タイ政府、8月末に米国と貿易協議、争点解決に課題も

(タイ、米国、中国、インドネシア、マレーシア、ベトナム)

バンコク発

2026年08月26日

タイ政府は8月15日、8月末に米国との関税交渉を行う準備を進めていることを明らかにした。スパジー・スタムパン副首相兼商務相が訪米し、交渉を主導する。

タイ首相府のラリダ・ペリスウィバタナ副報道官によると、米国の1974年通商法(第301条および第232条)に基づく追加関税措置について、タイから米国に輸出される製品の約72%が免除対象となっている。残る28%については、可能な限り低い関税率の適用や免税を実現するよう、米国と交渉が行われる予定だ(注1)。

ラリダ副報道官は、両国の相互経済関係を示すものとして、タイによる対米投資総額が約200億ドルに達していることに加え、さらに50億ドル以上の投資計画がある点のほか、タイの対米貿易黒字の30%以上は在タイ米国企業の(対米)輸出によるものだと説明した。

迂回輸出基地との懸念払拭も争点か

現地経済紙(8月17日付)によると、対米協議における未解決事項について、8月9日の週にアヌティン・チャーンウィラクン首相が参加する会合で協議が行われた。タイ側が譲歩することが難しい争点として、(1)成長促進剤を含む輸入豚肉に対する衛生植物検疫措置(SPS)や(2)安全保障分野での議論、また(3)通信分野への投資における米国企業の単独出資が挙がったという。また、タイ側は米国に対し、78品目に相当する7つの製品グループ(注2)について、関税免除を働きかけている。

米国政府は8月13日、関税回避のための迂回輸出に関わる調査報告書「The Great Transshipment Scam(大いなる積み替え詐欺)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表(2026年8月18日記事参照)。同報告書は、タイを「中国と深い経済統合にある国・地域」と位置付けて、ブラジル、インドネシア、マレーシア、トルコ、ベトナムとともに、厳重な監視が必要な第2グループ(Tier2)に分類している。

タイに関しては、アユタヤ=サムット・プラカーン回廊を経由するサーモスタット(HS9032.10)が、ミネアポリス州セントポールの雇用を脅かしていると指摘。また、他のASEAN諸国では、ベトナム(ホーチミン)の電気回路向け開閉・保護・接続機器(HS8536)、マレーシア(ペナン=クリム)のプラスチック製品の一部(HS3926.90)、インドネシア(ブカシ=バタム)のプラスチック製ケース・容器など(HS3923.10)を迂回輸出による脅威として挙げた。

(注1)タイ首相府によると、これらの追加関税措置の(免除)対象の割合は、同措置の対象範囲内における割合を示しており、その合計がタイから米国への輸出総額を意味するものではない。

(注2)7つの製品グループについては、(1)農業・食料安全保障、(2)消費財・家庭用品、(3)医療・公衆衛生製品、(4)電子機器・半導体、(5)自動車・同部品、(6)機械部品・産業機器、(7)手工芸品・付加価値製品とされる。

(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、米国、中国、インドネシア、マレーシア、ベトナム)

ビジネス短信 fd7e2ae820af6f84