2022年の日中貿易は前年比で微減、輸出は2桁減で6年ぶりの輸入超過に

2023年3月29日

ジェトロが日本の財務省貿易統計と中国の海関(税関)統計を基に、2022年の日中貿易を双方輸入ベースでみたところ、貿易総額は前年比4.6%減の3,735億3,743万ドルだった(表1参照、注1、注2)。過去最高を更新した前年(注3)から減少に転じたが、2011年(3,784億2,490万ドル)に次ぐ過去3番目の金額となった。 輸出(中国の対日輸入、以下同じ)は前年比10.3%減の1,848億3,070万ドル、輸入は1.7%増の1,887億673万ドルとなった。その結果、日本の中国に対する貿易収支は、6年ぶりに輸入超過に転じ、38億7,602万ドルの赤字となった。

表1:日中貿易の推移(双方輸入ベース)(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
年月 輸出額
(日本→中国)
伸び率 輸入額
(中国→日本)
伸び率 総額 伸び率 貿易収支
2013年 162,114,236 △ 8.7 180,840,622 △ 4.0 342,954,857 △ 6.3 △ 18,726,386
2014年 162,512,019 0.2 181,038,865 0.1 343,550,884 0.2 △ 18,526,847
2015年 142,689,642 △ 12.2 160,624,606 △ 11.3 303,314,248 △ 11.7 △ 17,934,964
2016年 144,996,448 1.6 156,631,816 △ 2.5 301,628,264 △ 0.6 △ 11,635,368
2017年 164,999,696 13.8 164,542,081 5.1 329,541,777 9.3 457,615
2018年 180,234,250 9.2 173,598,618 5.5 353,832,868 7.4 6,635,632
2019年 171,514,651 △ 4.8 169,302,509 △ 2.5 340,817,160 △ 3.7 2,212,143
2020年 175,963,115 2.6 164,105,906 △ 3.1 340,069,021 △ 0.2 11,857,209
2021年 206,153,124 17.2 185,511,028 13.0 391,664,152 15.2 20,642,096
2022年 184,830,702 △ 10.3 188,706,725 1.7 373,537,427 △ 4.6 △ 3,876,023
2022年1月 16,467,847 7.2 18,543,257 11.5 35,011,104 9.5 △ 2,075,410
2022年2月 13,862,779 6.6 13,311,460 △ 3.2 27,174,239 1.5 551,319
2022年3月 17,364,213 △ 9.8 15,884,860 9.1 33,249,074 △ 1.6 1,479,353
2022年4月 15,665,083 △ 15.1 13,123,421 △ 18.4 28,788,505 △ 16.7 2,541,662
2022年5月 14,376,686 △ 13.7 15,509,421 6.6 29,886,106 △ 4.2 △ 1,132,735
2022年6月 15,882,368 △ 14.2 16,300,524 9.6 32,182,892 △ 3.6 △ 418,156
2022年7月 15,706,783 △ 9.2 16,148,857 8.6 31,855,639 △ 1.0 △ 442,074
2022年8月 15,449,316 △ 7.7 16,205,893 9.1 31,655,209 0.2 △ 756,577
2022年9月 16,518,530 △ 8.9 16,120,892 0.1 32,639,422 △ 4.7 397,638
2022年10月 14,668,216 △ 10.5 16,276,317 7.2 30,944,534 △ 2.0 △ 1,608,101
2022年11月 14,153,421 △ 24.5 16,313,852 △ 6.1 30,467,273 △ 15.6 △ 2,160,431
2022年12月 14,715,460 △ 16.5 14,967,970 △ 10.2 29,683,430 △ 13.4 △ 252,510

注1:輸出額は中国の通関統計による対日輸入額、輸入額は日本の財務省貿易統計による対中輸入額。いずれも貿易データベースGlobal Trade Atlas(ドルベース)を基に作成。
注2:伸び率は前年比および前年同月比。
注3:機械処理の関係上、他の統計とは計数の値が異なる場合がある。
参考:為替レート(円/ドル):2013年97.60、2014年105.74、2015年121.05、2016年108.66、2017年112.10、2018年110.40、2019年109.02、2020年106.78、2021年109.84、2022年131.46(米国連邦準備制度理事会発表)。
資料:Global Trade Atlasからジェトロ作成 (データ抽出日:2023年2月8日)

輸出:主要品目で軒並み減少、半導体製造用機器や集積回路などが押し下げ要因に

2022年の輸出は前年比10.3%減の1,848億3,070万ドルと、過去最高を記録した前年から減少に転じたが、2011年(1,942億9,627万ドル)に次ぐ過去3番目の金額となった。

