日本からの輸出に関する制度 食品添加物の輸入規制、輸入手続き
品目の定義
本ページで定義する食品添加物のHSコード
食品添加物は、タイ保健省告示第281号において次のとおり定義されています。
「食品添加物」とは、その栄養価にかかわらず、通常それ自体が食品として、または食品の主なる材料として使用されることはないが、製造技術の目的で、または食品の着色、着香、包装、保管、運搬を目的に食品に添加されるもので、それにより食品の品質や規格あるいは特性に対して何らかの影響をもたらすものである。また、食品に添加しないが、乾燥剤、脱酸素剤など、前述の目的のために特別の包装容器に封入し食品包装内に同包する物質も含む。なお、食品添加物には、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなど、食品の栄養価を強化する、または調整するために添加する栄養素は含まれない。
食品添加物の一例:HSコード2905.4400 D-グルシトール(ソルビトール)
タイの輸入規制
1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)
調査時点:2024年10月
タイ保健省告示により、次の食品は製造・輸入・販売が禁止されています。
- 保健省告示第310号:食品ではないものを含む食品(食品の品質維持や調理目的のもので、かつ消費者の健康被害がないものは例外とする)
- 保健省告示第345号:遺伝子組換えまたは遺伝子工学によりCry9C DNA Sequence(CRISPER-Cas9:クリスパー・キャスナイン DNA配列)を有する食品およびこの食品を成分として含有する食品
- 保健省告示第391号:次の1〜13およびこれを原料とする食品
- 臭素化植物油
- サリチル酸
- ホウ酸
- ホウ砂
- 塩素酸カリウム
- クマリンまたは1,2−ベンゾピロンまたは5,6−ベンゾ−α−ピロンまたはシス-オルト−クマル酸無水物またはオルト−ヒドロキシケイ皮酸ラクトン
- ジヒドロクマリンまたはベンゾジヒドロピロンまたは3,4-ジヒドロクマリンまたはヒドロクマリン
- ジエチレングリコールまたはジヒドロキシジエチルエーテルまたはジグリコールまたは2,2'−オキシビスエタノールまたは2,2'−オキシジエタノール
- ズルチンまたは4-エトキシフェニル尿素またはパラ-フェネトールカルバミド
- AF−2(フリルフラマイド)または2−(2−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリルアミドまたはフリルフルアミド
- 臭素酸カリウム
- ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド溶液、パラホルムアルデヒド
- メラミンおよびその類縁体(シアヌル酸)
- 保健省告示第424号および第430号:付表で指定される植物、動物、動植物の部位80種類
- 保健省告示第431号:タイ食品医薬品委員会事務局(FDA)が承認する機関による食品の生物学的安全性評価を経ていない遺伝子組換え生物由来の食品(遺伝子組換え植物/動物/微生物)(2022年12月4日から適用)。ただし、同告示付属資料1に掲載の品種由来の食品は輸入可能。付属資料6に掲載の品種由来の食品は安全性評価中でも2027年12月3日までに限り輸入可能。
- 保健省告示第449号:保健省告示第387号付表1および第419号で指定されるカテゴリー4の有害物質(農薬)が検出された食品
- 食品添加物については、保健省告示第444号に使用基準などが規定されているもの以外を使用するためにはタイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)の承認を得る必要があり、例えばクチナシは現時点で規定がないため使用できません (※クチナシ黄についてはFDAの定義する天然着色料に該当するものとして使用できる場合があります。)。
- 牛肉成分を含む食品の輸入については、保健省告示第377号で定められた書類が必要です。
その他、保健省告示第390号(2018年)「販売用製造、販売用輸入、販売食品における材料使用基準、条件、方法」において、ヨウ素酸カルシウムやステビアなどの使用基準が規定されています。
関連リンク
※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁のウェブサイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。
- 関係省庁
-
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
1979年食品法(タイ語)
(178KB) / (英語)(114KB)
-
保健省告示第310号(2008年)「製造・輸入・販売禁止食品」(タイ語)
(45KB) / (英語)(24KB)
-
保健省告示第345号(2012年)「製造・輸入・販売禁止食品」(タイ語)
(35KB) / (英語)(32KB)
-
保健省告示第390号(2018年)「販売用製造、販売用輸入、販売食品における材料使用基準、条件、方法」(タイ語)
(93KB) / (英語)(96KB)
