エコカーの新車登録台数は増加、ハイブリッドが牽引(ルーマニア)
2026年7月3日
ルーマニアの自動車製造者協会(ACAROM)の発表(ルーマニア語)
(2026年1月5日付)によると、同国内の2025年新車登録台数は、前年比3.8%増の15万6,803台と好調だった。
自動車生産台数は、過去最多を記録した前年から2.6%減の54万5,510台にとどまった。ルノー・グループ傘下の地場自動車メーカーのダチアと、同国に生産拠点を有する米国フォードとトルコ財閥コチ・ホールディングの合弁会社のフォード・オトサンの生産台数はいずれも前年を下回った。
新車登録台数、トヨタが前年に続き2桁台の伸び
新車登録台数をメーカー、またはブランド別に見ると、首位は国産メーカーのダチアで、4万5,738台だった(表1参照)。次いでトヨタ1万5,893台、ルノー1万1,482台、フォルクスワーゲン(VW)傘下のシュコダ1万1,299台、VW9,738台と続く。トヨタは前年に続いて20%超の伸びを記録し、ルノー、フォード、BMWも2桁台の増加となった。一方で、現代は前年に大幅に増加した反動もあり、前年からマイナスに転じた。
| 順位 | メーカー | 2025年 | シェア | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ダチア | 45,738 | 29.2 | 2.9 |
| 2 | トヨタ | 15,893 | 10.1 | 24.0 |
| 5 | ルノー | 11,482 | 7.3 | 12.0 |
| 3 | シュコダ | 11,299 | 7.2 | 6.5 |
| 6 | フォルクスワーゲン | 9,783 | 6.2 | 1.7 |
| 4 | 現代 | 9,352 | 6.0 | △ 8.9 |
| 7 | フォード | 7,345 | 4.7 | 13.1 |
| 8 | メルセデス・ベンツ | 5,488 | 3.5 | 1.1 |
| 9 | BMW | 5,430 | 3.5 | 10.9 |
| 10 | スズキ | 4,735 | 3.0 | 6.8 |
| 合計(その他含む) | 156,803 | 100.0 | 3.8 | |
出所:ACAROMの資料を基にジェトロ作成
なお、ACAROMによると、2025年のEU全体の新車登録台数は前年比1.8%増の1,082万2,831台となり、ルーマニアの新車登録台数はEU加盟国の中で前年同様、14位だった。
自動車製造業者・輸入業者協会(APIA)
によると、新車乗用車のうち約6割が法人向けとなっている。リース車の需要も堅調で、ダチア、シュコダ、トヨタなどがリース向けの販売を伸ばし、好調だった。
日系メーカー・ブランド全体の新車登録台数は前年比1.2%増の2万3,451台だった(表2参照)。トヨタ、スズキ、マツダのトップ3のうち、トヨタは前年比12.5%増と前年に続き増加した。一方で、スズキ、マツダは2年連続で前年を下回った。
| メーカー | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|
| 台数 | 前年比 | ||
| トヨタ | 12,818 | 14,418 | 12.5 |
| スズキ | 4,435 | 3,954 | △10.8 |
| マツダ | 2,682 | 2,207 | △17.7 |
| 日産 | 1206 | 1,030 | △14.6 |
| ホンダ | 1099 | 779 | △29.1 |
| 三菱自動車 | 498 | 465 | △6.6 |
| レクサス | 390 | 462 | 18.5 |
| スバル | 53 | 136 | 156.6 |
| 合計 | 23,181 | 23,451 | 1.2 |
注:APIAとACAROMは、一部の車種で車両分類が異なるため、表1のデータとは一致しない。
出所:APIAの資料を基にジェトロ作成
車種別の新車登録台数では、ダチアが「ロガン」(シェア9.8%)を筆頭に、「ダスター」(同9.0%)、「サンデロ」(同5.2%)と上位3位を占めた(表3参照)。ルノー「クリオ」(同3.3%)、シュコダ「オクタビア」(同3.0%)が続いた。
| 順位 | メーカー | モデル | 台数 | シェア |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ダチア | ロガン | 15,299 | 9.8 |
| 2 | ダチア | ダスター | 14,065 | 9.0 |
| 3 | ダチア | サンデロ | 8,099 | 5.2 |
| 4 | ルノー | クリオ | 5,080 | 3.3 |
| 5 | シュコダ | オクタビア | 4,684 | 3.0 |
| 6 | トヨタ | カローラ | 4,563 | 2.9 |