月別の推移をみると、2022年3月以降一貫して前年同月比で減少が続いた。中国では2022年に入り、新型コロナウイルスのオミクロン株感染が複数地域で拡大。上海市では、3月末から5月にかけて封鎖管理が実施され、同市を中心に国内での生産活動や物流が停滞した。また、年後半にも複数の地域で感染拡大が散発したほか、国際商品価格の上昇や、世界経済の減速などを受けた一部商品の末端需要の低下もあり、中国における生産・消費活動が停滞。日本から中国への輸出減少の一因となったとみられる。

品目別にみると、HSコード2桁ベースで構成比1.0%以上の品目では、全品目が前年から減少。とりわけ、半導体製造用の機器などの機械類(第84類)や集積回路などの電気機器(第85類)の落ち込みが響いた(表2参照)。

表2:2022年の日本の対中輸出(中国の対日輸入) (単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値、-は値なし)
HSコード品目 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 184,830,702 △ 10.3 100.0
第85類.電気機器およびその部分品 50,225,979 △ 8.2 27.2 △ 2.2
階層レベル2の項目8542.集積回路 20,113,274 △ 10.0 10.9 △ 1.1
階層レベル2の項目8541.ダイオード、トランジスターその他これらに類する半導体デバイス、光電性半導体デバイス(光電池を含む) 4,478,460 △ 5.4 2.4 △ 0.1
階層レベル2の項目8532.コンデンサー 4,080,608 △ 9.4 2.2 △ 0.2
階層レベル2の項目8536.電気回路の開閉用、保護用または接続用の機器 3,694,477 △ 14.0 2.0 △ 0.3
階層レベル2の項目8504.トランスフォーマー、スタティックコンバーターおよびインダクター 2,263,947 △ 17.4 1.2 △ 0.2
階層レベル2の項目8524.フラットパネルディスプレイモジュール 2,186,104 1.2 1.1
階層レベル2の項目8534.印刷回路 1,934,623 2.7 1.0 0.0
第84類.原子炉、ボイラーおよび機械類 36,907,375 △ 16.4 20.0 △ 3.5
階層レベル2の項目8486.半導体、集積回路またはフラットパネルディスプレイの製造用機器 10,737,073 △ 16.9 5.8 △ 1.1
階層レベル2の項目8479.機械類(固有の機能を有するものに限る) 4,403,054 △ 17.6 2.4 △ 0.5
階層レベル2の項目8481.コック、弁 1,894,947 △ 9.7 1.0 △ 0.1
階層レベル2の項目8443.印刷機とその部分品および付属品 1,866,862 △ 16.6 1.0 △ 0.2
第87類.鉄道用および軌道用以外の車両 15,602,406 △ 2.8 8.4 △ 0.2
階層レベル2の項目8703.乗用自動車その他の自動車 9,698,945 9.2 5.2 0.4
階層レベル2の項目8708.自動車の部分品および附属品 5,615,919 △ 18.1 3.0 △ 0.6
第90類.光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器および医療用機器 13,904,505 △ 22.9 7.5 △ 2.0
階層レベル2の項目9001.光ファイバー、光ファイバーケーブル、偏光材料製のシートおよび板並びにレンズ 2,568,869 △ 6.7 1.4 △ 0.1
階層レベル2の項目9031.測定用・検査用の機器および輪郭投影機 2,417,689 △ 14.5 1.3 △ 0.2
第39類.プラスチックおよびその製品 10,531,808 △ 11.4 5.7 △ 0.7
階層レベル2の項目3920.プラスチック製のその他の板、シート、フィルム、はくおよびストリップ 2,845,716 △ 17.3 1.5 △ 0.3
第29類.有機化学品 5,616,407 △ 2.8 3.0 △ 0.1
階層レベル2の項目2902.環式炭化水素 2,331,631 23.4 1.3 0.2
第74類.銅およびその製品 5,538,435 △ 1.5 3.0 △ 0.0
階層レベル2の項目7403.精製銅または銅合金の塊 2,011,049 5.2 1.1 0.0
階層レベル2の項目7404.銅のくず 1,947,367 5.4 1.1 0.0
第72類.鉄鋼 5,491,464 △ 6.8 3.0 △ 0.2
第33類.精油、レジノイド、調製香料および化粧品類 5,087,154 △ 10.0 2.8 △ 0.3
階層レベル2の項目3304.化粧品類(美容用、メーキャップ用調整品等) 4,509,984 △ 9.7 2.4 △ 0.2
第38類.各種の化学工業生産品 4,609,610 △ 4.7 2.5 △ 0.1
階層レベル2の項目3824.鋳物用の鋳型、中子の調製粘結剤、化学工業において生産される化学品および調製品 2,079,231 △ 19.7 1.1 △ 0.2
第71類.真珠、貴石、半貴石、貴金属およびこれらの製品、身辺用模造細貨類並びに貨幣 3,510,277 △ 3.3 1.9 △ 0.1
第73類.鉄鋼製品 2,367,087 △ 10.5 1.3 △ 0.1
第34類.せっけん、有機界面活性剤、洗剤、調製潤滑剤 2,001,878 △ 8.5 1.1 △ 0.1

