2021年の日中貿易、2011年以来10年ぶりに過去最高を更新

2022年3月25日

ジェトロが日本の財務省貿易統計と中国の海関(税関)統計を基に、2021年の日中貿易を双方輸入ベースでみたところ、貿易総額は前年比15.1%増の3,914億4,049万ドルだった(表1参照、注1、注2)。2018年以来3年ぶりに前年比で増加し、2011年(3,784億2,490万ドル)以来10年ぶりに過去最高を更新した。

輸出(中国の対日輸入、以下同じ)は前年比17.1%増の2,061億5,312万ドル、輸入は12.9%増の1,852億8,736万ドルとなった。その結果、日本の中国に対する貿易収支は208億6,576万ドルの黒字と、5年連続の黒字となった。黒字幅は前年から7割超拡大し、過去最高の2010年(228億37万ドル)に次ぐ水準となった。

表1:日中貿易の推移(双方輸入ベース)(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
輸出額
(日本→中国)
伸び率 輸入額
(中国→日本)
伸び率 総額 伸び率 貿易収支
2012年 177,649,842 △ 8.6 188,450,182 2.3 366,100,024 △ 3.3 △ 10,800,340
2013年 162,114,236 △ 8.7 180,840,622 △ 4.0 342,954,858 △ 6.3 △ 18,726,386
2014年 162,512,019 0.2 181,038,865 0.1 343,550,884 0.2 △ 18,526,846
2015年 142,689,642 △ 12.2 160,624,606 △ 11.3 303,314,248 △ 11.7 △ 17,934,964
2016年 144,996,448 1.6 156,631,816 △ 2.5 301,628,264 △ 0.6 △ 11,635,368
2017年 164,865,658 13.7 164,542,081 5.1 329,407,739 9.2 323,577
2018年 180,234,250 9.3 173,598,618 5.5 353,832,868 7.4 6,635,632
2019年 171,514,651 △ 4.8 169,302,509 △ 2.5 340,817,160 △ 3.7 2,212,142
2020年 176,088,877 2.7 164,105,906 △ 3.1 340,194,783 △ 0.2 11,982,971
2021年 206,153,124 17.1 185,287,363 12.9 391,440,487 15.1 20,865,761
2021年1月 15,358,220 36.5 16,575,305 4.2 31,933,525 17.6 △ 1,217,085
2月 13,010,350 15.6 13,726,395 124.1 26,736,745 53.8 △ 716,045
3月 19,245,144 30.4 14,516,866 9.0 33,762,010 20.3 4,728,278
4月 18,456,872 25.5 16,051,840 △ 0.4 34,508,712 11.9 2,405,032
5月 16,651,474 33.6 14,528,243 3.0 31,179,717 17.3 2,123,231
6月 18,514,721 21.4 14,860,553 14.9 33,375,274 18.4 3,654,168
7月 17,292,877 12.8 14,864,929 8.8 32,157,806 10.9 2,427,948
8月 16,745,651 17.6 14,844,969 19.1 31,590,620 18.3 1,900,682
9月 18,129,179 5.5 16,102,612 18.8 34,231,791 11.4 2,026,567
10月 16,385,726 9.9 15,173,283 3.7 31,559,009 6.8 1,212,443
11月 18,737,632 14.4 17,377,569 7.4 36,115,201 10.9 1,360,063
12月 17,625,279 △ 3.9 16,664,799 10.2 34,290,078 2.5 960,480

注1:輸出額は中国の通関統計による対日輸入額、輸入額は日本の財務省貿易統計による対中輸入額。
いずれも貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値を用いて作成。
注2:伸び率は前年比および前年同月比。
注3:機械処理の関係上、他の統計とは計数の値が異なる場合がある。
参考:為替レート(円/ドル):2012年79.82、2013年97.60、2014年105.74、2015年121.05、2016年108.66、2017年112.10、2018年110.40、2019年109.02、2020年106.78、2021年109.84(米国連邦準備制度理事会発表)。
資料:Global Trade Atlasよりジェトロ作成(データ抽出日:2022年2月4日)