| 7 | 現代 | トゥクソン | 3,692 | 2.4 |
| 8 | ダチア | ビッグスター | 3,498 | 2.2 |
| 9 | ダチア | ジョガー | 3,198 | 2.1 |
| 10 | トヨタ | RAV4 | 3,101 | 2.0 |
出所:APIAの資料を基にジェトロ作成
ディーゼル車の登録減少、ハイブリッド車の増加がエコカー全体を押し上げ
乗用車の新車登録台数の動力別の割合を見ると、ガソリン車が60.7%(前年は61.1%)、ディーゼル車が7.6%(同13.8%)、エコカーが31.8%(同25.1%)だった(図1参照)。
エコカーの内訳として、バッテリー式電気自動車(BEV)が5.7%(同6.5%)、プラグインハイブリッド車(PHEV)が6.5%(同4.3%)、ハイブリッド車(HEV)が19.6%(同14.3%)だった。
注:ガソリン車はマイルドハイブリッド(MHEV)を含む。
出所:APIAの資料を基にジェトロ作成
APIAの集計(ルーマニア語)
(611KB)によると、BEVが前年比9.1%減の8,833台、PHEVが59.0%増の1万79台、HEVが41.5%増の3万567台となった(表4参照)。プラグインハイブリッド車とハイブリッド車が堅調に伸び、エコカー全体の割合は拡大した。一方で、BEVは前年比9%減と伸び悩んだ。これは、環境対応車への買い替え促進補助金制度「ラブラ・プログラム(Programul Rabla)」の遅延や予算縮減などの混乱が影響し(2025年5月16日付地域・分析レポート参照)、BEVの普及が十分に後押しされなかったためとみられる。
表4:メーカー・ブランド別エコカー新車登録台数(2025年) (単位:台、%)(△はマイナス値)
| メーカー | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|
| 台数 | 前年比 | ||
| ダチア | 3,263 | 1,596 | △51.1 |
| 現代 | 599 | 1,157 | 93.2 |
| フォード | 134 | 1,149 | 757.5 |
| テスラ | 2,550 | 1,115 | △56.3 |
| ルノー | 434 | 720 | 65.9 |
| 合計(その他含む) | 9,712 | 8,833 | △9.1 |
| メーカー | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|
| 台数 | 前年比 | ||
| フォルクスワーゲン | 315 | 1,619 | 414.0 |
| メルセデス・ベンツ | 1,262 | 1,340 | 6.2 |
| BMW | 823 | 1,049 | 27.5 |
| フォード | 623 | 916 | 47.0 |
| 現代 | 509 | 822 | 61.5 |
| 合計(その他含む) | 6,338 | 10,079 | 59.0 |
| メーカー | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|
| 台数 | 前年比 | ||
| トヨタ | 11,003 | 12,996 | 18.1 |
| ダチア | 1,792 | 6,735 | 275.8 |
| ルノー | 1,744 | 2,332 | 33.7 |
| 現代 | 1,772 | 2,118 | 19.5 |
| MG | 270 | 2,079 | 670.0 |
| 合計(その他含む) | 21,601 | 30,567 | 41.5 |
出所:APIAの資料を基にジェトロ作成
BEVのメーカー・ブランド、および車種別の首位はダチアの「スプリング」で1,596台だった。現代の「コナ」が618台、テスラの「モデル3」が604台と続いた。PHEVは、フォードの「クーガ」が首位で845台、VWの「ティグアン」が769台、現代の「ツーソン」が719台と続いた。HEVはトヨタの「カローラ」が首位で4,442台だった。次いでダチアの「ダスター」が4,097台、トヨタの「ヤリスクロス」が2,866台となった。
環境対応車への買い替え促す「ラブラ・プログラム」の実施が不透明
2016年6月以降、ルーマニア環境省は「ラブラ・プログラム」を実施しており、2026年も3億レイ(約105億円、1レウ=約35円。レイは通貨単位レウの複数形、2026年5月21日ルーマニア国立銀行為替レート)を充てる方針を示している。しかし、現時点(2026年5月21日時点)では、具体的な制度内容や開始時期は発表されていない。また、中国製など域外で生産された自動車は補助対象外となる見通しであり、モロッコやトルコで生産される一部車種の扱いを含めた詳細な指針についても、今後発表される見込みだ。過去の事例でも、ラブラ・プログラムは政府予算や財政状況、政治的判断に強く左右されやすく、年度途中での制度変更や募集延期が繰り返されてきた。
