ベッセント米財務長官とグリアUSTR代表が中国との会談を発表も、米中首脳会談の成果は限定的の見通し

(米国、中国)

ニューヨーク発

2026年03月13日

米国財務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます米国通商代表部(USTR)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは3月12日、スコット・ベッセント財務長官とジェミソン・グリアUSTR代表が、3月15~16日にフランス・パリを訪問し、中国の何立峰副首相と会談するとそれぞれ発表した。ドナルド・トランプ大統領は3月31日~4月2日に中国を訪問し、習近平国家主席と会談する予定であり、今回のベッセント長官とグリア代表のパリ訪問は首脳会談に向けた事前会合に位置付けられる。ただし、首都ワシントンの米中関係の専門家の間では、今回の首脳会談で大きな成果は期待しにくいとの見方が出ている。

ベッセント長官は声明で、「トランプ氏と習氏の相互尊重の絆により、米国と中国の貿易・経済対話は前進している」と述べた。また、グリア代表は声明で、「トランプ氏と習氏の強固な関係と、両国の共通の利益により、米国と中国は、より均衡のとれた2国間貿易関係構築に向けた取り組みを推進している」と強調した。だが、これまで首脳会談に向けた事務レベルの協議が十分に行われていないことに加え、米国によるイランへの攻撃(2026年3月3日記事参照)により米国の外交政策の優先順位が不透明になっており、中国側が首脳会談に向けた準備が進まないことに不満を溜めているとも指摘されている。こうした状況を踏まえ、米中関係に詳しいワシントンの専門家は、今回の首脳会談で大きな成果は期待しにくいとの見方を示している(注)。具体的には、中国による米国産大豆の購入拡大や米国製ボーイング機の輸入拡大など、これまでもたびたび発表されてきた案件の発表にとどまるとの見方が多い。

また、中国が米国の対米外国投資委員会(CFIUS)による対米投資審査の要件緩和を求めているとされ、トランプ氏が何らかの取引(ディール)を得る代わりにこれに応じるのではないかとの観測もでている。この点については、連邦議会下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」など対中強硬派から反発を受ける政治的リスクがあるほか、CFIUSに詳しいワシントンの専門家は、「CFIUSは法的枠組みの中で明確に定められており、大統領権限でできることはほぼない」と指摘しており、実現可能性は低いとみられている。

トランプ政権2期目では、トランプ氏と習氏が2025年10月に韓国で初めての対面での首脳会談を行い、米中両国は輸出管理措置の緩和や1年間の一時停止などで合意した(2025年11月4日記事参照)。ただし、中国側の希土類(レアアース)に対する輸出管理の緩和措置に関し、双方の認識に違いがみられるとされることなどから、中国が合意内容を履行していないとして、1年の期限を待たずに米国が措置を再開し、再度緊張が高まるとの見方もある(2025年12月9日付地域・分析レポート参照)。実際に、米国側企業が十分なレアアースを取得できていないとの指摘がある。

仮に、11月までの停止期間を待たずに措置が再開されれば、企業は一時停止されていた規則に対応しなければならない。特に、エンティティー・リスト(EL)などに掲載される事業体が50%以上所有する事業体も輸出管理の対象とする「関連事業体ルール」は(2025年10月3日記事参照)、デューディリジェンスの範囲が格段に広がることから、企業の負担は大きい。今回の会談でも輸出管理を巡る措置が議論される可能性が指摘されており、企業としては、いつ当該ルールが再開されても対応できるよう、停止期間中から準備しておくことが重要となる。

(注)ジェトロによる首都ワシントンの有識者に対するインタビュー(3月10~12日)。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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