-
保健省告示第391号(2018年)「製造・輸入・販売禁止食品」(タイ語)
(131KB) / (英語)(100KB)
-
保健省告示第424号(2021年)「製造・輸入・販売禁止食品」(タイ語)
(367KB) / (英語)(203KB)
-
保健省告示第430号(2021年)「保健省告示第424号の改正」(タイ語)
(104KB) / (英語)(78KB)
-
保健省告示第431号(2022年)「遺伝子組み換え生物由来の食品」(タイ語)
(14.6MB) / (英語)(425KB) / (ジェトロ仮訳)
(1.4MB)
-
食品医薬品委員会事務局告示「保健省告示第431号(2022年)「遺伝子組み換え生物由来の食品」に関する説明」(タイ語)
(1.0MB) / (ジェトロ仮訳)(785KB)
-
保健省告示第444号(2023年)「食品添加物の使用基準、条件、方法及び比率の規定」(第3版)(タイ語)
(5.3MB) / (英語)(5.1MB) / (ジェトロ仮訳)
(384KB)
-
保健省告示第377号(2016年)「BSE リスクを伴う食品輸入原則及び条件の規定」(タイ語)
(115KB) / (英語)(214KB) / (ジェトロ仮訳)
(283KB)
-
保健省告示第387号(2017年)「残留有害物質を含有する食品」(タイ語)
(632KB) / (英語)(604KB) / (ジェトロ仮訳)
(1.2MB)
-
保健省告示第419号(2020年)「残留有害物質を含有する食品」(第3版)(タイ語)
(227KB) / (英語)(129KB) / (ジェトロ仮訳)
(439KB)
-
保健省告示第449号(2024年)「残留有害物質を含有する食品」第4版(タイ語)
(81KB) / (英語)(94KB) / (ジェトロ仮訳)
(189KB)
-
保健省食品医薬品委員会事務局法令検索サイト(タイ語)
/ (英語)
-
官報検索サイト(タイ語)
- その他参考情報
- ジェトロ「タイにおける食品輸入規制及び手続等ガイドブック」
- ジェトロ ビジネス短信「遺伝子組み換え食品規制に係る説明会での新情報」(2023年02月14日)
- ジェトロ ビジネス短信「保健省、食品添加物の使用基準に関する新告示を施行」(2023年12月11日)
- ジェトロ ビジネス短信「タイで天然着色料クチナシ黄が使用可能に」(2023年11月28日)
-
植物または動物の一部からの色素抽出に使用を認可する植物または動物のリスト(タイ語)
(159KB)
-
植物または動物の一部から得た色素の品質・規格の規定(タイ語)
(96KB)
- ジェトロ「貿易管理制度」
-
紅麹色素(赤)の品質要件または基準(紅麹色素(赤))(タイ語)
(131 KB)
-
食品医薬品局が追加使用を承認した食品添加物の使用条件のリスト(タイ語)
(102 KB)
2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)
調査時点:2024年10月
成分等に関する書類
食品添加物は、食品法上、特定管理食品に該当するため、食品レシピ(食品添加物の種類、機能、原料や製造方法などの詳細)を登録し食品登録番号(通称:オーヨーマーク)を取得する必要があります。その際に、製造業者からの成分情報、製法通知書、品質規格書(Specification)、製造国(日本)またはタイの政府機関などによる製品分析報告書が必要になります。
GMP製造基準適合証明書
タイ食品医薬品委員会事務局(FDA)は、食品の製造方法などに関する基準を定めており、タイ国内の食品製造施設に基準の順守を求めています。輸入食品については、タイ国内と同レベル以上の施設で製造されていることを担保するため、保健省告示第420号「食品の製造方法、製造におけるツール・用具及び保管」で定められた基準と同等以上の製造管理および品質管理の基準を満たしたことを証明するGMP証明書(GMP: Good Manufacturing Practice, 製造基準適合証明書)を提出することが求められています。個別商品の登録を行う場合は、食品登録時と輸入通関前にシステムに証明書を登録することが必要です。
輸入時にGMP製造基準適合証明書が求められる食品は、未加工の生鮮水産物、アルコール飲料を除くほぼすべての食品となるため、食品添加物においても必要です。保健省告示第420号では、食品共通で順守することが求められる基本要求事項が定められているほか、飲料水、ミネラルウオーター、氷には個別要求事項1が、低温殺菌ミルク製品には個別要求事項2が、密閉容器に入った低酸性食品・酸性化食品/飲料には個別要求事項3への対応がそれぞれ追加で求められます。
この証明書については、次の2つの条件を満たすことが必要です。
- 保健省告示第420号に定められた基準と同等以上の基準に基づく規格などの証明書であること。
- 保健省の認める発行主体(食品製造国の政府機関、食品製造国の政府が認めている認証機関、IAF(International Accreditation Forum)メンバーでIAFから認められた認定機関によって認定された認証機関、または Guidelines for the Design, Operation, Assessment and Accreditation of Food Import and Export Inspection and Certification Systems (CAC/GL 26-1997)に準拠した検査および認証システムを備えた機関など、信頼性のある機関のいずれか)が発行した証明書であること。
