日本からの輸出に関する制度

菓子の輸入規制、輸入手続き

米国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2024年7月

これまで米国は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県単位での輸入停止措置を講じていましたが、2021年9月22日に撤廃され輸出が可能となりました。
米国の食品安全基準に違反していないことの証明、または米国側でのサンプル検査などを課しています。輸入警告(インポートアラート)は米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のウェブサイトで公開されていますが、その内容は頻繁にアップデートされているため、注意が必要です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2024年7月

米国に輸入される菓子の安全は、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)が管轄しています。日本から菓子を輸入するためには、FDAへの食品施設登録と事前通知などが必要となります。

FDA食品施設登録

バイオテロ法により、米国内でヒトや動物の消費に供するための食品を製造/加工・梱包・保管する米国内外の施設の所有者、経営者または代理人は、FDAに食品施設を登録することが義務付けられています。さらに食品安全強化法の第102条により、登録は偶数年の10月1日から12月31日の間に更新することが義務付けられています。食品施設登録は、FDA業界用システム(FDA Industry Systems)からオンラインで行うことができます。

FDA向け事前通知

食品の到着までに、FDAに事前通知を提出する必要があります。(連邦規則集第21条第1.279(c)条:21 CFR 1.279(c))。事前通知は、必要な情報を持っている者であれば誰でも行うことができます。また、輸入申告で提出する情報はFDAに事前通知として提供されます。米国税関・国境取締局(CBP)のシステム(ABI/ACS)を通じて提出する場合は到着予定日の30日前から行うことができ、FDAの輸入食品事前通知システム(PNSI)を通じて提出する場合は到着予定日の15日前から行うことができます。航空輸送の場合は食品の到着の4時間前、海上輸送の場合は食品到着の8時間前までに、事前通知を提出する必要があります。(連邦規則集第21巻第1.279(c)条:21 CFR Part1.279(c))

また、次のカテゴリーに入る常温の密封容器入りの菓子については次の手続きが必要です。

密封容器(レトルトパウチ、缶詰、瓶詰など)入りの低酸性缶詰食品(常温流通)と酸性化食品(常温流通)
水分活性が0.85より高く、pHが4.6より高い、密封・常温で流通する食品は、低酸性缶詰食品として連邦規則集21CFR Part108および113が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式FDA-2541またはオンラインのFDA産業システム(FDA Industry Systems)により、施設(FCE:Food canning Establishment)登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報を、様式FDA-2541dもしくは2541f、2541gの適切なフォームでFDAに提出しなければなりません。
水分活性が0.85より高く、酸または酸性食品を加えることにより、pHを4.6以下の酸性状態にした加工食品を密封・常温で流通する場合は、酸性化食品として、連邦規則集21CFR Part108および114が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式FDA-2541またはオンラインのFDA産業システム(FDA Industry Systems)により、施設(FCE)登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報を、様式FDA-2541eでFDAに提出しなければなりません。

なお、一貫して冷蔵または冷凍で保存・流通させる場合は、FCE登録や製造工程情報の提出は不要です。

また、輸入通関にあたり、輸出者側で用意すべき書類は原材料によって異なります。動物由来の原材料が含まれている場合は、米国農務省(USDA)の許可や日本の動物検疫所の証明書が必要な場合があります。米国に輸出する前に、輸出業者、現地の輸入業者、通関業者などに輸入の適否も含め、確認してください。

原料に牛乳、脱脂粉乳、生クリーム、練乳などを使用した製品
商品によって必要な許可や取り扱いは異なっているため、USDA動植物検査局(APHIS:Animal and Plant Health Inspection Service)のデータベースであるVSパーミットアシスタントで確認してください。VSパーミットの要否はUSDA APHISのVeterinary Services Permitting Assistantで確認と申請が可能です。USDAの動植物検査局(APHIS)に直接問い合わせることもできます。粉乳の場合は、通常そのような証明書がなくても通関できる可能性もあります。詳細はUSDAに問い合わせてください。
原料に畜肉・家きん肉(エキスを含む)由来の原料などを使用した製品
原則として、食品安全検査局(FSIS:Food Safety and Inspection Service)が認可した米国内外の工場で加工された畜肉、家きん肉以外は原料として使用できないという規則が厳格に適用されています。畜肉・家きん肉にはそれらの小片、エキスも含まれます。日本の畜肉や肉エキスの処理施設はFSISに認定されていないため、日本産のこれらが含まれる菓子は米国に輸出できません。
原料に卵由来の原料を使用した製品

