カンボジア当局、年間約5,000社の税務調査を予定、日本企業はゴールドステータス取得を

(カンボジア)

プノンペン発

2025年04月23日

カンボジア租税総局(GDT)は4月1日、2025年中に企業4,827社に対して税務調査を実施すると発表した。税務調査の対象企業は公開されていない。カンボジア財務管理法(2025年度)によると、法人税の徴収で約18億ドルの歳入を予定として掲げている。

税務調査に関して、GDTは2024年4月に「税務調査における標準業務手順(SOP)」(注1)を発表しており、SOPに従った税務調査が今後行われる見込みだ。SOPの手順書によると、GDTは各企業に対して税務申告に対する指摘を書面で行い、各企業に申告額の修正を行う期間として60営業日を与える。各企業は指摘事項に同意できない場合、GDTに書面で異義申し立てが可能だが、最終的に解決しない場合は税務調査が実地監査に移ると規定されている。

なお、カンボジアにおける税務調査は、税務調査官によって対応が異なり、法令で明確に定められていない事項についても追徴課税の指摘がなされるなど、外国投資企業から不満が出ていた。これに対し、GDTは2024年7月、投資環境の改善を目的に特別税務調査機関(STAU)がGDT傘下に設立され、ゴールドステータス(注2)企業などを対象に税務調査を実施することとなった。これにより、税務調査の内容が簡略化されるなど、調査対応の負担の軽減が期待されている。

カンボジア日本人商工会(JBAC)税制委員長の川原亮氏は「GDTが実施する税務調査の質の平準化に期待したいが、日本企業にとっては税務コンプライアンスを順守し防御を固めることが最も重要な税務調査対策だといえる。ゴールドステータスの取得は、そのための手段の1つとして位置づけられる。税務調査の回数が減るなどの恩恵もあるため、できる限り取得しておくことが望ましい」とコメントした(ジェトロのヒアリング、4月18日)。なお、ゴールドステータスのサンプルはGDT公式フェイスブックの動画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2018年4月27日、クメール語)で紹介されている。

(注1)「税務調査における標準業務手順(SOP)」は税務行政改革の一環として策定され、税務調査の質を標準化することを狙っている。

(注2)税務コンプライアンスの状況に応じて納税者をゴールド、シルバー、ブロンズの3種類に分け、区分に応じて付加価値税(VAT)還付の手続き面などで恩恵が受けられる。ステータスは2年間有効。

(トー・タイ)

(カンボジア)

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