米国食品安全強化法(FSMA)に関する情報米国食品安全強化法(FSMA)概要

最終更新日:2017年3月24日

概要

米国では2011年1月4日、食品安全強化法(Food Safety Modernization Act、以下FSMA)が制定され、具体的内容を定めた詳細規則が順次公表されてきました。FSMAは、米国内に流通する輸入食品にも適用されるため、米国向けに輸出する日本の食品関連事業者にも対応が迫られています。

FSMAの規則のうち、特に日本の食品関連事業者に影響が大きいとされているのが、危害の未然予防管理を含む食品安全計画の策定等を定めた規則(第103条規則)です。同規則は、原則(*)2016年9月19日以降、適用されることになります。そのため、これまで危害の未然予防管理に取り組んでいない事業者は、適用期限までに食品安全計画を策定し、その順守のための態勢を整える必要があります。また、同規則の適用以降は、食品医薬品局(FDA)による食品関連施設の査察は、同規則の順守状況も確認されることになります。

(*)企業規模により猶予期間あり。原則として最終規則公表から1年後(2016年9月19日以降)で、小規模企業(従業員500名未満、かつ適用除外の対象外)については2年後(2017年9月18日以降)、零細企業(年間売上高が100万ドル未満)については3年後(2018年9月17日以降)からとなる。

条文・規則等の解説

【1】外国施設へのFDA検査の大幅強化(食品安全強化法第201条、第306条)

食品安全強化法(FSMA)の制定により、食品医薬品局(FDA)の権限が大幅に強化され、米国内に流通する食品を製造する外国の食品関連施設に対しても査察が行われることになりました。

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日本の食品関連施設においても、12年夏ごろから実際に査察が行われています。原則、FDAによる査察要請の24時間内(またはFDAが示す期限内)に応答しないと査察拒否とみなされ、査察を拒否した外国施設からの食品輸入は禁止されることとされています。
なお、FDAによる施設の再査察には高額の手数料が請求され、外国施設の場合、その支払い義務は米国代理人にあります。

(参考)

【2】バイオテロ法に基づく登録情報の更新制度の導入(食品安全強化法第102条)

米国内でヒトや動物の消費に供するための食品を製造・加工、梱包、保管する国内外の施設は、バイオテロ法に基づく食品医薬品局(FDA)への施設登録が必要です。

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さらに食品安全強化法(FSMA)により、この登録を2年に1度更新することが義務化されました。更新期間は偶数年の10月1日~12月31日です。
重大な健康危害もしくは死をもたらす危害の合理的な可能性がある場合は、施設の登録を一時停止され、輸出が不可能となります。

また、施設の連絡担当者及び米国代理人のEメールアドレスは、これまで任意の登録事項でしたが、FSMAにより登録が義務化されました。

【3】「米国代理人」の義務が強化/手数料の徴収 (食品安全強化法第102条、第107条)

食品安全強化法(FSMA)により、登録された米国代理人の義務が強化されました。食品医薬品局(FDA)による外国施設の査察通知は、外国施設に届くと同時に米国代理人にも届く場合があり、米国代理人がFDAと円滑なコミュニケーションを図っていくことが重要になります。また、FDAによる外国施設の「再査察」の際の手数料の徴収は、米国代理人が請求対象となります。
また、FSMAにより、輸入食品の再検査、食品関連施設の再査察、強制的リコールの場合、また輸入業者が任意適格輸入業者プログラムに参加する場合に、手数料が徴収されることになりました。外国食品関連施設の再査察の手数料は米国代理人が、輸入食品の再検査の手数料は輸入業者が支払いの義務を負うことになります。

【4】食品安全計画の策定・実施 (食品安全強化法第103条)

バイオテロ法に基づく登録施設は、食品安全強化法(FSMA)第103条により予防管理措置・食品安全計画を策定・実施しなければなりません。

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この立法趣旨は、危害分析重要管理点(HACCP)方式の基本原理を、米国に供給される食品を扱う全ての食品関連施設に導入することにあります。

