世界のクリーン水素プロジェクトの現状と課題グリーン水素とブルー水素の両輪で低炭素水素導入を推進(英国)
2025年3月27日
2050年のネットゼロ目標に向け、2030年までにクリーンエネルギー大国を目指す英国。14年ぶりの政権交代により2024年7月に発足した新政権は、同年12月、2030年までにクリーン電力の比率を95%以上に引き上げること、手頃なエネルギー料金や持続可能なエネルギー小売市場の実現などに取り組むことを発表。英国政府は、これら目標を達成するために水素が中心的な役割を果たすとしている。
本レポートでは、英国における水素製造および利用に関する政府の支援や課題について、現地企業や日系企業への取材を基に現状をまとめた(インタビュー実施日:2025年2月21日)。
政権交代後も水素に関する基本路線を保持
スターマー首相は2024年12月、「変化に向けた計画(Plan for Change)」と題し、今後約5年間のうちに実現する6つの目標を発表した(2024年12月6日付ビジネス短信参照)。そのうちの1つが「英国をクリーンエネルギー大国へ」だ(注1)。ネットゼロへの移行を加速し、2030年までに少なくとも95%の電力をクリーンにするとの目標を掲げる(注2)。同月に、「2030年クリーン電力行動計画(Clean Energy 2030 Action Plan)
」を発表。(1)風力発電、(2)太陽光発電、(3)バッテリー、(4)長期エネルギー貯蔵に関する目標容量の設定、(5)二酸化炭素(CO2)回収・有効利用・貯蔵(CCUS)、(6)水素技術の開発など、2030年までに取り組むべき施策を示した。
水素については、前政権下の2022年4月に発表した「エネルギー安全保障戦略」で、低炭素水素の生産能力目標を5ギガワット(GW)から10GWに倍増した(2022年4月13日付ビジネス短信参照)。内訳として、当初は少なくとも半分(5GW)を電解槽由来水素(グリーン水素)としていた。その後、2023年12月に発表の「水素製造輸送ロードマップ
」で、これを6GWに引き上げた。残りの4GWは、CCUSにより排出量を実質ゼロとした水素(ブルー水素、注3)で賄う。また、短期的な目標として、2025年末までに最大1GWずつ、グリーン水素およびブルー水素製造施設を建設または稼働するとしていた。
新政権でも、同目標の達成を目指すとみられる。2024年12月には、「水素戦略アップデート(Hydrogen Strategy Update to the Market: December 2024)」を発表し、政府の水素関連支援の進捗状況や今後の計画をまとめている。
水素製造に対する政府支援
水素の製造に対する政府支援としては、「ネットゼロ水素基金」による設備投資費用または開発費用補助と「水素製造ビジネスモデル」(注4)による運転資金補助がある。「水素製造ビジネスモデル」では、CCUSを伴わない水素(グリーン水素)の製造については「水素アロケーションラウンド(HAR)」、ブルー水素については「CCUSクラスター・シークエンシング・プロセス(CCUS Cluster Sequencing Process)」を通じて支援を行う。
「ネットゼロ水素基金」は、2020年11月に発表した「グリーン産業革命のための10項目」において設置された。2020年代に製造を開始できるプロジェクトを対象に、最大2億4,000万ポンド(約460億8,000万円、1ポンド=約192円)を拠出する。ネットゼロ水素基金の補助金配分は、補助の対象や支援内容ごとに4つの柱に分かれている(表1参照)。
項目 | 補助内容 | 進捗と拠出金額 |
---|---|---|
柱(Strand)1 | フロントエンドエンジニアリング(FEED、注1)研究およびポストFEED費用のための開発費用に対し、補助する。 |
2022年4月にラウンド1として15件を採択し、3,790万ポンドを割当。 2024年2月にラウンド2として7件を採択、2,100万ポンドを割当。 |
柱(Strand)2 | 「水素製造ビジネスモデル(注2)」による運転資金支援を必要としないプロジェクトに対する設備投資費用を補助する。 | |
柱(Strand)3 | 水素アロケーションラウンド(HAR)で採択され、「水素製造ビジネスモデル」による運転資金支援を必要とするプロジェクトに対する設備投資費用を補助する。 | 2022年12月に第1回(HAR1)として、11件を採択。製造設備建設に対して9,000万ポンドを拠出(注3)。第2回(HAR2)は2023年12月より申請受付を開始。 |