輸出:過去最高で初めて2,000億ドルを突破、集積回路などの電気機器や機械類が牽引

輸出は前年比17.1%増の2,061億5,312万ドルと、増加幅は前年から14.4ポイント拡大。2011年(1,942億9,627万ドル)以来10年ぶりに過去最高を記録し、初めて2,000億ドルを突破した。

月別の推移をみると、上半期は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けた前年からの反動増などで、前年同月比で一貫して2桁増が続いた。下半期は、年末にかけて減速傾向が鮮明になり、9月、10月は1桁増、12月には減少に転じた。中国における生産活動の回復などを受け、比較対象となる前年の基数が大きかったことに加え、国際商品価格の上昇、中国国内の一部地域における新型コロナの感染再拡大などが、中国における生産・消費活動に一定の影響を及ぼしたことも、伸び率低下につながったとみられる。

品目別にみると、前年比で減少が続くガソリン車が下押し要因となった乗用車を除き、主要品目は前年比で軒並み増加した。とりわけ、集積回路をはじめとする電気機器や、半導体製造用の機器などの機械類が全体を大きく牽引した(表2参照)。

表2:2021年の日本の対中輸出(中国の対日輸入) (単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値、-は値なし)
HSコード品目 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 206,153,124 17.1 100.0
第85類 電気機器およびその部分品 54,711,809 15.0 26.5 4.1
階層レベル2の項目8542 集積回路 22,344,732 20.0 10.8 2.1
階層レベル2の項目8541 ダイオード、トランジスターその他これらに類する半導体デバイス、光電性半導体デバイス(光電池を含む) 4,734,839 11.3 2.3 0.3
階層レベル2の項目8532 コンデンサー 4,502,211 10.0 2.2 0.2
階層レベル2の項目8536 電気回路の開閉用、保護用または接続用の機器 4,295,605 14.3 2.1 0.3
階層レベル2の項目8504 トランスフォーマー、スタティックコンバーターおよびインダクター 2,741,466 11.5 1.3 0.2
第84類 原子炉、ボイラーおよび機械類 44,144,649 20.3 21.4 4.2
階層レベル2の項目8486 半導体、集積回路またはフラットパネルディスプレイの製造用機器 12,915,880 33.9 6.3 1.9
階層レベル2の項目8479 機械類(固有の機能を有するものに限る) 5,344,542 29.5 2.6 0.7
階層レベル2の項目8443 印刷機とその部分品および付属品 2,238,320 25.0 1.1 0.3
階層レベル2の項目8481 コック、弁 2,098,623 15.1 1.0 0.2
第90類 光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器および医療用機器 18,044,235 11.7 8.8 1.1
階層レベル2の項目9013 液晶デバイス、レーザーおよびその他の光学機器 3,070,719 0.8 1.5 0.0
階層レベル2の項目9031 測定用・検査用の機器および輪郭投影機 2,827,014 23.1 1.4 0.3
階層レベル2の項目9001 光ファイバー、光ファイバーケーブル、偏光材料製のシートおよび板ならびにレンズ 2,753,879 8.0 1.3 0.1
第87類 鉄道用および軌道用以外の車両 16,059,819 △ 2.9 7.8 △ 0.3
階層レベル2の項目8703 乗用自動車その他の自動車 8,878,865 △ 12.5 4.3 △ 0.7
階層レベル2の項目8708 自動車の部分品および付属品 6,856,173 11.6 3.3 0.4
第39類 プラスチックおよびその製品 11,889,671 17.6 5.8 1.0
階層レベル2の項目3920 プラスチック製のその他の板、シート、フィルム、はくおよびストリップ 3,442,503 16.3 1.7 0.3
第72類 鉄鋼 5,891,465 27.1 2.9 0.7
第29類 有機化学品 5,778,345 27.0 2.8 0.7
第33類 精油、レジノイド、調製香料および化粧品類 5,653,781 15.8 2.7 0.4
階層レベル2の項目3304 化粧品類(美容用、メーキャップ用調整品など) 4,995,027 16.4 2.4 0.4
第74類 銅およびその製品 5,625,404 34.6 2.7 0.8
第38類 各種の化学工業生産品 4,835,558 25.9 2.3 0.6
階層レベル2の項目3824 鋳物用の鋳型、中子の調製粘結剤、化学工業において生産される化学品および調製品 2,589,689 28.8 1.3 0.3
第71類 真珠、貴石、半貴石、貴金属およびこれらの製品、身辺用模造細貨類ならびに貨幣 3,629,584 73.4 1.8 0.9
第73類 鉄鋼製品 2,644,953 12.9 1.3 0.2
第34類 せっけん、有機界面活性剤、洗剤、調製潤滑剤 2,187,910 60.2 1.1 0.5