FDA所管の卵を含む加工品(egg containing products)や調理済みの卵製品(cooked)に該当する菓子は、製造工程で有害菌が殺菌され、食品に有害菌が存在していないことなど食品の安全性について輸出者が確認したものであれば、日本産の卵由来のものであっても通常は勾留対象とはなりません。卵製品(液卵、乾燥卵など)を原材料に使用する場合は、USDA FSISの認定施設由来もしくは低温殺菌済みや使用直前に割卵した殻付き卵由来の卵製品の使用は可能ですが、Animal Health Restrictionの対象になっている国からの卵製品を原材料にした食品の場合は、VSパーミットの取得が必要です。USDA APHISのデータベースであるVSパーミットアシスタントで確認するか、USDA APHISに直接問い合わせてください。 ※ただし、担当する検査官によっては、卵製品と卵を含む加工品の区別に個人差があることに留意してください。例えばカスタードクリームなどは輸入許可証を要求される場合もあります。卵を含む加工品がFDAの管轄下で検査されて輸入された場合、通常は前述の対応で問題はありません。

卵を含む加工品例で、FDAが所管する菓子の例:
【菓子】乾燥カスタードミックス、ケーキミックス、卵・卵製品入りのフレンチトーストなど
食品の安全な製造に関するすべてのFDAの要件を満たせば輸入可能です。

原材料に水産物が含まれている場合
原材料として水産物が含まれていて水産物を特徴とした「水産加工食品」として輸出する場合は、水産物の米国輸入に関する規制が適用されます。水産物の規制については「水産物の輸入規制、輸入手続き」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省・動植物検疫局(APHIS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省・食品安全検査局(FSIS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国国土安全保障省・税関国境取締局(CBP)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省・動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
バイオテロ法(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(401KB)
連邦食品医薬品化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act:FD&C Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国連邦規則集
米国連邦規則集
その他参考情報
米国農務省動植物検疫局(USDA APHIS)から入手できる主な情報
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ジェトロから入手できる主な情報

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2024年7月

日本からの菓子の輸出にあたっては、動植物検疫は課されていません。

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関係省庁
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その他参考情報
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米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2024年7月

食品規格は、食品グループごとに連邦規則集21CFR Part130~169に規定されています。カカオ製品は21CFR Part163、ベーカリー製品は21CFR Part136、アイスクリームは21 CFR Part135の分類です。
連邦規則集21 CFR Part 136によると、パン(Bread)は、冷却後にユニットの重量が0.5ポンド以上になることを意味します。ロール(Roll)とバンズ(buns)という言葉は、冷却後のユニットの重量が0.5ポンド未満であることを意味します。
また、連邦規則集7 CFR Part 58.648に規定されているアイスクリームの微生物基準によると、完成品には、標準平板培養法(一般生菌数)によって測定した場合、細菌数が1グラムあたり50,000個以下でなければなりません。また、5つのサンプルのうち3つにおいて、含まれる大腸菌が、プレーンの場合は1グラムあたり10個以下、チョコレート、フルーツ、ナッツ、その他のフレーバーの場合は1グラムあたり20個以下でなければなりません。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2024年7月

なし

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2024年7月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法(FD&C)第406条に基づく規則で定められています。現在、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)が規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質は、ポリ塩化ビフェニール類(PCB類)のみで(連邦規則集第21条第109.30条:21CFR Part109.30)、紙製の食品包装材のPCBの残留物に対する暫定的な許容量は10ppmとなっています。一方で、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有は避けることが望ましいとされています。

