米USTR、過剰生産に対する米国と14カ国・地域の共同声明発表、対応強化の姿勢鮮明に

(米国)

ニューヨーク発

2026年10月09日

米国通商代表部(USTR)は10月7日、米国のほか日本やEUなど14カ国・地域(注1)の閣僚による「構造的な過剰生産能力への対応に関する共同閣僚声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。OECDの貿易委員会の会合に合わせ、USTRが会合を開催した。米国は昨今、過剰生産への対応を強化する姿勢を鮮明にしている。

共同声明では、構造的な過剰生産は、「市場原理に基づく投資、生産、および能力増強を阻害し、市場原理に基づく輸出を損なう」「(過剰生産を行う国の)製品への依存を深め、恣意的な輸出制限を含む経済的威圧に対する脆弱(ぜいじゃく)性を増大させる」とした上で、特に懸念されるセクターに、(1)自動車および電気自動車(EV)、(2)バッテリー、(3)化学製品、(4)基盤半導体(レガシー半導体)、(5)太陽光パネルを挙げた。また、活動指針などを策定するため、2026年12月までに事務会合を行うことで合意した。

USTRのジェミソン・グリア代表は、今回の声明発表に際し、「米国がG20議長国を務めた期間中、多くの経済圏から、外国政府による非市場的な政策・慣行によって、世界需要を恒常的に上回る構造的な過剰生産能力や過剰生産が生じているとの指摘があった」「トランプ政権は、こうした広範に及ぶ政策や慣行に起因する市場のゆがみから、わが国の産業、労働者、そして経済を守るため、引き続き貿易相手国と連携していく」との声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

今回の発表に先立ち、米国が議長国を務めたG20貿易相会合会期中の9月30日には、28の国・地域が加盟する「鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラム(GFSEC)」が共同声明を採択したほか、過剰生産による市場の歪曲(わいきょく)効果に対処するための輸入制限措置の検討・実施などを進める「ミルウォーキー・フレームワーク」で合意した(2026年10月5日記事参照)。

また、USTRは2026年3月から、1974年通商法301条に基づき、過剰生産能力や過剰生産に関連する政策や慣行について、日本や中国を含む16カ国・地域(注2)に対する調査を行っている(2026年5月12日記事参照)。調査結果については、7月以降、間もなく発表されるとの報道が繰り返されているものの、現在まで公表には至っていない。場合によっては11月の中間選挙後にずれ込むとの見方も報じられている(米通商専門誌「インサイドUSトレード9月17日)。追加関税率については、例えば中国の場合、既に、301条に基づき強制労働産品の輸入禁止措置を巡って12.5%の追加関税が課されており、2025年10月の米中首脳会談で合意された国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税率の上限20%を踏まえ(2025年11月4日記事参照)、過剰生産を理由にした新たな301条追加関税率はその差である7.5%になるとの見方が有力視されている(政治専門紙「ポリティコ」8月27日、注3)。

(注1)アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、EU、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国、メキシコ、ポーランド、トルコ、英国、米国。

(注2)日本、韓国、中国、台湾、EU、スイス、ノルウェー、ベトナム、カンボジア、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、インド、バングラデシュ、メキシコ。

(注3)中国に対しては、知的財産権の慣行などを巡っても301条に基づく追加関税が課されている(2026年10月8日記事参照)。また、その他の国に関して、通商政策に詳しい弁護士によれば、ベトナムとタイは米国との相互貿易協定(ART)に関して合意できていないことから、両国に対して、過剰生産を理由に高い関税が課される可能性があるという(ジェトロによる9月に行ったインタビュー)。ベトナムとの交渉状況は、2025年10月29日記事、2026年9月25日記事参照。タイとの交渉状況は、2025年11月7日記事、2026年8月26日記事参照。

(赤平大寿)

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