英政府、グリーン水素製造の支援対象プロジェクトを発表、2035年までの支援計画も策定

(英国)

ロンドン発

2023年12月18日

英国のエネルギー安全保障・ネットゼロ省は12月14日、2022年7月に開始していた第1回水素アロケーションラウンド(HAR1)の結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。政府による支援の対象として、11のグリーン水素プロジェクトが選定された。

11のプロジェクトは今後3年間(2024~2026年)にわたって合計約4億ポンド(約720億円、1ポンド=約180円)を投資する。これにより、125メガワット(MW)の水素生産能力の整備を目指す。

プロジェクトに対する政府による支援としては、「水素製造ビジネスモデル」の基金により、商業運転開始後15年間にわたって、合計約20億ポンドが拠出される。また、製造設備の建設に対しては「ネットゼロ水素ファンド(2023年4月5日記事参照)」により、約9,000万ポンドを支援する。

日系企業関連では、三井物産が出資するストレッガなどによるスコットランドのクロマティ・ハイドロジェン(10.6MW)、丸紅ユーロパワーが手掛けるウェールズのハイボント(5.2MW)が支援対象に選定された(添付資料表参照)。

英国政府は2030年までに10ギガワット(GW)(うち少なくとも5GWは電解装置由来もしくはグリーン水素)の水素製造能力の確保を目標に掲げ、短期的には2025年末までに1GWの電解設備の建設または運用開始を目指している。

政府は同じく14日、「水素製造供給ロードマップPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の策定を発表した。2035年までの水素製造に関する計画を示し、特に製造についての具体的目標を掲げる2025年から2030年にかけてのアロケーションラウンドについて詳細を記載している。第2回アロケーションラウンド(HAR2)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの応募開始も同日に発表された。

また、水素とガスの混合配送を支援する戦略的政策決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについて、2023年9月から10月にかけて実施していた意見公募に対する回答外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと合わせて発表した。ガス導管ネットワークへの20%までの水素混合について、安全性と実現可能性の評価を実施する。

さらに、水素の輸送および貯蔵インフラの戦略的開発に関する政府ビジョンを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2024年にアロケーションラウンドを実施。最大2件の大規模な貯蔵プロジェクトおよび接続されたパイプラインについて、2030年までの建設または運用開始を支援する。

英国政府は2021年8月に水素戦略を発表(2021年8月23日記事参照)。以降、進展状況を反映した改定版を定期的に発表しており、今回の一連の政策発表を踏まえた戦略の最新版を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。本戦略では、国際連携の事例として、2023年5月に発表された日本との水素を含む再生可能エネルギーパートナーシップに関する共同声明について触れている(2023年5月19日記事参照)。

(菅野真)

(英国)

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