税制

最終更新日:2020年10月22日

法人税

法人税率は、19%(一律)。

法人税率(Corporation Tax

法人税率は2017年4月1日以降、一律19%。(※)
英国政府は、2020年会計年度(2020年4月~2021年3月)夏予算案において法人税率を段階的に引き下げると発表、2020年4月以降は17%とするとしていたが、2020年度予算案において、2020年、2021年会計年度(4月~3月)については19%のまま据え置くと発表した。

※リングフェンス所得(英国領の油田開発事業から得られた収益)への課税率は、次項参照。

研究開発税控除

法人税を計算する際、研究開発費用に関する控除として、資本的支出には損金算入が認められ、適格研究開発費は減税の対象となる。

ジェトロ:英国 税制「研究開発費用関連の控除」PDFファイル(606KB)

クリエイティブ産業に係る税控除

法人税を計算する際、映画、アニメーション、ハイエンドのテレビ番組、子供向けテレビ番組、ビデオゲーム、舞台芸術、オーケストラのクリエイティブ産業については、一定の条件を満たせば、制作・開発費用の一部または全額が減免対象となる。

ジェトロ:英国 税制「クリエイティブ産業優遇税制」PDFファイル(629KB)

パテントボックス制度

英国または欧州で認められた特許、農業や医薬品の知的財産(IP)(意匠権や商標権は含まれない)から得た利益から、通常経費(人件費、土地建物費、マーケティング費など)を控除した額(関連知的財産利益 Relevant IP Profit:RIPP)に対し、10%の税率を適用する。

リングフェンス所得

リングフェンス所得(英国領の油田開発事業から得られた収益)の標準税率は30%。
これに加えて、追加税(supplementary charge)10%が徴収される(いずれも2020年度税率)。

課税対象所得30万ポンド以下の場合、リングフェンス所得税率は19%の軽減税率となる。
同30万超~150万ポンド以下の場合、控除(Marginal Relief)の対象となり、控除率は11/400。

迂回利益税(Diverted Profits Tax:DPT)

英国から国外の租税回避地に利益を移転している多国籍企業を対象に、2015年4月1日より新たに導入され、税率は25%。
英国政府:迂回回避税ガイダンス(Diverted Profits Tax: guidance外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2018年12月31日付)

二国間租税条約

日英租税条約により、利子は0%、配当は10%(持株比率10%以上の場合は0%)、使用料は0%。

英国は二重課税の回避を目的とした条約(租税条約)を100以上の国々と締結。
これら租税条約の主な内容には、投資所得(配当および利子)や使用料(著作権、特許権)の支払いに対する源泉地国課税の軽減・免除措置がある。

英国政府:二国間租税条約の締結国一覧 (Tax treaties外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

日英租税条約は1963年に原条約が発効し、1970年に第1次全面改正条約、2006年に第2次全面改正条約、2014年12月12日に新たに改正議定書を発効。
2014年の改正では、利子については原則免除など投資所得に対する減免対象を拡大し、事業利益への課税については新たな規定を導入した。
さらに、税務当局間の相互協議における仲裁制度や、相手国の租税を相互に徴収する仕組みの導入など、両国の税務当局間の協力関係が強化された。

この改正議定書では、源泉徴収される所得への租税は、2015年1月1日以後に適用されている。
源泉徴収されない所得への租税については、日本では2015年1月1日以後に開始する各課税年度の所得に、英国では法人の場合2015年4月1日以後(個人の場合2015年4月6日以後)に開始する各課税年度の所得に、それぞれ適用されている。
租税条約を適用し、租税の減免を受けるには、税務当局への届出が必要である。

