2025年台湾の自動車生産・販売台数ともに2桁減

2026年5月29日

業界団体の台湾区車両工業同業公会(TTVMA)によると、2025年の台湾域内における自動車生産台数は前年比14.8%減の23万4,476台となり、過去最多(37万9,223台)を記録した2014年から約4割の減少となった(図参照)。生産台数のうち台湾域内で販売された台数(輸入車は含まず)は15.0%減の19万9,114台となり、2008年以来初の20万台割れとなった。生産台数・域内販売台数はいずれも2015年から減少傾向が続いており、2021年から2024年にかけては増減を繰り返したものの、2025年には生産・販売ともに2桁減となり、台湾の自動車市場の低迷が一段と鮮明となった。

図:台湾の自動車生産・販売台数の推移
生産台数は、2008年 182,974台、2009年 226,356台、2010年 303,456台、2011年 343,296台、2012年 339,038台、2013年 338,720台、2014年 379,223台、2015年 351,085台、2016年 309,531台、2017年 291,563台、2018年 253,241台、2019年 251,304台、2020年 245,615台、2021年 265,320台、2022年 261,263台、2023年 285,962台、2024年 275,156台、2025年 234,476台。販売台数(台湾域内)は、2008年 178,809台、2009年 229,450台、2010年 252,530台、2011年 285,790台、2012年 270,078台、2013年 258,753台、2014年 282,130台、2015年 262,593台、2016年 262,346台、2017年 255,770台、2018年 234,589台、2019年 219,075台、2020年 226,870台、2021年 234,780台、2022年 225,801台、2023年 243,036台、2024年 234,226台、2025年 199,114台。輸出台数は、2008年 7,196台、2009年 9,655台、2010年 36,914台、2011年 54,785台、2012年 70,906台、2013年 82,427台、2014年 95,518台、2015年 83,307台、2016年 51,463台、2017年 39,519台、2018年 23,982台、2019年 32,482台、2020年 19,133台、2021年 30,014台、2022年 36,592台、2023年 42,120台、2024年 40,671台、2025年 36,991台。生産台数伸び率(前年比)は、2008年 △35.4%、2009年 23.7%、2010年 34.1%、2011年 13.1%、2012年 △1.2%、2013年 △0.1%、2014年 12.0%、2015年 △7.4%、2016年 △11.8%、2017年 △5.8%、2018年 △13.1%、2019年 △0.8%、2020年 △2.3%、2021年 8.0%、2022年 △1.5%、2023年 9.5%、2024年 △3.8%、2025年 △14.8%。販売台数伸び率(台湾域内、前年比)は、2008年 △35.3%、2009年 28.3%、2010年 10.1%、2011年 13.2%、2012年 △5.5%、2013年 △4.2%、2014年 9.0%、2015年 △6.9%、2016年 △0.1%、2017年 △2.5%、2018年 △8.3%、2019年 △6.6%、2020年 3.6%、2021年 3.5%、2022年 △3.8%、2023年 7.6%、2024年 △3.6%、2025年 △15.0%

注:販売台数(台湾域内)は輸入車を含まず。
出所:台湾区車両工業同業公会(TTVMA)資料からジェトロ作成

主要メーカーの自動車生産・販売台数、2025年は軒並み減少

2025年の生産台数は主要メーカーで軒並み減少した(表1参照)。シェア1位は前年に続きトヨタ自動車や日野自動車のブランド車を製造する国瑞汽車(構成比:54.3%)で、前年比12.4%減の12万7,215台と伸び率は前年(1.5%増)のプラスからマイナスに転じた。2位の三菱自動車工業や三菱ふそうのブランド車を製造する中華汽車工業(17.6%)は14.8%減の4万1,176台、3位の台湾本田汽車(9.6%)は11.7%減の2万2,539台、4位は韓国の現代ブランド車を製造する三陽工業(7.7%)で11.5%減の1万8,034台だった。5位の日産ブランド車などを製造する裕隆汽車製造(6.3%)(注1)は、38.0%減の1万4,662台と大幅に減少し、前年から順位を1つ下げた。