注1:輸出額は中国の通関統計による対日輸入額。貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値を用いて作成。
注2:2桁、4桁分類で構成比1.0%以上の品目を抽出し、金額降順。
注3:太字は2桁分類の金額ベースで上位5位。
資料:表1に同じ

品目別の特徴

  1. 電気機器(第85類、金額547億1,181万ドル、伸び率15.0%、構成比26.5%、寄与度4.1)
    同品目全体の40.8%を占め、半導体中核製品である集積回路(8542)が前年比20.0%増の223億4,473万ドルとなった。集積回路の寄与度は2.1で、全品目(HSコード4桁ベース)の中で最大の押し上げ要因となった。コロナ禍で急速に進むオンライン化を受けたコンピュータや通信機器市場の活況などを受け、世界的に半導体需給が逼迫し、価格が高騰した。HSコード6桁ベースでみると、記憶素子(854232)は金額が27.3%増、数量が9.7%増。プロセッサーおよびコントローラー(854231)も金額が28.7%増、数量が8.7%増と、いずれも金額の伸びが数量の伸びを大きく上回っており、価格高騰の影響がみられる。なお、中国の2021年の輸入総額(対世界)をHSコード4桁の商品別でみた場合、集積回路は全体の16.2%を占める最大の輸入品目であり、国・地域別で日本からの輸入額は4番目に大きい(中国の集積回路の輸入動向は、2021年9月7日付地域・分析レポート参照、注3)。
    このほか、半導体デバイス(8541)が11.3%増の47億3,484万ドル、コンデンサー(8532)が10.0%増の45億221万ドル、電気回路の開閉用などの機器(8536)が14.3%増の42億9,561万ドル、トランスフォーマー、スタティックコンバーターおよびインダクター(8504)が11.5%増の27億4,147万ドルと軒並み2桁増となった。
  2. 機械類(第84類、金額441億4,465万ドル、伸び率20.3%、構成比21.4%、寄与度4.2)
    同品目全体の29.3%を占める半導体、集積回路またはフラットディスプレイの製造用機器(8486)が33.9%増の129億1,588万ドルと大きく増加した。同品目(8486)の寄与度は1.9と、全品目(HSコード4桁ベース)の中で前述の集積回路に次ぐ押し上げ要因となった。中国の同品目の輸入額(対世界)に占める日本の構成比は31.5%でトップ。2位の米国(16.9%)とは14.6ポイントの開きがある。
    HSコード6桁ベースでみると、半導体製造用の機器(848620および848610の合計)が69.8%増と増加が顕著であった。中国政府は半導体の国内自給率向上を目標に掲げているほか、車載用半導体をはじめとする世界的な半導体需給の逼迫が中国での工業生産にも影響を及ぼす中で、中国での半導体メーカーによる生産能力拡大の動きが、同品目の輸出増につながったとみられる。一方、フラットパネルディスプレー製造用の機器(848630)は8.7%減と2年連続で減少した。
    その他の固有の機能を有する機械類(8479)は29.5%増の53億4,454万ドルだった。工場のインテリジェント化、自動化、省人化が進められる中、産業用ロボット(847950)が55.0%増と好調だった。
    このほか、印刷機とその部分品・付属品(8443)は25.0%増の22億3,832万ドルだった。8割以上を占める部分品・付属品(844391および844399)の増加が寄与した。
  3. 精密機器(第90類、金額180億4,424万ドル、伸び率11.7%、構成比8.8%、寄与度1.1)
    液晶デバイスなど(9013)は0.8%増の30億7,072万ドルと横ばい。測定用・検査用機器など(9031)が23.1%増の28億2,701万ドルと好調だった。
  4. 車両(第87類、金額160億5,982万ドル、伸び率マイナス2.9%、構成比7.8%、寄与度マイナス0.3)
    乗用車(8703)は12.5%減の88億7,887万ドルだった。ハイブリッド車(870340および870350)が13.2%増と堅調な伸びをみせた一方、ガソリン車(870321~870324)が29.6%減となったことなどから、乗用車全体として減少した。なお、ハイブリッド車の輸出は、HSコードの改正により当該品目が2017年に新設された後、毎年増加しており、対中輸出は2017年からの5年間で5.3倍に拡大した。一方、ガソリン車の輸出は2018年をピークに減少が続き、2021年には初めてハイブリット車がガソリン車を上回った。
    自動車部品(8708)は、11.6%増の68億5,617万ドルと、2018年以来3年ぶりに前年比で増加した。同品目で68.8%を占めるギヤボックス・同部品(870840)が13.4%増となったことが寄与した。
  5. プラスチック(第39類、金額118億8,967万ドル、伸び率17.6%、構成比5.8%、寄与度1.0)
    同品目全体の約3割を占める、プラスチック製のシート、フィルムなど(3920)が16.3%増の34億4,250万ドルと堅調に推移した。