1. 有毒・有害物質の欠陥対策レベル
FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。各物質の欠陥対策レベルの値は食品によって異なりますが、同ガイダンスでは、例えばアフラトキシンについては「一般食品」において20ppbと設定されています。
なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。
また、FDAが鉛の上限を定めている個別の製品カテゴリーがあります。例えば、ボトル入り水については5ppb、子供がよく消費するジュースやキャンデーについても、ジュースは50ppb、キャンデーは0.1ppmを上限としています。
2. トータルダイエットスタディに基づく参考指標
米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(TDS:Total Diet Study)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。公表されている直近のデータは2018年から2020年に実施されたサンプリングによるもので、次のような結果となっています。ここでは、いくつかの菓子の例をあげます。
ポテトチップスに含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 4 1.3
カドミウム 89 200 130
1500 2600 1967
検出なし 6.4 2.1
マンガン 3600 3800 3667
亜鉛 11000 13000 12000
ゼラチンデザートに含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 4.1 1.4
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
マンガン 検出なし 検出なし N/A
亜鉛 検出なし 検出なし N/A
アップルパイに含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 9.6 12 11
480 590 540
検出なし 検出なし N/A
マンガン 2100 2600 2300
亜鉛 1600 2400 2033
チョコレートプディングに含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 3.2 1.1
カドミウム 3.9 6.4 4.9
810 990 927
検出なし 4.3 1.4
マンガン 1000 1100 1033
亜鉛 3000 3800 3400
キャンデーバー(チョコレート、ヌガー、ナッツ入り)に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 7.8 3.6
カドミウム 13 17 16
2100 2400 2233
検出なし 検出なし N/A
マンガン 4900 5300 5100
亜鉛 10000 12000 11000
ポップコーンに含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 5.8 6.2 6
1700 2100 1900
検出なし 6.5 2.2
マンガン 5000 7800 6267
亜鉛 18000 24000 20333
鉛:
FDAは、子供が頻繁に消費する食品を中心に(キャンデーやジュース)、鉛についてのサンプル調査を長年にわたって実施しています。FDAは1970年代から鉛の含有量の削減について働きかけており、最近のデータでは2歳児が摂取する鉛の量は1979年と比較して90%減少しているというデータもあります。
3. その他
米国では連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。
一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示にかかる改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を‘含む’ではなく、‘有害物質にさらされる’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。なお、生殖毒性があるとされるビスフェノールA(BPA)に関しては、2017年12月31日以降は個々の商品もしくは商品棚への警告表示が必要となり、全体警告は認められません。Prop.65の有害物質リストは1,000種類以上におよび、年に2~3回は更新されます。確認の際には必ず直近のリストを参照してください。
また、Prop.65に癌を引き起こす可能性がある有害化学物質として掲載されているアクリルアミドについて、警告文がないことによる訴訟が多数に上り、2021年3月に連邦裁判所はアクリルアミドを対象としたProp.65訴訟を一時的に禁止する暫定的な差し止め命令を発行しました。2024年7月現在においても、差し止め命令は有効となっています。
アクリルアミドはアミノ酸と糖分が加熱される際に自然に発生する物質で、食品製造工程で添加されるものではありません。カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)によると、フレンチフライ、ポテトチップス、その他の揚げたスナック食品、コーヒー、ローストした穀物ベースのコーヒー代替品、ローストアスパラガス、缶詰のスイートポテトとカボチャ、缶詰のブラックオリーブ、ローストナッツ、プルーンジュース、朝食用シリアル、クラッカー、クッキー、パン、トーストはすべて、さまざまな量のアクリルアミドを含む場合があります。カリフォルニア州により、コーヒーと全粒粉の朝食用シリアルは免除対象となっています。1日の摂取量の最大許容量を超える場合に必要となる警告ラベルの文章のオプションが2022年11月に公表され2023年1月1日から施行されました。また、2023年4月1日に発がん性物質として、生殖毒性がある物質として警告ラベルをつける必要のない最大許容量の数値も設定されました。アクリルアミドについては、この数値を上回る場合には通常の警告ラベルか、オプションとして新しく決められた文言のどちらか(次を参照)で警告ラベルを記載する必要があります。
新しくオプションとして認められた文言
CALIFORNIA WARNING:Consuming this product can expose you to acrylamide, a probable human carcinogen formed in some foods during cooking or processing at high temperatures. Many factors affect your cancer risk, including the frequency and amount of the chemical consumed. For more information including ways to reduce your exposure, see www.P65Warnings.ca.gov/acrylamide
(仮訳)
カリフォルニア州の警告:この製品を摂取すると、高温での調理または加工中に一部の食品で生成される、ヒトに対する発がん性の可能性があるアクリルアミドにさらされる可能性があります。化学物質の摂取頻度や量など、多くの要因ががんリスクに影響します。摂取量を減らす方法などの詳細については、www.P65Warnings.ca.gov/acrylamideを参照してください。
訴訟が継続中であるため、当該警告オプションでは、ヒトに対する発がん性の「可能性がある」としています。