タイ保健省からはISO22000の適合証明書などが具体例として挙げられていますが、具体例として公表されていない場合でも、法令に適合していれば使用可能なものがあります。例えば、日本の食品衛生法第55条(2021年6月の改正前は第52条)に基づく営業許可証は、保健省告示第420号の基本要求事項を満たす証明書としても使用可能とされています。
なお、証明書がタイ語または英語でない場合は、タイ語または英語への翻訳が必要です。
証明書の発行機関や業種名の英訳については、在タイ日本大使館からタイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)に通知されている英訳と一致させる必要があります。詳しくは関連リンクにあるジェトロ ビジネス短信「タイ向け食品輸出に必要なGMP証明書の英訳に関する注意点」で確認してください。
翻訳は 1. 製造国のタイ国大使館または領事館、 2. タイ国内の食品製造国の大使館または領事館、 3. 国際的水準の翻訳機関、 4. 証明書に表示されている言語について学士課程以上の水準の教育を修了したタイ人、 5. その言語の高等教育機関の教師のいずれかから、正しい翻訳である旨の証明を受ける必要があります。
原本ではなく写しを使用する場合は、 1. 証明書発行機関、 2. タイ国内の食品製造国の大使館または領事館、 3. 食品製造国の政府機関、 4. 政府機関に認められた者(Notary public:公証人 / Chamber of commerce:商工会議所など)のいずれかから、原本と相違ない旨の証明を受ける必要があります。ただし、ISO22000やFSSC22000の食品安全マネジメントシステムの国際規格を認証取得し、認証機関のウェブサイトで、認証取得の内容として(1)食品製造システム規格の名称、(2)認定された食品製造場所の名称と住所、(3)認定の範囲、(4)認定された日付、または有効期限、認定の状態などが確認できる場合に限り、規格書または証明書の写し証明が免除されます。農林水産省発行のGMP証明書は、証明書の写し証明免除の対象とはなりません。 なお、証明書に有効期限が記載されていない場合は、証明書発行日から1年以内は使用可能となります。
食品の種類 | 順守が求められる規定 | 使用できる証明書の例 | すべての食品で使用可能な証明書 |
---|---|---|---|
大半の食品 | 保健省告示第420号基本要求事項 |
○Good Hygiene Practices (GHPs)CXC 1-1969 ○SQF:Edition 8.1 ○SQF:Edition 9 ○Global Seafood Assurances Global Aquaculture Alliance Best Aquaculture Practices (BAP) など なお、日本の食品衛生法第55条(旧第52条)に基づく営業許可証も使用可能。また、青果物の場合は、保健省告示第386号に基づく証明書も使用可能(行政機関による衛生証明書、JFS規格適合証明書、J-GAP等)。牛肉・豚肉の場合は、食肉衛生証明書(Health Certificate)も使用可能。 |
○ISO 22000:2018 ○FSSC 22000 ○Global Standard for Food Safety Issue 8 British Retail Consortium. ○International Food Standard;IFS ○JFS-B ○JFS-C ○農林水産省発行の GMP証明書 (保健省告示第386号の対象を除く) |
一部青果物(さつまいも、柿、桃等) | |||
飲料水、ミネラルウオーター、氷 | 保健省告示第420号基本要求事項および個別要求事項1 |
○CAC/RCP 48-2001. ○CAC/RCP 33-1985. ○SQF:Edition 8.1 ○SQF:Edition 9 など |
|
低温殺菌ミルク製品 | 保健省告示第420号基本要求事項および個別要求事項2 |
○CAC/RCP 57-2004. ○SQF:Edition 8.1 ○SQF:Edition 9 など |
|
密閉容器に入った低酸性・酸性化食品/飲料 | 保健省告示第420号基本要求事項および個別要求事項3 |
○CAC/RCP 23-1979. ○CAC/RCP 40-1993. ○SQF:Edition 8.1 ○SQF:Edition 9 など |
|
保健省告示第386号で指定される青果物 (りんご、いちご等) |
保健省告示第386号 |
○行政機関発行の証明書 ○GLOBAL G.A.P. / ASIA GAP / J-GAP ○CAC/RCP 53-2003 など |
特定原産地証明書