表1:台湾のメーカー別自動車生産台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー名 2023年 2024年 2025年
生産台数 生産台数 生産台数 シェア 伸び率
国瑞汽車 143,102 145,262 127,215 54.3 △ 12.4
中華汽車工業 48,863 48,333 41,176 17.6 △ 14.8
台湾本田汽車 29,773 25,519 22,539 9.6 △ 11.7
三陽工業 21,010 20,387 18,034 7.7 △ 11.5
裕隆汽車製造 23,885 23,660 14,662 6.3 △ 38.0
福特六和汽車 18,702 11,156 10,271 4.4 △ 7.9
台塑汽車 627 839 579 0.2 △ 31.0
合計 285,962 275,156 234,476 100.0 △ 14.8

出所:台湾区車両工業同業公会(TTVMA)資料からジェトロ作成

台湾域内の販売台数も主要メーカー全社で減少した(表2参照)。特に裕隆汽車製造は前年比36.8%減の1万5,574台と大きく落ち込み、生産台数と同様に前年から順位を1つ落とした。

表2:台湾のメーカー別自動車域内販売台数(単位:台、%)(△はマイナス値)注:販売台数(台湾域内)は輸入車を含まず。
メーカー名 2023年 2024年 2025年
販売台数 販売台数 販売台数 シェア 伸び率
国瑞汽車 102,806 102,310 93,102 46.8 △ 9.0
中華汽車工業 48,157 48,641 39,102 19.6 △ 19.6
台湾本田汽車 29,571 25,361 22,553 11.3 △ 11.1
三陽工業 20,297 20,814 17,459 8.8 △ 16.1
裕隆汽車製造 22,982 24,652 15,574 7.8 △ 36.8
福特六和汽車 18,906 11,554 10,489 5.3 △ 9.2
台塑汽車 317 894 835 0.4 △ 6.6
合計 243,036 234,226 199,114 100.0 △ 15.0

注:販売台数(台湾域内)は輸入車を含まず。

出所:台湾区車両工業同業公会(TTVMA)資料からジェトロ作成

輸出台数は2025年も減少、中東情勢の悪化を受け輸出先分散の動き

TTVMAによると、2025年の輸出台数は前年比9.0%減の3万6,991台だった。2025年の台湾からの自動車輸出額(注2)を国別に見ると(HSコード8703)、首位はサウジアラビアで前年比13.0%増の3億830万ドル、2位がアラブ首長国連邦(UAE)で38.2%減の1億1,220万ドル、3位は米国で20.9%減の7,510万ドル、4位がクウェートで0.1%増の5,140万ドル、5位はオマーンで23.6%減の1,950万ドルと、中東諸国向けの輸出が国別で上位を占める(表3参照)。

表3:国・地域別台湾製自動車の輸出額(上位5カ国・地域)(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2023年 2024年 2025年
輸出額 構成比 伸び率 輸出額 構成比 伸び率 輸出額 構成比 伸び率
サウジアラビア 301.6 32.9 9.6 272.8 30.8 △ 9.5 308.3 39.6 13.0
UAE 145.3 15.8 39.7 181.5 20.5 24.9 112.2 14.4 △ 38.2
米国 103.5 11.3 △ 41.3 95.0 10.7 △ 8.3 75.1 9.6 △ 20.9
クウェート 72.5 7.9 37.8 51.4 5.8 △ 29.1 51.4 6.6 0.1
オマーン 19.4 2.1 △ 2.3 25.6 2.9 32.0 19.5 2.5 △ 23.6
全世界合計 917.3 100.0 △ 6.5 885.2 100.0 △ 3.5 778.0 100.0 △ 12.1

出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成(原典は台湾財政部)

中東情勢を巡っては、2026年3月以降、ペルシャ湾とオマーン湾をつなぐホルムズ海峡が事実上の封鎖となり、世界の物流と貿易、資源調達に大きな影響が生じている(2026年4月10日付2026年4月14日付地域・分析レポート参照)。台湾からの自動車輸出が最多のサウジアラビアやUAE、クウェートへの輸送はいずれも主にホルムズ海峡を通過するため、封鎖が長期化すれば輸送コストやリードタイムの増加など台湾自動車メーカーへの影響も増大すると考えられる。一方、オマーンはホルムズ海峡を通らずに貿易が可能なため、海運ルート上の直接的な影響はないものの、世界的な物流の混乱や輸送費の上昇といった間接的な影響が懸念される。

こうした状況を受け、一部の台湾自動車メーカーは中東への輸出依存度を引き下げ、輸出先の分散化を進める動きもある。国瑞汽車は、これまで輸出のほぼ全量を中東向けとしてきたが、中東向け輸出コストの上昇などを受けて、今後台湾で生産する車両については中東以外の国・地域での販売を検討しており、その中には日本市場での販売も含まれると報じられている(「経済日報」3月24日)。

