税制

最終更新日:2019年01月31日

法人税

税率は19%。会計年度は原則暦年だが、別の12カ月を選択することも可能。

  1. 税率と概要

    法人税は、ポーランド国内の法人活動に課税される(定率:19%)。

    ポーランドで登記されている、または実質的な経営拠点を有する法人は、収入源、発生地にかかわらず全世界で得た所得に対して課税される(無制限納税義務)。
    他の法人は、ポーランドで生じた所得のみに対して課税される(限定納税義務)。

    2017年1月1日より、ポーランドで次の項目から生じた売上(所得)は、売上(所得)とみなされる。

    1. ポーランドで行われるあらゆる経済活動。外国企業のポーランド国内での活動を含む。
    2. ポーランドに立地する不動産、あるいは使用権。またその不動産の全体あるいは部分の取得、権利の取得。
    3. ポーランド国内で公に認可された株式市場内の有価証券、または有価証券ではない収入をもたらす金融商品。それらの売上所得を含む。
    4. 株式移転、法人格を持たない組織の権利義務、投資ファンドあるいは集団投資機関の持ち分(当該株式企業、法人格を持たない組織、投資ファンドあるいは集団投資機関の資産のうち、少なくとも50%が直接・間接的にポーランド国内にある不動産、あるいは当該不動産にかかる権利である場合)
    5. ポーランド国内に拠点や住所を持つ個人、法人、法人ではない組織で、入手・支払い・回収可能な債権から得たもの(契約の場所やサービスを行った場所を問わない)。

    2019年1月1日以降、ポーランドの納税制度の改善と簡素化を目的とした税制の改正が行われた。
    今回の税制改正で特に重要な点は、小規模納税者および新たに開業する納税者(この場合は小規模である必要はない)を対象に法人税率が15%から9%に引き下げられることである。前年分所得金額がポーランド国立銀行の為替レートで120万ユーロに相当するポーランドズロチの金額(税務上の事業年度の初日にポーランド国立銀行が発表した為替レートで、1,000ズロチ以下を切り上げる額)を超えない納税者に対しては、資本所得以外の収入(所得)に対し税率9%が課税される。

    しかし、事業年度中に開業した場合およびそれに続く事業年度に、以前に行われていた事業の資本または資産の一部が1万ユーロに相当するズロチの金額を超える額であった場合、9%の税率は適用されない。同様に、会社分割が行われた場合、および以前に行われた事業の資本を所有する場合、またはその事業の資本が1万ユーロに相当するズロチの金額を超える場合、または清算中の会社の持分(株式)を所有していた場合、分割が行われた年度または株式取得年度、および次年度においては、9%の税率は適用されない。

    税率9%の予定納税については、納税者のその税務上の事業年度における収入が120万ユーロを超えない額であった場合、法人税を前払いすることができる。この金額を超えた場合、19%の税率が適用される。

  2. 免税措置

    法人所得税法には、多くの免税措置が規定されている。主たるものに特別経済区(SEZ)で活動する法人に対する免除規程があり、SEZ許可証に含まれている事業活動から生じる所得は法人税が免除されている。
    この免税措置を適切に受けるには、納税者はSEZ活動用とそれ以外の事業活動用の2種類の法人税申告を行う必要がある。

    ポーランドの法人税の免税措置については、革新的事業分野などにおいて適用される免税や控除が別に規定されている。

  3. 会計と税務

    法人税の申告計算は、会計システムに記録されたデータに基づいて行われる。
    会計基準と税務上の取扱いでは、処理区分など多くの相違が存在しているため、法人税の申告には、一定の調整が必要となる。

  4. 課税年度

    納税年度は暦年と定められているが、法人所得税法に定められた一定の基準を満たす場合、納税者は納税年度として暦年以外の12カ月を設定できる。納税年度変更の具体的手続きは法人所得税法で規定。

  5. 所得申告と納付

    自己申告納税制度(納税者自身が法人税額を算定し、自己申告する制度)を採用。
    納税者は、毎月の所得申告を義務付けられており、各月申告を翌月20日までに提出する必要がある(※)。
    事業年度末の確定申告は、次年度3カ月以内に行わなければならない。