注1:輸出額は中国の通関統計による対日輸入額。貿易データベースGlobal Trade Atlas(ドルベース)を基に作成。
注2:HSコード2桁、4桁分類で構成比1.0%以上の品目を抽出し、金額降順。
注3:太字は2桁分類の金額ベースで上位5位
注4:8524(フラットパネルディスプレイモジュール)はHSコード改正(HS2022)により新設された品目。
資料:表1に同じ

品目別の特徴

  1. 電気機器(第85類、金額502億2,598万ドル、伸び率マイナス8.2%、構成比27.2%、寄与度マイナス2.2)
    同品目全体の40.0%を占め、半導体中核製品である集積回路(8542)が前年比10.0%減の201億1,327万ドルとなった。集積回路の寄与度はマイナス1.1で、主要品目(HSコード4桁ベース)の中で、最大の押し下げ要因となった。集積回路をHSコード6桁ベースでみると、プロセッサーおよびコントローラー(854231)は、金額では29.0%増と2年連続で増加したが、数量では10.8%減となった。他方、記憶素子(メモリーIC)(854232)は、金額が27.0%減、数量が12.4%減といずれも減少。金額の減少幅が数量の減少幅を上回っており、価格下落の影響が表れたとみられる。メモリーICでは、コロナ禍で急速に進んだオンライン化を受けたパソコンなど通信機器市場の特需が一巡した中で、在庫調整のプロセスに入った影響が大きいとみられる(2022年11月30日付ビジネス短信2023年1月24日付地域・分析レポート参照)。
    このほか、半導体デバイス(8541)が5.4%減の44億7,846万ドル、コンデンサー(8532)が9.4%減の40億8,061万ドル、電気回路の開閉用などの機器(8536)が14.0%減の36億9,448万ドルなど、軒並み減少となった。
  2. 機械類(第84類、金額369億738万ドル、伸び率マイナス16.4%、構成比20.0%、寄与度マイナス3.5)
    同品目全体の29.1%を占める半導体、集積回路またはフラットディスプレイの製造用機器(8486)が16.9%減の107億3,707万ドルと大きく減少した。前述の集積回路に次ぐ、輸出の押し下げ要因となった。HSコード6桁ベースでみると、半導体製造用の機器(848610および848620の合計)が11.4%減と過去最高額を更新した前年から2桁減となり、2015年以来7年ぶりに減少に転じた。上述のとおり、2022年には、中国国内での新型コロナ感染拡大の影響により生産・消費活動が停滞したほか、パソコンやスマートフォンなどの末端需要の世界的な落ち込みを受け、中国における半導体の生産も減少。同製造用機器の需要減につながったとみられる。なお、中国国家統計局の2023年2月28日の発表によれば、中国における2022年の集積回路の生産量は前年比9.8%減となった。また、フラットパネルディスプレイ製造用の機器(848630)も39.1%減と4年連続で減少した。
    その他の固有の機能を有する機械類(8479)は17.6%減の44億305万ドルだった。うち、産業用ロボット(847950)は過去最高を記録した前年(2020年比55.0%増)からの反動減もあり、7.4%減となった。なお、国際ロボット連盟の統計によると、中国における産業用ロボット(マニピュレーティングロボットのみ)の稼働台数は2021年時点で世界1位となっており、2位の日本の3.1倍の規模に達している。
  3. 車両(第87類、金額156億241万ドル、伸び率マイナス2.8%、構成比8.4%、寄与度マイナス0.2)
    乗用車(8703)は、9.2%増の96億9,895万ドルと、2019年以来3年ぶりに増加した。ガソリン車(870321~870324)が28.5%増と4年ぶりに増加に転じたことで、品目全体として前年比増加した。他方、ハイブリッド車(870340および870350)は12.0%減となり、HSコードの改正により当該品目が2017年に新設されて以降、初めて減少した。これらにより、乗用車に占めるガソリン車の構成比は55.5%、ハイブリッド車は41.8%となった。このほか、乗用車に占める構成比は0.7%にとどまるものの、プラグインハイブリッド車(PHEV)(870360)が前年から52.3倍と激増した。PHEVは、中国政府が実施する新エネルギー車の車両取得税免除措置の対象(注4)となっている(2022年9月28日付ビジネス短信参照)。
    自動車部品(8708)は、18.1%減の56億1,592万ドルと、2015年以来7年ぶりに60億ドルを割り込んだ。同品目で62.8%を占めるギヤボックス・同部品(870840)が25.2%減となったことが響いた。
  4. 精密機器(第90類、金額139億451万ドル、伸び率マイナス22.9%、構成比7.5%、寄与度マイナス2.0)
    光ファイバーおよび偏光板など(9001)は、6.7%減の25億6,887万ドルと、6年ぶりに減少に転じた。液晶ディスプレイなどに用いられる偏光板(900120)が19.7%減となったことが響いた。測定用・検査用機器など(9031)も、14.5%減の24億1,769万ドルと3年ぶりに減少した
  5. プラスチック(第39類、金額105億3,181万ドル、伸び率マイナス11.4%、構成比5.7%、寄与度マイナス0.7)
    同品目全体の27.0%を占めるプラスチック製のシート、フィルムなど(3920)が、17.3%減の28億4,572万ドルとなった。