こうした中、ジェトロが実施したAPIAへのインタビュー(2026年3月31日実施)で、事務局長のクリスチャン・キラック氏は、「近年、新車登録台数は総じて増加傾向にあり、ラブラ・プログラムが仮に全面停止されたとしても、新車登録台数が大幅に減少する可能性は低い」との見方を示した。一方で、「最近の国際情勢を背景とする石油価格の上昇など、不確定要素も多く、今後の市場動向は読みづらい」と先行きについての不透明感も指摘した。さらに、走行コストや環境負荷への意識の高まりを背景に、エコカーは今後も徐々に増加していくとの見通しを示した。また、交通省が欧州横断輸送ネットワーク(TEN‑T)強化の一環として、充電インフラ(充電スポット)を拡充していく計画があることにも言及した。
中古車登録台数過去最多を記録
ACAROMによると、2025年の中古車登録台数は過去最多の36万103台で、2024年の32万8,834台から9.5%増加した。2025年登録台数の割合は、新車30.3%に対して、中古車は69.7%だった。
ルーマニアでは、他のEU諸国と比べて所得水準が低く、主にドイツなど西欧から輸入される中古車を購入する傾向があるため、登録される中古車の車齢が高い。内務省運転免許自動車登録総局(DGPCI、旧称:DRPCIV)発表(ルーマニア語)
の集計によると、2025年に登録された中古車の約4割が車齢20年以上で、さらに中古車の新規登録の約3分の2が車齢16年以上だった(図2参照)。その影響として、電動化の進展は相対的に遅れており、特にバッテリー式電気自動車の普及は伸び悩んでいる。
出所:DGPCIのデータを基にジェトロ作成
国内生産、過去最多を記録した前年から減少
ACAROMの発表(ルーマニア語)
(2026年1月9日付)によると、2025年の国産新車生産台数は過去最高を記録した前年から2.6%減の54万5,510台だった(表5参照)。当地での自動車生産は、ダチアとフォード・オトサンの2社体制だ。2025年は前者が4.0%減の29万7,182台、後者が0.9%減の24万8,328台の生産だった。
この生産減少の背景には、欧州市場における需要の鈍化に加え、電動化への移行局面においてメーカーが課題を抱えていることがあるとみられる。
| メーカー | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 台数 | 前年比 | ||||||
| ダチア | 259,099 | 257,405 | 314,228 | 322,086 | 309,432 | 297,182 | △4.0 |
| フォード | 179,008 | 163,350 | 195,237 | 190,964 | 250,670 | 248,328 | △0.9 |
| 合計 | 438,107 | 420,755 | 509,465 | 513,050 | 560,102 | 545,510 | △2.6 |
出所:ACAROMの資料を基にジェトロ作成
自動車業界での投資拡大
2025年における自動車関連の投資では、部品メーカーによる生産拡大や中国メーカーによる販売強化がみられた。
ルーマニア政府は2025年8月、ドイツの自動車部品大手ドラクスルマイヤーグループのルーマニア子会社DRMドラクスルマイヤーとダチアに対し、総額1億7,120万レイ(約61億6,300万円。レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約36円)の資金提供契約を発表した。このうち、ルーマニア北西部のサトゥ・マレ工場における電気自動車(EV)用ワイヤーハーネスの生産能力を拡大するDRMドラクスルマイヤーに1億3,370万レイ、ダチアの車両塗装工程の近代化プロジェクトに3,750万レイの国家補助金を交付した(2025年9月5日付ビジネス短信参照)。
ドイツのメルセデス・ベンツのルーマニア子会社スター・アセンブリー(Star Assembly)は同年10月、ルーマニアのセベシュ工場で新型BEV「GLC」向けの電動ドライブユニットの組立を開始したことを発表した。
また、中国のEVメーカーBYDは同年5月、欧州展開の一環としてルーマニア市場に正式参入し、ブカレストにショールームを開設してBEVおよびPHEVの販売を開始した。同社は、クルジュ・ナポカやティミショアラなどの主要都市を含むルーマニア全土で、30以上の販売拠点を展開している。
- 執筆者紹介
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ジェトロ・ブカレスト事務所
本吉 美友(もとよし みゆ) - 2025年からジェトロ・ブカレスト事務所勤務。主に調査を担当。





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