輸入:電話機などの電気機器や機械類などが牽引、3年ぶりに増加

輸入は前年比12.9%増の1,852億8,736万ドルと3年ぶりに増加し、過去最高の2012年(1,884億5,018万ドル)に次ぐ水準となった。月別の推移をみると、2月が前年同月の2.2倍となった。中国で2020年2月上旬に新型コロナの新規感染のピークがあり、同年2月は前年同月比で5割減となっていたことから、その反動増とみられる。

品目別にみると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、前年減少した電気機器では、主要品目であるスマートフォンなどの携帯電話端末、モニターやプロジェクターなどの受像機器などが牽引した。機械類は5年連続で増加し、衣類・同付属品は前年の2桁減の反動からプラスの伸びとなった。その一方で、前年急増の反動で減少した品目もみられており、機械類では自動データ処理機械が、紡織用繊維では不織布マスクがそれぞれ減少した(表3参照)。

表3:2021年の日本の対中輸入 (単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値、-は値なし)
HSコード品目 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 185,287,363 12.9 100.0
第85類 電気機器およびその部分品 54,059,472 18.1 29.2 5.1
階層レベル2の項目8517 電話機およびその他の機器 21,790,759 20.9 11.8 2.3
階層レベル2の項目8528 モニター、プロジェクターおよび受像機器 3,287,262 12.9 1.8 0.2
階層レベル2の項目8504 トランスフォーマー、スタティックコンバーターおよびインダクター 2,522,934 26.9 1.4 0.3
階層レベル2の項目8541 ダイオード、トランジスターその他これらに類する半導体デバイス、光電性半導体デバイス(光電池を含む) 2,491,127 △ 0.2 1.3 △ 0.0
階層レベル2の項目8542 集積回路 2,439,062 38.8 1.3 0.4
階層レベル2の項目8544 電気絶縁をした線、ケーブルおよび光ファイバーケーブル 2,304,448 24.6 1.2 0.3
階層レベル2の項目8516 家庭用電熱機器(電子レンジ、オーブンレンジおよびヘアドライヤーなど) 1,930,956 20.2 1.0 0.2
第84類 原子炉、ボイラーおよび機械類 35,195,156 7.1 19.0 1.4
階層レベル2の項目8471 自動データ処理機械 15,033,119 △ 5.5 8.1 △ 0.5
階層レベル2の項目8415 エアコンディショナー 2,332,714 22.4 1.3 0.3
階層レベル2の項目8443 印刷機とその部分品および付属品 1,992,104 △ 0.9 1.1 △ 0.0
第61類 衣類および衣類付属品(メリヤス 編みまたはクロセ編みのものに限る) 7,521,997 7.4 4.1 0.3