その他税制

ビジネスレート(非居住用資産に対する固定資産税)、付加価値税(消費税)、個人所得税、カウンシル・タックス、土地印紙税、銀行税など。

非居住不動産レートNon-Domestic Rates、ビジネスレート(Business Rate

非居住不動産レート(Non-Domestic Rates、これまではビジネスレートBusiness Rateとも呼ばれる)は固定資産税で、非居住用(事業用)資産(店舗、事務所、倉庫、工場など)に対する評価額を基に課税する。
イングランドおよびウェールズと、スコットランド、北アイルランドとでは、税額の算出方法が異なる。
イングランドとウェールズでは、中央政府の資産評価局(VOA)、スコットランドは各地方自治体の土地評価局、北アイルランドは同政府の土地・不動産局が市場の年間賃貸額に基づく課税評価額によって税額を算出する。
また、課税評価額はこれまでほぼ5年ごとに見直しが行われ、イングランド、スコットランドおよびウェールズについては、2017年4月1日に、北アイルランドについては2020年1月に改定された。政府は今後、改定頻度を上げるとしていたが、新型コロナ感染拡大に伴い、イングランド、ウェールズについては2021年としていたところ、2023年に延期した。スコットランドは2023年に改定が予定されている。北アイルランドについては次の改定日時は発表されていない。
また、本税は従来「ビジネスレート」と言う名称だったが、各行政府は近年、非居住不動産レート(Non-domestic Rates)に変更しつつある。

ジェトロ地域分析レポート「英国への投資にはビジネスレートに留意が必要(2019年2月1日)

非居住不動産レート(ビジネスレート)についての情報
  1. イングランド・ウェールズ
    英国政府:ビジネスレート・ガイダンス(Business rates外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  2. スコットランド
    スコットランド政府:非居住不動産レート・ガイダンス(Non-domestic rates guidance外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  3. 北アイルランド
    北アイルランド政府:ビジネスレート(Help available for business rates外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
課税率と土地評価額が確認できるページ(郵便番号、住所、通りの名などで検索可能)
  1. イングランド
  2. ウェールズ
  3. スコットランド
    スコットランド政府:
  4. 北アイルランド
    • 北アイルランド政府:ビジネスレート(Business rates外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    • 具体的な税額の算出:北アイルランド財務省(Department of Finance)「ビジネスレートの乗数(Poundages 2020-2021外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」
    • 北アイルランド政府:「どのようにして税額は算出されるか(How my rate bill is calculated外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」
(表)不動産評価額別のビジネスレート課税率(乗数、2020/2021年度)
イングランド
地域 課税率
不動産評価額
5万1,000ポンド未満
不動産評価額
5万1,000ポンド以上
不動産評価額
7万ポンド超
大ロンドン市以外 0.499 0.512 0.512
大ロンドン市内:シティ(注1)以外 0.499 0.512 0.532
大ロンドン市内:シティ 0.507 0.520 0.540
スコットランド
地域 課税率
不動産評価額
5万1,000ポンド以下
不動産評価額
5万1,000ポンド超
9万5,000ポンド以下
不動産評価額
9万5,000ポンド超
スコットランド(全域) 0.498 0.511 0.524
ウェールズおよび北アイルランド
地域 課税率(一律)
ウェールズ(全域) 0.535
北アイルランド(注2) 0.497231~0.588186

(注1)シティはシティ・オブ・ロンドンの略。
(注2)行政区により異なる。行政区の税率+行政区が属する地方の税率。

各地域のビジネスレートの減免について
  1. イングランド(英国政府):Business rates relief外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  2. スコットランド政府:Business rates relief外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  3. ウェールズ政府 :Business Rates Relief in Wales外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  4. 北アイルランド・ビジネスインフォ:Help available for business rates外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

ビジネスレートの課税対象外とされているのは、イングランドの場合、住宅用不動産、農地、農家(水産施設含む)、障がい者用訓練施設、宗教施設などに限定されている。

ビジネスレートには減免措置があり、各自治政府が独自の判断で、減免対象、免税内容を定めている。4つの行政府が共通して減免措置を設けられているのは小事業向け不動産への減免(SBRR)、空き物件への減免、チャリティー団体および地域振興に寄与するアマチュアスポーツクラブ、過疎地などへの減免である。
次の別紙PDFを参照。

ジェトロ:2020/2021年度に実施されている主なビジネスレート減免措置PDFファイル(195KB)

