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特集:号砲!中南米のスタートアップゲーム感覚で学べるアプリで教育を変える!(ペルー)

2019年2月19日

世界最大の日系人社会を抱えるブラジルをはじめ、ペルー、アルゼンチン、ボリビアなど、南米では多くの日系人が産業界で活躍している。スタートアップでも、日系人が創設したものが幾つか見られる。本稿では、ペルーにおいてゲーム感覚で学習を進めるアプリを開発・普及しているEd Tech(ICTを使った教育関連のスタートアップ)企業を紹介する。

ペルーの日系人は世界で3番目に多い10万人規模と言われている。ペルー社会に受け入れられ、経済界、政界、学会と広く根付いている。現在、多くの日系人ビジネスの経営を担っているのは、三世世代だ。多くは、祖父母や両親の世代の影響で、またはNIKKEI学校などで、日本的な道徳観を学んできているが、その経営手腕は欧米仕込みのビジネス感覚を持っている。そして、今その次世代が次々と社会に出て、自らの道を切り開いている。

そのうちの1人が、2018年に登記されたばかりのソフトウエア開発スタートアップである「ZPテクノロジー」の共同経営者、デニス・フクサキ氏だ。曾祖父が熊本県からの移民一世のフクサキ氏は、2015年にペルー応用科学大学(UPC)を卒業したシステムエンジニアだ。大学入学前は、リマ市内のインマクラーダ校で学び、2008年から兄のケネス・フクサキ氏とともに日系ボーカルグループ「Akinee(アキネェ)」を結成し、2012年には初アルバムを発売するという異色の経歴の持ち主だ。2015年に国際協力機構(JICA)の日系研修生(ソーシャルビジネスと日系団体運営管理コース)、2018年に内閣府の「世界青年の船」のメンバーとして来日し、日本的な価値観やサービス精神を学んだという。

大学卒業後は、ビジネスコミュニケーションのスタートアップ「OLIC」に入り、その後、スペイン大手のテレフォニカで経験を積み、2016年に学生時代からの親友で、日系人協会青年部の幹部でもあるペドロ・カルタヘーナ氏とともにZPテクノロジーを創業。ホテル業界のホームページ制作、モバイル媒体向けやスマートテレビ用アプリの受注制作のほか、アパレル企業の生産管理ソフト、スーパーマーケットのバーチャル店舗の制作などで実績を重ね、2018年に資本金4万ソル(約1万2000ドル)で正式に法人登記を行った。

同年からは独自ソフトの開発にも乗り出す。2人の創業者はペルーにおける大学への低い進学率や高い中退率の問題に注目し、ゲーム感覚で大学入試問題を解いていくアプリ「Appmisiòn」を開発した。リマ市内の5大学(国立4・私立1)が公開している学科ごとの過去の問題集データを活用し、年度ごと、または時限競争型のいずれかから選択するゲーム感覚で回答しながら学ぶことができる。現在6000件のダウンロード実績と、約400人のアクティブユーザーがいるという。今後は、リマ以外の地方都市にも展開し、ペルー国内での地固めを行った後、まずは中南米域内での展開を視野に入れており、日本企業との協業なども将来的には考えたいという。

ZPテクノロジーは、創業者の2人のほか、5人の嘱託メンバー(デザイナー2人、プログラマー2人、営業1人)が在籍している。事務所を持たず、顧客先または創業者の自宅が主な活動拠点だ。2019年には、音楽活動での経験を基にした音楽分野と、観光分野の2アプリの発表を予定しているが、具体的な内容は企業秘密とのこと。形にとらわれない自由な発想の新世代日系人の、次なるプロジェクトに期待が高まる。


ZPテクノロジー代表のデニス・フクサキ氏(撮影:ジェトロ・リマ事務所)
企業紹介
企業名 ZP Technology
ウェブサイト https://zp.com.pe/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表 Pedro Cartajena, Dennis Fukusaki
執筆者紹介
ジェトロ・リマ事務所長
設楽 隆裕(しだら たかひろ)
1992年、ジェトロ入構。ジェトロ・マドリード事務所(1997~2001年)、ジェトロ・ブエノスアイレス事務所長(2006~2010年)、ジェトロ大阪本部情報サービス課長および主幹(2013~2017年)などを経て、2018年8月より現職。

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