日本・タイ経済連携協定(JTEPA)税率、日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)税率、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)税率の適用を受けるには、特定原産地証明書を取得する必要があります(日本商工会議所が発給)。
紅麹を含む食品の分析証明書
2024年8月9日、紅麹成分を含む食品の監視策が発表され、即日施行されています。輸入食品に紅麹の成分が含まれる場合、その食品の分析検査のため留め置きが行われますが、輸入者が原産国の政府機関またはISO/IEC17025の認証を取得している機関が発行したプベルル酸(Puberulic acid)の分析証明書を提示すれば、この留め置きは免除されます。プベルル酸の分析サービスを提供する機関がない場合は、ほかの汚染物質に関してISO/IEC17025の認証を取得している機関が発行する分析証明書が一時的(タイ国内での分析体制が整うまで)に利用可能です。プベルル酸の検出量は定量下限値(Limit of quantitation:LOQ)を下回っている必要があります。
関連リンク
※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁のウェブサイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。
- 関係省庁
-
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)
/ (英語)
-
タイ財務省関税局(タイ語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
1979年食品法(タイ語)
(178KB) / (英語)(114KB)
-
保健省告示第420号(2020年)「食品の製造方法、製造におけるツール・用具及び保管」(タイ語)
(473KB) / (英語)(226KB) / (ジェトロ仮訳)
(606KB)
-
食品医薬品委員会事務局告示「保健省告示第420号「食品の製造方法、製造におけるツール、用具及び保管」に関する説明」(タイ語)
(3.3MB) / (ジェトロ仮訳)(294KB)
-
食品医薬品委員会事務局告示「食品輸入用の製造システム規格書又は証明書」(タイ語)
(558KB) / (英語)(360KB) / (ジェトロ仮訳)
(73KB)
-
保健省告示第420号の付表と同等以上の食品製造システム規格の例(タイ語)
(174KB) / (英語)(146KB)
-
食品医薬品委員会事務局告示「紅麹の成分を含む食品の監視策」(タイ語)
(161KB) / (ジェトロ仮訳)(161KB)
-
食品医薬品委員会事務局告示「紅麹の成分を含む食品の監視策(第2版)」(タイ語)
(232KB)
-
財務省告示「日本原産品の関税減免」(タイ語)
(6.3MB)
-
財務省告示「ASEAN・日本自由貿易協定の関税減免」(タイ語)
(3.7MB)
-
財務省告示「地域的な包括的経済連携協定の義務に基づく関税減免」(タイ語)
(24.8MB)
-
保健省食品医薬品委員会事務局法令検索サイト(タイ語)
/ (英語)
-
財務省関税局法令検索サイト(タイ語)
-
官報検索サイト(タイ語)
- その他参考情報
-
保健省告示第420号(2020年)「食品の製造方法、製造における設備器具及び保管」に基づく食品輸入及び製造システム規格適合書又は証明書の食品医薬品検査所での検査に関するガイドライン(タイ語)
(395KB) / (ジェトロ仮訳)(1.2MB)
-
保健省告示第420号(2020年)「食品の製造方法、製造におけるツール・用具及び保管」の輸入に関する部分に対するQ&A(タイ語)
(187KB) / (ジェトロ仮訳)(373KB)ジェトロ仮訳:6番の内容はタイ語版では既に削除されています。
-
保健省告示第420号に基づく国別の証明書の例(タイ語)
-
農林水産省 タイ向け輸出食品の製造施設に求められる衛生基準に係る規則への対応
-
農林水産省 食品(GMP証明書)
-
日本商工会議所「EPAにもとづく特定原産地証明書発給事業」
- ジェトロ ビジネス短信「タイ向け食品輸出におけるRCEP利用のメリット」(2022年3月18日)
- ジェトロ ビジネス短信「タイ向け食品輸出に必要なGMP証明書の英訳に関する注意点」(2023年12月27日)
- ジェトロ ビジネス短信「タイ保健省、紅麹の成分含む食品の監視策を施行」(2024年09月03日)
- ジェトロ「輸出入手続き」
- ジェトロ ビジネス短信「タイFDA、輸入書類の写し証明を条件付きで免除」(2024年12月16日)
-
GMP証明書の写し証明免除の際に必要な詳細の例(タイ語)
(648KB)
3. 動植物検疫の有無
調査時点:2024年10月
なし
タイでの輸入手続き
1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)
調査時点:2024年10月
販売目的で食品添加物を輸入する場合は、輸入者がタイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)から食品輸入許可書(有効期限は発行年を1年目とし、3年目の12月31日まで)を取得しておく必要があります。また、食品添加物は、食品法上、特定管理食品に該当するため、食品レシピ登録証を提出し、食品登録番号(通称:オーヨーマーク)を取得する必要があります。