柱(Strand)4 | CCUSクラスター・シークエンシング・プロセス(採択されたクラスターでのブルー水素製造プロジェクトが対象)の対象として採択され、「水素製造ビジネスモデル」による運転資金支援が必要なCCUSによる水素プロジェクトで生じる設備投資費用を補助する。 | 2021年にトラック1として2つのCCUS産業クラスターを採択。それぞれのクラスターで、ブルー水素製造プロジェクトに支援を決定。 |
注1:プロジェクト上のリスク・課題・費用を精査するため、プロジェクト立ち上げ段階の概念設計やフィージビリティスタディ後に行われる基本設計。
注2:水素の買い手(オフテイカー)にとって手頃に購入可能な価格で販売できるようにするために、水素製造者に対して補助金を付与する収益支援制度。低炭素水素の需要の刺激を目的にする。
注3:HAR1採択プロジェクトには、設備投資費用に加えて、商業運転開始後の運転資金補助として、水素製造ビジネスモデルから20億ポンドを拠出。
出所:英国政府「水素戦略アップデート(2024年12月)」
HARでは、第1回(HAR1)の採択案件を決定し、建設開始に向けた最終投資判断(FID)の段階にある。採択された11件のプロジェクトによる低炭素水素製造能力は合計で125メガワット(MW)になる見込み。11件の中には、日系企業が出資するプロジェクトを2件含む(2023年12月18日付ビジネス短信参照)。これに対し、製造設備建設には「ネットゼロ水素基金」から9,000万ポンド、「水素製造ビジネスモデル」を通じて商業運転開始後15年間にわたり20億ポンドを拠出する。現在は、第2回(HAR2)の採択が進んでいるところだ。一方で、2024年秋ごろの予定だった採択候補案件のショートリストの公表には遅れが生じている(2025年3月12日時点)。英国政府によると、第3回(HAR3)および第4回(HAR4)の実施まで決定している。HAR3の設計・実施に関するフィードバックを求めるプロセスの準備中だ。HAR4に関しては、2025年に設計を見直すとしている。具体的には、独立した割当機関の設置やオークション制度の導入などの可能性を示唆している。
CCUSクラスター・シークエンシング・プロセスでは、2020年代中盤までに開発するトラック1のCCUS産業クラスターとして、2021年10月にイングランド北東部ティーズサイドのイースト・コースト・クラスターと、イングランド北西部およびウェールズ北部のハイネットを採択した(注5)。2024年10月には、2つのクラスターに対して25年間で最大217億ポンドの拠出が決定している(2024年10月11日付ビジネス短信参照)。イースト・コースト・クラスターでは、英国の石油大手BPがアブダビ国営石油会社(ADNOC)と協力し、2030年までに1.2GWのブルー水素製造能力を目指すプロジェクトである「H2ティーサイド」を開発する(注6)。また、ハイネットでのブルー水素製造は、EETハイドロジェンが水素製造プラント1(HPP1、製造能力350MW)および水素製造プラント2(HPP2、製造能力1GW)の開発を進める(注7)。そのうち、H2ティーサイド、HPP1について「ネットゼロ水素基金」を通じて設備投資費用を補助する。なお、HPP2には三菱重工業がCO2回収技術ライセンスを提供する(注8)。H2ティーサイドとHPP2のブルー水素製造プロジェクトは、英国最大級の規模になる。予定どおりに開発が進むと、2030年までに目標の10GWの2割程度を賄えることになる。
また、2030年までに開発するトラック2には、2023年7月にスコットランド北東部のエイコーン・プロジェクトと、イングランド北東部ハンバーのバイキング・プロジェクトを選定している(2023年8月4日付ビジネス短信参照)。
政府はプロジェクト支援に加え、今後増加を見込む低炭素水素の持続可能性の強化や投資の促進にも注力している。水素製造事業者が温室効果ガス排出量報告に使用するための低炭素水素基準の改定、低炭素水素の信頼性を証明する低炭素水素認証制度の導入を急ぐ。
CO2貯留の適地を生かしたブルー水素製造
英国の水素戦略では、グリーン水素とブルー水素の両方を長期的なエネルギー源として捉えているのが大きな特徴になっている。これに対して、EU主要国の多くでは、ブルー水素は将来的なグリーン水素導入を支える補完的なものとして位置付ける。
