貿易管理制度
最終更新日:2021年11月12日
- 最近の制度変更
管轄官庁
経済産業省(Ministry of Economy and Industry)
経済産業省(Ministry of Economy and Industry
)
Address:5, Bank Israel St., P.O.BOX 3166, Jerusalem 91036, ISRAEL
Tel:+972-74-7502291
経済産業省が、貿易政策を担当する。ただし、農業、環境、国防、金融部門など、分野や品目によっては、それぞれの所管省庁も関与する。
政府内に設置された「国際経済問題委員会」では、財務省事務次官が委員長となり、経済産業省、外務省、農業省、中央銀行の各事務次官が委員になっている。
輸入品目規制
生き物、野菜・果物、食品、飲料、ガスなどのうち、人々の生命、健康、道徳、セキュリティに関するもので、土砂、海賊版ビデオ・書籍類、武器類を含む40数種類の品目が輸入禁止品目となっている。また、アルコール類、食肉、化学品、ダイヤモンド、医療機器などの品目については、輸入ライセンスの取得が義務付けられている。
携帯電話については、2022年から、第3世代および第3世代の通信規格のものは輸入が禁止される。
生鮮もしくは冷蔵された牛肉の無税輸入枠は、2016年11月に、次のように決定された。
年 | 輸入無税枠(トン) |
---|---|
2016 | 7,500 |
2017 | 10,000 |
2018 | 12.500 |
2019 | 15,000 |
2020以降 | 17,500 |
無税枠を超える牛肉の関税率についても、2017年より、次のように決定された。
年 | 関税 |
---|---|
2017 | 12% + NIS 9.75/kg |
2018 | 12% + NIS 6.5/kg |
2019 | 12% + NIS 3.25/kg |
2020以降 | 12% |
輸入地域規制
輸入地域規制はないが、輸入相手国については、政治的な理由から制限が設けられている。
原則として輸入地域規制はないが、イスラエルは政治的理由から外交関係を持たない国が多いことから、貿易相手国に関しても制限がある。
また、外交関係があっても、天然ゴム、コンピュータ、ダイヤモンド、宝石類、電化製品等、品目によっては、輸入ライセンスの取得が必要な国がある。該当国は次のとおり。
日本からの輸入については、政府が特別に規定しているものを除き、原則として、輸入ライセンスの取得は必要ない。
自由貿易に関する政令により、イスラエルが外交関係を持たない国を除き、各国からの輸入にはライセンスを必要としないが、WTO非加盟国からの輸入には、禁止あるいは制限がかかる。運用の詳細については、逐次経済省による変更が生じる可能性があり、都度の確認が必要。
自由貿易に関する政令により輸入が規制されている国
インドネシア、アフガニスタン、バングラデシュ、ブルネイ、チュニジア、クウェート、マレーシア、マリ、モロッコ、オマーン、サウジアラビア、パキスタン、チャド、カタール、キューバ、カンボジア、イエメン、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、タジキスタン、東ティモール
イラン、シリア、レバノンとの貿易は、産業貿易労働省令「Trade with the Enemy Ordinance, 1939」に基づき制限されている。同省令の執行を管轄する財務省は、2011年7月、イランに対する経済制裁強化の一環として、同国に関わる機関・企業・団体一覧を更新している。
2018年12月、イスラエルの財務大臣は、イラクとの貿易に関する一般的な許可を付与。2020年12月31日に、この許可を2021年末まで延長した。
輸入関連法
Import and Export Ordinance of 1979、Free Import Order, 2014、Customs Order (Import Prohibition), 2005、Trade with the Enemy Ordinance
輸入管理その他
品目(食品および医薬品)により、必要な所定の手続きがある。管轄は、ともに保健省。
- 日本の薬事法に該当する法律および基準
管轄は保健省(Ministry of Health)。