食品輸入許可書の取得(Orr.7)
申請場所:タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)のe-Submissionシステム
所要日数:5営業日(次の手順1.~2.のアカウント作成を除く)
-
デジタル政府開発事務局のデジタル認証システムで
e-Submissionへのログインに使用するアカウントを作成(OpenID)する。
- 食品医薬品委員会事務局または事業所が地方にある場合は当該県の保健事務所にてe-Submission使用許可申請と必要書類を提出(郵送可)すると、システム内に事業者のMASTER DATAが作成され、3営業日以内に使用が許可される。
必要書類(法人)- 事業運営者委任任命書(収入印紙30バーツを貼付)
- 事業運営者の身分証明書の写し(外国人の場合はパスポートと労働許可証の写し)
- 法人登録証の写し(6カ月以内に発行された、販売目的の食品輸入に関する目的が記されたもの。輸入施設の住所が本社住所ではない場合のみ。)
- 法人の署名権限者の身分証明書またはパスポートの写し
- 輸入施設の住居登録証の写し
- 委任状および代理人の身分証明書の写し(事業運営者がシステム利用者を別の人に委任する場合)
-
e-Submissionシステム
にログインし、事業者のMASTER DATAを確認のうえ、申請書と必要書類をアップロードする。申請手数料(5,000バーツ)を支払う。
- 輸入許可申請書(様式Orr.6)
- 株主名簿(BorOrrJor5)の写し(6カ月以内に発行されたもの。輸入施設の住所が本社住所ではない場合のみ。)
- 外国籍の法人の場合は外国人事業許可証の写しまたは投資奨励カード(BOIカード)(輸入施設の住所が本社住所ではない場合のみ。)
- 食品保管施設の住居登録証の写し
- 施設賃貸契約書の写し(あれば)
- 食品輸入施設、保管施設の地図
- 食品輸入許可申請書類の内容保証書(施設の条件を満たしていることを保証する書類)
- 食品輸入施設、保管施設のカラー写真
- FDAが審査し、許可された場合は許可証手数料支払い指示書が発行される。
- 許可証手数料(1万5,000バーツ)を支払う。
- e-Submissionシステム上で許可証番号と許可証(Orr.7)を取得する。
食品登録番号(通称:オーヨーマーク)取得のための食品レシピ登録証(Orr.18)の取得(食品個別の登録)
申請場所:タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)のe-Submissionシステム
申請手数料:(3,000バーツ)
登録証手数料:(5,000バーツ)
所要日数:成分が1種類の場合19営業日、複数の場合28営業日
必要書類:
- 食品レシピ登録申請書 (様式 Orr.17)(e-Submissionシステム内で選択)
- 製造業者からの成分情報(e-Submissionシステム内で入力)
- 製造業者からの製法通知書
- 製造業者からの品質規格書(Specification)
- 製造業者からの原材料として使用する食品添加物の品質規格書(Raw material specification混合食品添加物の場合)
- 製造国(日本)またはFDAが指定する機関(医科学局など)による製品の品質規 格分析報告書
- ラベルの写真
- 製造業者からの製造施設証明書(GMP製造基準適合証明書)(※)
- 販売時の取扱説明書
- パッケージの分析結果報告書(任意)
- 栄養素分析結果報告書(任意)
- 製品サンプル写真(任意)
- 輸入する食品添加物中に、その食品添加物の品質維持などのために別の食品添加物を使用している場合
- 最終製品の製造技術面の効果をもたらす主要成分である食品添加物と、その食品添加物の品質維持などの機能をもつ食品添加物両方の成分配合情報
- 主要成分である食品添加物の品質維持などの機能をもつ食品添加物の、最終製品における残留量情報。残留量が多く、製造技術面の効果をもたらす可能性がある場合は、その残留量が食品の品質や特性に対して影響を与えないことを示す信頼のできる証拠を提出すること。
※詳細は、「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等」を参照。
関連リンク
※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁のウェブサイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。
- 関係省庁
-
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
1979年食品法(タイ語)
(178KB) / (英語)(114KB)
-
保健省告示第420号(2020年)「食品の製造方法、製造におけるツール・用具及び保管」(タイ語)
(473KB) / (英語)(226KB) / (ジェトロ仮訳)
(606KB)
-
食品医薬品委員会事務局告示「保健省告示第420号「食品の製造方法、製造におけるツール、用具及び保管」に関する説明」(タイ語)