輸入車の販売台数も減少、対米ゼロ関税への期待が影響

自動車市場関連の業界サイト「U-CAR」が2026年1月2日に発表した「2025年12月台湾自動車市場販売報告(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2025年の輸入車の販売台数は20万1,988台で前年比8.4%減となったものの、台湾域内の新車販売台数全体に占める輸入車の割合は48.7%と約半数に達し、前年(48.2%)からわずかに増加した(注3)

輸入車の存在感が高まりつつある中、通商環境の変化による市場への影響も指摘されている。2026年2月に米国と台湾との間で締結された相互貿易協定の中で、米国で安全基準を満たし販売されている乗用車を台湾域内で追加手続きなしで輸入・販売を認めるとの項目が含まれた(2026年2月25日付ビジネス短信参照)。さらに、米国産乗用車の関税もゼロへ引き下げられる見通しとなった。国民党の黄健豪立法委員は2026年3月3日の立法院での質疑において、「米国車のゼロ関税」への期待心理が消費者の様子見を招き、台湾の自動車市場が停滞に陥ったと指摘した。その結果、2025年の台湾における新車販売台数と生産額はいずれも減少し、産業全体の生産額は約400億台湾元(約2,000億円、1台湾元=約5円)減少したとの見方を示した(「工商時報」2026年3月4日)。

また、実際にゼロ関税が適用された場合の影響について、経済部の龔明鑫部長は、米国製輸入車の増加が必ずしも台湾域内で生産された自動車の市場に直接的な打撃を与えるとは限らないとの見解を示した。むしろ、競合の中心は欧州製や日本製の輸入車となる可能性が高いという。理由として、短期的に増えると考えられる米国からの輸入車は高価格帯が中心になるとみられ、低価格帯が主力の台湾産自動車との直接的な競合は相対的に限定的だと説明している(「中央通訊社」2026年2月11日)。

税制優遇で市場の需要喚起へ

U-CARは、2025年の台湾自動車市場について、世界的な政治・経済環境の不確実性が高まっている影響を強く受け、第2四半期(4~6月)には市場の購買意欲は一時的に大きく落ち込んだが、その後は第3四半期(7~9月)にかけて徐々に持ち直し、第4四半期(10~12月)に入ってようやく回復基調となったと指摘している。

こうした市場回復を下支えした要因の1つが税制優遇である。2025年8月に「貨物税条例」第12条の5の改正案が立法院で可決され、同年9月に正式に公布された。同改正により、従来2026年1月7日までとされていた自動車・二輪車買い替えの際に受けられる貨物税の減税措置を2030年12月31日まで延長した。さらに、排気量2,000cc以下の小型乗用車を対象に新たに5万台湾元の貨物税減免を追加した(実施期間は2025年9月7日から2030年12月31日)。U-CARはこうした税制措置が、市場の需要喚起に確かな効果をもたらしたと分析した。

EV市場は5年ぶりにマイナスに、政策支援は継続

U-CARが2026年1月20日に発表した「2025年度台湾自動車市場販売報告:電気自動車トップ10(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2025年の域内での電気自動車(EV)(注4)販売台数は前年比14.3%減の3万2,559台となった。前年の53.5%増から2桁減に転じ、過去5年で初めてのマイナス成長となった。

ブランド別のEV販売台数を見ると、1位は2024年に引き続き米国のテスラで前年比8.6%増の1万6,590台、2位はドイツのBMWで3,720台(41.5%減)、3位は台湾の裕隆集団のブランドであるラクスジェン(Luxgen)で3,454台(51.4%減)となり、前年から大幅に減少して順位を1つ下げた。2025年のラクスジェンの顕著な販売不振を受け、鴻海精密工業(ホンハイ)と裕隆集団のEV事業合弁会社である鴻華先進科技(フォックストロン)は2025年12月に、裕隆集団からラクスジェンを取得することを発表した(注5)。フォックストロンの親会社であるホンハイがスマートEVプラットフォーム、完成車の研究開発、システム統合分野での取り組みを進める中、同社は台湾が持つICTおよび人工知能(AI)産業の統合力という強みを生かし、次世代自動車産業における台湾の国際的な重要性を強化していくとした。

