トランプ米政権が2024年人権報告書公表、中国を最多分量で記述、全体は大幅削減
(米国、中国、ロシア、イスラエル)
ニューヨーク発
2025年08月14日
米国国務省は8月12日、2024年の世界の人権状況をまとめた2024年版の人権報告書
を公表した。同報告書の公表は第2次トランプ政権発足後、今回が初めて。
国務省は国・地域別に最多の42ページを充てた中国について、前年版(2024年4月23日記事参照)に引き続き、ウイグル族などの新疆ウイグル自治区の少数民族に対するジェノサイドや非人道的行為が発生した、と総括した。また、中国政府がウイグル族などの労働者を国内各地に移送したとのNGOや学術機関の報告書を紹介し、強制労働の懸念が同自治区にとどまらない懸念を指摘した。中国のほか、ロシア(41ページ)、ベラルーシ(40ページ)、シリア(36ページ)の順に記載の分量が多かった。
報告書の全体分量は、前年比6割以上減少した。国別に減少幅が最大のイスラエルは、103ページから9ページへと前年比9割以上減少した。国務省は、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突以降、同国で人権侵害の報告が増加しているとまとめた。一方で、前年に盛り込まれていたパレスチナ自治区ガザ地区の人道状況の懸念に関する記述などは大幅に削減された。
報告書の縮小理由について、国務省のタミー・ブルース報道官は同日の会見で、バイデン前政権下で作成されていた同報告書をトランプ政権の視点や方針に基づいて再編したと説明し、「政治的に偏った主張を過剰に列挙するのではなく、(同報告書の作成の根拠の1961年対外援助法や1974年通商法の)法的要件に即した内容になっている」と述べた。
人権理由の輸入規制は執行水準低下も継続か
人権報告書の簡素化のほか、ドナルド・トランプ大統領はこれまでに、人道支援を含む対外援助の一時停止(2025年1月28日記事参照)や国連人権理事会脱退(2025年2月6日記事参照)の大統領令を発令しており、トランプ政権における外交政策の人権分野の優先順位はバイデン前政権と比べて低くとどまるもようだ。
ただし、米国は中国国内の人権侵害の懸念などを理由に、2022年にウイグル強制労働防止法(UFLPA)の施行を開始している。同法は、新疆ウイグル自治区で生産された物品や、UFLPA上の事業体リストに記載された企業や団体が生産に関与した物品などの米国への輸入を禁止する。米国税関・国境警備局(CBP)は2025年7月末までに、同法に基づいて37億ドル相当の1万6,755件の貨物の輸入を差し止めた。トランプ政権下の月単位の同措置の執行金額や件数はバイデン前政権下から減少しているものの、措置の執行自体は継続している。強制労働などを用いて生産された物品の輸入規制を通じて、米国の経済的利益を確保する目的で、UFLPAなどの措置の執行は今後も継続する可能性がある(2025年5月9日付地域・分析レポート参照)。
(葛西泰介)
(米国、中国、ロシア、イスラエル)
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