(3.3MB) / (ジェトロ仮訳)(294KB)
-
食品医薬品委員会事務局告示「食品輸入用の製造システム規格書又は証明書」(タイ語)
(558KB) / (ジェトロ仮訳)(73KB)
-
保健省告示第420号の付表と同等以上の食品製造システム規格の例(タイ語)
(174KB) / (英語)(146KB)
-
食品医薬品委員会事務局規則「2024年食品登録番号に関する運用」(タイ語)
(616KB)
-
食品委員会命令第1/2545号「食品レシピ登録のための食品分析施設」(タイ語)
(18KB)
-
タイ国内の食品レシピ登録のための分析サービス提供施設一覧(タイ語)
-
保健省告示第281号(2004年)「食品添加物」(タイ語)
(42KB) / (英語)(37KB)
-
保健省令第4号(1979年)
(97KB) / (英語)(638KB)
-
主要成分である食品添加物、香味調整剤、栄養素の品質維持用に別の食品添加物を使用する場合の基準及びガイドライン(Food additives in Food additives/Food Flavouring Agents/ Nutrients)(タイ語)
(112KB)
-
保健省食品医薬品委員会事務局法令検索サイト(タイ語)
/ (英語)
-
官報検索サイト(タイ語)
- その他参考情報
-
タイデジタル政府開発事務局デジタル認証システム(タイ語)
-
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)e-Submissionシステム(タイ語)
-
食品輸入許可申請チェックリスト(タイ語)
(292KB)
-
食品添加物許可申請書類チェックリスト(タイ語)
(229KB)
-
食品輸入許可証申請書(Orr.6)提出マニュアル(タイ語)
(3.1 MB)
-
e-Submission食品添加物許可申請マニュアル(タイ語)
(9.5MB)
-
各申請の許可審査所要日数(タイ語)
(153KB)
-
保健省告示第420号(2020年)「食品の製造方法、製造における設備器具及び保管」に基づく食品輸入及び製造システム規格適合書又は証明書の食品医薬品検査所での検査に関するガイドライン(タイ語)
(395KB) / (ジェトロ仮訳)(1.2MB)
-
食品許可申請手続きにおける費用一覧(タイ語)
(226KB)
- ジェトロ「輸出入手続き」
2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)
調査時点:2024年10月
輸入前
- 輸入者は、次のいずれかから通関者登録を済ませておく。
-
関税局通関者登録サイト
-
関税局トレーダーポータル
- 関税局の登録受付サービス機関
-
関税局通関者登録サイト
- 製造施設証明書(GMP製造基準適合証明書)を食品医薬品検査所情報システム
に登録する。
- 関税局のNSW(National Single Window: ナショナルシングルウインドウ)システムから輸入申告の際に必要なLPI(License Per Invoice)番号を取得する。
輸入日
- 関税局のNSWシステム
を通じて、輸入申告書を作成、送付する。(LPI番号が必要)
- システム内で内容が確認された後、検査指示(Green Line/Red Line)、輸入申告書番号が発行される。
- 納税する。
- 食品医薬品検査所が食品抽出検査(汚染物質、食品添加物、ラベルなど)を行い、関税局職員に結果を通知する。
- 検査指示に従う。
- グリーンライン(検査免除)の場合は、貨物の受取手続きに進む。
- レッドライン(要検査)の場合は、職員の検査を受けたうえで貨物の受取手続きに進む。
- 必要書類
-
- 輸入申告書
- 輸入許可書(Orr.7)
- 食品登録番号の入った食品レシピ登録証明書(Orr.18)
- 船荷証券(B/L)もしくは航空貨物運送状(Air Waybill)
- インボイス
- パッキングリスト
- 製造施設証明書(GMP製造基準適合証明書)
- 特定原産地証明書(Certificate of Origin)(EPA税率の適用を受ける場合。※日本・タイ経済連携協定(JTEPA)のみ関税局のNSWシステムから提出、その他のEPA税率の場合は紙ベースで提出。)
- 成分情報、製法通知書、品質規格分析報告書
関連リンク
※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁のウェブサイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。
- 関係省庁
-
タイ財務省関税局(タイ語)
/ (英語)
-
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)
/ (英語)
- 根拠法等
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2017年関税法(タイ語)
/ (英語)
該当箇所:พระราชบัญญัติศุลกากร พ.ศ. 2560 (ภาษาไทย)(タイ語)、พระราชบัญญัติศุลกากร พ.ศ. 2560 (คำแปลภาษาอังกฤษ)(英語)