本条に関し2015年9月に公表された最終規則では、(1)食品ごとに、その製造・加工、梱包、または保管に関し危害分析を行い、(2)いかなる予防的管理措置を必要とする危害も決定的に最小化または予防するための危害管理を行うことが求められています。さらに、その食品安全システムが計画どおりに機能しているかどうか監視(モニタリング)、是正措置、検証等を行う必要があります。加えて、その食品安全計画の運用状況を実証する記録を維持しなくてはなりません。

本条の義務化は、原則として最終規則公表から1年後(2016年9月19日)で、小企業(従業員500名未満、かつ適用除外の対象外)については2年後(2017年9月18日以降)、零細企業(年間売上高が100万ドル未満)については3年後(2018年9月17日以降)からとなります。

なお、本条は、栄養補助食品を扱う施設、水産物HACCP、ジュースHACCPが義務付けられた施設、アルコール飲料の製造施設には適用されません。また、低酸性缶詰食品については、微生物危害についてのみ措置済みとして適用除外になります。その他にも、農場内の一定活動(生産・収穫・肥育、包装・保管等)や小規模の農場で行われる低リスク活動(野菜等のカット等)、穀物の保管等、いくつか適用除外が設けられています。

(参考)

【5】野菜・果実安全基準(食品安全強化法第105条)

食品安全強化法(FSMA)により、ヒトが消費する果実・野菜を、未加工または自然な状態で生産、収穫、梱包及び保管する農場は、微生物学的汚染リスクを最小化するための、FDAが示す手続き、手順及び慣行に従わなくてはなりません。

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本条に関し2015年11月13日に公表された最終規則では、安全管理の基準として、農家の生産、収穫、梱包、保管過程における、微生物による汚染源に挙げられる農業用水、家畜ふん堆肥、家畜及び野生動物、生産機材や建造物、従業員の健康衛生に関する取扱い基準等を規定しています。対象となる農場は、(1)授業員向けトレーニング、(2)衛生管理の徹底のほか、(3)農業用水の管理を行うことが求められています。加えて、それら活動の運用状況を実証する記録を維持しなくてはなりません。

本条の義務化は、原則として最終規則公表から2年後で、年間総売上が50万ドル未満の農家は3年後、同25万ドル未満の農家は4年後からとなります。なお、過去3年平均で、対象農場の売上高が2万5千ドル未満の農場は適用除外となっています。

なお、本条の規則適用対象品目は、FDAが指定する農産物(Raw Agriculture Commodity、RAC)の定義に該当するもののうち、(1)野菜、(2)果実、(3)モヤシ等のスプラウト類、(4)ナッツの一部(マカデミアナッツ、くるみ等)、(5)ハーブとなっています。未加工で消費されることがほとんどないワサビやサツマイモ、カボチャ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ等は適用対象外とされますが、FDAが野菜に指定するしいたけや食用に要する葉(緑茶等)、長芋、ごぼう、わけぎ、にんにく等が適用対象となっています。コメや麦等の穀物(Food Grains)は適用対象外です。

(参考)

【6】意図的な食品不良の防止 (食品安全強化法第106条)

食品安全強化法(FSMA)により、意図的に不良が引き起こされるリスクが高い、消費者用に包装される前のバルクとして扱われる食品を対象に、その食品の流通過程における脆弱な点について、意図的な食品不良事故を防止する措置が義務付けられました。

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本規定は、バイオテロへの危機感や、中国産の粉ミルクへのメラミン混入などの事例を受けて、意図的な食品汚染の防止が必要との観点から導入されたものです。