英国の環境コンサルタント会社、カーボントラストの担当者によると、「英国のネットゼロ目標達成のためには、グリーン水素とブルー水素の両方とも重要な役割を持つ。グリーン水素プロジェクトも増加しているが、進捗はブルー水素の方が早い」と指摘した(注9)。その背景には、スコットランドやイングランド北東部で回収したCO2を北海沖に埋め立てることができるという地の利を生かせる事情がある。その結果として実際に、CCUSと連動した大規模なブルー水素製造プロジェクトが進んでいる(2023年6月9日付地域・分析レポート参照)。国際エネルギー機関(IEA)は、欧州のブルー水素製造プロジェクトは、英国、オランダ、ノルウェーに見られ、いずれもCO2の地下貯留に大きな可能性を秘めた国とした(注10)。また、グローバルCCSインスティテュートが2024年10月に発行した「世界のCCS動向2024年版」によると、英国では先行開発段階として36件、早期開発段階として29件、合計65件のCCSプロジェクトを確認できる(注11)。うち10件が水素製造に関連するプロジェクトで、米国の38件に次いで世界で2番目に多い。
日系エネルギー関連企業は、英国の水素製造戦略について「CCUSの適地であることを生かし、(EUに比べ)英国の方が現実的な路線を取っている」と評した(注12)。他方、10GWの低炭素水素目標については「野心的すぎる目標」とも指摘する。今後の目標達成への懸念として、英国において多数の低炭素水素プロジェクトに参画するBPが、石油・ガス回帰の姿勢を見せていることを挙げた。BPは2025年2月に大幅な資本再配置を伴う新戦略を発表した(注13)。石油・ガスの長期的な生産量削減目標を撤回し、同分野への投資を増やすとしたほか、低炭素エネルギー事業への投資額の大幅な縮小、今後の水素やCCUSプロジェクトを限定するといった方針を打ち出した。
英国における水素利用の青写真
「水素戦略アップデート」では、(1)電力、(2)産業、(3)オフロード機械、(4)輸送(船舶、航空など)、(5)建物への熱供給(家庭用暖房など)、(6)天然ガスへの水素混合、の6つの分野での水素利用の可能性をまとめている。
電化が難しい産業では、脱炭素化に対して水素が有効な選択肢になると指摘。近い将来、水素オフテイカーになる産業については、化学、製油所、重量物輸送、建設機械や農業機械などのオフロード機械、鉄鋼、ガラス、セメント、グリーンアンモニア、合成燃料(e-fuel)などを挙げる。低炭素水素を含むクリーン技術への投資を奨励する施策として、5億ポンド規模の「産業エネルギー転換基金(Industrial Energy Transformation Fund: IETF)」を設置し、低炭素エネルギーへの転換に関する商用技術の導入を目的とするプロジェクトに対して補助金を提供している。IETFフェーズ3(2024年春)への応募は2024年3月に締め切り、現在は選考プロセスが進む。フェーズ3では、2024年から2028年までの間に最大1億8,500万ポンドを提供する計画。
なお、2020年夏以降のフェーズ1~2では130件超のプロジェクトを採択している(注14、表2参照)。採択された案件は製造業やエネルギー関連分野を中心に多岐にわたり、プロジェクトにかかる総額も幅広い。英国で事業を営む外国企業の現地子会社も対象になり得る。日系企業では、三菱ケミカルやトヨタ自動車の英国法人、ピルキントンU.K.〔日本板硝子(NSG)グループ傘下〕などが補助金を獲得している。なお、2024年7月にNSGグループは、ピルキントンU.K.のグリーンゲート工場にグリーン水素製造プラントを設置すると発表した。2027年には、同プラントで製造した水素を利用して低炭素ガラスを生産する予定だ(注15)。
採択企業名 |
プロジェクト コスト(総額) |
IETFから拠出する補助金額 | 対象フェーズ | プロジェクト概要 |
---|---|---|---|---|
ノベリスU.K. | 63,382,041 | 13,999,999 |
フェーズ2 (2022年春) |
新設備導入による使用済み飲料用アルミ缶(UBC)のリサイクル能力拡張。 |
セルサ・スチールU.K. | 28,561,451 | 13,420,148 |
フェーズ2 (2022年夏) |
100%水素燃料(または100%までのあらゆる混合燃料)で操業する新しい炉と付随するインフラの設置。 |
エッサール・オイルU.K. | 24,226,078 | 7,267,823 |
フェーズ1 (2020年夏) |
100%水素焚き用の新たな石油精製炉を導入。グリーン水素はハイネットから調達。 |
ピルキントンU.K. | 17,241,439 | 3,732,261 |
フェーズ2 (2022年春) |
工場移転に伴うガラス溶融窯の更新によるCO2排出削減。 |