    ※従来、課税年度の最終月(暦年の場合は12月)の納税だけは、例外的に同月の20日までに前納する必要があった。
    本規定は2012年に改正され、課税年度の最終月(暦年の場合は12月)の法人税についても、翌月20日(暦年の場合は翌年1月20日)までに支払う方式に変更された。

    財務諸表の作成を義務付けられた納税者は、監査報告書と報告書を年次財務諸表の承認後10日以内に、納税条例の規制に沿って電子方式で税務署に申告する。
    法人の場合は、財務報告書が役員会で承認された旨の決議書も添付する。この義務は2018年1月1日から、連結納税グループに含まれる企業にも適用される。

    法人所得税法では、税額の計算・前払納税について簡便方式も定めている。すなわち、納税者は前々事業年度の確定税額の12分の1を毎月納税する定額納付を採用できる。
    簡便方式を適用するには、簡便方式を採用する税務年度の最初の前納までに、税務署長にその旨を通知する必要がある。
    簡便方式を採用した場合でも、事業年度末の確定申告は、次年度3カ月以内に行わなければならない。

  6. 減価償却

    減価償却とは、3,500ズロチ以下の企業支出を月々、漸次費用に含むことである。安価な支出の償却も可能であるが、必要とされていない。
    減価償却額とその償却期間は、減価償却法と年間減価償却率に基づく。
    減価償却の方法はいくつかあるが、一般的な方法は定額法である。
    また、法人所得税法の付設にある年間減価償却率は、企業資産となる支出の何割を年間の費用に含むことができるかを示している。

    固定資産の取得価格および取得関連費用は、減価償却/割賦償却により漸次償却される。
    減価償却は原則、税務上の耐用年数に基づき定額法が採用されている。

    定率法の採用も、一部の固定資産に認められている。主な固定資産の減価償却率は次のとおり。

    • 建物(居住用建物を除く):償却率2.5%
    • 機械・生産設備:同7~25%
    • 事務機器:同14%
    • コンピューター:同30%
    • 車両(自動車):同20%
    • 携帯電話:同20%

    これらの標準減価償却率は修正される場合がある。
    例えば、劣化・陳腐化した資産の場合、法人税法の規程の範囲内で、早期償却が可能となる。
    また、中古資産もしくは機能追加された資産に対しては、一定の条件下で異なる償却率が適用される。

    次の場合は、一部の固定資産について一括償却処理が可能である(一般的に機械・設備が対象。ただし、乗用車、不動産を除く)。

    1. 少額納税者(前課税年度での売上収益総額(付加価値税を含む)が120万ユーロ以下の企業または納税者)
    2. 事業活動を開始した納税者(納税初年度のみ)
      適用可能額は、当該課税年度合計で5万ユーロを上限に一括償却可能。

      この上限の計算には、従来から少額固定資産として一括償却が認められている1万ズロチ以下の固定資産および無形資産を含まない。

    2017年8月12日より(2017年7月7日付規制)減価償却に関する変更があり、納税者によっては、機械・製造設備(詳細は規制に記載)の新規購入の際、それを固定・無形・法的資産として登録した納税年に、10万ズロチを上限に一括減価償却できるとされた。

  7. 為替差損益

    2007年1月1日以降、特定の条件を満たせば、納税者は法人税申告上、為替差損益の計算方法について、会計方式か、税務方式かを選択できる。

    税務方式では実現為替差損益のみが計算対象になるのに対し、会計方式では期末の評価替から生じる未実現の為替差損益も対象に含まれる。

    会計方式は、財務諸表監査を受けている企業のみが採用可能で、会計方式を採用もしくは停止する場合、納税者は税務年度の最初の月末までに、税務署長への通知が必要である。
    会計方式を一旦採用すると、最低3年間の適用義務がある。

