランドが、生産のシェア・台数ともに伸ばしている。特に顕著なのがBYDだ。2024年6月にウズベキスタンでの生産を開始(2024年7月4日付ビジネス短信参照)し、生産開始初年の2024年は4,000台余りだったが、2025年通年では2万台余りとなり、5倍以上の伸びを記録した。ウズベキスタン政府がEV普及を推進する中、その主役であるBYDは、ウズベキスタン国内での生産面でも存在感を発揮し始めている。

加えて、ウズベキスタンでの自動車生産に相次いで進展がみられる。2025年6月、ウズアフトサノアトはドイツのフォルクスワーゲン(VW)との契約締結を発表した。中国製部品を使用してVWブランド車の生産を開始する。2026年5月には、ウズアフトサノアトのウルグベク・ロズクロフ会長が、VWの7車種の生産を予定していることを明らかにした(「Gazeta.uz」2026年5月22日)。また、ADMジザフは2025年12月、EVおよびハイブリッド車のCKD生産工場の建設に着手し、複数の国際ブランドの生産を始める予定だ。さらに、中国のJACと「タシケント投資会社」の合弁企業は、2026年5月にタシケントで生産工場を稼働させ、商用バンなどの生産に乗り出した。

各社が自動車生産の進展を急ぐ背景の1つには、2026年内とみられるウズベキスタンの世界貿易機関(WTO)加盟が念頭にあるとみられる(注3)。ウズベキスタン自動車ビジネス協会(ABA)は6月2日、WTO加盟による同国自動車市場への影響についての論考を発表した。ABAは、WTO加盟により輸入自動車の関税率が現行の15%から10.8%に引き下げられるというKPMGの予測を紹介した。しかし、関税引き下げには最大8年の移行期間があることや、非関税障壁としてリサイクル(廃車)税が維持されることから、大幅な価格引き下げは見込まれず、輸入車が市場を席巻する可能性は低いとみている。その上で、ウズベキスタンの自動車メーカーにとっては、自国製品の輸出や部品・原材料の輸入が容易になり、国内産業の発展につながると予測している。こうした環境は、国内での自動車生産とって追い風となる可能性がある。

他方で、市場の自由化による輸入車との競争の激化を予測する声もある。ナボイ国立鉱業技術大学のオルハ・ハピエイエワ経済経営学部教授は、WTO加盟に伴う関税の引き下げにより外国ブランド車との競争が強まり、国内企業は効率性や品質の向上を迫られると指摘する。

輸入自動車による市場への影響については見解の違いがあるものの、いずれの予測においても、WTO加盟がウズベキスタンの自動車産業の発展のきっかけ、改革の契機となると予測する。いずれにせよ、WTO加盟が1つのきっかけとなり、ウズベキスタンでの国産車生産が広がり、今後数年のうちに国産車間の競争は激しくなるだろう。

なお、ウズベキスタンの自動車生産について補足すると、米国や韓国、中国ブランドの生産は、地場企業または外資との合弁企業が手掛けている。例えば、シボレーについてはウズオート・モータースが、起亜やチェリー、ハバルについてはADMジザフが、それぞれ生産を行っている。

国産車が大半を占める中でもブランドの競争は激化

総括すると、シェアが微減しているとはいえ、国産車が市場の大半を握る様相は継続するだろう。長年市場を独占してきた国産のシボレーブランド車が、現時点もリーダーであることは間違いない。しかし、生産ブランドの多様化や消費力の向上に伴い、消費者の選択肢が急増し、シボレーブランド車一択であった状況は変わりつつある。今後は国産車間での競争がさらに激化すると考えられる。


注1:
ただし、後日、閉会式の無断開催および公式スポンサーでないBYDのプロモーションにより、ウズベキスタンサッカー連盟はアジアサッカー連盟から罰金を科された(「Gazeta.uz」2025年10月7日)。 本文に戻る
注2:
同調査ではアルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、カザフスタン、キルギス、ロシア、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンを指す。 本文に戻る
注3:
ウズベキスタンはWTO加盟を目指して各国と交渉を重ねている。2026年5月、ミルジヨエフ大統領は2026年内のWTO加盟を実現するように指示した(ウズベキスタン大統領府ウェブサイト2026年5月6日)。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ・タシケント事務所長
一瀬 友太(いちのせ ゆうた)
2008年、ジェトロ入構。ジェトロ熊本、展示事業部アスタナ博覧会チーム、ジェトロ・サンクトペテルブルク事務所長などを経て2024年7月から現職。