ベトナムと米国、貿易協定の枠組みに関する共同声明公表
(ベトナム、米国)
ハノイ発
2025年10月29日
ベトナムと米国は10月26日、マレーシアで開催されたASEAN関連首脳会議へのベトナムのファム・ミン・チン首相と米国のドナルド・トランプ大統領の出席を機に、「相互、公正かつ均衡のとれた貿易協定の枠組みに関するベトナムと米国の共同声明
」を発表した。
声明では、ベトナムからの対米輸出品への相互関税20%は維持されることや、今後数週間のうちに協定の最終決定に向けて両国が取り組んでいくことを明記した。40%の関税が課される第三国からの積み替え品に関する言及はなかったが、関税逃れなどに対処していく方針も記載した。
声明に記載した協定の主な条件は次のとおり。
- 米国は、ベトナム原産品に対する相互関税20%を維持する一方、課税を0%に引き下げる製品も特定する。
- ベトナムは、米国の実質的に全ての工業品や農産物の輸出に対し、優先的な市場アクセスを提供する。
- 両国は、優先分野で2国間貿易に影響を与える非関税障壁における両国の利益に対処するために、建設的に取り組む。
- 両国は、関税逃れへの対処や輸出管理に関する協力を含むサプライチェーン強靭(きょうじん)化という共通目標に向けた協力の強化を約束する。
- 両国は、農業や航空宇宙、エネルギー分野で両国企業間の最近の商業取引に留意する。
- 両国は、今後数週間にわたって協定の最終決定について議論し、署名に向けた準備を行い、協定が正式に発効するために必要な手続きを行う。
ベトナム税関局の統計によると、2025年1~9月のベトナムの対米輸出額は前年同期比27.7%増の1,128億ドルだった(2025年10月15日記事参照)。直近は履物や縫製品など相互関税の対象品目で減少傾向があるものの、ノートパソコンや通信機器など電子製品の主要な輸出品は相互関税の対象外となっている。このため、米国はベトナムにとって依然として最大の輸出相手国だ。他方、米国からの輸入額も23.6%増の137億ドルだった。コンピュータ電子製品・同部品や綿などの輸入が大きく増加した。
ベトナムの現地報道によると、26日にチン首相とトランプ大統領は短時間の会談を行い、早期の貿易協定への署名や、両国間のパートナーシップのさらなる推進に合意した。トランプ大統領は、トー・ラム共産党書記長らベトナムの指導者によるベトナム訪問の招待にも応じる意向を示したという(VNエクスプレス10月26日)。
(萩原遼太朗)
(ベトナム、米国)
ビジネス短信 05decb63067c9070




閉じる
