商用車の販売数が躍進、EV販売も急成長(UAE)

2026年7月15日

2025年のアラブ首長国連邦(UAE)の自動車販売台数は、乗用車が微減する中、タクシー向け需要を背景に商用車が伸びた。観光客の増加が商用車需要を後押ししたとみられる。販売上位車種では、トヨタ、日産、三菱などの日本勢に加え、中国ブランドも台頭している。こうした中、UAEの電気自動車(EV)販売台数は中東最大を誇り、2025年の新規登録台数(推計)は前年比約50%の伸びをみせた。

自動車販売台数は微増、商用車に大幅な伸び

国際自動車工業連合会(OICA)によると、2025年のUAEの自動車販売台数は30万8,495台で前年比0.7%増加した(表参照)。内訳を見ると、乗用車が26万2,616台(前年比2.3%減)だったものの、商用車は4万5,879台(同22.7%増)と大幅に増加したことが全体の販売台数を押し上げた。

表:アラブ首長国連邦(UAE)の自動車販売台数(単位:台)(△はマイナス値)
項目 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年 25/24年比 25/19年比
乗用車 198,520 129,901 156,780 171,414 225,386 268,876 262,616 △2.3% 32.3%
商用車 33,785 28,810 32,064 36,125 33,753 37,403 45,879 22.7% 35.8%
全体 232,305 158,711 188,844 207,539 259,139 306,279 308,495 0.7% 32.8%

出所:国際自動車工業連合会(OICA)

UAE連邦競争・統計局の最新データによると、2025年1~9月までの実質GDP成長率は5.1%(推計値)となっており、UAE経済が堅調に推移していることが分かる。また、国外からの来訪者数が増加しており、順調な経済成長と来訪者増加が自動車の販売需要を後押ししたとみられる。国外からドバイへの宿泊を伴う来訪者数は、ここ数年、過去最多を毎年更新しており、2025年は前年比5%増の1,959万人だった。観光客の増加に伴い、ドバイでの観光目的の移動需要が拡大したことが、タクシーなど商用車の販売需要を押し上げた可能性がある。

また、UAEに滞在する外国人の人口増加に伴い、個人での自動車の利用需要も増加しているとみられる。IMFのWorld Economic Outlook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2026年4月版)によると、UAEの人口は2024年の1,129万人に対して2025年は1,138万人に増加すると予測されている。UAEで日本車の人気は引き続き高く、日本の財務省貿易統計によると、2025年の日本からUAEへの輸出額140億9,100万ドル(前年比10.3%増)のうち、自動車は47億5,000万ドル(前年比14.3%増)で、対UAE輸出額全体の33.7%を占めた。輸出台数は約39万台(前年比8.3%増)だった。

自動車専門情報サイトのアラブウィールズによると、2025年のUAEにおける販売台数上位モデルでは、トヨタのハイラックスが前年比36.7%増、日産のパトロールが同27.1%増だった。主要ブランドごとの販売成長率を見ると、トヨタが前年比2.5%増で市場シェア23.2%を占め、日産が同4.9%減、三菱が同5.3%増となった。特に大きく伸びたのが、中国の奇瑞汽車(チェリー)傘下のブランド「ジェットア」(捷途)で、前年比171.4%と前年の約2.7倍となった。

EVシフトの加速

2025年のUAEにおける電気自動車(EV)販売動向は、急成長フェーズに入り、普及が本格化しているようにみられる。中東地域ではEV販売が拡大しており、国際エネルギー機関(IEA)のレポートによると、2025年の販売台数は約7万5,000台に達し、前年比で40%以上増加した。この中で、UAEが引き続き中東最大のシェアとなり、約50%を占めている(2026年5月27日付ビジネス短信参照)。独立系調査会社のウェブサイトWe THE UAE 2031によると、2025年のEV新規登録台数は約2万4,800台(推計)で前年比約50%の伸びとなった。EVの普及状況を見ると、2025年の新規EV登録台数は約2万4,800台(推計)、EV保有台数は約6万2,000台(推計)に達するという。

EVの普及を後押ししているのが政策とインフラだ。UAE政府は2023年に「国家電気自動車政策」を策定し、同年にはエネルギー・インフラ省がグリーンモビリティーへの移行支援プロジェクトである「グローバルEVマーケット」を立ち上げた。2050年までにUAEの道路を走る全車両のうち、EVの割合を50%に引き上げることを目指している。また、EVの充電ステーションは、街中で目にする機会が急速に増えている。実際に、ドバイだけでも2025年時点で1,200以上の充電ステーションが設置されており、政府は2030年までに数万基に拡張する計画を打ち出している。ますます加速するEVシフトに日本メーカーが加勢できるかが今後のカギとなりそうだ。

執筆者紹介
ジェトロ・ドバイ事務所
清水 美香(しみず みか)
2010年、ジェトロ入構。海外調査部中東アフリカ課、海外調査企画課、ジェトロ埼玉などを経て、2023年9月から現職。