このほか、第29類の有機化学品に属する環式炭化水素(2902)は、23.4%増の23億3,163万ドルと、主要品目(HSコード4桁ベースで構成比1.0%以上)で唯一2桁の伸び率を示した。同品目の78.4%を占めるパラキシレン(290243)が35.8%増の大幅増となったことが寄与した。他方で、パラキシレンは数量ベースでは7.0%増にとどまっており、大本の原料となる原油の価格高騰が背景にあるとみられる。

輸入:2年連続増加も、電話機など電気機器や機械類などが減少し全体の伸びは鈍化

2022年の輸入は前年比1.7%増の1,887億673万ドルと微増した。2年連続の増加となり、2012年(1,884億5,018万ドル)をわずかに上回り過去最高を記録した。ただし、伸び率は前年(13.0%増)より大きく鈍化した。

月別の推移をみると、上半期では、春節要因も考えられる2月を除くと、4月に前年同月比18.4%減となった。前述の通り、2022年3月末から上海市で封鎖管理が行われた初期に、物流面や生産面で制限が課されたが、その影響が4月の輸入額減少の背景にある。下半期では、11月が6.1%減、12月が10.2%減となった。これらの時期にも中国で感染が再拡大したことに加え、比較対象となる前年11月、12月の基数の高さも影響したとみられる。

品目別にみると、HSコード2桁ベースで構成比1.0%以上の品目では、上位4品目は軒並み減少した。うち、前年に増加した電気機器(第85類)では、ダイオード、光電池やトランスフォーマー、スタティックコンバーターなどが増加した一方、スマートフォンなどの携帯電話端末、モニターやプロジェクターなどの受像機器などが減少し、電気機器全体では微減となった。機械類(第84類)も5年連続の増加から減少、第61類と第62類の衣類・同付属品もそれぞれ前年の増加から減少に転じた。他方で、玩具、遊戯用具および運動用具(第95類)と、鉄道用および軌道用以外の車両(第87類)は、それぞれ2年連続増加を維持した。無機化学品(第28類)は、価格上昇を背景に急増した(表3参照)。