ハンソン | 15,589,958 | 5,592,542 |
フェーズ2 (2022年秋) |
セメント工場から排出されるCO2を回収・貯留するCCSシステムの導入。 |
セルサ・マニュファクチャリング | 14,686,717 | 3,868,481 |
フェーズ1 (2021年春) |
鉄スクラップの現場粉砕を利用して供給原料を最適化し、電気アーク炉の効率と生産量を最大化する。 |
ハイネケンU.K. | 10,663,925 | 3,732,374 |
フェーズ1 (2021年春) |
マンチェスターの醸造所における蒸気インフラを、天然ガスボイラー由来からヒートポンプ(冷凍システムの廃熱回収)に置き換える。 |
ビナーベルガー | 9,819,831 | 4,300,920 |
フェーズ2 (2022年秋) |
レンガやタイルなどの重粘土工場における天然ガス窯を電気窯に置き換える。 |
三菱ケミカルU.K. | 9,052,221 | 3,156,737 |
フェーズ2 (2021年秋) |
エネルギー効率とCO2排出量削減を目的とし、廃棄物回収用ボイラー付きサーマルオキシダイザー(注1)を設置する。 |
ジェームズ・クロッパー | 8,672,137 | 4,225,329 |
フェーズ2 (2022年夏) |
抄紙機(注2)に必要な熱需要を電化し、天然ガスから電気への燃料転換とエネルギー消費量削減を図る。 |
注1:サーマルオキシダイザーは有機物の気体を燃焼させて無害化する装置。排気処理装置の1つ。
注2:製紙工場において紙を抄(す)くための機械。
注3:掲載内容は、それぞれのフェーズで受賞者を発表した時点の情報。
注4:水素以外の低炭素エネルギー転換技術を含む。
出所:英国政府「IETFフェーズ1(2020年夏)受賞者」「IETFフェーズ1(2021年春)受賞者
」「IETFフェーズ2(2021年秋)受賞者
」「IETFフェーズ2(2022年春)受賞者
」「IETFフェーズ2(2022年夏)受賞者
」「IETFフェーズ2(2022年秋)受賞者
」から作成
なお、IEFSの対象となる技術よりも実証レベルに近い技術の導入に関しては、「産業燃料転換(Industrial Fuel Switching:IFS)」という実証プロジェクト向けの補助金制度を通じて支援する。IFSには、フェーズ1として21件、フェーズ2として13件が採択された(注16)。中には、ハイネットで製造予定のブルー水素を活用するプロジェクトとして、ピルキントンU.K.、ユニリーバ、ケロッグなどの案件が含まれる。
また、政府は家庭での水素利用についても戦略策定を検討している。安全衛生局が水素暖房の安全性を評価し、2025年後半までに結果をまとめる。
家庭での水素直接利用に関する実証実験プロジェクトとして、スコットランドのガス会社SGNが主導する「H100 ファイフ」がある。スコットランド・ファイフ(注17)の都市リーベンマスで、既存の天然ガスパイプラインを100%グリーン水素パイプラインに切り替え、300世帯の暖房や給湯用のボイラー、家電機器をつなぐ。実証を通じて、安全性の課題などを2025年の夏から2年間にわたって検証する計画だ(注18)。
財源確保と公的支援決定プロセスの迅速化が課題
このように、英国政府は、水素製造への公的支援に力を入れている。一方、補助金制度について、採択決定プロセスのスピード感や条件などに見直しの余地が出てきている。カーボントラストの担当者は、「水素目標達成のため、HARの採択プロセスの迅速化が急務」と指摘する(注19)。採択プロセスが進むHAR2では、875MWの容量を支援することを目指す。HAR2の支援対象案件には、2026年から2029年までの稼働を条件にしている、この条件を満たすためにも補助決定のプロセスのスピードアップが望ましい。
また、特に多額の補助金を拠出するCCUSに対する支援策の今後について、産業界からは政府の財源を課題という指摘も上がった。石油・ガス産業を含む洋上エネルギー業界団体のOEUKは、CCUS産業クラスターに対する資金補助の優先度が政府の財政逼迫の中で下がる可能性があるとの現地報道を受け、2025年2月に政府に対し、発表済みのトラック1への支援内容を維持し、トラック2への明確な資金枠やトラック外で進むほかのプロジェクトに関する見通しの提示を求めた(注20)。
現在発表されている水素製造案件は、2020年代後半から2030年ごろにかけての稼働が中心となっている。日系エネルギー関連企業からは、多くの設備建設案件が集中することにより、将来的な建設現場の人手不足に懸念を示す声も聞かれた(注21)。