なお、EVの累計販売台数は、2025年時点で10万台を突破した。また、新車市場全体に占める割合を見ると普及率も8%に達した。

EVの普及率拡大に向けて、政策面でも引き続き支援が継続されている。2025年12月には、「貨物税条例」第12条の3および「ナンバープレート使用税法」第5条の改正案が正式に公布され、2026年1月1日に施行された。同改正により、EVに対する貨物税減免およびナンバープレート使用税免除措置の適用期限が5年間延長され、2030年12月31日までとなった。財政部によれば、台湾では2011年1月以降、これらのEVに対する税制優遇措置が段階的に導入されており、2025年11月末時点で累計約93万台が貨物税減免、約12万台がナンバープレート使用税免除の対象となった。こうした税制優遇を通して、消費者の負担を軽減するとともに、EVの普及率向上に寄与してきたとしている。今回の措置の延長の決定により、台湾におけるEV普及は引き続き一定の下支えを受けながら拡大していくことが期待される。

自動車部品の対米輸出:AM向けが中心、OEMは限定的

台湾企業はEVサプライチェーンにおいて、車載電子部品などの分野で技術力を有し、グローバル企業のサプライチェーンにも組み込まれている。

台湾企業の自動車部品供給は、台湾の公的シンクタンクの資訊工業策進会(台湾資策会)産業情報研究所(MIC)によれば、補修・交換(中古車を含む)などのアフターマーケット(AM)向けと、完成車メーカー向け(OEM)に大別される。

最大輸出先である米国向け輸出を見ると、台湾企業による供給はAM向けが中心となっている。KPMGのレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2025年の米国のAM市場は引き続き顕著な成長を維持しており、特にライトビークル(乗用車および小型トラック)向けAM市場規模は、2025年末までに4,350億ドル、さらに2028年には5,000億ドルを超える見通しである。こうした米国AM市場の拡大に伴い、修理や部品交換需要の増加が見込まれることから、台湾企業もAM向け自動車部品分野で一定の恩恵を受けるとみられる。

一方、米国向けのOEM供給については、MICの専門家によれば、米国ではトランプ政権によるEV税額控除の撤廃などの政策変更の影響でEV需要が鈍化したこともあり(2026年1月19日付地域・分析レポート参照)、EV向け車載電子部品の需要は限定的で、台湾企業にとって厳しい環境が続くとの見方を示している。

このように米国では車載電子部品の需要が限定的ではあるが、台湾では世界的なEVの高度化・スマート化の進展を背景に、その需要に応えるべく車載電子部品の研究開発支援を強化している。経済部産業技術司は2025年12月に、義隆電子によるスマートカー向け車載電子分野の研究開発計画を承認し、補助金の支給を決定した。これにより、台湾における先進的な車載電子システムの自主技術力が強化され、関連産業の高度化と国際サプライチェーンへの参入が加速すると指摘している。

2025年の台湾における自動車市場は、生産・販売ともに大幅減となり、中東情勢の悪化や通商環境の変化が輸出・輸入にも影響を及ぼしている。EV市場も普及が進んできた一方で減速傾向がみられる中、台湾当局は政策支援の延長などを進めており、需要を下支えする姿勢を示している。今後も不確実性が高い状況が続くと見込まれる中、政策支援や企業戦略が市場の持続的な回復に結びつくのか、台湾自動車市場の動向を引き続き注視していく必要があるだろう。


注1:
生産台数には、日産との合弁の裕隆日産汽車なども含む。 本文に戻る
注2:
台湾財政部の貿易統計を基に、貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値。 本文に戻る
注3:
表1~3のTTVMAの統計では輸入車は含まれない。輸入車を含めてU-CARが発表する台湾域内の新車販売台数(41万4,436台)に基づく割合。なお、U-CARが発表する「域内での輸入車販売台数(20万1,988台)」と、TTVMAが発表する「域内で生産の自動車のうち、域内で販売された台数(19万9,114台)」を足し上げた合計(40万1,102台)は、前述のU-CAR発表の域内新車販売台数とは一致しない。 本文に戻る
注4:
純電動車(BEV)を指す。 本文に戻る
注5:
フォックストロンが引き継いだのは、ラクスジェンの親会社資産、傘下の5つの販売会社、販売拠点、人員などである。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ調査部中国北アジア課
富永 笑美子(とみなが えみこ)
2019年、ジェトロ入構。対日投資部外国企業支援課を経て、2022年10月から現職。