表3:2022年の日本の対中輸入 (単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値、-は値なし)
HSコード品目 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 188,706,725 1.7 100.0
第85類.電気機器およびその部分品 53,399,012 △ 1.2 28.3 △ 0.4
階層レベル2の項目8517.電話機およびその他の機器 20,237,869 △ 7.1 10.7 △ 0.8
階層レベル2の項目8541.ダイオード、トランジスター、その他これらに類する半導体デバイス、光電性半導体デバイス(光電池を含む) 2,715,396 9.0 1.4 0.1
階層レベル2の項目8504.トランスフォーマー、スタティックコンバーターおよびインダクター 2,699,201 7.0 1.4 0.1
階層レベル2の項目8528.モニター、プロジェクターおよび受像機器 2,680,796 △ 18.5 1.4 △ 0.3
階層レベル2の項目8542.集積回路 2,632,998 7.9 1.4 0.1
階層レベル2の項目8544.電気絶縁をした線、ケーブルおよび光ファイバーケーブル 2,388,512 3.6 1.3 0.0
階層レベル2の項目8516.家庭用電熱機器(電子レンジ、オーブンレンジおよびヘアドライヤー等) 1,812,739 △ 6.1 1.0 △ 0.1
第84類.原子炉、ボイラーおよび機械類 33,836,707 △ 3.9 17.9 △ 0.7
階層レベル2の項目8471.自動データ処理機械 13,574,629 △ 9.7 7.2 △ 0.8
階層レベル2の項目8415.エアコンディショナー 2,222,564 △ 4.7 1.2 △ 0.1
階層レベル2の項目8443.印刷機、その他のプリンター、複写機およびファクシ ミリ 2,025,521 1.7 1.1 0.0
階層レベル2の項目8431.建設機械および荷役機械の部分品 1,906,274 13.5 1.0 0.1
第61類.衣類および衣類附属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものに限る) 7,480,713 △ 0.6 4.0 △ 0.0
階層レベル2の項目6110.ジャージー、プルオーバー、カーディガン、ベストその他これらに類する製品 2,680,930 1.6 1.4 0.0
第62類.衣類および衣類附属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものを除く) 6,323,841 △ 0.5 3.4 △ 0.0
第39類.プラスチックおよびその製品 5,824,110 0.1 3.1 0.0
階層レベル2の項目3926.その他のプラスチック製品およびHSコード3901~3914の材料から成る製品 2,181,335 △ 7.3 1.2 △ 0.1
第95類.玩具、遊戯用具および運動用具 5,714,359 7.1 3.0 0.2
階層レベル2の項目9503.三輪車、その他車輪付き玩具、人形、縮尺模型およびパズル等 2,217,136 11.9 1.2 0.1
階層レベル2の項目9504.ビデオゲーム用のコンソールおよび機器等 2,000,088 3.2 1.1 0.0
第94類.家具、寝具 5,525,701 △ 3.8 2.9 △ 0.1
階層レベル2の項目9401.腰掛けおよびその部分品 1,865,146 △ 5.6 1.0 △ 0.1
第90類.光学機器精密機器および医療用機器 5,519,519 △ 1.4 2.9 △ 0.0
第28類.無機化学品および貴金属、希土類金属 5,462,772 64.1 2.9 1.1
第87類.鉄道用および軌道用以外の車両 5,087,694 9.9 2.7 0.2
階層レベル2の項目8708.自動車の部分品および付属品 3,222,421 9.6 1.7 0.2
第29類.有機化学品 4,963,311 11.0 2.6 0.3
第73類.鉄鋼製品 4,599,646 5.0 2.4 0.1
第63類.紡織用繊維のその他の製品 3,602,157 2.8 1.9 0.1
第16類.肉、魚または甲殻類、軟体動物もしくはその他の水棲無脊椎動物の調製品 2,463,468 5.4 1.3 0.1
第64類.履物およびゲートル 2,405,727 7.6 1.3 0.1
第38類.各種の化学工業生産品 2,268,019 57.5 1.2 0.4
第42類.革製品、ハンドバッグ 2,207,253 7.3 1.2 0.1
階層レベル2の項目4202.バッグ、財布、ケース等 2,039,615 7.7 1.1 0.1
第76類.アルミニウムおよびその製品 2,203,623 5.4 1.2 0.1
第72類.鉄鋼 1,953,479 21.5 1.0 0.2

注1:輸入額は日本の財務省貿易統計による対中輸入額。貿易データベースGlobal Trade Atlas(ドルベース)を基に作成。
"注2:HSコード2桁、4桁分類で構成比1.0%以上の品目を抽出し、金額降順。
注3:太字は2桁分類の金額ベースで上位5位。"
資料:表1に同じ