  8. 繰越欠損金

    課税年度に損失がある納税者は、当該納税年度から5年間、その損失を所得から差し引くことができる。ただし、相殺される損失と収入が同じ出所でなければならない。
    また、年次決算で1回損金算入できる金額は、過去5年間の各年に生じた損失の50%以下である。

  9. 過少資本税制

    EU指令2016/1164(租税回避対策指令)に従い、2018年1月1日より過少資本税制は大幅に改正された。
    借入金の調達費用(利子等)の損金参入の上限はEBITDA(利払前・税引前・減価償却前・その他償却前利益)の30%までとなる。詳細は会計事務所に確認のこと。

  10. 移転価格税制

    一定の条件を満たすグループ企業間取引は、独立企業間原則に基づき行わなければならない。
    2017年1月1日より、移転価格に関するより詳細な文書化という規定の変更が施行された。
    文書化する範囲が変わってくるのは、全納税年度の売上げ、あるいは納税者コストが200万ユーロ(相当額)を超えるかによる。
    法人所得税法では、納税者が当局から資料提供を求められた場合、7日以内に提出しなければならない。

    次の場合、税務当局は課税所得を調整する権利を有し、追加所得とみなされた金額について50%の法人税率を課すことができる。

    1. グループ企業間が独立第三者間価格で行われていない場合
    2. 納税者が税務署の資料提供依頼後、7日以内に移転価格の文書を提出できなかった場合

二国間租税条約

日本とポーランドとの間では租税条約が締結されており、各種源泉税の上限が定められている。

  1. 源泉税率
    配当親子会社間:10%
    配当一般:10%
    利子送金:10%
  2. 使用料
    文化的事案:免除
    工業的事案:10%

納税の権利を有する者が、他の租税条約を結ぶ国に在住、あるいは拠点を持つ場合に課税されないこともありうる。
それぞれの定義は租税条約で示されており、二重課税回避のための詳細な規定が設けられている。

日本・ポーランド間で支払いを行う場合には、税務上の取扱いについてはこの租税条約の参照が望ましい。
ポーランドの会社が、租税条約の規定の適用を受けるには、支払い側の日本企業の居住者証明を入手しておく必要がある。

その他税制

個人所得税、付加価値税(VAT)、 物品税、固定資産税

個人所得税

税率は所得区分による18%、32%の累進課税。

  • 年間課税所得8万5,528ズロチ以下の場合:課税所得の18% - 免税額(*)
  • 同8万5,528ズロチ超の場合:1万5,395.04ズロチ + 8万5,528ズロチを超える課税所得の32% - 免税額(*)

(*)免税額とは、2018年1月1日より、年間税額を算出する際、あるいは税申告の際に以下のとおりとなる。

  1. 基礎税額が8,000ズロチを超えない場合:1,440ズロチ
  2. 基礎税額が8,000ズロチ以上1万3,000ズロチ未満の場合:
    『888.98ズロチx(基礎税額 - 8,000ズロチ)÷ 5,000ズロチ』から1,440ズロチ減額した額
  3. 基礎税額が1万3,000ズロチ以上8万5,528ズロチ未満の場合:556.02ズロチ
  4. 基礎税額が8万5,528ズロチ以上12万7,000ズロチ以下の場合:
    『556.02ズロチ x (基礎税額 – 8万5,528ズロチ)÷ 4万1,472ズロチ』から556.02ズロチ減額した額

なお、2007年から外国人駐在員(183日以上ポーランドに滞在し、ポーランドに生活または事業の基盤を有する場合)にも前記の累進課税が適用されている。ポーランドで発生する納税すべき売上(収入)項目は以下である。