関連リンク

関係省庁
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米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
米国連邦規則集
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

4. 食品添加物

調査時点:2024年7月

米国に輸入される菓子に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は、合衆国法典第21巻第321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品に対して直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれにかかる規則は、連邦規則集第21巻パート170から189(21CFR Part170~189)に列挙されています。

使用可能な食品添加物については、関連リンクの「使用が許可されている着色料一覧」および「食品に添加できる物質(旧EAFUS)」から確認することが可能です。米国において新規の食品添加物を使用する場合には、GRAS通知や食品添加物申請(FAP:Food Additive Petition)をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

意図的に使用することにより、直接的または間接的に食品の成分となる、またはなりうる物質、あるいは食品の性質に影響を及ぼす、または及ぼし得る物質を食品添加物として定義しています。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻379条(21U.S.C.379)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイトの「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「連邦規則集第21巻第70条から82条(21CFR Part70-82)」を確認してください。

特に、赤色102号については、日本をはじめEUやアジアの主要国では着色料として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として使用されていますが、米国では現在、使用することはできません。

また、FDAは、トランス脂肪酸の原因となる部分水素化油脂(PHOs:Partially Hydrogenated Oils)について「安全と認められる(GRAS:generally regarded as safe)食品」ではないとし、2018年6月18日までに添加物として承認を受けていないかぎり、使用を禁止しました。これを受け、食品事業者は、PHOsを使用しない代替材料への切り替え、またはPHOsの使用継続許可に関する食品添加物申請(food additives petition)を提出し、FDAから承認されることが求められています。

カリフォルニア州では、発がん性など健康を損なうリスクが大きいとされる4種類の食品添加物を用いた食品製造や使用、販売を禁止するカリフォルニア州食品安全法案418号が2023年10月に成立しました。規制対象となっているのは、臭素化植物油(BVO)、臭素酸カリウム、プロピルパラベン、および赤色3号で、2027年1月1日以降、これらの添加物を含む加工食品をカリフォルニア州で製造、販売(カリフォルニア州への輸入を含む)することが禁止されます。違反した個人や団体は、初回5,000ドル以下、2回目以降は1万ドル以下の罰金が科されます。

2023年11月2日に、FDAはカリフォルニア州安全食品法案418号で製造、使用、販売が禁止となったこれらの各成分の安全性を審査し、再評価していると述べていましたが、米国国立衛生研究所(NIH)と共同で実施した研究の結果、人体に悪影響を与える可能性があることが判明したという理由で、2024年7月3日に、FDAは食品へのBVOの使用を許可する規制を撤回する最終規則を公布しました。この規則は2024年8月2日に発効し、適用日は発効日から1年後であることから、企業がBVOを含む製品の調製変更、再ラベル付け、在庫の使い切りを行うための猶予期間が与えられています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2024年7月

食品の製造/加工、梱包、包装、保管または輸送に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(FCS:Food Contact Substances)といいます(食品医薬品化粧品法第 409 条(h)(6)、合衆国法典 21U.S.C.348(h)(6))。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物に定義しています。なお、梱包などの資材を構成している成分が溶出し食品に移行するかどうかを確認する責任は、資材の製造業者が負うことになります。