品目別の特徴

  1. 電気機器(第85類、金額533億9,901万ドル、伸び率マイナス1.2%、構成比28.3%、寄与度マイナス0.4)
    同品目全体の37.9%を占める電話機(8517)が前年比7.1%減の202億3,787万ドルとなった。コロナ禍の巣ごもり需要で増加した前年の反動もあり、減少に転じた。寄与度はマイナス0.8となり、全品目(HSコード4桁ベース)の中で最大の輸入押し下げ要因となった。そのうち、HSコードの改正(HS2022)により新設された品目であるスマートフォン(851713)の輸入額は、151億2,540万ドルとなっており、電話機の74.7%を占めた。また、5G(第5世代移動通信システム)などの基地局の整備に使用される基地局通信装置(851761)は36.8%減となり、2年連続で減少した。さらに、テレワークの普及を受けて、価格上昇を背景に前年も増加していたモニター、プロジェクターおよび受像機器(8528)は、18.5%減の26億8,080万ドルと7年ぶりに減少に転じた。このほか、ダイオード、光電池(8541)が9.0%増の27億1,540万ドル、トランスフォーマー、スタティックコンバーター(8504)が7.0%増の26億9,920万ドルと増加した。前年急増した集積回路(8542)も7.9%増の26億3,300万ドルと増加した。ただし、数量ベースでは13.4%減となっており、世界的な半導体不足を受けた価格上昇が金額増加の背景にある。
  2. 機械類(第84類、金額338億3,671万ドル、伸び率マイナス3.9%、構成比17.9%、寄与度マイナス0.7)
    同品目全体の40.1%を占める自動データ処理機械(8471)が、9.7%減の135億7,463万ドルと2年連続の減少となった。全品目(HSコード4桁ベース)の中で、前述の電話機に次ぐ輸入押し下げ要因となった。このうち、主要品目であるノートパソコン(847130)は10.0%減。新型コロナ感染拡大初期の2020年に38.9%増と急増したが、その後2年連続で減少した。エアコンディショナー(8415)は、2桁増となった前年の反動もあり、4.7%減の22億2,256万ドルと減少した。この他、印刷機など(8443)が1.7%増の20億2,552万ドルと微増したほか、建設機械および荷役機械の部分品(8431)が13.5%増の19億627万ドルと2年連続増加した。
  3. 衣類・同付属品(第61類、金額74億8,071万ドル、伸び率マイナス0.6%、構成比4.0%、寄与度マイナス0.0、第62類、金額63億2,384万ドル、伸び率マイナス0.5%、構成比3.4%、寄与度マイナス0.0)
    第61類(メリヤス編みまたはクロセ編みのもの)、第62類(メリヤス編みまたはクロセ編み以外のもの)ともに前年の増加から減少に転じた。個別品目では、ジャージー、カーディガン(6110)は1.6%増の26億8,093万ドルと微増したが、女子用のスーツ、スカート、ズボンなど(6204)は0.4%減の17億6,932万ドルとなった。なお、世界からの輸入額に占める中国の構成比については、第61類が2008年(88.3%)、第62類が2006年(80.8%)にピークを迎えて以降、2020年まで低下傾向が続いていた。しかし、2021年には、これら2つの分類の輸入相手国として中国に次ぎ2位に位置するベトナムで、新型コロナの感染拡大の影響を大きく受けたこともあり、中国の構成比は第61類で60.2%、第62類で56.2%とそれぞれ前年より拡大していた。その後、2022年の構成比はそれぞれ57.8%、52.7%へと低下した。なお、これらの世界からの輸入額は、リベンジ消費を受けてそれぞれ3.6%増、6.2%増となった。それぞれで2位のベトナムの寄与が目立ち、ベトナムの構成比は第61類で前年の14.6%から16.2%へ、第62類で14.4%から15.5%へと拡大した。
  4. 無機化学品(第28類、金額54億6,277万ドル、伸び率64.1%、構成比2.9%、寄与度1.1)
    全体の21.9%を占める主要品目の金属酸化物(2825)は、2.7倍の11億9,817万ドルとなった(数量は14.4%増)。また、炭酸塩、ペルオキソ炭酸塩など(2836)も、5.2倍の3億9,621万ドルとなった(同8.7%減)。それぞれの主要品目である酸化リチウムおよび水酸化リチウム(282520)、リチウムの炭酸塩(283691)は、金額ベースで3.2倍と13.1倍、数量ベースで11.5%増と2.5倍となった。これらは電気自動車(EV)のバッテリーにも使用されるが、世界的にEVシフトが進む中での価格上昇が影響を及ぼしたとみられる。その他の主要品目においても、金額ベースと比較して、数量ベースでは伸びが低い、あるいはマイナスになっている品目が多くみられた。
  5. 車両(第87類、金額50億8,769万ドル、伸び率9.9%、構成比2.7%、寄与度0.2)
    同品目全体の63.3%を占める自動車部品(8708)は、9.6%増の32億2,242万ドルと2年連続で増加した。車輪・同部品、ブレーキ・同部品、駆動軸・非駆動軸・同部品、懸架装置・同部品、消音装置・同部品などが2桁増となった。また、乗用自動車(8703)は、同品目の71.8%を占める電気自動車(EV)(HS870380)が前年に引き続き大幅増(46.4%増)となったことを受けて、75.5%増の3億8,223万ドルとなった。なお、テスラの上海工場で製造された電動SUV(スポーツ用多目的車)「モデルY」の納車が2022年9月に日本でも始まったとされ、輸入増の背景になっていると考えらえる。モーターサイクル(8711)は5.5%増の2億8,264万ドルと6年連続で増加した。一方で、自転車(8712)は7.3%減の5億9,364万ドルと減少した。