-
関税局告示94/2564号「通関手続き者登録」(タイ語)
(6.6MB)
-
関税局告示94/2565号「通関手続き者登録」(第2版)(タイ語)
(3.8MB)
-
関税局告示151/2567号「通関手続き者登録」(第3版)(タイ語)
(2.5MB)
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関税局告示174/2560号「税関の監督下にある、または手続き中貨物の検査原則、方法、条件」(タイ語)
(84KB)
-
関税局告示134/2561号「電子税関手続き」(タイ語)
(1.1MB)
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関税局告示131/2561号「税関関連のその他の法令の基づいた情報接続のための電子通関手続き」(タイ語)
(151KB)
-
関税局告示32/2565号「税関関連のその他の法令の基づいた情報接続のための電子通関手続き」(第2版)(タイ語)
(163KB)
-
財務省関税局法令検索サイト(タイ語)
-
官報検索サイト(タイ語)
- その他参考情報
-
LPI運用手順(タイ語)
-
Certificate of GMPの食品医薬品検査所情報システム登録手順(タイ語)
-
関税局通関者登録サイト(タイ語)
-
関税局トレーダーポータル(タイ語)
-
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)e-Submissionシステム(タイ語)
-
関税局NSWシステム(タイ語)
-
関税局での輸入・輸出者登録(タイ語)
-
食品医薬品検査所部販売用食品輸入手順(タイ語)
3. 輸入時の検査・検疫
調査時点:2024年10月
場合により関税局において書類検査(HSコード、価格、数量など)、タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)管轄の食品医薬品検査部においてサンプル検査計画に基づいた輸入食品の安全性抽出検査が行われることがあります。
2024年8月9日、紅麹成分を含む食品の監視策が発表され、即日施行されています。輸入食品に紅麹の成分が含まれる場合、その食品の分析検査のため留め置きが行われますが、輸入者が原産国の政府機関またはISO/IEC17025の認証を取得している機関が発行したプベルル酸(Puberulic acid)の分析証明書を提示すれば、この留め置きは免除されます。プベルル酸の分析サービスを提供する機関がない場合は、ほかの汚染物質に関してISO/IEC17025の認証を取得している機関が発行する分析証明書が一時的(タイ国内での分析体制が整うまで)に利用可能です。プベルル酸の検出量は定量下限値(Limit of quantitation:LOQ)を下回っている必要があります。
関連リンク
※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁のウェブサイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。
- 関係省庁
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タイ財務省関税局(タイ語)
/ (英語)
-
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
2017年関税法(タイ語)
/ (英語)
該当箇所:พระราชบัญญัติศุลกากร พ.ศ. 2560 (ภาษาไทย)(タイ語)、พระราชบัญญัติศุลกากร พ.ศ. 2560 (คำแปลภาษาอังกฤษ)(英語)
-
1979年食品法(タイ語)
(178KB) / (英語)(114KB)
-
食品医薬品委員会事務局告示「紅麹の成分を含む食品の監視策」(タイ語)
(161KB) / (ジェトロ仮訳)(161KB)
-
食品医薬品委員会事務局告示「紅麹の成分を含む食品の監視策(第2版)」(タイ語)
(232KB)
-
財務省関税局法令検索サイト(タイ語)
-
保健省食品医薬品委員会事務局法令検索サイト(タイ語)
/ (英語)
-
官報検索サイト(タイ語)
- その他参考情報
-
2025年度食品医薬品検査所部健康製品のサンプル検査計画(タイ語)
(156KB)
- ジェトロ ビジネス短信「タイ保健省、紅麹の成分含む食品の監視策を施行」(2024年09月03日)
4. 販売許可手続き
調査時点:2024年10月
食品添加物の販売許可は必要ありません。
5. その他
調査時点:2024年10月
なし
タイの輸入関税等
1. 関税
調査時点:2024年10月
関税は、最高税率のほかに、関税率勅令第12条に従い減免された基本税率(一部対象外)、WTO税率、日本・タイ経済連携協定(JTEPA)税率、日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)税率、2022年1月に発効した地域的な包括的経済連携協定(RCEP)税率の設定があります。
