国内生産台数は回復へ、電動車が半数超
フランス自動車動向(2)

2026年7月2日

電動化が進展する2025年のフランス自動車市場動向を概観した前稿(「乗用車新車登録台数は減少も、電動化が進展」参照)に続き、本稿では、フランス国内の生産台数の回復傾向を整理する。また、電動車が生産台数のうち54%に達したことによる生産構造の転換について述べる。さらに、特に電動車に焦点を当て、フランスの自動車貿易動向にも言及する。

生産台数は回復するも、コロナ禍前水準には届かず

欧州自動車工業会(ACEA)の発表(2026年4月)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(799KB)によれば、 2025年のフランス国内の乗用車生産台数は98万6,275台となった。需要減速、生産コストの上昇、一部工場における部品調達問題などを背景に落ち込んだ前年からは、15.5%増と回復した。ただし、依然としてコロナ禍前の水準には届いていない。

フランス国立統計経済研究所(INSEE)公表資料(2026年3月)(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、乗用車生産は2020年以降、おおむね年間100万台前後で推移している。これは、2015~2019年の年平均170万台と比較して低水準にとどまっており、フランスの自動車産業は、数量面ではなお調整局面にあるといえる。

もっとも、生産台数の内訳を見ると、大きな構造変化が進行している。最大の特徴は電動化の加速だ。電動車需要の拡大に加え、欧州レベルでの環境規制の強化が、産業側の生産体制の見直しを後押ししている。2025年には、フランスで生産された乗用車の54%が電動車となり、電動化の傾向が明確となった2021年の42%から大幅に上昇した。この流れは年後半にかけて一段と加速し、2025年第4四半期には電動車の生産比率が65%に達した。特にBEVの比率は、2021年の13.6%から2025年には21.4%へと拡大した。ハイブリッド車(充電式・非充電式)も28.0%から32.2%に増加しており、フランスの乗用車生産は着実に電動化へとかじを切っている。

一方、ガソリン車やディーゼル車といった内燃機関車の生産台数は減少傾向にある。2021年の53万2,000台から2025年には46万9,000台へと11.8%減少した。これに対し、BEVの生産は74.0%増、ハイブリッド車(充電式・非充電式)も27.3%増と大きく伸び、生産構造の転換が一段と鮮明になっている。

乗用車貿易、赤字縮小も輸入依存は続く

フランス税関の統計によると、2025年の乗用車(HSコード8703)の輸出台数は前年比5.3%増の119万4,077台、輸入台数は前年比5.6%減の184万8,368台で、65万4,291台の輸入超過となった。輸入超過台数は、前年の82万2,569台、2023年の69万7,342台から減少したものの、フランスが乗用車の純輸入国である構図に変化はなかった。

輸出先は従来通り欧州諸国が大半を占めている。最大の輸出相手国はベルギー(構成比14.7%)で、前年比5.0%減の17万5,869台だった。これに続き、ドイツ(9.8%)は11万7,444台(9.2%増)、英国(8.7%)は前年から27.2%増の10万3,973台と大幅に伸び、イタリア(8.4%)は10万458台(12.4%減)となった。

輸入先でも、主力は欧州諸国だ。最大の輸入相手国であるスペイン(構成比18.8%)は前年比14.5%減の34万7,331台、2位のドイツ(14.8%)は5.1%減の27万4,236台、3位のルーマニア(8.3%)は4.4%減の15万2,744台と落ち込んだ。

EU域外からの輸入では中国の動きが目を引く。前年の一時的な落ち込みを経て、再び前年比31.7%増の13万2,323台と増勢を示しており、中国生産車の存在感は再び高まっている。一方、7位のモロッコ(6.8%)は20.7%減の12万5,258台と前年からの減少が続いた。また、11位の韓国(2.2%)は33.1%減の4万1,213台と直近2年間でほぼ半減した。15位の日本(1.7%)は22.4%減の3万475台と減少が続いた。