日本の貿易総額、輸出額、輸入額に占める中国の構成比は2年連続で低下も国・地域別で最大を維持

財務省の貿易統計によると、2022年の日本の輸出額に占める中国の構成比は19.4%と、前年より2.3ポイント低下した(表4、図1参照、注5)。輸入額に占める構成比も21.0%となり、3.0ポイント低下した(表4、図2参照)。その結果、貿易総額に占める構成比は20.3%と前年より2.6ポイント低下し、2014年(20.4%)以来の低水準となった(表4、図3参照)。いずれも2年連続で構成比が低下した。なお、2020年には、世界で新型コロナの感染が拡大する中で、中国の経済活動の回復が他国・地域よりも早かったことを背景に、同年の日本の貿易総額、輸出額、輸入額に占める中国の構成比は、いずれも過去最高となっていた。

日本の対世界貿易において、対中貿易総額は2007年以降16年連続、対中輸入額は2002年以降21年連続で1位となった。対中輸出額は2019年に米国を下回り2位だったが、2020年以降は3年連続で1位となった。

表4:2022年の日本の貿易相手国上位5カ国・地域とASEAN、EU(財務省統計)(単位:100万ドル、%)

輸出(△はマイナス値、-は値なし)
国・地域名 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 746,920 △ 1.2 100.0
中国 144,647 △ 11.6 19.4 △ 2.5
米国 138,548 2.7 18.5 0.5
韓国 54,235 3.3 7.3 0.2
台湾 52,267 △ 4.0 7.0 △ 0.3
香港 33,233 △ 6.1 4.4 △ 0.3
ASEAN 118,201 4.3 15.8 0.6
EU 71,198 2.0 9.5 0.2
輸入(-は値なし)
国・地域名 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 897,242 16.4 100.0
中国 188,707 1.7 21.0 0.4
米国 89,112 10.0 9.9 1.1
オーストラリア 87,603 68.5 9.8 4.6
アラブ首長国連邦 45,342 68.1 5.1 2.4
サウジアラビア 42,189 54.0 4.7 1.9
ASEAN 134,427 18.5 15.0 2.7
EU 86,729 1.1 9.7 0.1
総額(△はマイナス値、-は値なし)
国・地域名 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 1,644,162 7.7 100.0
中国 333,354 △ 4.5 20.3 △ 1.0
米国 227,660 5.5 13.8 0.8
オーストラリア 104,125 54.9 6.3 2.4
台湾 90,787 3.3 5.5 0.2
韓国 87,832 3.9 5.3 0.2
ASEAN 252,629 11.4 15.4 1.7
EU 157,927 1.5 9.6 0.2

注1:EUは27カ国。
注2:伸び率は前年比。
資料:表1に同じ

図1:日本の輸出に占める主要国・地域の構成比(グラフ)
2013年米国18.5 中国18.1 ASEAN15.5 EU8.5。2014年米国18.6 中国18.3 ASEAN15.2 EU8.8。 2015年米国 20.1中国17.5 ASEAN15.2 EU8.8。2016年 米国20.2 中国17.7 ASEAN14.8 EU9.3。2017年米国19.3 中国19.0 ASEAN15.2 EU9.1。2018年中国19.5 米国19.0 ASEAN15.5 EU9.4。2019年米国19.8 中国19.1 ASEAN15.1 EU9.7。2020年中国22.1 米国18.4 ASEAN14.4 EU9.2。2021年中国21.6 米国17.8 ASEAN15.0 EU9.2。2022年中国19.4  米国18.5 ASEAN15.8 EU9.5。この間の日本の輸出額は、2013年 7,149億ドル、2014年 6,908億ドル、 2015年 6,249億ドル、2016年 6,451億ドル、2017年 6,983億ドル、2018年 7,381億ドル、2019年 7,056億ドル、2020年6413億ドル、2021年7,560億ドル、2022年7,469億ドルであった。