階層レベル2の項目6110 ジャージー、プルオーバー、カーディガン、ベストその他これらに類する製品 2,639,098 12.0 1.4 0.2
第62類 衣類および衣類付属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものを除く) 6,353,744 0.3 3.4 0.0
階層レベル2の項目6204 女子用のスーツ、ジャケット、ドレス、スカート、ズボンなど 1,775,967 1.3 1.0 0.0
第39類 プラスチックおよびその製品 5,815,316 15.5 3.1 0.5
階層レベル2の項目3926 その他のプラスチック製品およびHSコード
3901~3914の材料から成る製品
2,353,425 7.0 1.3 0.1
第94類 家具、寝具 5,745,010 14.7 3.1 0.4
階層レベル2の項目9401 腰掛けおよびその部分品 1,976,179 14.8 1.1 0.2
第90類 光学機器精密機器および医療用機器 5,597,527 18.8 3.0 0.5
第95類 玩具、遊戯用具および運動用具 5,336,977 17.9 2.9 0.5
階層レベル2の項目9503 三輪車、その他車輪付き玩具、人形、縮尺模型およびパズルなど 1,981,664 19.8 1.1 0.2
階層レベル2の項目9504 ビデオゲーム用のコンソールおよび機器など 1,937,122 13.5 1.0 0.1
第87類 鉄道用および軌道用以外の車両 4,628,054 26.3 2.5 0.6
階層レベル2の項目8708 自動車の部分品および付属品 2,939,978 23.4 1.6 0.3
第29類 有機化学品 4,470,221 33.6 2.4 0.7
第73類 鉄鋼製品 4,380,505 15.1 2.4 0.3
第63類 紡織用繊維のその他の製品 3,504,498 △ 43.6 1.9 △ 1.7
階層レベル2の項目6307 室内用繊維製品などを 除くその他の製品 (不織布マスクなど) 1,763,636 △ 62.1 1.0 △ 1.8
第28類 無機化学品および貴金属、希土類金属 3,329,480 62.3 1.8 0.8
第16類 肉、魚または甲殻類、軟体動物もしくは その他の水棲無脊椎動物の調製品 2,337,050 9.4 1.3 0.1
第64類 履物およびゲートル 2,236,336 10.5 1.2 0.1
第76類 アルミニウムおよびその製品 2,089,962 25.3 1.1 0.3
第42類 革製品、ハンドバッグ 2,057,566 △ 0.8 1.1 △ 0.0
階層レベル2の項目4202 バッグ、財布、ケースなど 1,892,971 △ 1.4 1.0 △ 0.0

注1:輸入額は日本の財務省貿易統計による対中輸入額。貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値を用いて作成。
注2:2桁、4桁分類で構成比1.0%以上の品目を抽出し、金額降順。
注3:太字は2桁分類の金額ベースで上位5位。
資料:表1に同じ

