米シンクタンク、ロンドン合意に基づく中国のレアアース輸出管理緩和は「一時的な可能性」
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年06月13日
米中両国は6月9~10日に英国ロンドンで通商協議を実施し、両国による重要鉱物や先端技術の輸出管理の緩和などの方向性で合意した(2025年6月13日記事参照)。米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は6月11日、中国の希土類(レアアース)の輸出管理措置がこれまでに米国経済に与えた影響や、ロンドン合意を踏まえた今後の展望を解説する一問一答形式の解説を発表した(注)。
解説では、中国がレアアースの輸出管理を強化した2025年4月以降(2025年4月7日記事参照)、中国当局に提出された数百件の輸出許可申請のうち、実際に申請が許可された割合は25%程度にとどまると推定されるとのメディア報道を引用した。また、輸出許可の発行の遅滞により、自動車・自動車部品メーカーにおいて供給途絶や生産停止などの重大な影響が及んでいると報告した。具体的には、米国フォードのイリノイ州シカゴの工場が2025年5月に1週間の生産停止に追い込まれた事例のほか、米国のみならず欧州や日本の自動車・自動車部品メーカーが供給不足に直面する事例を紹介した。
中国当局の輸出許可が遅滞した後、ドナルド・トランプ米大統領が「中国がジュネーブ合意を破った」と非難したほか(2025年6月9日記事参照)、中国人留学生の在留資格の管理強化(2025年6月2日記事参照)、半導体設計装置ソフトウエアの輸出許可の停止(2025年5月30日記事参照)などの対中強硬措置が打ち出されたとした。
今回のロンドン合意を受けて、CSISは、トランプ政権が米国の自動車・自動車部品メーカーの磁石やレアアースの供給が回復すると楽観視しているとしつつ、米中通商関係が不安定であることなどを踏まえ、「停戦(輸出管理の緩和の枠組み)は、一時的なものにとどまる可能性が高い」と指摘した。具体的には、トランプ大統領の関税政策が常に変化しているほか、中国が直近2年間でガリウム、ゲルマニウム、グラファイト、アンチモン、タングステン、レアアースを含む鉱物の輸出管理を一貫して強化してきた(2024年12月10日記事参照)と振り返った。
また、レアアースの供給を巡る長期的な解決策は、米国とパートナー国によるレアアースの採掘、精製、磁石製造能力の構築と拡大による、代替サプライチェーンの構築だと提起した。
(注)解説は、CSIS重要鉱物安全保障プログラム・ディレクターのグレースリン・バスカラン氏、同プログラム・フェローのメリッサ・シュワルツ氏による。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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