注:EUは27カ国の値。
資料:表1に同じ

図2:日本の輸入に占める主要国・地域の構成比(グラフ)
2013年中国21.7 ASEAN14.1 EU8.6 米国8.4。  2014年中国22.3 ASEAN14.3 米国8.8 EU8.7。2015年中国24.8 ASEAN15.1 米国10.3 EU10.0。2016年中国25.8 ASEAN15.2 EU11.3 米国11.1 。2017年中国24.5 ASEAN15.3 米国10.7 EU10.6。 2018年中国23.2 ASEAN15.0 米国10.9  EU10.7。 2019年中国23.5 ASEAN15.0 EU11.2 米国11.0。 2020年 中国25.8 ASEAN15.7 EU11.4 米国11.0。 2021年中国24.1 ASEAN14.7 EU11.1 米国10.5。 2022年中国21.0 ASEAN15.0 米国9.9 EU9.7 だった。この間の日本の輸入総額は、年8326億ドル、2014年8130億ドル、2015年6481億ドル、2016年6077億ドル、 2017年6721億ドル、2018年7485億ドル、2019年7207億ドル、2020年6354億ドル、2021年7708億ドル、2022年8972億ドルだった。

注:EUは27カ国の値。
資料:表1に同じ

図3:日本の貿易総額に占める主要国・地域の構成比(グラフ)
2013年 中国20.0 ASEAN14.8 米国13.1 EU9.7。2014年中国20.4 ASEAN14.7 米国13.3 EU9.9。2015年中国21.2 ASEAN15.2 米国15.1 EU10.8。2016年 中国21.6 ASEAN15.0米国15.8 EU11.9。2017年中国 21.7ASEAN15.1 米国15.2 EU11.3。2018年中国21.4 米国14.9 ASEAN15.2 EU11.5。2019年中国21.3 米国15.3 ASEAN15.0 EU12.0。2020年 中国23.9 ASEAN15.0 米国14.7 EU10.3。2021年中国22.9 ASEAN14.9 米国14.1 EU10.2。2022年中国20.3 AEAN15.4 米国13.8 EU9.6 だった。この間の日本の貿易総額は2013年1億5475億ドル、2014年1兆5038億ドル、2015年1兆2730億ドル、2016年1兆2528億ドル、2017年1兆3704億ドル、2018年1兆4866億ドル、2019年1兆4263億ドル、2020年1兆2767億ドル、2021年1兆5,268億ドル、2022年1兆6442億ドルだった。

注:EUは27カ国の値。
資料:表1に同じ


注1:
この分析は、日本の対中輸出を中国の輸入統計でみる「双方輸入ベース」となっている。貿易統計は輸出を仕向け地主義、輸入を原産地主義で計上しており、香港経由の対中輸出(仕向け地を香港としている財)が日本の統計では対中輸出に計上されない。中国の輸入統計には日本を原産とする財が全て計上されていることから、日中間の貿易は、いずれかの国の貿易統計より、日中双方の輸入統計をみた方が実態に近いと考えられる。このため、日本の対中輸出は中国の通関統計による対日輸入を、対中輸入は日本の財務省統計による対中輸入を使用している。
注2:
財務省貿易統計の円ベース(輸出確報・輸入速報、2023年1月27日)では、2022年の日中貿易総額が43兆8,411億円(前年比14.3%増)、輸出(日本の対中輸出)が19兆66億円(5.7%増)、輸入が24兆8,344億円(21.8%増)となった。なお、財務省の2023年1月19日付の発表によると、2022下半期の日本の対アジア貿易における取引通貨の比率は、輸出では、ドルが49.7%、円が42.5%。輸入では、ドルが72.1%、円が22.5%となった。
注3:
2021年の日中貿易は2022年3月25日付地域・分析レポート参照。
注4:
車両取得税の免除対象となる新エネルギー車は、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)。
注5:
この分析では、貿易総額、輸出額(日本の対中輸出額)、輸入額は全て財務省貿易統計に基づき貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値を用いている。同記述以前で使用している「双方輸入ベース」の分析とは異なるため注意が必要。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中国北アジア課 課長代理
宗金 建志(むねかね けんじ)
1999年、ジェトロ入構。海外調査部中国北アジアチーム、ジェトロ岡山、北京センター、海外調査部中国北アジア課、ジェトロ・北京事務所を経て、2018年8月より現職。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中国北アジア課
小林 伶(こばやし れい)
2010年4月、ジェトロ入構。海外調査部中国北アジア課、企画部企画課事業推進班(北東アジア)、ジェトロ名古屋などを経て2019年6月から現職。