医薬品の輸入に関する窓口(Pharmaceutical Division, Import of Pharmaceuticals and Drugs Department)
提出書類はすべてヘブライ語で作成し、イスラエル側輸入業者が必要手続きを行う。イスラエルで未承認の新薬を輸入する場合、まず承認を得る必要がある。
管轄:Pharmaceutical Division, Medical Preparations Registration Division - 食品衛生関連
日本の食品衛生法に該当する法律はないが、食品に関する規定(規格)があり、イスラエルに食品を輸出する場合は、この規定に準拠する必要がある。管轄は次のとおり。保健省(Ministry of Health)
The National Food Services, Central Office
申請書類はすべてヘブライ語で作成し、イスラエル側輸入業者が必要手続きを行う。敬虔なユダヤ教徒は、ユダヤ教の食物規定であるコーシャ(コシェル)に沿った食品・飲料しか口にしないため、大手スーパーマーケットなどで販売される食品については、コーシャ認証の取得が必要。しかし、世俗的なユダヤ教徒はコーシャに関してあまり厳格ではないため、非コーシャのスーパーマーケットであれば、コーシャ認証のない食品の販売も可能である。
- アルコール飲料
アルコール飲料の輸入には、2002年6月2日付政令により、通関の際に、原産地証明書と経済産業省が指定する内容物証明書が必要となった。
輸出品目規制
輸出品目に関する規制は特にないが、ライセンス取得が必要な品目がある。
- 輸出禁止品目はないが、一部の食品、生鮮農産品、ダイヤモンドなどの貴金属、ユダヤ教文献など、輸出ライセンスの取得が必要な品目がある。また、軍事技術については、ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)に参加している他、軍事機密上の規制がある。
- 軍事用に転換が可能な品目(Dual Purpose)に関しては、2006年8月23日付政令により、経済産業省が発行する特別輸出ライセンスの取得が必要。対象品目リストは、ワッセナー条約を基に、経済産業省が作成し、定期的に更新する。
輸出地域規制
敵国と目されるイラン、シリア、レバノンとの貿易は制限されている。
イスラエルにとって敵国と目されるイラン、シリア、レバノンの三国に対しては、産業貿易労働省令 "Trade with the Enemy Ordinance, 1939" に基づき、貿易が制限されている。
2011年7月には、同令の執行を担う財務省がイランへの経済制裁強化の一環として、同国との経済関係を一切禁じた他、イランに関係する機関・企業・団体との取引についても禁止すると発表した。
このほかにも、イスラエルは、政治的理由から外交関係を持たない国(アラブ諸国など)が多く、これらの国ではイスラエルとの貿易が禁止されている。また、外交関係があっても、イスラエルとの貿易には、輸入ライセンスの取得が必要な国もある。
イスラエルと外交関係がなく、原則としてイスラエルからの輸入を禁止している国は、次のとおり。
イラン、インドネシア、アルジェリア、アフガニスタン、バングラデシュ、ブルネイ、チュニジア、クウェート、レバノン、マレーシア、マリ、オマーン、キューバ、リビア、シリア、イラク、サウジアラビア、パキスタン、北朝鮮、イエメン、モロッコ、チャド、カタール、カンボジア。
2018年1月、財務大臣がイラク向け防衛装備品、通常兵器、民生用および軍用双方に使える製品および技術など(dual-use goods and technology)の輸出許可を延長した。
輸出関連法
Import and Export Ordinance of 1979、Free Export Order of 1978
輸出管理その他
EU向け輸出に関しては、ガザ・西岸内にあるイスラエルの入植地で製造された輸出品と、それ以外のイスラエル域内からの輸出品とは区別される。
ガザおよび西岸内に存在するイスラエルの入植地で生産され、EU向けに輸出されたものは、2005年1月より、EUとの連合協定による免税、減税等の対象とはなっていない。このため、イスラエルからのEU向け輸出に際しては、国名の横に地名を併記することが義務付けられる。入植地の製造業者や輸出業者がEU向け輸出で新たに課税された場合、イスラエル政府が課税分を補填する。