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小売税を9月から導入、販売額により2段階で課税

(ポーランド)

ワルシャワ発

2016年09月02日

 小売税が9月1日から導入された。販売額が月額1,700万ズロチ(約4億4,200万円、1ズロチ=約26円)を超える小売業者に課税するもので、およそ200の小売事業者が対象となる見込み。日系カーディーラーも対象となることが懸念されたが、課税対象額が当初予定より大幅に引き上げられ、多くのディーラーは対象外になるとみられる。

<企業向けやネット販売は非課税>

 小売税法が76日に下院で可決され(賛成234、反対207)、730日に大統領が署名し、91日に発効した。1ヵ月の販売額が1,700万ズロチまでは非課税、1,700万ズロチを超えた金額に対しては2段階で課税される(表参照)。例えば、販売額が1,800万ズロチだとすれば、課税対象額は100万ズロチとなり、0.8%の税率が適用されて納税額は8,000ズロチとなる。販売額が18,000万ズロチだとすると、1,700万ズロチから17,000万ズロチまでは0.8%、残りの1,000万ズロチは1.4%の税率が適用される。

表 小売税の税率

 小売税は個人向けの販売に限り課税され、企業向けの販売には課税されない。インターネット販売や飲食店のサービスも課税対象外となる。また、電気、固形燃料、軽油、医薬品など一部の商品は課税対象外となるが、それ以外については、小売市場で販売されている全ての商品の販売額に対し課税される。

 

<欧州委や業界の反発を受け修正>

 小売税の導入は、201510月の議会選挙で政権交代を果たした現与党が公約として掲げており、シドウォ政権発足直後から検討が進められてきた。当初、外資系小売りチェーンのみを課税対象にすべきという強硬案もあったが、欧州委員会から批判を受け採用されなかった。しかし、財務省が20162月に発表した草案も、「納税者の明確な定義がない」「課税方法がはっきりしない」など問題点や不明点が多く、小売業界から批判を浴びてきた。3ヵ月以上にわたり実施されたパブリックコンサルテーションでは、全国販売物流機構、全国直販協会、ポーランド民間経営者連盟「レビアタン」など、多くの業界団体が83件の意見書を提出し、多くの意見が採用された。

 

 例えば、当初案では税率を平日と週末で分けることとなっていたが、これは業界団体の反発で撤回された。また、非課税額は当初案の150万ズロチから1,700万ズロチまで大幅に引き上げられたほか、課税標準額には現行23%の付加価値税を含まないこととし、対象事業者を大きく絞った。フランチャイズチェーンも対象外とし、またグループ会社やチェーン店の場合、グループ全体の販売額ではなく、異なる納税番号(NIP番号)を持つ店舗ごとの販売額に課税されることとなり、最終的に小売税の適用対象となるのはおよそ200の事業者にとどまるとみられている。

 

<ほとんどのカーディーラーは影響なし>

 日系企業も含む自動車販売業者は、既に自動車税が課されている上に小売税も課されることになれば二重課税になる、と小売税導入を批判してきた。ポーランド自動車工業会(PZPM)が中心となって政府と交渉を重ねてきたが、自動車や自動車部品の販売は課税対象から外されなかった。ただし、課税対象者が大幅に絞り込まれたことで、ほとんどのディーラーは小売税の対象から外れるとみられる。PZPMのミハウ・ベキェラ法律・技術業務部長にジェトロが電話インタビューをしたところ、「カーディーラーの99%は小売税の導入による影響はない」とのことだった。

 

 なお、EUではほかにフランス、ハンガリー、スペインなどが小売税、あるいは小売業者への行政手数料を導入している。ハンガリーは食品チェーンに課す検査手数料を2014年に導入し、当初は売り上げに応じた累進税率を採用した。しかし、欧州委がEUの国家補助ルールに反するとして調査を開始し、その結果ハンガリーは一律課税に変更した。今回の小売税ではフランチャイズチェーンも対象外としているが、この点も欧州委はEUの国家補助に関するルールに反する恐れがあると厳しくみている。

 

 シドウォ政権は4月に子供手当を導入したほか、年金支給年齢の引き下げも検討しており、小売税はそうした政策の財源として期待されている。ベスワフ・ヤンチク財務副大臣は下院での第1読会に先立ち、621日の記者会見で、「91日に小売税を導入すれば2016年の税収は5億ズロチ増えることになり、翌年以降は通年では15億ズロチの増収となる見込み」と述べた。

 

(マウゴジャータ・シュミット、牧野直史)

(ポーランド)

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