エンタープライズ・ゾーンでのビジネスレートの減免

産業振興を目的としたエンタープライズ・ゾーン(EZ)内に移転する企業は、当該地方自治体の判断の下、ビジネスレートが減免される。

英国政府:エンタープライズ・ゾーンでのビジネスレートの減免(Business rates relief - Enterprise zones外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

新型コロナウィルス感染拡大に伴う経済悪化の緩和を目的とした減免措置

前述の減免措置に加えて、新型コロナウィルス感染拡大に伴う経営支援措置として、2020/2021年度に限り、各行政府単位で非居住不動産レート(ビジネスレート)の減免措置が発表されている。対象、内容が各行政府で異なるため留意が必要。

  • ウェールズ政府:ビジネスレートの減免(Business Rates Relief in Wales外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    小売・ホスピタリティ、娯楽産業、乳幼児保育施設、航空関連産業に対する免除など。
  • 北アイルランド政府:新型コロナウィルス下でのビジネス支援(COVID-19: Rates support for businesses外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    小売・ホスピタリティ、娯楽産業、乳幼児保育施設、航空関連産業に対する免除など。

付加価値税(VAT)

日本の消費税に相当する付加価値税(VAT)の税率は3種類あり、税率および該当する品目は次のとおり。

区分 税率 品目
標準税率 20% ほとんどの商品やサービス
軽減税率 5% 家庭用燃料、電力、チャイルドシートなど
ゼロ税率 0% 食料品(一部除く)、子供服、水道水、新聞、医薬品、居住用建物など

この他に、税金が免除となる非課税品目(医療、教育、郵便、金融、保険など)や、VAT対象外の不課税品目(寄付、無償福祉サービス、公的機関による通行料金など)がある。
たばこ、酒、炭化水素油等は別途、物品税の対象となる。税率は品目ごとに異なる。
また、過去12カ月の課税対象取引額が8万5,000ポンド超の場合は、歳入関税庁(HMRC)への登録が必要となる。

個人所得税(Income Tax

所得税は、英国居住者の課税年度(4月6日~翌年4月5日)内の所得と英国非居住者の英国での所得に対して、超過累進課税方式(一定額以上になった場合に、その超過金額に対してのみ、より高い税率を適用)で課せられる。

ジェトロ:英国 その他の税制 個人所得税PDFファイル(384KB)

英国居住者の要件は、課税年度中に英国で過ごした日数が183日以上の場合、または主たる住居を英国内に91日以上保有し、課税年度中にその住居で過ごした日数が30日以上の場合である。
英国居住者は、英国以外の海外所得に対しても納税の義務がある。
英国の居住者でない場合は、英国で得た所得だけに課税される。

カウンシル・タックス(Council Tax

カウンシル・タックスは、居住用資産の評価額を基に課税される。これは日本の固定資産税に似ているが、賃借人でも支払い義務があり、同時に別荘など非居住者であっても、減免はあるものの、支払い義務が生じる。

英国では個人所得税の地方税がないため、事実上、個人所得税の地方税に相当する税である。
なお、イングランド、スコットランド、ウェールズと、北アイルランドとでは税率の算出方法が異なる。

ジェトロ:英国 その他の税制 カウンシル・タックスPDFファイル(514KB)

土地印紙税(Stamp Duty Land Tax:SDLT)

イングランド、ウェールズ、北アイルランドで土地や不動産を購入する際には、土地印紙税が課税される。
課税率は不動産の評価額(consideration)に基づくが、実際には取得額を用いることが多く、超過累進税率方式で課税される。

居住用
不動産評価額区分 課税率
125,000ポンド以下 0%
125,000超~250,000ポンド 2%
250,000超~925,000ポンド 5%
925,000超~1,500,000ポンド 10%
1,500,000ポンド超 12%
非居住用
不動産評価額区分 課税率
150,000ポンド以下 0%
150,000超~250,000ポンド 2%
250,000ポンド超 5%