  1. ポーランドで行われた業務による(報酬が支払われた場所を問わず)収入
  2. ポーランドで行われた個人活動による(報酬が支払われた場所を問わず)収入
  3. ポーランドで行われた経済活動による(ポーランドに所在する外国企業活動も含む)収入
  4. ポーランドに立地する不動産、あるいは使用権、またその不動産の全体あるいは部分の取得、権利の取得による収入
  5. ポーランド内で公に認可された株式市場内の有価証券、または有価証券ではない収入をもたらす金融商品。それらの売上所得を含む。
  6. 会社の株式の所有権、法人以外の会社の全権利や義務の移動、投資ファンドや共同投資組織・法人への参加、あるいは当該株式の保有に起因する債権・全権利や義務、などによる収入(直接・間接的にポーランドに立地する不動産を所有する(または権利を持つ)法人、法人ではない会社や投資財団、あるいは共同投資組織・法人のシェア(株式)の50%以上の場合(2018年1月1日より))。
  7. ポーランド内に拠点や住所を持つ個人、法人、法人ではない組織で、入手・支払い・回収可能な債権から得たもの(契約の場所やサービスを行った場所を問わない)。

法律に示されている各所から獲得した収入に課税する場合には、19%のフラット税を選ぶことも可能。所得税が対象となり(収入から税額控除費用が差し引かれた後)、これは収入に関わらず固定税率となる。

個人所得税規制(1991年7月26日付、官報1991、80番、350項、最終改正官報2016、2032項)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ポーランド語)

付加価値税(VAT)

2011年1月1日から2016年12月31日までの時限立法で、標準税率は22%から23%に引き上げられた。
軽減税率も2016年12月31日まで、以前の7%、3%、0%から、それぞれ8%(食品類、薬品、子供用品など)、5%(未加工食品、本など)、0%に変更された。
その後、VATの引き上げは現在まで延長されている。

商品とサービスにかかる税に関する法律(官報2004、54号、535項、最終改正官報2018、2174項)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ポーランド語)

VAT報告要請

VAT申告は、月次もしくは四半期ごとに税務当局へ提出される。対象月末もしくは四半期末の翌月25日が申告書提出の期限とされている。

EU域内の会社が行う域内取引(物品、サービス)については、「EC Sales List」を対象月の翌月15日までに提出しなければならない。
2017年より、EU域内の会社が行う域内取引(物品・サービス)については、「EC Sales List」を対象月の翌月25日までに、電子形式で提出しなければならない。

その他、2017年より電子形式で提出しなければならない物品については、〔商品とサービスにかかる税に関する改正規約(2016年12月1日付)〕に挙げられている。
2018年1月1日より、それ以外の物品に対しても、電子形式での提出が義務付けられた。

物品の輸入にかかるVAT

輸入物品に係るVAT(仕入に係る付加価値税)の支払義務が生じている場合、輸入業者はその仕入れに係るVATを、同期間内に発生した販売から得たVATと相殺できる権利を有している。

VAT申告書上のみでの調整計算が可能であるが(実際の現金支出はなし)、前提として、簡易通関手続きを利用した輸入手続きが行われている必要がある。
2017年3月1日より通関税務署の開設により、本プロセスのあり方が変更となった。

物品税

物品税は、とりわけ製造時、EU域内取得、もしくは輸入時に課せられる税。物品税が課せられる場合、VATは物品税を含めて計算される。
課税対象品目は、酒類、たばこ、エンジン燃料、石炭、電力、乗用車、乾燥タバコ、ガスなど。
2018年9月19日にポーランドの物品税の課税方法が簡素化される改正法が施行された。改正の一部は2019年1月1日より施行された。

財務省:物品税(Akcyza/Excise duty外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
物品税法(2008年12月6日付、官報2009、3号、11項、最終改正官報2017、43項)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ポーランド語)

固定資産税

固定資産税は土地、建物、構築物に対して、地方自治体が課す税である。
税法では税率の上限のみ定められており、税率は各地方自治体が決定する。
税額の適切な計算にあたっては、対象物の分析や適格性の検証(例:建築物であるか、建造物であるかの認識など)、土地・建物の面積測量、構築物の価値算定、適用税率の妥当性検証、および対象物の使用目的、立地する不動産などに注意を要する。

なお、特定の条件を満たせば、免税措置を受けることもできる(地方自治体が定める個々のプログラムによる)。

地方自治体による税と手数料に関する規約(官報1991、9号、31項、最終改正官報2016、1923項)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ポーランド語)

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