品目別の特徴

  1. 電気機器(第85類、金額540億5,947万ドル、伸び率18.1%、構成比29.2%、寄与度5.1)
    同品目全体の40.3%を占める電話機(8517)が、前年比20.9%増の217億9,076万ドルと20%を超える伸び率を記録した。寄与度は2.3となり、全品目(HSコード4桁ベース)の中で最大の押し上げ要因となった。このうち、主要品目であるスマートフォンなどの携帯電話端末(851712)が27.7%増と急増した。一方、5G(第5世代移動通信システム)など基地局の整備に使用される基地局通信装置(851761)は18.6%減となった。前年急増(2.2倍)の反動が考えられる。コロナ禍でテレワークの普及が進む中、モニター、プロジェクターおよび受像機器(8528)は価格上昇を背景に12.9%増の32億8,726万ドルとなった(数量は微減)。前年減少した集積回路(8542)も38.8%増の24億3,906万ドルと急増した。
  2. 機械類(第84類、金額351億9,516万ドル、伸び率7.1%、構成比19.0%、寄与度1.4)
    同品目全体の42.7%を占める自動データ処理機械(8471)が前年の2桁増から5.5%減の150億3,312万ドルと減少に転じた。このうち、主要品目であるノートパソコン(847130)は前年急増の反動もあり、12.7%減となった。しかし、テレワークの拡大や巣ごもり需要が続く中、2019年以前と比較しても依然高い水準となっている。エアコンディショナー(8415)は前年の減少から22.4%増の23億3,271万ドルと2桁増に転じた。コンピュータおよび周辺機器用部品・付属品(8473)は前年に2桁減となっていたが、価格上昇を受けて4.9%増の17億720万ドルとなった(数量は微減)。
  3. 衣類・同付属品(第61類:金額75億2,200万ドル、伸び率7.4%、構成比4.1%、寄与度0.3、第62類:金額63億5,374万ドル、伸び率0.3%、構成比3.4%、寄与度0.0)
    第61類(メリヤス編みまたはクロセ編みのもの)、第62類(メリヤス編みまたはクロセ編み以外のもの)ともに前年の2桁減から増加に転じた。ただし、2019年の水準には回復しておらず、巣ごもりの影響などによる国内の衣料消費の冷え込みなどが背景として考えられる。個別品目では、ジャージー、カーディガン(6110)が12.0%増の26億3,910万ドル、女子用のブラウス、シャツ(6204)が1.3%増の17億7,597万ドルとなった。なお、全世界からの輸入に占める中国の構成比については、第61類が2008年(88.3%)、第62類が2006年(80.8%)にピークを迎えて以降、2020年まで低下傾向が続いていた。しかし、2021年は、第61類が60.2%、第62類が56.2%と前年よりシェアを拡大した。同年に新型コロナの感染拡大の影響を大きく受けたベトナムが、その構成比を縮小させたことが一因とみられる。
  4. 車両(第87類、金額46億2,805万ドル、伸び率26.3%、構成比2.5%、寄与度0.6)
    同品目全体の63.5%を占める自動車部品(8708)は23.4%増の29億3,998万ドルと増加したが、2019年の水準には達しなかった。車輪・同部品、駆動軸・同部品、懸架装置・同部品、ギヤボックス・同部品が急増した。自転車(8712)は10.9%増の6億4,050万ドル、モーターサイクル(8711)は27.1%増の2億6,782万ドルとなった。前者は2年連続、後者は5年連続での増加となった。
  5. 紡織用繊維(第63類、金額35億450万ドル、伸び率マイナス43.6%、構成比1.9%、寄与度マイナス1.7)
    新型コロナの感染拡大の影響などで前年の4.6倍となった、不織布マスクなどを含む繊維製品(630790)が62.9%減(17億920万ドル)と急減した。ただし、同品目は第63類全体の約5割を占めた。一方で、ベッドやテーブルなどのリネン用品(6302)は7.6%増の7億1,068万ドルと増加に転じた。

日本の貿易総額、輸出額、輸入額に占める中国の構成比はいずれも低下も、国・地域別で最大

財務省の貿易統計によると、日本の輸出額に占める中国の構成比は21.6%で前年より0.5ポイント低下した(表4、図1参照、注4)。輸入も24.1%で1.7ポイント低下した(表4、図2参照)。その結果、貿易総額に占める中国の構成比は22.9%と、前年より1.0ポイント低下した(表4、図3参照)。世界で新型コロナの感染が拡大する中で、中国の経済活動の回復が他国・地域よりも早かったことを背景に、中国の構成比は2020年に貿易総額、輸出額、輸入額のいずれでも過去最高となっていた。