※2020年7月8日~2021年3月31日の期間、50万ポンド以下の居住用物件は非課税。
※2021年4月1日以降(2020年7月7日以前も含む)、初めて50万ポンドまでの住居を購入する者に対しては、30万ポンドまでは0%を適用。
具体的な税額の計算は、歳入関税庁ウェブサイトで可能。

また、スコットランドでは、2015年5月1日以降、土地印紙税に代わる土地・建物取引税Land and Buildings Transaction Tax:LBTT)が導入された。
課税率は、不動産購入額に基づき、超過累進課税方式で課される。

居住用
評価額区分 課税率
145,000ポンド以下 0%
145,000超~250,000ポンド 2%
250,000超~325,000ポンド 5%
325,000超~750,000ポンド 10%
750,000ポンド超 12%
非居住用
評価額区分 課税率
150,000ポンド以下 0%
150,000超~250,000ポンド 1%
250,000ポンド超 5%

※2020年7月15日~2021年3月31日の期間、25万ポンド以下の居住用物件には0%を適用。
スコットランド政府:土地・建物取引税(Land and Buildings Transaction Tax外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

ウェールズでは2018年4月1日以降、土地印紙税に代わる土地取引税(Land Transaction Tax)が導入された。

居住用(1軒目)
評価額区分 課税率
180,000ポンド以下 0%
180,000超~250,000ポンド 3.5%
250,000超~400,000ポンド 5%
400,000超~750,000ポンド 7.5%
750,000超~1,500,000ポンド 10%
1,500,000ポンド超 12%

※2020年7月27日から2021年3月31日の期間、25万ポンド以下は非課税。

居住用(2軒目以降)
評価額区分 課税率
180,000ポンド以下 3%
180,000超~250,000ポンド 6.5%
250,000超~400,000ポンド 8%
400,000超~750,000ポンド 10.5%
750,000超~1,500,000ポンド 13%
1,500,000ポンド超 15%
非居住用 購入
評価額区分 課税率
150,000ポンド以下 0%
150,000超~250,000ポンド 1%
250,000超~1,000,000ポンド 5%
1,000,000ポンド超 6%
非居住用 賃貸
評価額区分 課税率
150,000ポンド以下 0%
150,000超~2,000,000ポンド 1%
2,000,000ポンド超 2%

ウェールズ州政府:土地取引税(Land Transaction Tax外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

銀行税(Bank Levy

英国政府は2011年1月1日より、金融システムがもつ潜在的なリスクに対処するため、金融機関に対して銀行税を導入した。
課税対象は、負債と資本の合計額が200億ポンド以上の、英国の銀行、住宅金融組合、外国銀行の英国法人など。
バランスシート(資産と負債)に対する課税だが、Tier 1資本、保険付預金、繰延税金負債、レポ借入(国債により保証された借入)などは除外される。
2020年1月からの税率は、バランスシートに対し0.14%、長期負債の場合は0.07%。税率は2021年1月1日にそれぞれ0.10%、0.05%になるよう、毎年1月に引き下げられている。

デジタルサービス税(Digital Services Tax

英国政府は2020年4月1日より、各種デジタルサービス事業の収益のうち、英国のユーザーから生じた収益に対し税を導入。
課税対象は、ソーシャルメディアサービス、検索エンジンやオンライン・マーケットプレイスを提供する企業で、当該事業からの収益が、世界で5億ポンドを超え、うち2,500万ポンド超が英国のユーザーからもたらされる企業。
英国ユーザーから得られた収益のうち2,500万ポンドを超えた分に対し2%が課税される。
「英国のユーザー」とは普段英国に所在する個人、もしくは英国に設立されたその他の主体とされた。税額の計算は企業グループごとで行われるものの課税は寄与分に応じてグループ内の個社に対し行われる。また、英国内に法人税を課税可能な拠点を有するかを問わない。

ジェトロの記事:「英国、2020年4月1日よりデジタル税を導入へ(2020年3月23日付)

その他の事業関連の諸税

ビジネスに関連するその他の諸税は、英国政府ウェブサイトで確認できる。 英国政府:事業関連諸税(Business tax外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます