米財務省、イランの防衛産業やフーシ派を支援した個人・事業体に対する制裁を発表

(米国、イラン、イスラエル、イエメン)

ニューヨーク発

2025年06月24日

米国財務省は6月20日、イランの防衛産業に関与した個人や事業体外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよびイランを支援するイエメンの武装派勢力フーシ派に関連する個人や事業体外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを、金融制裁対象である「特別指定国民(SDN)」に指定した。国務省も同日、声明を発表した(イランの防衛産業に関する制裁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますフーシ派支援に対する制裁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ドナルド・トランプ大統領は翌21日に、イランの核施設3カ所へ攻撃したと発表しており(2025年6月23日記事参照)、両国の間で緊張が高まっている。

SDNに指定された個人・事業体は、在米資産の凍結や、米国人との資金・物品・サービスの取引禁止が科される。SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。なお、米国人には、米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人が含まれる。

財務省は今回、イランの防衛産業向けに、中国から大量破壊兵器の拡散に関係する機械の調達および輸送に関与したとして、8つの団体、1人の個人、1隻の船舶を制裁対象とした。また、フーシ派を支援するため、石油やその他の違法な物品を輸入した12の団体、4人の個人、2隻の船舶を制裁対象とした。具体的な制裁対象は、財務省外国資産管理局(OFAC)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版(6月23日)によれば、6月21日の米国によるイランへの攻撃の後、米国の原油価格は翌22日の夜間の取引で一時4%急騰した。ただし、その後急落しており、同紙は、「原油供給が大幅に混乱する可能性は依然として低いものの、供給が滞るリスクは高まっている。最大の混乱は、世界全体の原油の約5分の1が通過するホルムズ海峡をイランが封鎖した場合だ(2025年6月19日記事参照)」との、ゴールドマン・サックスの見方を紹介している。なお、国務省のマルコ・ルビオ長官は6月22日、FOXニュースのインタビュー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、中国が石油の輸送においてホルムズ海峡に大きく依存していることから、中国政府が同海峡を封鎖しないようイランに連絡をすることを促したい、と述べている。

また、国土安全保障省のクリスティ・ノーム長官は6月22日、イスラエルとイランの紛争に米国が直接関与したことにより、米国全土の脅威レベルが上昇したことを受け、国家テロ警報システム(NTAS)通じて警告を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。現時点で米国本土に対する具体的な脅威は確認されていないとしながらも、「現在進行中のイスラエルとイランの紛争は、サイバー攻撃、暴力行為、反ユダヤ主義によるヘイトクライムなどのかたちになって、米国に対する脅威を高める可能性がある」と警鐘を鳴らした。

(赤平大寿)

(米国、イラン、イスラエル、イエメン)

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