日本の対世界貿易において、対中貿易総額は2007年以降15年連続、対中輸入額は2002年以降20年連続で第1位となった。対中輸出額は2019年に米国を下回り第2位だったが、2020年、2021年は第1位となった。

表4:2021年の日本の貿易相手国上位5カ国・地域とASEAN、EU(財務省統計)

輸出(単位:100万ドル、%)
国・地域名 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 756,032 17.9 100.0
中国 163,570 15.5 21.6 3.4
米国 134,910 14.1 17.8 2.6
台湾 54,446 22.6 7.2 1.6
韓国 52,498 17.5 6.9 1.2
香港 35,406 10.6 4.7 0.5
ASEAN 113,369 22.9 15.0 3.3
EU 69,813 18.0 9.2 1.7
輸入(単位:100万ドル、%)
国・地域名 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 768,976 21.0 100.0
中国 185,287 12.9 24.1 3.3
米国 80,866 16.2 10.5 1.8
オーストラリア 51,647 44.4 6.7 2.5
台湾 33,562 25.3 4.4 1.1
韓国 32,014 20.4 4.2 0.9
ASEAN 113,138 13.3 14.7 2.1
EU 85,657 18.4 11.1 2.1
総額(単位:100万ドル、%)
国・地域名 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 1,525,007 19.4 100.0
中国 348,857 14.1 22.9 3.4
米国 215,777 14.9 14.1 2.2
台湾 88,008 23.6 5.8 1.3
韓国 84,512 18.6 5.5 1.0
オーストラリア 66,885 39.6 4.4 1.5
ASEAN 226,507 17.9 14.9 2.7
EU 155,471 18.2 10.2 1.9

注1:財務省貿易統計による日本の輸出額、輸入額、総額。貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値を基に作成。
注2:EUは27カ国の値。
注3:伸び率は前年比。
資料:表1に同じ

図1:日本の輸出に占める主要国・地域の構成
2012年中国18.1、米国17.5、ASEAN16.2、EU8.5。2013年米国18.5、中国18.1、ASEAN15.5、EU8.5。2014年米国18.6、中国18.3、ASEAN15.2、EU8.8 。2015年米国 20.1、中国17.5、ASEAN15.2、EU8.8。2016年米国20.2、中国17.7、ASEAN14.8、EU9.3。2017年米国19.3、中国19.0 、ASEAN15.2、EU9.1。2018年中国19.5、米国19.0、ASEAN15.5、EU9.4。2019年米国19.8、中国19.1、ASEAN15.1 、EU9.7。2020年中国22.1、米国18.4、ASEAN14.4、EU9.2。2020年中国21.6、米国17.8、ASEAN15.0 、EU9.2。この間の日本の輸出額は、2012年 7,984億ドル、2013年 7,149億ドル、2014年 6,908億ドル、 2015年 6,249億ドル、2016年 6,451億ドル、2017年 6,983億ドル、2018年 7,381億ドル、2019年 7,056億ドル、2020年6413億ドル、2021年7,560億ドルであった。

注1:日本の財務省貿易統計による輸出額。貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値を基に作成。
注2:EUは27カ国の値。
資料:表1に同じ

図2:日本の輸入に占める主要国・地域の構成比
2012年中国21.3、米国8.6、ASEAN14.6、EU8.6。2013年中国21.7、米国8.4、ASEAN14.1、EU8.6。2014年中国22.3、米国8.8、ASEAN14.3、EU8.7。2015年中国24.8、米国10.3、ASEAN15.1、EU10.0。2016年中国25.8、中国11.1、ASEAN15.2、EU11.3。2017年中国24.5、米国10.7、ASEAN15.3、EU10.6。2018年中国23.2、米国10.9、ASEAN15.0、EU10.7。2019年中国23.5、米国11.0、ASEAN15.0、EU11.2。2020年 中国25.8、米国11.0、ASEAN15.7、EU11.4。2021年中国24.1、米国10.5、ASEAN14.7、EU11.1 だった。この間の日本の輸入総額は、2012年8858億ドル、2013年8326億ドル、2014年8130億ドル、2015年6481億ドル、2016年6077億ドル、 2017年6721億ドル、2018年7485億ドル、2019年7207億ドル、2020年6354億ドル、2021年7,690億ドルだった。