食品接触物質は、FDA規則に合致している物質(次の1を参照)でない場合は、FDAへの食品接触物質通知(次の2を参照)が必要です。

1. 食品接触物質の規制の適合確認
次の規則に当てはまらない食品接触物質は、FDAへの食品接触物質通知をしなければなりません。
  • 間接添加物(連邦規則集 第21巻第174条から第179条:21CFR Part174-179)
  • GRAS(連邦規則集 第21巻第182条、第184条、第186条:21CFR Part182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior Sanctioned Material, 連邦規則集 第21巻第181条:21CFR Part181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集 第21巻第170.39条:21 CFR Part170.39)
2. FDA への食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification)
食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の120日以上前にその物質の情報をFDAに通知しなければなりません(連邦規則集第21巻第170.100条:21CFRPart170.100)。通知から120日の間にFDAから異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集 第21巻第170.104条:21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果はおよびません。提出方法および提出先については関連リンクを参照してください。
2024年3月、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)は、食品接触物質通知が無効であるとFDAが判断する方法と時期に関する規則(21CFR170.105および21CFR170.102)を改正する最終規則を発表しました。この最終規則を発行する前は、FDAは安全性の懸念に基づいてのみ、食品接触物質通知がもはや有効ではないと判断することができましたが、今回の改正により、FDAが安全性以外の理由で、食品接触物質通知が無効であると判断できるようになります。安全性以外の理由とは、例えば製造業者が、その食品接触物質通知の物質を製造、供給、または使用しなくなった場合や、食品接触物質通知の認可がほかの認可と重複した場合(食品接触物質の使用が食品添加物規制によって既に認可されている場合、または発行された規制免除の閾値の対象である場合など)の場合にFDAは食品接触物質通知が無効である、と判断し、宣言することができます。最終規則では、安全性の懸念に基づいて認可を取り消すFDAの権限も、引き続き維持されており、一方、FDAが無効であると判断する前に、企業から関連情報をFDAへ提出することも可能です。FDAは規則改訂を通じて食品接触物質の管理プロセスをより効率的にすることが、食品化学物質の安全性を強化するアプローチの一部であるとしています。食品接触物質通知が有効であるかは、FDAの有効な食品接触物質通知一覧から確認することができます。
3. PFAS
PFASとは、パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質と呼ばれる化学物質の部類で、非粘着性およびグリース(潤滑性)、耐油性、耐水性に優れた特性により調理器具、食品包装、および食品加工において使用されています。FDAは食品接触物質として長鎖PFASを2011年に禁止しましたが、短鎖PFASは許可してきました。しかし、6:2フルオロテロマーアルコール(6:2 FTOH)を含む短鎖PFASの安全性に関しても懸念し、規制の変更措置を取り始めています。2024年2月にFDAは関連する製造業者が、PFASを含む耐油性材料を、米国内で食品包装に使用するためのPFASを含む耐油性材料販売することを自主的に中止することを発表しました。
さらに、米国環境保護庁(EPA)が飲料水に関する規制を発表し、米国素材メーカーの3Mが2025年末までの製造および使用の中止を発表しています。
また、FDAの連邦レベルにおける動きだけでなく、ワシントン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州などいくつかの州では、既に食品包装だけでなく、その他のPFASの使用を禁止し始めている州もありため注意が必要です。
