米USTR、知財慣行理由の301条対中追加関税の賦課を継続、具体的な見直し作業開始へ

(米国、中国)

ニューヨーク発

2026年10月08日

米国通商代表部(USTR)は10月7日、第1次トランプ政権時に発動した中国に対する1974年通商法301条に基づく追加関税措置について、米国内産業界からの要請を受け、賦課を継続すると官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後、同措置の具体的な見直し作業に移る。

米国は301条に基づき、中国の技術移転や知的財産などに関連する行為・政策・慣行が不合理・差別的で米国の商業に負担や制限を与えているとの理由から、2018年7月以降、広範な中国原産品に対して7.5~100%の追加関税を課している(注)。USTRは2026年5月、この301条対中追加関税について、2022年に続いて2度目の法定見直しの手続きを開始すると発表し、同関税の継続を要望する国内産業界から意見を募集していた(2026年5月7日記事参照)。

これに対し、複数の国内生産者や業界団体が301条対中追加関税の継続を要請した。国内産業界からは、中国による不公正な政策や慣行は同関税の発動後も続いている一方、同関税によって米国企業が中国からの輸入品と競争できるようになり、重要産業の国内回帰が促されているといった意見が寄せられた。

USTRは今後、301条対中追加関税を継続しつつ、同関税の具体的な見直し作業を行う。見直しの手順については後日公表する。見直しにあたっては、中国による不公正な政策や慣行を是正する上での同関税の有効性や、そのほかの取り得る措置、同関税の米国経済への影響に関して、利害関係者から意見を公募する予定だ。見直しの対象は、関税のリスト1(2018年7月発動)とリスト2(同年8月発動)だけでなく、それらの修正という位置付けで発動されたリスト3(同年9月発動)とリスト4A(2019年9月発動)も含む。前回2022年に開始された見直しの結果では、一部品目の追加関税率は引き上げられたほか、一部の品目が新たに対象に追加された(2024年12月12日記事参照)。

なお、米中両国は2025年5月の首脳会談で設立に合意した「米中貿易委員会」における協議を通じて、互いに一部品目の関税引き下げを検討している(2026年9月29日記事参照)。米国側の関税の引き下げ対象には、301条対中追加関税も含まれる可能性がある。USTRのジェミソン・グリア代表は、米中貿易委員会の協議結果に基づく関税引き下げの対象や時期は未定だと述べ、国内でパブリックコメントの募集などを経て最終的に決定すると説明している(ブルームバーグ10月1日)。

(注)米国は301条に基づき、中国が強制労働産品の輸入禁止措置を実行していないとの理由から、2026年7月以降、広範な中国原産品に対して別途12.5%の追加関税を課している(2026年7月24日記事参照)。この強制労働慣行理由の301条対中追加関税は今回の見直しの対象とならない。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

ビジネス短信 870ebc6e5cee6072