注1:日本の財務省貿易統計による輸入額。貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値を基に作成。
注2:EUは27カ国の値。
資料:表1に同じ

図3:日本の貿易総額に占める主要国・地域の構成比
2011年中国20.6、ASEAN14.8、米国11.9、EU10.5。2012年 中国19.7、ASEAN15.3、米国12.8、EU9.8。2013年中国20.0、ASEAN14.8、米国13.1、EU9.7。2014年中国20.4、ASEAN14.7、米国13.3、EU9.9。2015年中国21.2 ASEAN15.2、米国15.1、EU10.8。2016年中国21.6、ASEAN15.0、米国15.8、EU11.9。2017年中国 21.7、ASEAN15.1、米国15.2、EU11.3。2018年中国21.4、米国14.9、ASEAN15.2、EU11.5。2019年中国21.3、米国15.3、ASEAN15.0、EU12.0。2020年中国23.9、ASEAN15.0、米国14.7、EU10.3。2021年中国22.9、ASEAN14.9、米国14.1、EU10.2だった。この間の日本の貿易総額は2012年1兆6843億ドル 、2013年1億5475億ドル、2014年1兆5038億ドル、2015年1兆2730億ドル、2016年1兆2528億ドル、2017年1兆3704億ドル、2018年1兆4866億ドル、2019年1兆4263億ドル,2020年1兆2767億ドル、2021年1兆5,250億ドルだった。

注1:日本の財務省貿易統計による輸出額、輸入額、総額。貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値を基に作成。
注2:EUは27カ国の値。
資料:表1に同じ


注1:
この分析は、日本の対中輸出を中国の輸入統計でみる「双方輸入ベース」となっている。貿易統計は輸出を仕向け地主義、輸入を原産地主義で計上しており、香港経由の対中輸出(仕向け地を香港としている財)が日本の統計では対中輸出に計上されない。中国の輸入統計には日本を原産とする財が全て計上されていることから、日中間の貿易は、いずれかの国の貿易統計より、日中双方の輸入統計をみた方が実態に近いと考えられる。このため、日本の対中輸出は中国の通関統計による対日輸入を、対中輸入は日本の財務省統計による対中輸入を使用している。なお、2020年の日中貿易は2021年6月15日付地域・分析レポート参照。
注2:
財務省貿易統計の円ベース(輸出確報・輸入速報、2022年1月28日)では、日中貿易総額が38兆3,379億円(前年比17.6%増)、輸出(日本の対中輸出)が17兆9,845億円(19.2%増)、輸入が20兆3,534億円(16.3%増)となった。
注3:
中国の対「中国」輸入を除いた順位。注1で記載のとおり、輸入統計は原産地主義で計上されることから、中国の輸入統計では、香港など中国本土外の仕向け地に輸出された後、中国に再輸入された中国原産品が、対「中国」輸入として計上される。2021年の中国の集積回路(8542)の輸入では、対「中国」輸入は台湾、韓国からの輸入に次いで3番目に多い。
注4:
この分析では、貿易総額、輸出額(日本の対中輸出額)、輸入額は全て財務省貿易統計に基づき、貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値を用いている。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中国北アジア課 課長代理
宗金 建志(むねかね けんじ)
1999年、ジェトロ入構。海外調査部中国北アジアチーム、ジェトロ岡山、北京センター、海外調査部中国北アジア課、ジェトロ・北京事務所を経て、2018年8月より現職。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中国北アジア課
小林 伶(こばやし れい)
2010年4月、ジェトロ入構。海外調査部中国北アジア課、企画部企画課事業推進班(北東アジア)、ジェトロ名古屋などを経て2019年6月から現職。