4.フタル酸エステル類
FDAは、可塑剤、接着剤、消泡剤、表面潤滑剤、樹脂、および殺ダニ剤として使用される23種類のフタル酸エステルと、ほかの2つの物質の食品接触使用許可を取り消しました。この措置により、これらのフタル酸エステルは、第21巻第175条から第178条:21CFR Part175-178の規制によって認可された物質のリストから削除され、食品接触用途ではフタル酸エステルの使用は残り9種類に制限されます。このうち8種類は可塑剤としての使用が許可され、1種類はモノマーとしての使用が許可されています。
連邦レベルにおける動きだけでなくミネソタ州、ミシガン州、ニュージャージー州、ニューヨーク州は現在、立法会議でフタル酸エステル類を制限する法案を検討しています。メイン州では食品包装中のフタル酸エステル類の禁止法が2022年に施行されているなど注意が必要です。
5. 食品包装用リサイクルプラスチック
米国では、プラスチックを含む使用済みリサイクル(PCR:post-consumer recycled)材料の使用を増やすことに重点が置かれています。一方で、食品接触物質におけるPCRプラスチック材料の使用に関するFDAの主な安全上の懸念は、次の3点です。
  1. PCR材料中の汚染物質がリサイクル材料から作られた最終的な食品接触製品に出現することで食品に移行する可能性があること
  2. PCR材料は食品接触用途として規制されていない可能性があること
  3. PCRプラスチック中のアジュバント(添加剤・補助物質)は食品接触用途としての規制を順守していない可能性があること
リサイクルプラスチックから作られた食品接触物質の製造業者は、未使用の材料と同様に、リサイクルされた材料が意図された用途に適した純度であり、未使用の材料のすべてが既存の仕様を満たす保証責任があります。リサイクルポリマーに新規添加物を使用する場合、あるいは未使用ポリマーに現在許可されている添加物の量を超えて認可された添加物を使用する場合は、食品接触物質通知(FCN)または食品添加物申請(FAP)が必要です。
FDAは、食品包装材メーカーがPCRプラスチックを食品包装材に使用するための工程を評価する際の参考として「産業界向けガイダンス-食品包装における再生プラスチックの使用:化学上の検討事項(Guidance for Industry-Use of Recycled Plastics in Food Packaging:Chemistry Considerations)」を作成しています。また、FDAは食品接触物質の製造に使用されるPCRプラスチックを製造するための特定のプロセスの適合性に関して肯定的な意見を出した申請のリストを公開しています。
カリフォルニア州は、ギャビン・ニューサム知事が2020年9月24日に議会法案793(AB793)に署名したことにより、プラスチックボトルに使用される再生プラスチックの最低限割合(%)を義務付ける米国の初の州となりました。
この州法により、カリフォルニア州では2022年から、州の容器回収プログラムの対象となるすべてのプラスチックボトルに、少なくとも15%の再生プラスチックの使用が義務付けられています。必要な再生プラスチックの割合は、2025年には25%、2030年には50%に増加します。
また、最低要件を満たさない飲料メーカーは、目標量に満たない再生プラスチック1ポンド(454g)につき20セントの罰金が課せられます。
報告義務
製造業者は、カリフォルニア州で販売される飲料容器に使用されている未使用プラスチック(バージンプラスチック)と再生プラスチックの量を報告する必要があります。
報告義務適用業者
  • プラスチック材料の回収業者は、収集および販売された空のプラスチック飲料容器を報告する必要があります。
  • 使用済みリサイクル プラスチックの製造業者は、食品用およびボトル用のプラスチック材料の販売量を報告する必要があります。
  • 飲料製造業者は、前暦年に州内で販売されたCRV(カリフォルニア州償還価値)の対象となるプラスチックボトルに使用したバージンプラスチックおよび再生プラスチックの量をポンド単位で、樹脂の種類別に報告する必要があります。
重要な日付
  • 2022年1月1日より、飲料メーカーは少なくとも15%の再生プラスチックを利用することが義務付けられます。
  • 2025年1月1日より、飲料メーカーは少なくとも25%の再生プラスチックを利用することが義務付けられます。
  • 2030年1月1日より、飲料メーカーは少なくとも50%の再生プラスチックを利用することが義務付けられます