電動車は輸入超が続くも、カテゴリー別で動きに差

フランスは、BEV、PHEV、HEVのいずれのカテゴリーにおいても純輸入国だ。

2025年のBEVの輸出台数は前年比67.5%増の15万8,824台、輸入台数は前年比6.1%増の31万8,522台となった。輸入超過台数は15万9,698台で、前年の20万5,351台から縮小した。

乗用車生産台数の21%を占めるBEVの37%は国内向けで、2025年のBEV新車登録台数の約4分の1が国産車となった。輸出先は欧州域内が圧倒的に多く、英国が3万5,243台(前年比76.2%増)で最大の輸出先となり、全体の22.2%を占めた。続くドイツ(構成比13.1%)は88.4%増の2万828台、オランダ(11.0%)は88.2%増の1万7,442台と、両国ともに大幅増となった。欧州域外に輸出されたBEVは、国産BEVの50台に1台程度にとどまった。

2025年のBEVの輸入は高水準を維持した。輸入元は欧州諸国が全体の3分の2超を占める。ドイツが最大の輸入相手国で、2025年は前年比6.1%増の9万3,485台と全体の29.4%を占めた。同国からのBEVの輸入は2023年から拡大している。同国メーカーの競争力に加え、2022年に稼働した米国テスラのギガファクトリーが、欧州向けBEVの供給拠点として機能している点が背景にある。

2位の中国からのBEV輸入は3.6%増の6万249台で、全体の18.9%を占めた。ただし、輸入元は必ずしもメーカーの国籍を反映するものではなく、欧米メーカーによる中国生産分も含まれる。フランスでは、BEV補助金制度が組立国を考慮する仕組みへ変更されたことを受け(2023年9月25日付ビジネス短信参照)、2023年以降、中国製BEVの販売・輸入は大きな影響を受けた。ルノー傘下のダチアの「スプリング」は中国製のため補助金対象外となり、2023~2024年に販売台数が急減した。また、中国のMGも2024年に販売台数が約25%減少した。

HEVの輸出は、2025年に前年比27.8%増の32万508台と大きく伸びた。輸出先では、ベルギー(構成比31.7%)が10万1,597台で最大となり、次いでイタリア(14.9%、4万7,863台)、英国(10.7%、3万4,388台)が続いた。特に英国向けは前年比で倍増した。英国に次ぐスペイン向けも24.3%増の2万6,504台と拡大がみられた。

一方、輸入は国内需要の拡大を背景に、前年比41.1%増の49万2,949台となり、近年の増加傾向を維持した。輸入の約3分の1はスペインからで、前年を43.2%上回る16万7,337台となった。これにルーマニア(87.8%増の6万1,859台)、トルコ(24.4%増の4万5,218台)が続いた。中国からの輸入も3万5,335台と増加し、2年前と比べて約10倍に拡大した。

PHEVの貿易は、輸出が大きく拡大する一方、輸入は国内需要の減少を受けて減少に転じた。輸出は前年比48.2%増の2万919台と高い伸びを示し、オランダ(構成比25.9%)が63.1%増の5,413台で最大となった。ドイツ(8.2%)は1,720台とほぼ3倍に増加し、トルコ(7.6%)は1,585台となった。

一方、輸入は前年比4.9%減の11万8,020台で、2023年をピークに減少傾向が続いている。ドイツ(構成比41.4%)が4万8,886台で最大で、スペイン(20.1%)が2万3,741台、中国(12.2%)が1万4,356台と続いた。総じて、フランスの自動車産業は生産量の回復局面にある一方で、電動化を軸とした構造転換が同時並行で進んでいる点が特徴といえる。また、自動車貿易に関しては依然として純輸入国であるが、電動車の中ではPHEVの輸入が減少に転じるなど、電動車種ごとに異なる傾向が見られる。

フランス自動車動向

執筆者紹介
ジェトロ・パリ事務所
山﨑 あき(やまさき あき)
2000年よりジェトロ・パリ事務所勤務。
フランスの政治・経済・産業動向に関する調査を担当。