最終規則では、FDAに施設登録が必要な米国内外の食品関連施設(食品の製造・加工、包装、保管施設)の所有者、運営者又は代理人に、食品防御計画(Food Defense Plan)として、広く公共の健康被害をもたらす目的で行われる異物混入等の食品不良事故が起こりそうな工程等を特定させ、事故予防・軽減のための実行可能な対策(緩和戦略)を講じさせることをねらいとしています。

なお、本条の義務化は、原則として最終規則公表から3年後(2019年5月)、従業員500人未満の企業は4年後(2020年5月)、過去3年の年間食品売上高平均が1,000万ドル未満の企業は5年後(2021年5月)からとなります。なお、零細企業(過去3年の年間食品売上高平均が1,000万ドル未満の企業)は本規則の適用対象外となるが、当局からの要請に応じ、当該要件を満たしていることを証明する必要があります。

(参考)

【7】米国の食品輸入者による輸入食品の安全検証(外国供給業者検証プログラム) (食品安全強化法第301条)

食品安全強化法(FSMA)により、輸入業者(輸入時における米国内の食品の所有者、代理人)には、輸入食品が(1)第103条の計画に沿って製造されたか、または、第105条が規定する農産物の場合は同条の基準に従っているか、(2)不良状態(adultrated)ではないか、(3)不当表示(misbranded)がなされていないかについて、リスクに応じた外国供給業者の検証を行うことが義務付けられました。

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これが、外国供給業者検証プログラム(Foreign Supplier Verification Program)です。

FSMAで例示されている検証活動としては、出荷情報の監視、ロットごとの法令順守(FSMAに限らない)の証明、毎年の実地検査、外国供給業者の第103条で義務化されている食品安全計画のチェック、出荷時の定期的なサンプル検査などがあります。

なお、水産物HACCP、ジュースHACCPプログラムの対象食品は適用除外となります。また、低酸性缶詰食品については、微生物危害に関してのみ措置済みとして扱われます。一方、食品添加物や見本市のサンプル品も対象となります。

(参考)

【8】食品の輸入迅速化のための任意プログラム(任意適格輸入業者プログラム) (食品安全強化法第302条)

食品安全強化法(FSMA)により、任意で参加した輸入業者のための食品輸入の手続き迅速化プログラムである、任意適格輸入業者プログラム(Voluntary Qualified Importer Program)が導入されました。このプログラムに参加できるのは、認定を受けた第三者監査人の証明を受けた食品関連施設から食品を輸入する業者のみです。

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【9】輸入食品に対する証明書の要求 (食品安全強化法第303条)

食品安全強化法(FSMA)により、FDAが必要と認めるときは、食品の輸入に際し、政府または認定を受けた第三者監査人の証明書を要求できることとなりました。証明書を要求するかどうかは、FDAが食品のリスクや、生産地のリスクなどを考慮して決定されることになります。

【10】第三者監査制度の導入 (食品安全強化法第307条)

食品安全強化法(FSMA)により、任意適格輸入業者プログラムに参加するために必要な証明(上記(8))や、輸入時の証明(上記(9))を行う第三者の監査制度が創設されました。

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【11】試験所の認定制度の導入 (食品安全強化法第202条)

食品安全強化法(FSMA)により、食品の輸入時の試験検査は、FDA の承認を受けた認定機関の認定を受けた試験所が行うことになりました。この規定の施行後は、FDA に試験結果を求められた場合は、認定試験所に試験を依頼し、その結果を提出しなければならなくなります。試験所の認定は5年ごとの更新が必要です。

【12】高リスク食品のトレーサビリティーの強化(食品安全強化法第204条)

食品安全強化法により、トレーサビリティー強化を目的として、FDAが指定する高リスク食品については、2年間の記録保存を義務付けられることになりました。

【13】衛生的な食品輸送(食品安全強化法第111条)

食品安全強化法(FSMA)により、食品の衛生的な輸送を確保することが義務付けられました。具体的には、食品の温度の不適切な管理、積荷交換時の車両の不完全な清掃等、輸送上の食品安全リスクを予防することが求められています。

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