米USTR、中国のレアアース輸出管理強化を武器化と批判、2026年外国貿易障壁報告書(中国編)
(米国、中国)
ニューヨーク発
2026年04月02日
米国通商代表部(USTR)は3月31日に公表した2026年版「外国貿易障壁報告書(NTE)」(2026年4月2日記事参照)で、中国に関して、前年から4ページ拡大し、国・地域別で最多の52ページを充てた。
NTEではまず通商協定を取り上げ、中国は2020年に締結した米中経済・貿易協定(いわゆる第1段階の合意)について(2020年2月21日記事参照)、いくつかの約束を履行していないと前年同様に問題視した(2025年4月2日記事参照)。例えば中国は、米国の農林水産物・食品の輸出に対する市場アクセスを拡大したものの、知的財産権の保護、強制的な技術移転の廃止などを行っていないと指摘した。
補助金の箇所では過剰生産能力を取り上げ、世界第2位の経済規模を有する中国が国家主導型の経済運営をしていることから「非市場的な過剰生産能力を生み出す点において世界最大の要因」と批判した。また、「中国製造2025」のような産業政策を推進することで、電気自動車(EV)やレガシー半導体などで、深刻な過剰生産能力を生み出していると指摘した。鉄鋼の過剰生産ついては、「米国市場および第三国市場において、米国の鉄鋼・同製品の輸出が中国の輸出と競合する中で、米国の労働者や製造業者に損害を与えている」と指摘した。NTEによれば、中国の2025年第3四半期の鉄鋼過剰生産能力は、前年同期比で16%増加した。また、中国の2025年の鉄鋼生産能力は世界の46%を占め、ブラジル、カナダ、EU、メキシコ、日本、米国の製鉄能力の合計の2倍以上に達しているという。
労働の箇所では、新疆ウイグル自治区における強制労働を問題視した。米国では2021年に、同自治区で生産された製品を強制労働産品とみなして輸入を禁止する「ウイグル強制労働防止法(UFLPA)」を施行しており、企業に対して、サプライチェーンをさかのぼって、同自治区で生産された製品を利用しないよう求めている。だが、中国はサプライチェーンから強制労働を完全に排除していることを確認するための、信頼性の高い第三者による監査などの実施を妨害していることが指摘された。
中国による希土類(レアアース)などに対する輸出管理については、2023年に大幅に規制を強化し、「重要鉱物サプライチェーンにおける支配的な役割を武器化する用意があることを示した」と痛烈に批判した(注1)。その上で、中国からレアアース磁石などを確保できなくなったことから、米国などの多くの工場で2025年に、生産を一時的に停止せざるを得なかったと指摘した。なお、米中両国は2025年10月に首脳会談を行い、双方が特定の輸出管理規則を1年間停止することなどで合意している(2025年11月4日記事参照)。一時停止の期限が2026年11月に控える中、ドナルド・トランプ大統領は3月に中国を訪問し、習近平国家主席と会談する予定だったが、イラン情勢に鑑み、5月14~15日に延期されている(注2)。
なお、USTRはNTEで取り上げたいくつかの課題について、1974年通商法301条に基づく措置や調査を行っている(注3)。
(注1)中国のレアアース輸出管理については、2026年3月10日付地域・分析レポート参照。
(注2)トランプ政権下の米中関係の見通しについては、2025年12月9日付地域・分析レポート、2026年3月13日記事参照。
(注3)トランプ政権が中国の広範な品目に対して維持している追加関税は、中国の強制的な技術移転などを理由に、301条に基づいて課している(2025年11月27日記事参照)。中国製の半導体については、2025年12月に301条に基づく調査結果を発表し、2027年6月から追加関税を課すと明らかにしている(2025年12月24日記事参照)。米中経済・貿易協定の履行状況(2025年10月27日記事参照)、過剰生産能力(2026年3月12日記事参照)、強制労働産品の輸入禁止措置(2026年3月13日記事参照)に関しては調査中となっている。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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