貿易管理制度
最終更新日:2022年10月30日
管轄官庁
経済産業省(Ministry of Economy and Industry)
経済産業省(Ministry of Economy and Industry
)
Address:5, Bank Israel St., P.O.BOX 3166, Jerusalem 91036, ISRAEL
Tel:+972-74-7502291
経済産業省が、貿易政策を担当する。ただし、農業、環境、国防、金融部門など、分野や品目によっては、それぞれの所管省庁も関与する。
政府内に設置された「国際経済問題委員会」では、財務省事務次官が委員長となり、経済産業省、外務省、農業省、中央銀行の各事務次官が委員になっている。
輸入品目規制
人々の生命、健康、道徳、セキュリティに関するもので、土砂、海賊版ビデオ・書籍類、武器類を含む数10種類の品目が輸入禁止品目となっている。また、アルコール類、食肉、化学品、ダイヤモンド、医療機器などの品目については、輸入ライセンスの取得が義務付けられている。
2022年6月以降、輸入コストの削減、競争の導入、輸入品目の拡大などを目的として輸入に関する規制が順次変更される。家電製品等の省エネルギー基準を含む国際標準の導入、食品や化粧品輸入時の管理変更、並行輸入時の手続き簡略化などが主なポイントで、2023年1月までに変更手続きは完了される見込み。変更内容は以下の経済産業省ウェブサイトで確認可能(ヘブライ語のみ)。
経済産業省:輸入規制変更特設ページ
輸入地域規制
輸入地域規制はないが、輸入相手国については、政治的な理由から制限が設けられている。
原則として輸入地域規制はないが、イスラエルは政治的理由から外交関係を持たない国が多いことから、貿易相手国に関しても制限がある。イラン、イラク、シリア、レバノンとの貿易は、産業貿易労働省令「Trade with the Enemy Ordinance, 1939」に基づき制限されている。
イスラエルの財務大臣は、イラクとの貿易に関する一般的な許可を付与しており、2021年12月29日に、この許可を2022年末まで延長した。
また、外交関係があっても、天然ゴム、コンピュータ、ダイヤモンド、宝石類、電化製品等、品目によっては、輸入ライセンスの取得が必要な国がある。
日本からの輸入については、政府が特別に規定しているものを除き、原則として、輸入ライセンスの取得は必要ない。
自由な輸入に関する政令により、イスラエルが外交関係を持たない国を除き、各国からの輸入にはライセンスを必要としないが、WTO非加盟国からの輸入には、禁止あるいは制限がかかる。運用の詳細については、逐次経済省による変更が生じる可能性があり、都度の確認が必要。
また、同政令により、外交関係を持たない国のうち一定の条件のもとで輸入が可能な国は次のとおり。
インドネシア、バングラデシュ、ブルネイ、チュニジア、クウェート、マレーシア、マリ、オマーン、サウジアラビア、パキスタン、チャド、カタール、キューバ、イエメン、アフガニスタン。
輸入関連法
Import and Export Ordinance of 1979、Free Import Order, 2014、Customs Order (Import Prohibition), 2005、Trade with the Enemy Ordinance
輸入管理その他
品目(食品および医薬品)により、必要な所定の手続きがある。管轄は、ともに保健省。
- 日本の薬事法に該当する法律および基準
管轄は保健省(Ministry of Health)。
医薬品の輸入に関する窓口(Pharmaceutical Division, Import of Pharmaceuticals and Drugs Department)
提出書類はすべてヘブライ語で作成し、イスラエル側輸入業者が必要手続きを行う。イスラエルで未承認の新薬を輸入する場合、まず承認を得る必要がある。
管轄:Pharmaceutical Division, Medical Preparations Registration Department - 食品衛生関連
日本の食品衛生法に該当する法律はないが、食品に関する規定(規格)があり、イスラエルに食品を輸出する場合は、この規定に準拠する必要がある。管轄は次のとおり。保健省(Ministry of Health)
The National Food Services, Central Office
申請書類はすべてヘブライ語で作成し、イスラエル側輸入業者が必要手続きを行う。敬虔なユダヤ教徒は、ユダヤ教の食物規定であるコーシャ(コシェル)に沿った食品・飲料しか口にしないため、大手スーパーマーケットなどで販売される食品については、コーシャ認証の取得が必要。しかし、世俗的なユダヤ教徒はコーシャに関してあまり厳格ではないため、非コーシャのスーパーマーケットであれば、コーシャ認証のない食品の販売も可能である。
- アルコール飲料
アルコール飲料の輸入には、通関の際に、原産地証明書と経済産業省が指定する内容物証明書が必要。
輸出品目規制
輸出品目に関する規制は特にないが、ライセンス取得が必要な品目がある。
- 輸出禁止品目はないが、一部の食品、生鮮農産品、ダイヤモンドなどの貴金属、ユダヤ教文献など、輸出ライセンスの取得が必要な品目がある。また、軍事技術については、ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)に参加している他、軍事機密上の規制がある。
- 軍事用に転換が可能な品目(Dual Purpose)に関しては、2006年8月23日付政令により、経済産業省が発行する特別輸出ライセンスの取得が必要。対象品目リストは、ワッセナー条約を基に、経済産業省が作成し、定期的に更新する。
輸出地域規制
敵国と目されるイラン、イラク、シリア、レバノンとの貿易は制限されている。
産業貿易労働省令 "Trade with the Enemy Ordinance, 1939" に基づき、これらの国々との貿易が制限されている。
このほかにも、イスラエルは、政治的理由から外交関係を持たない国(アラブ諸国など)が多く、これらの国ではイスラエルとの貿易が原則できない。また、外交関係があっても、イスラエルとの貿易には、輸入ライセンスの取得が必要な国もある。
イスラエルと外交関係がなく、原則としてイスラエルからの輸入ができない国は、次のとおり。
インドネシア、イラン、アルジェリア、アフガニスタン、バングラデシュ、ブルネイ、ジブチ、モルディブ、ベネズエラ、クウェート、レバノン、リビア、モーリタニア、マリ、マレーシア、ニジェール、スーダン、ソマリア、シリア、サウジアラビア、オマーン、イラク、パキスタン、北朝鮮、キューバ、コモロ、カタール、チュニジア、イエメン。
2018年1月、財務大臣がイラク向け防衛装備品、通常兵器、民生用および軍用双方に使える製品および技術など(dual-use goods and technology)の輸出許可を延長した。
輸出関連法
Import and Export Ordinance of 1979、Free Export Order of 1978
輸出管理その他
EU向け輸出に関しては、ガザ・西岸内にあるイスラエルの入植地で製造された輸出品と、それ以外のイスラエル域内からの輸出品とは区別される。
ガザおよび西岸内に存在するイスラエルの入植地で生産され、EU向けに輸出されたものは、2005年1月より、EUとの連合協定による免税、減税等の対象とはなっていない。このため、イスラエルからのEU向け輸出に際しては、国名の横に地名を併記することが義務付けられる。入植地の製造業者や輸出業者がEU向け輸出で新たに課税された場合、イスラエル政府が課税分を補填する。