JTEPA、AJCEP、RCEPの適用を受けるには、原産品であることを証明する「特定原産地証明書」の提出が必要です。これらの適用を受けない場合は、基本税率が設定されている品目については基本税率、設定されていない品目についてはWTO税率が適用されます。
一例として、HSコード2905.44.00:D-グルシトール(ソルビトール)の関税は次のとおりです。
- JTEPA税率:0%
- AJCEP税率:0%
- RCEP税率:0%
- 基本税率:3%
- WTO税率:27%
EPA税率の申請様式に記載するHSコードのバージョン
- JTEPA:HS2017(2017年版)
- AJCEP:HS2017(2017年版)(2023年3月、HS2002からHS2017に置き換え)
- RCEP:HS2022(2022年版)(2023年1月、HS2012からHS2022に置き換え)
関連リンク
※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁のウェブサイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。
- 関係省庁
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タイ財務省関税局(タイ語)
/ (英語)
- 根拠法等
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2021年関税率緊急勅令(第7版)(タイ語)
(9.7MB) / (英語)(6.4MB)
-
財務省告示「日本原産品の関税減免」(タイ語)
(6.3MB)
-
財務省告示「ASEAN・日本自由貿易協定の関税減免」(タイ語)
(3.7MB)
-
財務省告示「地域的な包括的経済連携協定の義務に基づく関税減免」(タイ語)
(24.8MB)
-
財務省告示「関税率勅令第12条による関税の減免」(タイ語)
(2.7MB)
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財務省告示「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定に基づく関税の減免及び追加」(タイ語)
(6.7MB)
-
財務省関税局法令検索サイト(タイ語)
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官報検索サイト(タイ語)
- その他参考情報
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関税データベース(タイ語)
- ジェトロ「関税制度」
- ジェトロ「世界各国の関税率(World Tariff)」
- ジェトロ「EPAの原産品判定基準と特恵関税:タイ向け輸出」
- ジェトロ ビジネス短信「タイ向け食品輸出におけるRCEP利用のメリット」(2022年3月18日)
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経済産業省「EPA/FTA/投資協定-日本からの輸出で使うには」
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財務省原産地規則ポータル「日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定に係る品目別規則の改正について」
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財務省原産地規則ポータル「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定のHS2022版の品目別規則の採択について」
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2023年原産地証明書のHSコードバージョン表(タイ語)
(81KB)
2. その他の税
調査時点:2024年10月
輸入額(CIF)と関税額の合計に付加価値税(VAT)7%が課税されます。
関連リンク
※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁のウェブサイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。
3. その他
調査時点:2024年10月
タイで使用が認められていない食品添加物の場合、タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)に対して新規に使用許可を取得する必要があります。安全性評価の基準およびガイドラインについては、2023年6月27日に公布された食品医薬品委員会委事務局告示「食品医薬品委員会事務局が認める食品安全性評価機関および食品安全性評価ガイドライン」の付表2に規定されています。詳細は関連リンクの「その他参考情報」を参照してください。
関連リンク
※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁サイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。