*2023年1月1日より、要件を満たさない飲料メーカーは行政罰則の対象となり、違反に対する罰則は2024年3月1日より適用されます。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
米国連邦規則集
合衆国法典
カリフォルニア州政府から入手できる主な情報
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
カリフォルニア州政府から入手できる主な情報
厚生労働省から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

6. ラベル表示

調査時点:2024年7月

菓子を含む食品のラベル表示は、公正な包装および表示法(Fair Packaging and Labeling Act)法により規制されています。菓子を商業目的で米国に輸入するには、米国税関・国境取締局(CBP)およびFDAが定める表示を行わなければなりません。一般的に表示しなければならない項目は次のとおりです。表示は英語で行わなければなりません。詳しくは、FDAのガイダンス資料を確認してください。

主要表示パネル:PDP(Principal Display Panel):
  1. 食品名称/識別事項
  2. 内容量・正味重量
情報パネル:IP(Information Panel):
  1. 原材料名(2種類以上の原材料〔食品添加物を含む〕が使用されている場合は、それぞれの名称を表示しなければなりません。また、アレルギー物質を使用している場合には、その原材料名を明確に表示しなければなりません。表示が義務付けられているアレルギー物質は乳、卵、魚(例:ヒラメ、タラ)、甲殻類(例:カニ、ロブスター、エビ)、ナッツ(例:アーモンド、クルミ、ピーカン)、ピーナッツ、小麦および大豆に加え2023年1月1日からゴマについてもアレルギー表示が義務化され、全部で9種類となります。魚、甲殻類、ナッツについては、その種も明記する必要があります。
  2. 栄養成分表示
  3. 製造業者、梱包業者、流通業者のいずれかの名称と住所
  4. 警告および取り扱い上の注意
  5. 原産国
なお、4.栄養成分表示について、2016年7月26日に改正法が施行されました。改正のポイントは、次のとおりです。
  • 消費者に見てほしいサービングサイズやエネルギー量(カロリー)の文字をより大きく太字にして強調すること。
  • 栄養素表示に”added sugars”を新たに追加すること。
  • ビタミンA、ビタミンCの代わりにビタミンDとカリウムの表示を追加すること。
また、全米バイオ工学食品情報開示基準(NBFDS:National Bioengineered Food Disclosure Standard)により、いわゆる遺伝子組み換え食品の情報開示が義務付けられています。USDAの農産物マーケティング局(AMS)は、バイオ工学(BE:bioengineered)の技法を用いて生産されうる穀物・食品、つまりNBFDSの対象となるBE食品リストを作成しています。このリストは、BE食品の研究開発の進展により今後さらに追加・更新される可能性がありますが、2024年時点のリストには表示規制対象のBE食品としてりんご(アークティック種)、キャノーラ、トウモロコシ、パパイヤ(リングスポット抗ウイルス性)、パイナップル、大豆、テンサイ、とうもろこし、じゃがいもなどが含まれており、バイオ工学技術を用いて作られた品種を原材料に使用している場合には開示義務があります。
商品ラベルにBE食品である旨を開示する方法としては、次の複数の方法があります。
  1. BE食品であることを文字で表示(bioengineered food/ contains a bioengineered food ingredient)
  2. シンボルマークで表示
  3. QRコードで表示(Scan here for more food Information等)
  4. テキストメッセージ、電話番号などでBE食品情報の入手先を分かるようにするなど。

なお、小麦に関してUSDAは、2022年7月時点ではこれまでに遺伝子組み換え小麦の販売や商業栽培を同省が承認した実績はなく、また未承認の遺伝子組み換え小麦の市場流通は確認されていないとしています。従って、AMSのBE食品リストに小麦は含まれておらず、NBFDSによる情報開示義務の対象にもなっていません。

関連リンク

関係省庁
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米国国土安全保障省・税関国境取締局(CBP)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省(USDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
合衆国法典
米国連邦規則集
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国農務省農業マーケティング局(USDA AMS)から入手できる主な情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
連邦取引委員会(FTC)から入手できるお主な情報
米国農務省農業マーケティング局(USDA AMS)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

7. その他

調査時点:2024年7月

食品の衛生および安全性

米国に輸入される菓子の安全性は、FDAが所管しています。米国に菓子を輸出する製造/加工、梱包、保管する施設は、食品の衛生および安全性を確保することを目的とし、連邦規則集第21巻パート117(21CFR Part117)で定められる現行適正製造規範(CGMP:Current Good Manufacturing Practice In Manufacturing, Packing or Holding Human Food)に従った衛生管理を行う必要があります。

また、2011年1月に成立した食品安全強化法(FSMA:Food Safety Modernization Act)第103条により、米国で消費される食品を製造/加工、梱包、保管する施設は、危害分析およびリスクに基づく予防管理(Hazard Analysis and Risk Based Preventive Controls)として、食品安全計画の策定と実施が義務付けられています。

輸入業者は、FSMA第301条により、外国供給業者検証プログラム(FSVP:Foreign Supplier Verification Program)として、輸入食品に対する安全検証活動を実施する必要があります。さらに、2019年7月以降は、第106条に基づき「意図的な食品不良事故の防止(食品防御)」にも対応する必要があります。適用対象や要件などの詳細は、ジェトロの「食品安全強化法に関する情報」で確認してください。

なお、次の場合には特別な食品安全規制が適用されるため、米国に輸出する前に規制内容を確認し、輸出業者、現地の輸入業者、通関業者などに輸入の適否を確認してください。

  • 常温流通される密封容器入りの低酸性食品と酸性化食品の場合(常温流通)
  • 原料に牛乳、脱脂粉乳、生クリーム、練乳などを使用した製品
  • 原料に畜肉、家きん肉(エキスを含む)、卵由来の原料を使用した製品
  • 原料に水産物を使用している場合

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関係省庁
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根拠法等
バイオテロ法(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(401KB)
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合衆国法典
米国連邦規則集
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