ネットゼロ目標に向けて水素への政府投資を喚起
英国政府の政策の中で、2030年までのクリーンエネルギー導入の重要性は高い。またその中で、低炭素水素が果たす役割への期待も大きい。スターマー政権では、新たに「ナショナル・ウエルス・ファンド(NWF)」と「グレート・ブリティッシュ・エナジー(GBE)」を設立(2024年8月7日付、2024年7月18日付ビジネス短信参照)。「2030年クリーン電力行動計画」では、これらを通じてクリーン電力部門への政府投資を喚起することを強調した。特に、NWFは、5年で73億ポンドをグリーン産業に投資し、少なくとも58億ポンドはグリーン水素やCCUSを含む5つの分野に投じる、としている(注22)。これら政府投資を呼び水に、民間投資の動員、雇用の創出を目指す。
野心的な水素製造目標の達成見通し、支援プロセスや財政状況など、不安要素はある。それでも英国では、政府の強いイニシアチブの下、水素の製造を中心にプロジェクトが動きつつある。
- 注1:
- 「変化に向けた計画」では、ほかに「生活水準の向上」「住宅建設や大規模インフラプロジェクトの加速」「国営医療サービス(NHS)の改善」「治安の強化」「教育など機会の平等」といった目標を定められた。
- 注2:
- 2023年時点のクリーン電力の割合は60%(出所:2030年クリーン電力行動計画)。
- 注3:
- 主に天然ガスなどの化石燃料から製造される水素で、製造過程で発生するCO2を大気中に放出せず回収・貯蔵技術を用いることで排出量を実質ゼロとした水素を指す。
- 注4:
- 水素の買い手(オフテイカー)が手頃に購入可能な価格で販売できるようにするために、水素製造者に対して補助金を付与する収益支援制度。低炭素水素の需要の刺激を目的としたもの。
- 注5:
- CCUS産業クラスターについては、ジェトロの2022年11月29日付調査レポート、2023年3月7日付調査レポート参照。
- 注6:
-
BP H2ティーサイドウェブサイト
(2025年3月12日閲覧)。2020年代後半に稼働を予定。
- 注7:
-
EETハイドロジェンプレスリリース(2023年9月25日付)
。HPP1は2027年、HPP2は2028年に稼働を予定。
- 注8:
-
三菱重工業プレスリリース(2024年3月12日付)
- 注9:
- カーボントラストへのインタビュー(取材日:2025年2月21日)
- 注10:
-
IEA「2024年世界水素レビュー
」(2024年10月発表)
- 注11:
-
先行開発(Advanced Development)は、フロントエンジニアリング設計(FEED)を完了している案件。貯蔵サイトの場合、提案者は規制当局にフィールド開発計画または同等のものを提出中、または提出済みの案件を指す。
早期開発(Early Development)は、事前実現可能性調査または実現可能性調査を実施中または完了した案件を指す。
これら定義は、グローバルCCSインスティテュートによる。 - 注12:
- 在英日系企業インタビュー(取材日:2025年2月21日)
- 注13:
-
BPプレスリリース(2025年2月26日付)
- 注14:
- ITEFはこれまで、フェーズ1(2020年夏)で28件、フェーズ1(2021年春)で25件、フェーズ2(2021年秋)で16件、フェーズ2(2022年春)で22件、フェーズ2(2022年夏)で18件、フェーズ2(2022年秋)で27件を選定した。
- 注15:
-
NSGグループプレスリリース(2024年7月29日付)
- 注16:
-
IFSフェーズ1採択案件
、IFSフェーズ2採択案件
(それぞれ2023年6月28日付)
- 注17:
- ファイフはスコットランドの行政区画の1つ。
- 注18:
-
SGNウェブサイト
(閲覧日:2025年3月13日)
- 注19:
- カーボントラストへのインタビュー(取材日:2025年2月21日)
- 注20:
-
OEUKプレスリリース(2025年2月13日付)
- 注21:
- 在英日系企業へのインタビュー(取材日:2025年2月21日)
- 注22:
- グリーン水素、CCUS、港湾、ギガファクトリー、グリーンスチールの5分野。

- 執筆者紹介
-
ジェトロ調査部国際経済課 課長代理
田中 麻理(たなか まり) - 2010年、ジェトロ入構。海外市場開拓部海外市場開拓課/生活文化産業部生活文化産業企画課/生活文化・サービス産業部生活文化産業企画課(当時)、ジェトロ・ダッカ事務所(実務研修生)、海外調査部アジア大洋州課、ジェトロ・クアラルンプール事務所を経て、2021年10月から現職。