米USTR、強制労働産品の輸入禁止措置に関する301条調査開始、日本含む60カ国・地域が対象

(米国、日本)

調査部米州課

2026年03月13日

米国通商代表部(USTR)は3月12日、主要貿易相手国・地域が強制労働を使用して生産された産品の輸入禁止措置を実施しているかについて、1974年通商法301条に基づく調査を開始したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。調査対象は、日本やEU、中国を含む60カ国・地域に及ぶ(注1)。調査終了後、対象国に追加関税や輸入制限措置を講じる可能性がある。

USTRは調査開始に関する官報案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の中で、複数の国際条約で強制労働が禁止されているにもかかわらず、世界で強制労働が続いていると指摘した。また、人為的に生産コストが抑えられた強制労働産品の輸入が許されれば、輸入国での米国産品の競争力がそがれると問題視した。米国は1930年関税法307条に基づき、強制労働産品の輸入を原則禁止しているが、米国で輸入を拒否された強制労働産品が他国に再輸出される可能性にも言及した(注2)。

貿易相手国の取り組みを巡っては、米国の働きかけにより、カナダやメキシコ、EUが強制労働産品の輸入や販売を禁止したほか、複数国・地域が米国と「相互貿易協定」を交渉する中で同様の措置の採用に合意したが、いずれの国・地域も措置を採用したり効果的に執行したりしていないと主張した(注3)。

301条は、外国の措置、政策、慣行が不合理または差別的で、米国の商業に負担や制限を与えるなどと調査を通じて判断された場合に、外国の製品に追加関税など輸入制限措置を講じる権限や、外国のサービスに料金や制限を課す権限などをUSTRに認めている。301条は外国の不合理な行為の例として、「あらゆる形態の強制労働を容認する持続的な行動パターン」を定めており、USTRは2025年12月には、ニカラグアでの人権侵害などを理由に、301条に基づいて同国産品への追加関税措置を発表している(2025年12月12日記事参照)。

USTRは今回の301条調査に関して、2026年4月15日までウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでパブリックコメントを受け付けるほか、4月28日から首都ワシントンで公聴会を開催する。USTRは調査開始と同時に、調査対象国・地域に協議を要請した。

USTRは3月11日には、16カ国・地域の製造業における過剰生産能力や過剰生産に関連する政策や慣行について、301条調査を開始している(2026年3月12日記事参照)。

(注1)アルジェリア、アンゴラ、アルゼンチン、オーストラリア、バハマ、バーレーン、バングラデシュ、ブラジル、カンボジア、カナダ、チリ、中国、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、EU、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、香港、インド、インドネシア、イラク、イスラエル、日本、ヨルダン、カザフスタン、クウェート、リビア、マレーシア、メキシコ、モロッコ、ニュージーランド、ニカラグア、ナイジェリア、ノルウェー、オマーン、パキスタン、ペルー、フィリピン、カタール、ロシア、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ共和国、韓国、スリランカ、スイス、台湾、タイ、トリニダード・トバゴ、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、イギリス、ウルグアイ、ベネズエラ、ベトナムの60カ国・地域。

(注2)USTRは、強制労働産品が世界のサプライチェーンに組み込まれていることを示す証拠として、米国労働省が公表している児童労働や強制労働の利用が疑われる物品のリスト(2024年9月9日記事参照)や、米国税関・国境警備局(CBP)が発令する違反商品保留命令(WRO、2026年2月3日記事参照)を挙げた。

(注3)各国・地域の関連措置については、ジェトロ特集ページの「サプライチェーンと人権」に関する法制化動向の各資料を参照。

(甲斐野裕之)

(米国、日本)

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